急に暖かくなった夜に超新星と彗星観察 ― 2018/03/14
今日の太陽 ― 2018/03/14
そろそろ終末に差しかかる第24太陽周期 ― 2018/03/14
人間社会のみならず地球環境に多大な影響を与える太陽。その太陽活動に「周期性」があるというお話しを聞いたことがあるでしょうか?主に黒点の増減に代表される活動状態の変化は、全体として約11年の大きな波を描くというものです。詳しい方なら、過去には黒点数が長期間減少した時期が何度も存在し、地球が大規模な寒冷気候に見舞われたこともご存じでしょう。太陽活動を知ることは私たちの未来を予測する上でとても重要なことです。
1600年初頭にガリレオ・ガリレイ、クリストフ・シャイナー、ダーヴィト・ファブリツィウスといった天文学者によって黒点が発見されて以降、日々の観測データがいくつかの天文台に蓄積されるようになります。1755年からはおよそ11年ごとに現れる極小を境界として「第1太陽周期」「第2太陽周期」…と番号が付けられました。日本で初めて黒点を観測したといわれる国友一貫斎は第8太陽周期の黒点スケッチを残していたことになります。現在私たちが見ている太陽は第24太陽周期の終盤です。左上はSILSO(Sunspot Index and Long-term Solar Observations:ベルギー王立天文台)のデータによる2015年年始から今年2018年1月末までの日々の黒点数。全体的に右下がりであることが分かるでしょうか。
ところで正確な周期を知るには「太陽活動の開始」あるいは「黒点数の極小」を統計的に決める必要がありますが、これがまた一筋縄ではいきません。図鑑や専門書、あるいは天文台のWeb解説などを調べてみてください。先日Wikipediaにどう書かれているか閲覧したら、妙な事態でした。記事末の表は日本語で書かれたWikipedia、英文のWikipedia、およびNOAAの資料による3つのソースを書き出したもの(2018年3月頭現在)。一致している年月もあれば、バラバラの年もあります。これはいったいどういうこと?「Wikiが正確だなんて保証はない」「必ず複数ソースを確認しなさいって言ったでしょ」なんていう忠告説教はどうでも良くて、なぜ異なる結果が複数存在するかという追求こそが重要です。
調べを進めると、「平滑化」という問題に突き当たりました。「平滑化」とは、左上グラフのような細かい増減のあるデータに対して「大雑把にはどういう傾向か」を見るための方法です。大学で社会経済や生物の動向統計などを勉強した方なら必ず習ったでしょう。天気予報でよく聞く「平年値」なども平滑化されたデータのことですね。太陽黒点の統計は月毎にまとめる習わしですが、それでも凸凹が大きい。そこで、数学的に厳密なルールに基づく平滑化計算を施します。するとグラフが滑らかになって、極小極大が見つけやすくなるのです。
右図は前出グラフを月集計に直した後、いくつかの平滑化手法で均したもの(※2014年から描いてあります)。方法についての話は避けますが、「こうやって極小を見つける」「平滑化の方法によって結果が微妙に異なる」ということを理解していただければと思います。下表で時期が異なるケースは「採用した平滑化の方法が異なる」ことと「平滑化しても極小が決めにくい時期(黒点数変化が乏しい時期)」というふたつの不運が重なった結果と思われます。またWikiの値はSILSOの観測値、NOAAの値はNOAAの観測値を元データとしているため、大元からして異なります。
これ以上の解説は小難しくなるので、別途アーカイブに収めました。ご興味ある方は参考にしてください。(※アーカイブ・太陽黒点のメニューからたどってください。)そうした上で、みなさんご自身が「どの情報ソースを信頼するか」を決めるべきだと思います。名の通った情報源だからと盲信しないようにしましょう。
あらためて右上図を見ると、もう数年で…東京オリンピック前後に極小期がやってきそうな気配。寒くなるでしょうか?それともバタフライ効果的な気象変化で、逆に暑くなるでしょうか?折に触れて気にしておきましょう。異常気象の原因が必ず地球由来とは限らないですから。
1600年初頭にガリレオ・ガリレイ、クリストフ・シャイナー、ダーヴィト・ファブリツィウスといった天文学者によって黒点が発見されて以降、日々の観測データがいくつかの天文台に蓄積されるようになります。1755年からはおよそ11年ごとに現れる極小を境界として「第1太陽周期」「第2太陽周期」…と番号が付けられました。日本で初めて黒点を観測したといわれる国友一貫斎は第8太陽周期の黒点スケッチを残していたことになります。現在私たちが見ている太陽は第24太陽周期の終盤です。左上はSILSO(Sunspot Index and Long-term Solar Observations:ベルギー王立天文台)のデータによる2015年年始から今年2018年1月末までの日々の黒点数。全体的に右下がりであることが分かるでしょうか。
ところで正確な周期を知るには「太陽活動の開始」あるいは「黒点数の極小」を統計的に決める必要がありますが、これがまた一筋縄ではいきません。図鑑や専門書、あるいは天文台のWeb解説などを調べてみてください。先日Wikipediaにどう書かれているか閲覧したら、妙な事態でした。記事末の表は日本語で書かれたWikipedia、英文のWikipedia、およびNOAAの資料による3つのソースを書き出したもの(2018年3月頭現在)。一致している年月もあれば、バラバラの年もあります。これはいったいどういうこと?「Wikiが正確だなんて保証はない」「必ず複数ソースを確認しなさいって言ったでしょ」なんていう忠告説教はどうでも良くて、なぜ異なる結果が複数存在するかという追求こそが重要です。
調べを進めると、「平滑化」という問題に突き当たりました。「平滑化」とは、左上グラフのような細かい増減のあるデータに対して「大雑把にはどういう傾向か」を見るための方法です。大学で社会経済や生物の動向統計などを勉強した方なら必ず習ったでしょう。天気予報でよく聞く「平年値」なども平滑化されたデータのことですね。太陽黒点の統計は月毎にまとめる習わしですが、それでも凸凹が大きい。そこで、数学的に厳密なルールに基づく平滑化計算を施します。するとグラフが滑らかになって、極小極大が見つけやすくなるのです。
右図は前出グラフを月集計に直した後、いくつかの平滑化手法で均したもの(※2014年から描いてあります)。方法についての話は避けますが、「こうやって極小を見つける」「平滑化の方法によって結果が微妙に異なる」ということを理解していただければと思います。下表で時期が異なるケースは「採用した平滑化の方法が異なる」ことと「平滑化しても極小が決めにくい時期(黒点数変化が乏しい時期)」というふたつの不運が重なった結果と思われます。またWikiの値はSILSOの観測値、NOAAの値はNOAAの観測値を元データとしているため、大元からして異なります。
これ以上の解説は小難しくなるので、別途アーカイブに収めました。ご興味ある方は参考にしてください。(※アーカイブ・太陽黒点のメニューからたどってください。)そうした上で、みなさんご自身が「どの情報ソースを信頼するか」を決めるべきだと思います。名の通った情報源だからと盲信しないようにしましょう。
あらためて右上図を見ると、もう数年で…東京オリンピック前後に極小期がやってきそうな気配。寒くなるでしょうか?それともバタフライ効果的な気象変化で、逆に暑くなるでしょうか?折に触れて気にしておきましょう。異常気象の原因が必ず地球由来とは限らないですから。
【太陽周期の境界(極小時期)・情報ソースによりバラバラな件】
周期 | Wikipedia (日本語) | Wikipedia (英語) | NOAA |
---|---|---|---|
第1太陽周期 | 1755年3月 | 1755年2月 | 1755年2月 |
第2太陽周期 | 1766年6月 | 1766年6月 | 1766年6月 |
第3太陽周期 | 1775年6月 | 1775年6月 | 1775年6月 |
第4太陽周期 | 1784年9月 | 1784年9月 | 1784年8月 |
第5太陽周期 | 1798年5月 | 1798年4月 | 1798年3月 |
第6太陽周期 | 1810年12月 | 1810年8月 | 1810年7月 |
第7太陽周期 | 1823年5月 | 1823年5月 | 1823年3月 |
第8太陽周期 | 1833年11月 | 1833年11月 | 1833年10月 |
第9太陽周期 | 1843年7月 | 1843年7月 | 1843年6月 |
第10太陽周期 | 1855年12月 | 1855年12月 | 1855年12月 |
第11太陽周期 | 1867年3月 | 1867年3月 | 1867年2月 |
第12太陽周期 | 1878年12月 | 1878年12月 | 1878年10月 |
第13太陽周期 | 1890年3月 | 1890年3月 | 1889年7月 |
第14太陽周期 | 1902年2月 | 1902年1月 | 1901年8月 |
第15太陽周期 | 1913年8月 | 1913年7月 | 1913年7月 |
第16太陽周期 | 1923年8月 | 1923年8月 | 1923年7月 |
第17太陽周期 | 1933年9月 | 1933年9月 | 1933年9月 |
第18太陽周期 | 1944年2月 | 1944年2月 | 1944年2月 |
第19太陽周期 | 1954年4月 | 1954年4月 | 1954年3月 |
第20太陽周期 | 1964年10月 | 1964年10月 | 1964年10月 |
第21太陽周期 | 1976年6月 | 1976年3月 | 1976年6月 |
第22太陽周期 | 1986年9月 | 1986年9月 | 1986年9月 |
第23太陽周期 | 1996年5月 | 1996年8月 | 1996年10月 |
第24太陽周期 | 2008年12月 | 2008年12月 | 2008年10月 |