雲間に見えた最接近の火星、板垣さんの超新星も観察2020/10/07

20201007火星
ついに火星が地球へ最接近しました。2018年7月31日の「大接近」以来のことです。当地・茨城は昨日午後から次第に曇り空。夜になってもなかなか晴れませんでしたが、夜半すぎにかけて雲が途切れる時間帯もあったため何とか火星を目に焼き付けることができました。

0時ちょい過ぎに撮影した左画像では、ちょうど太陽湖やマリネリス峡谷がよく見える向きでした。画像上部にはおぼろげながらオリンポス山も確認できます。小さくなった南極冠もよく見えますね。太陽湖→左目、シレーン→右目、マリネリス峡谷→眉、極冠→おちょぼ口と見立てると、「上目遣いで片目ウインクしてる顔」のように見えてしまいます。度々雲に遮られるものの、お隣さんの美しい顔立ちを間近に見て、つい照れますな…。(だが男だ!…笑)

一般に最接近は10月6日23時過ぎと広報されていますが、これは「地心計算」での時刻。地表に暮らす私達が一番近くなる測心計算では10月7日0時過ぎでした(当サイト基準の茨城県つくば市の場合)。真夜中に火星最接近ということは、大雑把に言って「地心よりも地球半径ぶん火星に近い」 ということ。だから日本での今回の接近はかなりお得感がありました。左上撮影時刻は雲行きの都合もあったけれど、もともと快晴だったとしても、ここにこだわって撮影しようと決めていました。

火星最接近時の地心赤緯
比較すると2回前の2016年5月31日の接近よりも今回のほうが遥かに近いです。2016年にはミスリードと思わんばかりの怒涛の盛り上がりがあったと記憶してますが、今回は「情熱」をほとんど感じませんでした。コロナ禍ということもありますが、天文界…特に情報を伝える側や指導者的立場の方々、関連業界側に「慣れによる飽き」や「新たな気持で取り組めない」など漫然とした倦怠感が漂ってるのかなと思ってしまいました。私の勘違いなら良いけれど、本当だとしたらとても残念です。

今後火星は少しずつ遠ざかりながら15日に衝を迎え、以降は宵側の空へと移ってゆきます。(※つまり、まだ衝前なので位相角が若干大きい→最接近時に右側が少し欠けている、ということです。)遅くまで起きてなくても見やすくなりますから、ぜひ観察を続けてください。また次回最接近は2022年12月1日。これはプラスマイナス10年間の接近の中でいちばん赤緯が高くなります(右図参照)。沖縄の那覇では南中高度が89°近く(…ほぼ天頂通過)!石垣島に至っては、なんと天頂より北側の空を通過することになります。シーイングさえ安定すれば申し分ない好条件が期待できるでしょう。

20201006_SN2020uxz in NGC514
時間は前後しますが、火星が高くなるのを待つ間に超新星をひとつ撮影しました。これは日付が10月6日になる直前に山形県の板垣公一さんがNGC514に発見したSN2020uxz。既にスペクトル分析されてIa型の超新星と確定されています。

前述したように天気が安定しませんでしたが、20時過ぎから空の半分ほど晴れてくれました。時々雲が通過したり、設置場所の関係で追尾が不安定ながらも何とか撮影。満月すぎの月明かりがあったものの、よく写ってくれました。発見光度は16.5等とのことですが、若干明るくなっているようです。火星のすぐ近くでとても見やすい位置ですから、余裕がある方はぜひ望遠鏡を向けてみてください。

参考:
アーカイブ「火星の地球接近」(ブログ内)
ようやく見つけた火星(2020/08/24)
火星の最接近まで残り三ヶ月!(2020/07/06)

雲間の火星と板垣さんの謎天体を観察2020/09/28

20200928火星
晴れなさすぎでしょう…と天に文句を言っても仕方ないのですが、昨夕も雲の多い空。でも今週は比較的晴れ間が多そうなので早めに睡眠を取りました。あらためて夜半に起きると、空の半分ほど快晴です。しめしめ、火星がよく見えると機材をセットする間にまた空一面が雲に…。

何度かの攻防の末、やっと赤い惑星を拝むことができました。ただ、あまりにもひどいシーイング。上空のカペラが瞬いています。火星もまるで水の底。何とか模様を写し取りましたが(左画像)、雲の切れ目待ちの合間に撮ったため時間がかかった上に、De-Rotationもしてませんので、地形が自転でブレてしまってます。丁寧な処理をする気にもなれないような像でした…。あと一週間あまりで地球最接近ですね。

20200928_AT2020uex in NGC772
いっぼう、火星撮影後から明け方にかけて晴れが続いたため、26日に山形県の板垣公一さんがNGC772に発見したAT2020uexという天体(?)を撮影してみました。発見時に撮影した何コマかに17.5等の天体らしき光が写っていたそうですが、超新星ではなく、一時的な増光天体または短時間だけ光ったフレア現象のようなものらしいです。

実際に撮影した画像(右)を調べましたが、該当位置(右上の拡大インサート画像中央付近)には18等前半より明るい星は見当たりません。いったい何なのでしょうね?

三重の中村さんがわし座に突発天体発見2020/09/19

20200918_TCP J19380450+1532470
三重県の中村祐二さんが、9月14日22時前にわし座を撮影した画像の一角から14.6等の突発天体を発見したそうです。

確認撮影をしたかったのですが、当地・茨城は生憎の空模様続き。ときおり雲間から惑星や1等星がぼんやり見える程度でした。昨夜も雲が多くてダメかなと思ったのですが、アルタイルが西に傾き始める時間に夏の大三角がようやく辿れるくらい雲が薄い時間帯があったので、ダメ元で撮影。トータル30分ほど雲で被った画像を得ることができました(左画像)。

画像処理を重ねてなんとか雲の斑を取り除き、ようやく突発天体を確認。赤い星ですが、大雑把に見ても14等台は無く、減光しているようでした。発見から丸4日経ってますから仕方ないですね。撮影中から再び雲が爆増し、雨が降り出してもおかしくない天気でしたから、撮れただけでもラッキーでしょうか。

群馬県の小嶋さんがさそり座に突発天体発見2020/09/11

20200910_TCP J17234205-3103072
9月8日19時過ぎ、群馬県の小嶋正さんがさそり座に突発天体を発見したとのこと。この時期さそり座は宵のうち低くなってしまうため、確認撮影するのも大変です。夕方に天候不安定なことも多く、明るいうちに望遠鏡を準備したら雷雨に見舞われてしまうためNG。さて撮影はいつになるやらと気をもんでおりました。

チャンスは意外に早く訪れます。昨夕も関東のあちこちに積乱雲があってダメそうな天気でしたが、当地では薄暮がおさまってくる頃から急速に天気が回復してきたではありませんか。間に合うかどうか微妙でしたが大慌てで機材をセット。望遠鏡を気温に慣らす暇もカメラを冷やす暇もなかったため、ノーマルカメラと簡易的な機材を組み上げ、短時間露光+多枚数撮影で何とかしのぎました(左上画像)。雲が頻繁に横切る上に、撮影開始時の高度は15°弱。近隣の住宅街に没しそうな状態でした。

発見光度が12.5等とのことですが、左上画像では真っ赤に写っており、波長のせいか暗く感じました。前夜に撮影成功した星仲間の(の)さんは11.4等(Rmag)と測定していたためもう少し明るい状態を期待しましたが…。一時的な増光なのでしょうか?それにしても天の川の微光星びっしりの中、よくもまあ目立たない星を発見できるものですね。素晴らしい!

(追記)静岡県の西村栄男さんもこの天体を独立発見していたことを後日知りましたので記しておきます。