薄曇りのなかで新星を観察2018/07/16

20180715-TCP_J18010186-2951258
昨夜から今朝にかけて、薄曇りのお天気。いて座に新星(TCP J18010186-2951258)が発見されたとの情報をいただいたので、何とか撮影すべく、ギリギリの駆け引きでした。赤緯がかなり低いのでアパートの庭からだと隣家の屋根に隠れます。何とかわずかな時間だけ見える隙間を探して撮影しました。

この新星は群馬県の小嶋正さんが13日夜に発見したもので、現在10等台で輝いています。土星よりも南側で、いて座の“ティーポット”の注ぎ口付近ですね。天の川の中なので、すっきり晴れていれば写る星の数も激増したはず。もっとも、我が家からは光害の強い方向ですが…。機会があればご覧ください。

このあと火星や彗星も…と思ったのですが、明け方に向かってどんどん雲が濃くなってしまいました。

今日の太陽と部分日食のこと2018/07/13

20180713太陽
一昨日の夜にゲリラ的な激しい雷雨がありました。その後は昼夜問わず曇り空が続き、今日に至ります。今日の昼前後は幾分が青空が増したので、薄雲越しながら太陽観察ができました。

20180713太陽リム
左は14時頃の撮影です。大気が大きく波打っており、ピントもはっきりしないままの観察でした。中央左寄りに明るい領域が見えますが、黒点は無いようです。(ここは未だに活動領域にはなっていません。)右リムのプロミネンスはすっかり見えなくなりましたが、左上と左下にそれぞれ見えていますね。

20180713部分日食図
さて、6月28日の記事で今月末近くに皆既月食がある話をしましたが、裏を返すと現在は新月や満月と地球・太陽が直線になりやすい時期と言うことです(→参考記事)。実は今日の正午頃に日食が起こりました。日本からは見えませんでしたが、オーストラリア最南部から南極近くの海上で見ることができたようです。右にNASA・Eclipseサイトから日食図を引用します。日本の気象衛星「ひまわり」の撮影範囲でしたので(→参考記事)いちおう影が見えないか探しましたが、全く分かりませんでした。最大でも三割程度しか欠けなかったので仕方ありません。

「7月13日・部分日食」→「7月28日・皆既月食」の流れは翌月まで続きます。なんと次の新月である8月11日にも部分日食が起こるんです。残念ながらこれも日本から見えませんが、可視地域は北極点を含む東カナダ・グリーンランド・北欧・シベリアの広範囲におよび、日本のすぐ近くまで迫っています。(※朝鮮半島や樺太で日没帯食となります。)日本で日食を見たいなら、ちょうど半年後の2019年1月6日、日曜日の午前中に起こる部分日食まで待ってくださいね。

天気が崩れる前に新星を観察2018/07/03

20180703-TCP J18292290-143040
昨夜から今朝も前夜と同じように晴れ、また風が残りました。風は前夜よりやや強く惑星強拡大観察向けではなかったので、少し写野を広げて別天体を撮影しました。

左画像は6月29日明け方、茨城県の桜井幸夫さんが発見した新星「TCP J18292290-143040」。たて座に現れ、10等台で観測されています。場所は土星の8°あまり北側で、画像内の一番明るい星はたて座γ星ですから探しやすいでしょう。桜井さんは一眼レフと焦点距離180mmのカメラレンズのみでこの新星を見つけています。重量のある機材に頼らなくても、小さな機材と大きな努力とで天体発見できるスタイルですね。素晴らしいです。

この他、7月1日の記事に書いた小惑星2018 MB7も写してみましたが、暗い割に移動が速いため、いまのところ検出できていません。3m/s前後の風が望遠鏡を度々揺らし、星像がかなり悪化しました。今夜からしばらくは天気が悪そうです。

1ヶ月後の皆既月食と地球影のこと2018/06/28

20050424月出半影月食
今年2018年は皆既月食が二回も起こると予報されていました(記事内の表参照)。一回目は1月31日で既に終わっていますが、二回目は7月28日(土)、つまり一ヶ月後です。(たぶん)梅雨明けしており、土曜日でもあり、またこどもたちも夏休み中と言うことで、多くのご家庭にとって観察しやすい対象でしょう。ただし注意しなくてはならないのは、「明け方に起こる」ことと、「最大皆既になる前に沈んでしまう」こと。うっかり7月28日夜だと勘違いしないようにしてくださいね。

月食進行中に月が登ることを「月出帯食」、同じく沈むことを「月没帯食」と言います。今回は月没帯食です。左画像は2005年4月24日に撮影した月出帯食(半影食)。まだ周囲が真っ暗にならない前で、月の左側がやや暗くなっています。月がオレンジ色なのは高度が低いからで、月食のせいではありません。7月28日の場合は西空での皆既月食ですから、この画像よりもずっと暗くなるでしょう。なるべく開けたところで、月を見失わないようにしてください。

西の夕焼けと東の地球影
夕方や明け方は太陽が沈む(昇る)方角と反対側に「地球影」が見えることがあります。右画像は上段が西空の夕焼け、下段が東空の地球影をペアで撮影したもの。東の景色のすぐ上が暗青色になっていますね。これが地球影。地球影のすぐ上のほんのり赤紫に染まる部分は「ビーナスベルト」と呼ばれます。月食はこの影がずっと遠くの月まで届いて起きる現象。月出帯食や月没帯食では月食を起こす原因(地球影)と起こされた対象(月)が同時に見える貴重なチャンスなのです。

ところで、本ブログで時々取り上げてきたのが「満月のとき地球影はどこにいるのか」ということ(→参考記事1参考記事2など)。月食の有無にかかわらず、満月のすぐ近くに地球影(本影や半影)が潜んでいるはず。下図はステラナビゲーターを使って、今月の満月(本日6月28日13:53)と来月の満月(7月28日5:20)のふたつのタイミングで、地球影と月の位置関係を3時間ごとに描いたもの。見比べると、今月は影にかすりもしないけれど、来月はちょうど影の中を通ることが分かります。(※大きい円は半影境界、小さい円は本影境界です。)

  • 20180628満月と地球影

    A.2018年6月28日の満月と地球影
  • 20180728満月と地球影

    B.2018年7月28日の満月と地球影


上図を見て「あれっ?」と感じませんでしたか?月や地球影の移動が直線的あるいは等間隔的ではなく、かなり不規則で思いもしない動きになっていますね。雑誌やサイト等に載っている月食解説図を見ても、直線的な動きの図しか載っていません。例えば今年1月の皆既月食では左下図のようなものでした。上図のようなものは専門家以外の方にとって珍しいと思われます。

20180131皆既月食図
上のA・B図にいったいどんなカラクリがあるのでしょうか?実はA・B図とも実際の見え方をストレートに描いたもので、何ひとつカラクリはありません。カラクリがあるとすれば左図のほうでしょう。特に断りがない限り、月食図は「地球中心(地心)から見た地球影中心方向の様子」を描いているのです。地球の大きさまで考慮するととても分かり難い図になってしまうからです。でも観察者が地球中心で観察することはあり得ません。「じゃあ、地表の観察者が見た実際の位置関係はどうなってるの?」ということを示すべく、上のA・B図を掲載しました。測心という言葉は「地表の観察者視点」という意味です。

少し期間を広げてみましょう。下のC図は6月27日正午から7月4日正午まで一週間、同様に月と地球影の位置関係を1時間おきに広視野で描いたもの。月は緩やかにうねりながら速くなったり遅くなったりしています。また地球影は何が何だか分からないほどグルグルになっていますね。シンプルに理解しやすいよう、地球影の中心位置のみを自作プログラムで計算して、同期間の動きをD図に示しました。地球中心から見た場合と、地表で見た場合とを比較できるよう色分けしています。所々の丸い印は12時間ごとの位置。星空の中を月や地球影がこんな複雑に移動してるって、ご存じでしたか?

私たちを乗せた地球は1日1回日周しますから、1日周期の視線の変化を発生させます。地球のそばにある月や地球影はこの変化に伴って戻ったり進んだりするのです。周期は全く違いますが「惑星の順行と逆行」に似た、見かけ上の動きですね。これをよく理解しないと、地球中心で予測計算された現象が自分の観察場所で見えるか見えないかという判断ができません。逆に「天文現象が見えた」ことは、このような複雑な要素が絡み合った中から、たまたま私たちの目に飛び込んできた光、と言うことになります。本当に奇跡に近いことなのです。

  • 測心計算による満月と地球影の動き

    C.月と地球影の位置関係(広視野)
  • 地球影中心の動き比較

    D.地球影中心の動き(地心計算と測心計算の比較)