雨上がりに突発天体を観察2018/12/14

20181214_AT2018jsc
昨夜から今朝にかけて、ふたご座流星群がピークを迎えつつある好期でした。ところが当地・茨城県は晴れ予報にもかかわらず夕方から雨になり、結構続いてしまいました。いろいろ見たい天体があるときに限って晴れてくれないのが最近のパターン…

仮眠しつつ待つことに。夜中になって静かになったなぁと1時頃外を見ると、なんと快星になっているではありませんか。しまった、もうふたご座は天頂に差し掛かり、ウィルタネン彗星(46P)も西に低くなっています。ここは頭を切り換え、星仲間の(の)さんから昨日教えていただいた突発天体AT2018jsc(TCP J03005508+1802290)を撮影することにしました。この天体は13日7時JST頃に発見報告があったばかりで詳細はまだ分かりませんが、元々15等の星があったところに12等の星が現れた(急増光したのか、別の要因なのか現時点で不明)とのこと。撮影してみると確かに青っぽい星があります。30分ほど撮影を試みましたが、半分は屋根に隠れてしまいました。もう1時間早く起きていたら…と後悔です。

20181214ステファン・オテルマ彗星(38P)
ウィルタネン彗星も建物で見えなくなったので、気を取り直して上空のステファン・オテルマ彗星(38P)に望遠鏡を向けました。ウィルタネン彗星やマックホルツ・藤川・岩本彗星(C/2018 V1)に話題を奪われていますが、現在日本から見える彗星では2、3番目の明るさを維持しています。まだ緑色のコマが良く見え、V字に広がった尾もしっかりしていますね。

気温は0度近くまで下がり、すでに雨が凍ったところもありました。寒いながらも湿った土の匂いに郷愁を憶えます。屋外にいた時間は短いですが、ふたご座流星群の群流星を3つ数えることができました。夜明けの金星が不気味なほどギラギラしていたのが印象的です。

一ヶ月後に部分日食があります2018/12/06

20190106部分日食
天気が不安定なまま12月が1週間ほど過ぎようとしています。気がつけば明日は新月。晴れれば星空観察の絶好期なのですが、今日も雨…。気を取り直して、ちょうど1ヶ月後の新月にあたる2019年1月6日に見ることができる部分日食を予習しておきましょう。

2019年に世界中のどこかで見ることができる日食は3回あり、そのうち2回は日本で観察可能です。ひとつは年末近くの12月26日に起こる金環日食で、昨年の記事に取り上げましたのでご覧ください。そしてもうひとつが年始に起こる1月6日の部分日食です。当地・茨城県南部では43%ほど太陽が欠け、一番欠けたときは左図のような感じになります(上方向が天頂)。全国的な時間帯や食分(欠ける割合)は記事下の表にまとめましたが、北ほど深く欠けます。鹿児島以南や沖縄付近まで行くと2割以下になるので、「物足りない!」と思う方は年始に北海道旅行を計画してくださいね。日曜午前中なので好都合ですよ。寒いですけど…。

20190106部分日食マップ
もっと範囲を広げると右のような日食図になります。バイカル湖あたりでは欠けたまま日の出となる「日出帯食」、アラスカ南西部あたりでは欠けたまま太陽が沈む「日没帯食」です。正月旅行でハワイまで行ってしまうと見ることはできません。北半球は冬で太陽が低いですから、全過程を見たい方は開始時の太陽高度に注意しましょう。日本からはだいたい高度15°以下で開始するところが多いので、ちょっとした山や樹木、建物などが南東側にあると邪魔になってしまうかも知れません。逆手にとって、それらを一緒にして写真に撮るということもできるでしょう。「スカイツリーと日食」といった構図はアリですよね。

実際の観察は太陽光を直接見ない工夫をしてください。欠けると言っても太陽光は弱くなりません。(完全に皆既日食にならない限り無理です。)欠けてない、普段の太陽を観察するつもりで臨んでください。安全に観察/撮影する方法は信頼できるサイトに出ていますから、前もって十分な対策をしておきましょう。太陽観察専用グラスを使用したり、木もれ日の欠け具合を見るのも良い方法です。小さな手鏡で遠くの白壁に太陽像を写してみるのも面白いでしょう。当サイトでは「ピンホール式太陽投影機」(→こちらの記事内に製作方法掲載)も併せてお勧めしておきます。偶然にも、同じ日に金星が「西方最大離角」を迎えます。せっかくなので、昼間の金星探しにもトライしてくださいね。


【2019年1月6日の部分日食時刻表】
場所開始時刻最大時刻終了時刻食分
北海道(稚内市)8:48:1010:15:3211:49:1757.0%
北海道(根室市)8:51:5010:21:5511:57:1455.7%
北海道(札幌市)8:46:3110:13:2811:47:2153.9%
北海道(函館市)8:45:1910:11:2911:45:0251.9%
青森県(青森市)8:45:0110:10:5711:44:2350.6%
秋田県(秋田市)8:44:0610:09:0211:41:5048.7%
岩手県(盛岡市)8:45:1310:11:0711:44:3349.2%
宮城県(仙台市)8:44:4510:09:4511:42:3346.9%
山形県(山形市)8:44:1210:08:4211:41:1046.6%
新潟県(新潟市)8:42:5110:05:5111:37:1045.4%
福島県(福島市)8:44:1910:08:3911:40:5745.9%
富山県(富山市)8:41:1910:01:3611:30:3742.3%
長野県(長野市)8:42:1010:03:2811:33:2042.9%
石川県(金沢市)8:40:5210:00:2511:28:4841.8%
栃木県(宇都宮市)8:43:4810:06:5011:38:0343.7%
群馬県(前橋市)8:43:0110:05:0411:35:3143.0%
茨城県(水戸市)8:44:2510:07:5211:39:2343.6%
茨城県(つくば市)8:44:0510:06:5811:38:0243.0%
福井県(福井市)8:40:409:59:2011:26:5340.7%
埼玉県(さいたま市)8:43:4210:05:5911:36:3242.4%
東京都(新宿区)8:43:4710:05:5911:36:2742.2%
山梨県(甲府市)8:42:4310:03:4111:33:1041.5%
東京都(日本経緯度原点)8:43:5110:06:0411:36:3342.1%
千葉県(千葉市)8:44:1510:06:4911:37:3542.3%
鳥取県(鳥取市)8:39:279:55:1911:20:0838.3%
島根県(松江市)8:38:459:53:1011:16:3237.4%
神奈川県(横浜市)8:43:4810:05:4511:36:0041.7%
岐阜県(岐阜市)8:41:159:59:5411:27:2139.8%
富士山山頂8:42:5110:03:4811:33:1641.1%
愛知県(名古屋市)8:41:2810:00:0811:27:3539.6%
京都府(京都市)8:40:399:57:5011:23:5438.5%
滋賀県(大津市)8:40:449:58:0211:24:1338.6%
静岡県(静岡市)8:42:4610:02:5711:31:4040.2%
三重県(津市)8:41:199:59:0711:25:4238.5%
兵庫県(神戸市)8:40:249:56:3411:21:3737.6%
大阪府(大阪市)8:40:379:57:1211:22:3837.8%
奈良県(奈良市)8:40:519:57:4711:23:3538.0%
岡山県(岡山市)8:39:379:54:1511:17:4736.6%
広島県(広島市)8:38:579:51:2811:12:4635.0%
香川県(高松市)8:39:519:54:1511:17:3236.1%
和歌山県(和歌山市)8:40:369:56:1611:20:4736.7%
山口県(山口市)8:38:389:49:3711:09:1933.8%
徳島県(徳島市)8:40:189:55:0311:18:3736.0%
愛媛県(松山市)8:39:269:51:4011:12:3834.2%
福岡県(福岡市)8:38:379:47:2911:04:4931.9%
高知県(高知市)8:40:019:52:5211:14:2834.3%
佐賀県(佐賀市)8:38:529:47:0411:03:3931.1%
大分県(大分市)8:39:209:49:1711:07:4632.2%
東京都(八丈町)8:44:5710:04:5611:33:0937.8%
熊本県(熊本市)8:39:239:47:3211:04:0130.6%
長崎県(長崎市)8:39:109:46:0411:01:0829.8%
宮崎県(宮崎市)8:40:269:48:1211:04:1129.5%
鹿児島県(鹿児島市)8:40:329:46:3211:00:2928.1%
鹿児島県(奄美市)8:45:009:43:0910:47:4720.7%
東京都(小笠原村)8:53:3610:08:1111:29:2828.0%
沖縄県(那覇市)8:50:179:39:1810:33:0214.3%
沖縄県(石垣市)9:00:019:33:1810:08:376.5%
場所開始時刻最大時刻終了時刻食分

  • 各観察地(県庁所在地または代表地点)ごとにOccult.v4.5で計算した値です。北から南へ向かって緯度ソートしてあります。


今年二度目の極大を迎えるミラ2018/11/29

20181127ミラ(οCet)
くじら座にある不思議な星「ミラ」が、今年2回目の光度極大期を迎えています。一年で二度おいしい!

今年始め、1月17日の記事でοCet(くじら座オミクロン星=ミラ)をご紹介しました。長い周期で明るさが変わることで有名な星ですが、その周期がだいたい330日ということですから、年始めに極大がある年なら年末にもう一度極大がやって来るというわけです。単純計算だと9年で10周期ですから、ミラが1年に2度明るくなるのは9年ぶりとも言えますね。(実際は微妙にズレていきますが…)

左上画像は一昨日27日夜に撮影したミラ。明るいですねぇ。左上に向かってかなり暗い星(14等)とやや暗い星(9.4等)が並んでいますが、暗い時期のミラはこのふたつの中間くらいの光度になってしまうからビックリ。また、特別に彩度を上げたわけでもないのに真っ赤に写ります。ミラは脈動変光星であると同時に、「赤色巨星」の代表格でもあるのです。「星が赤いこと」と「変光すること」は別のことですが、赤く膨れあがった星の表面は不安定になるため、膨張や収縮に転じやすくなる(=明るさが変わりやすくなる)という間接的な要因があるようです。もちろん「変光する星はみな赤い」と言う訳ではありません。

2018年ミラ(οCet)光度変化
左上画像では同じ写野に光度比較できる星がないため見積もれませんが、星仲間のかすてんさんによれば最近は4等台前半とのこと。右図はアメリカ変光星観測者協会(AAVSO)による観測データを元にミラの光度変化を描いたグラフ。横軸は日付、縦軸は光度で、2017年10月1日から2018年11月今日現在までの14ヶ月間に観測されたものです(Visual Magnitudeのみ)。途中開いている期間はミラが太陽方向に重なっていた欠測期。

全体を見ればほぼ極大光度に達していると言えましょうか。2ヶ月程度でよくここまで変化しますね。明るくなっているミラをぜひ今年中に眺めてみてください。

20181127クリムゾン・スター(R Lep)
27日の観察では日付が変わる頃にうさぎ座R星「クリムゾン・スター」も南中していたので、撮影しておきました(左画像)。この星もミラ型変光星で、「炭素星」に分類される深紅の星です。炭素を多く含んだ星は温度が低くて赤く見える星よりずっと深みのある赤に見えます。科学的な表現でうまく言い表せませんが、この異質な赤さを見るたびに虜になってしまいます。

2018年クリムゾン・スター(R Lep)光度変化
クリムゾン・スターも長周期で変光しますが、なんと本家のミラよりも長く420日以上かかります。右図は前出と同じAAVSOのデータによるもので、期間も同じ14ヶ月間。ミラのように平均値にあまり乱れがないデータと違って、だいぶ散漫になっていますね。クリムゾン・スターの光度変化は単純では無さそうです。

暗くなりつつあるクリムゾン・スターですが、6cmから10cm程度の小型望遠鏡でも十分見つけられます。うさぎ座はこれから見やすい時期を迎えますのでぜひご覧になってください。

貴重な晴れ間に彗星と超新星を観察2018/11/28

20181127ウィルタネン周期彗星(46P)
昨日午後から今朝にかけて、久しぶりに良い天気となりました。またすぐ崩れてしまう予報ですから貴重な晴れ間。駆け足気味にいくつかの天体を観察しました。

まずは動向の気になるウィルタネン周期彗星(46P)。10月18日の記事の通り、計算上はそろそろ肉眼光度に達しています。ずっと南に低かった位置もずいぶん北上して、10月頭の位置より高くなりました。

昨夜は昼間に暖められた水蒸気が気温の低下で一気に結露し、そこへ下弦前の月明かりが降りそそいでいたため条件は良くありません。でも撮影してビックリ。左画像の通り大きく広がった緑色のコマが画像縦の半分以上を占めているではありませんか。これは12月の肉眼光度に期待できそうですね。わずかながらダストの尾も11時方向(北北東)に伸びているのが分かります。

20181127スイフト・ゲーレルス彗星(64P)
西空高くスイフト・ゲーレルス周期彗星(64P)も見えていたので撮影しました。11月頭頃はM31アンドロメダ銀河と並んで撮影できましたが、ここ数日はさんかく座にある大きな銀河M33と一緒に撮影できるでしょう。(機材交換が面倒なので昨夜は諦めましたが…。)

この彗星はまだまだ明るさを保っており、コマもはっきり分かります。夕方暗くなったらすぐ探せるので、夜更かししなくても楽しめる天体のひとつですね。

20181127_SN2018ivc in M77
最後はくじら座にある銀河M77(NGC1068またはくじら座A)に今月24日発見されたばかりの超新星2018ivc。14等台の明るい光度を保っています。もっと早く撮影したかったけれどずっと天気が悪かったのでした…。

この銀河は中央の渦自体が明るく、低倍率の望遠鏡で見るとぼやけた恒星のような印象を受けます。左画像は渦を巻いていると分かりますが、実は更にその外側に巨大な円盤状の渦巻き(ハロ構造と呼ばれます)があって、これを写し取るのは至難の業。光害地では左画像が精一杯です。画質は悪いですが、10月10日の記事に同じM77がありますから見比べてみてください。(画像の向きが90°違うのでご注意。)

この後機材を片付けていると、周囲がみるみる霧に覆われ、3時以降は100m先も見えないほどの濃霧になりました。それまでに何とか撮影を終えていたのでギリギリセーフ。

参考:
ウィルタネン周期彗星(46P)に関係する記事(ブログ内)