旧正月と立春 ― 2025/01/29
本日は新月日。瞬時は21:35:58なので夜になってからですね。今年の新月と太陽との位置関係は左図のとおり。5・6月は北側に離れ、11・12月は南側に離れ、太陽至近を通るのは3月と9月です。ご覧の通り日本で日食が見えるタイミングではありませんが、3月はヨーロッパやロシア北西部、アフリカ北西部、グリーンランドなどで部分日食(サロス149)、9月はニュージーランドや南極の一部で部分日食(サロス154)になります。
さて、新暦でも旧暦でも今年最初の新月なので、本日は旧暦の正月(旧正月)と言うことになります。まもなく立春を迎えますが、立春と旧暦元日とのタイミングが近いことから様々な呼び名や考え方が生まれ、親しまれてきたようです。
以前に朔旦冬至というのを紹介しました。月始まりを示す新月日(朔)と、古くに年始まりとされた冬至が同一日(または非常に近い日)になることを表し、概ね19年周期で訪れます。似たように、年初めの朔(旧暦元日)と立春が同じタイミングになることは「朔旦立春」と言われ、おめでたい日として扱われました。現代の暦ルールに従って計算すると、立春は狭い日時に比較的規則正しく集約され、2000年代なら2月3日または4日です(下A図/赤丸は朔旦立春)。いっぽう旧暦元日は規則はあるものの、かなり広範囲に分布することが分かります(下B図)。このため、朔旦立春の出現は間隔が大きく不規則になりがちで、単純に○○年周期とは言えません。しかも不思議なことに2000年代は2038年の一回のみ。何だか不安になっちゃいますね…。
朔旦立春にならない年は、立春前に旧正月が来るか、立春後に旧正月を迎えるかに分かれます。前者は「新年立春」、後者は「年内立春」と呼ばれます。また年によっては旧暦年初と年末の二回立春になったり、年初・年末とも立春が来ないことがあります。二回立春がある年は「双春年」、全く無い年は「無春年」と呼ばれ、結婚を控えたりする風習もあったとのこと。
今回は旧暦と立春の関係・分類を1600年から2400年まで計算して調べました。結果の一部を記事下表に掲載しておきます。よくよく見ると、日付や新年立春の出現などに19年のパターン(メトン周期)が現れていて面白い。このことが分かり易いよう表内に「周期性」欄にインデックスを振っておきました。(※この番号自体に意味はありません。)たとえば3のインデックス行は毎回旧暦1月9・10日ごろで、新年立春・双春年である、と言った具合。とは言え、日付まで完全に一致するわけではなく、朔旦冬至と同様に“近い日”になるだけです。(日付が完全一致するなら朔旦立春の周期も19年になるはず。)
今年は今日の正月の後に立春が来ますから「新年立春」、そして2026年は年内立春なので旧暦2025年末にもう一回立春を迎えることになり、「双春年」でもあります。月の満ち欠けで一年の暦をまとめる旧暦と太陽・地球間の運動に基づく近代の暦との間には、まだまだ奥深い文化があるようです。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
さて、新暦でも旧暦でも今年最初の新月なので、本日は旧暦の正月(旧正月)と言うことになります。まもなく立春を迎えますが、立春と旧暦元日とのタイミングが近いことから様々な呼び名や考え方が生まれ、親しまれてきたようです。
以前に朔旦冬至というのを紹介しました。月始まりを示す新月日(朔)と、古くに年始まりとされた冬至が同一日(または非常に近い日)になることを表し、概ね19年周期で訪れます。似たように、年初めの朔(旧暦元日)と立春が同じタイミングになることは「朔旦立春」と言われ、おめでたい日として扱われました。現代の暦ルールに従って計算すると、立春は狭い日時に比較的規則正しく集約され、2000年代なら2月3日または4日です(下A図/赤丸は朔旦立春)。いっぽう旧暦元日は規則はあるものの、かなり広範囲に分布することが分かります(下B図)。このため、朔旦立春の出現は間隔が大きく不規則になりがちで、単純に○○年周期とは言えません。しかも不思議なことに2000年代は2038年の一回のみ。何だか不安になっちゃいますね…。
朔旦立春にならない年は、立春前に旧正月が来るか、立春後に旧正月を迎えるかに分かれます。前者は「新年立春」、後者は「年内立春」と呼ばれます。また年によっては旧暦年初と年末の二回立春になったり、年初・年末とも立春が来ないことがあります。二回立春がある年は「双春年」、全く無い年は「無春年」と呼ばれ、結婚を控えたりする風習もあったとのこと。
今回は旧暦と立春の関係・分類を1600年から2400年まで計算して調べました。結果の一部を記事下表に掲載しておきます。よくよく見ると、日付や新年立春の出現などに19年のパターン(メトン周期)が現れていて面白い。このことが分かり易いよう表内に「周期性」欄にインデックスを振っておきました。(※この番号自体に意味はありません。)たとえば3のインデックス行は毎回旧暦1月9・10日ごろで、新年立春・双春年である、と言った具合。とは言え、日付まで完全に一致するわけではなく、朔旦冬至と同様に“近い日”になるだけです。(日付が完全一致するなら朔旦立春の周期も19年になるはず。)
今年は今日の正月の後に立春が来ますから「新年立春」、そして2026年は年内立春なので旧暦2025年末にもう一回立春を迎えることになり、「双春年」でもあります。月の満ち欠けで一年の暦をまとめる旧暦と太陽・地球間の運動に基づく近代の暦との間には、まだまだ奥深い文化があるようです。
【立春の種類】
年 | 立春瞬時(JST) | 旧暦 | 朔旦判定 | 単双判定 | 周期性 |
---|---|---|---|---|---|
1950年 | 2月4日 18:20:32 | 1949年12月18日 | 年内立春 | 単春年 | 1 |
1951年 | 2月5日 00:13:13 | 1950年12月29日 | 年内立春 | 無春年 | 2 |
1952年 | 2月5日 05:52:40 | 1952年1月10日 | 新年立春 | 双春年 | 3 |
1953年 | 2月4日 11:45:40 | 1952年12月21日 | 年内立春 | 無春年 | 4 |
1954年 | 2月4日 17:30:29 | 1954年1月1日 | 朔旦立春 | 単春年 | 5 |
1955年 | 2月4日 23:17:24 | 1955年1月12日 | 新年立春 | 双春年 | 6 |
1956年 | 2月5日 05:11:43 | 1955年12月24日 | 年内立春 | 無春年 | 7 |
1957年 | 2月4日 10:54:26 | 1957年1月5日 | 新年立春 | 双春年 | 8 |
1958年 | 2月4日 16:49:00 | 1957年12月16日 | 年内立春 | 単春年 | 9 |
1959年 | 2月4日 22:42:00 | 1958年12月27日 | 年内立春 | 無春年 | 10 |
1960年 | 2月5日 04:22:58 | 1960年1月9日 | 新年立春 | 双春年 | 11 |
1961年 | 2月4日 10:22:15 | 1960年12月19日 | 年内立春 | 単春年 | 12 |
1962年 | 2月4日 16:17:12 | 1961年12月30日 | 年内立春 | 無春年 | 13 |
1963年 | 2月4日 22:07:36 | 1963年1月11日 | 新年立春 | 双春年 | 14 |
1964年 | 2月5日 04:04:47 | 1963年12月22日 | 年内立春 | 無春年 | 15 |
1965年 | 2月4日 09:45:59 | 1965年1月3日 | 新年立春 | 単春年 | 16 |
1966年 | 2月4日 15:37:43 | 1966年1月14日 | 新年立春 | 双春年 | 17 |
1967年 | 2月4日 21:30:44 | 1966年12月25日 | 年内立春 | 無春年 | 18 |
1968年 | 2月5日 03:07:19 | 1968年1月7日 | 新年立春 | 双春年 | 19 |
年 | 立春瞬時(JST) | 旧暦 | 朔旦判定 | 単双判定 | 周期性 |
1969年 | 2月4日 08:58:49 | 1968年12月18日 | 年内立春 | 単春年 | 1 |
1970年 | 2月4日 14:45:42 | 1969年12月28日 | 年内立春 | 無春年 | 2 |
1971年 | 2月4日 20:25:22 | 1971年1月9日 | 新年立春 | 双春年 | 3 |
1972年 | 2月5日 02:20:11 | 1971年12月21日 | 年内立春 | 無春年 | 4 |
1973年 | 2月4日 08:04:10 | 1973年1月2日 | 新年立春 | 単春年 | 5 |
1974年 | 2月4日 14:00:04 | 1974年1月13日 | 新年立春 | 双春年 | 6 |
1975年 | 2月4日 19:59:10 | 1974年12月24日 | 年内立春 | 無春年 | 7 |
1976年 | 2月5日 01:39:27 | 1976年1月6日 | 新年立春 | 双春年 | 8 |
1977年 | 2月4日 07:33:23 | 1976年12月17日 | 年内立春 | 単春年 | 9 |
1978年 | 2月4日 13:26:57 | 1977年12月27日 | 年内立春 | 無春年 | 10 |
1979年 | 2月4日 19:12:17 | 1979年1月8日 | 新年立春 | 双春年 | 11 |
1980年 | 2月5日 01:09:27 | 1979年12月19日 | 年内立春 | 単春年 | 12 |
1981年 | 2月4日 06:55:23 | 1980年12月30日 | 年内立春 | 無春年 | 13 |
1982年 | 2月4日 12:45:28 | 1982年1月11日 | 新年立春 | 双春年 | 14 |
1983年 | 2月4日 18:39:41 | 1982年12月22日 | 年内立春 | 無春年 | 15 |
1984年 | 2月5日 00:18:44 | 1984年1月4日 | 新年立春 | 双春年 | 16 |
1985年 | 2月4日 06:11:47 | 1984年12月15日 | 年内立春 | 単春年 | 17 |
1986年 | 2月4日 12:07:41 | 1985年12月26日 | 年内立春 | 無春年 | 18 |
1987年 | 2月4日 17:51:39 | 1987年1月7日 | 新年立春 | 双春年 | 19 |
年 | 立春瞬時(JST) | 旧暦 | 朔旦判定 | 単双判定 | 周期性 |
1988年 | 2月4日 23:42:48 | 1987年12月17日 | 年内立春 | 単春年 | 1 |
1989年 | 2月4日 05:27:09 | 1988年12月28日 | 年内立春 | 無春年 | 2 |
1990年 | 2月4日 11:13:59 | 1990年1月9日 | 新年立春 | 双春年 | 3 |
1991年 | 2月4日 17:08:23 | 1990年12月20日 | 年内立春 | 無春年 | 4 |
1992年 | 2月4日 22:48:16 | 1992年1月1日 | 朔旦立春 | 単春年 | 5 |
1993年 | 2月4日 04:37:08 | 1993年1月13日 | 新年立春 | 双春年 | 6 |
1994年 | 2月4日 10:30:55 | 1993年12月24日 | 年内立春 | 無春年 | 7 |
1995年 | 2月4日 16:12:50 | 1995年1月5日 | 新年立春 | 双春年 | 8 |
1996年 | 2月4日 22:07:51 | 1995年12月16日 | 年内立春 | 単春年 | 9 |
1997年 | 2月4日 04:01:57 | 1996年12月27日 | 年内立春 | 無春年 | 10 |
1998年 | 2月4日 09:56:50 | 1998年1月8日 | 新年立春 | 双春年 | 11 |
1999年 | 2月4日 15:57:02 | 1998年12月18日 | 年内立春 | 単春年 | 12 |
2000年 | 2月4日 21:40:22 | 1999年12月29日 | 年内立春 | 無春年 | 13 |
2001年 | 2月4日 03:28:49 | 2001年1月12日 | 新年立春 | 双春年 | 14 |
2002年 | 2月4日 09:24:05 | 2001年12月23日 | 年内立春 | 無春年 | 15 |
2003年 | 2月4日 15:05:19 | 2003年1月4日 | 新年立春 | 単春年 | 16 |
2004年 | 2月4日 20:56:12 | 2004年1月14日 | 新年立春 | 双春年 | 17 |
2005年 | 2月4日 02:43:02 | 2004年12月26日 | 年内立春 | 無春年 | 18 |
2006年 | 2月4日 08:27:16 | 2006年1月7日 | 新年立春 | 双春年 | 19 |
年 | 立春瞬時(JST) | 旧暦 | 朔旦判定 | 単双判定 | 周期性 |
2007年 | 2月4日 14:18:12 | 2006年12月17日 | 年内立春 | 単春年 | 1 |
2008年 | 2月4日 20:00:24 | 2007年12月28日 | 年内立春 | 無春年 | 2 |
2009年 | 2月4日 01:49:47 | 2009年1月10日 | 新年立春 | 双春年 | 3 |
2010年 | 2月4日 07:47:50 | 2009年12月21日 | 年内立春 | 無春年 | 4 |
2011年 | 2月4日 13:32:56 | 2011年1月2日 | 新年立春 | 単春年 | 5 |
2012年 | 2月4日 19:22:23 | 2012年1月13日 | 新年立春 | 双春年 | 6 |
2013年 | 2月4日 01:13:25 | 2012年12月24日 | 年内立春 | 無春年 | 7 |
2014年 | 2月4日 07:03:16 | 2014年1月5日 | 新年立春 | 双春年 | 8 |
2015年 | 2月4日 12:58:28 | 2014年12月16日 | 年内立春 | 単春年 | 9 |
2016年 | 2月4日 18:46:02 | 2015年12月26日 | 年内立春 | 無春年 | 10 |
2017年 | 2月4日 00:34:03 | 2017年1月8日 | 新年立春 | 双春年 | 11 |
2018年 | 2月4日 06:28:29 | 2017年12月19日 | 年内立春 | 単春年 | 12 |
2019年 | 2月4日 12:14:19 | 2018年12月30日 | 年内立春 | 無春年 | 13 |
2020年 | 2月4日 18:03:19 | 2020年1月11日 | 新年立春 | 双春年 | 14 |
2021年 | 2月3日 23:58:47 | 2020年12月22日 | 年内立春 | 無春年 | 15 |
2022年 | 2月4日 05:50:47 | 2022年1月4日 | 新年立春 | 単春年 | 16 |
2023年 | 2月4日 11:42:33 | 2023年1月14日 | 新年立春 | 双春年 | 17 |
2024年 | 2月4日 17:27:07 | 2023年12月25日 | 年内立春 | 無春年 | 18 |
2025年 | 2月3日 23:10:28 | 2025年1月6日 | 新年立春 | 双春年 | 19 |
年 | 立春瞬時(JST) | 旧暦 | 朔旦判定 | 単双判定 | 周期性 |
2026年 | 2月4日 05:02:07 | 2025年12月17日 | 年内立春 | 単春年 | 1 |
2027年 | 2月4日 10:46:18 | 2026年12月28日 | 年内立春 | 無春年 | 2 |
2028年 | 2月4日 16:31:14 | 2028年1月9日 | 新年立春 | 双春年 | 3 |
2029年 | 2月3日 22:20:46 | 2028年12月20日 | 年内立春 | 無春年 | 4 |
2030年 | 2月4日 04:08:28 | 2030年1月2日 | 新年立春 | 単春年 | 5 |
2031年 | 2月4日 09:58:18 | 2031年1月13日 | 新年立春 | 双春年 | 6 |
2032年 | 2月4日 15:48:57 | 2031年12月23日 | 年内立春 | 無春年 | 7 |
2033年 | 2月3日 21:41:35 | 2033年1月4日 | 新年立春 | 双春年 | 8 |
2034年 | 2月4日 03:41:10 | 2033年12月16日 | 年内立春 | 単春年 | 9 |
2035年 | 2月4日 09:31:34 | 2034年12月26日 | 年内立春 | 無春年 | 10 |
2036年 | 2月4日 15:19:56 | 2036年1月8日 | 新年立春 | 双春年 | 11 |
2037年 | 2月3日 21:11:38 | 2036年12月19日 | 年内立春 | 無春年 | 12 |
2038年 | 2月4日 03:03:49 | 2038年1月1日 | 朔旦立春 | 単春年 | 13 |
2039年 | 2月4日 08:52:56 | 2039年1月12日 | 新年立春 | 双春年 | 14 |
2040年 | 2月4日 14:39:55 | 2039年12月22日 | 年内立春 | 無春年 | 15 |
2041年 | 2月3日 20:25:11 | 2041年1月3日 | 新年立春 | 単春年 | 16 |
2042年 | 2月4日 02:12:54 | 2042年1月14日 | 新年立春 | 双春年 | 17 |
2043年 | 2月4日 07:58:49 | 2042年12月25日 | 年内立春 | 無春年 | 18 |
2044年 | 2月4日 13:44:21 | 2044年1月6日 | 新年立春 | 双春年 | 19 |
年 | 立春瞬時(JST) | 旧暦 | 朔旦判定 | 単双判定 | 周期性 |
2045年 | 2月3日 19:36:22 | 2044年12月17日 | 年内立春 | 単春年 | 1 |
2046年 | 2月4日 01:31:10 | 2045年12月29日 | 年内立春 | 無春年 | 2 |
2047年 | 2月4日 07:18:08 | 2047年1月10日 | 新年立春 | 双春年 | 3 |
2048年 | 2月4日 13:04:44 | 2047年12月21日 | 年内立春 | 無春年 | 4 |
2049年 | 2月3日 18:53:31 | 2049年1月2日 | 新年立春 | 単春年 | 5 |
2050年 | 2月4日 00:43:55 | 2050年1月13日 | 新年立春 | 双春年 | 6 |
2051年 | 2月4日 06:36:18 | 2050年12月23日 | 年内立春 | 無春年 | 7 |
2052年 | 2月4日 12:23:10 | 2052年1月4日 | 新年立春 | 双春年 | 8 |
2053年 | 2月3日 18:13:17 | 2052年12月15日 | 年内立春 | 単春年 | 9 |
2054年 | 2月4日 00:08:12 | 2053年12月27日 | 年内立春 | 無春年 | 10 |
2055年 | 2月4日 05:56:07 | 2055年1月8日 | 新年立春 | 双春年 | 11 |
2056年 | 2月4日 11:47:29 | 2055年12月19日 | 年内立春 | 単春年 | 12 |
2057年 | 2月3日 17:42:53 | 2056年12月30日 | 年内立春 | 無春年 | 13 |
2058年 | 2月3日 23:34:53 | 2058年1月11日 | 新年立春 | 双春年 | 14 |
2059年 | 2月4日 05:24:23 | 2058年12月22日 | 年内立春 | 無春年 | 15 |
2060年 | 2月4日 11:08:38 | 2060年1月3日 | 新年立春 | 単春年 | 16 |
2061年 | 2月3日 16:54:12 | 2061年1月13日 | 新年立春 | 双春年 | 17 |
2062年 | 2月3日 22:47:33 | 2061年12月24日 | 年内立春 | 無春年 | 18 |
2063年 | 2月4日 04:31:43 | 2063年1月7日 | 新年立春 | 双春年 | 19 |
年 | 立春瞬時(JST) | 旧暦 | 朔旦判定 | 単双判定 | 周期性 |
2064年 | 2月4日 10:15:24 | 2063年12月18日 | 年内立春 | 単春年 | 1 |
2065年 | 2月3日 16:04:16 | 2064年12月28日 | 年内立春 | 無春年 | 2 |
2066年 | 2月3日 21:49:59 | 2066年1月9日 | 新年立春 | 双春年 | 3 |
2067年 | 2月4日 03:37:59 | 2066年12月21日 | 年内立春 | 無春年 | 4 |
2068年 | 2月4日 09:29:43 | 2068年1月2日 | 新年立春 | 単春年 | 5 |
2069年 | 2月3日 15:21:33 | 2069年1月12日 | 新年立春 | 双春年 | 6 |
2070年 | 2月3日 21:22:35 | 2069年12月23日 | 年内立春 | 無春年 | 7 |
2071年 | 2月4日 03:11:38 | 2071年1月5日 | 新年立春 | 双春年 | 8 |
2072年 | 2月4日 08:57:50 | 2071年12月16日 | 年内立春 | 単春年 | 9 |
2073年 | 2月3日 14:53:37 | 2072年12月27日 | 年内立春 | 無春年 | 10 |
2074年 | 2月3日 20:42:11 | 2074年1月8日 | 新年立春 | 双春年 | 11 |
2075年 | 2月4日 02:31:32 | 2074年12月19日 | 年内立春 | 単春年 | 12 |
2076年 | 2月4日 08:20:52 | 2075年12月30日 | 年内立春 | 無春年 | 13 |
2077年 | 2月3日 14:04:07 | 2077年1月11日 | 新年立春 | 双春年 | 14 |
2078年 | 2月3日 19:58:25 | 2077年12月21日 | 年内立春 | 無春年 | 15 |
2079年 | 2月4日 01:44:17 | 2079年1月3日 | 新年立春 | 単春年 | 16 |
2080年 | 2月4日 07:29:06 | 2080年1月14日 | 新年立春 | 双春年 | 17 |
2081年 | 2月3日 13:27:07 | 2080年12月25日 | 年内立春 | 無春年 | 18 |
2082年 | 2月3日 19:13:26 | 2082年1月6日 | 新年立春 | 双春年 | 19 |
年 | 立春瞬時(JST) | 旧暦 | 朔旦判定 | 単双判定 | 周期性 |
2083年 | 2月4日 00:59:38 | 2082年12月18日 | 年内立春 | 単春年 | 1 |
2084年 | 2月4日 06:47:56 | 2083年12月28日 | 年内立春 | 無春年 | 2 |
2085年 | 2月3日 12:31:13 | 2085年1月9日 | 新年立春 | 双春年 | 3 |
2086年 | 2月3日 18:27:49 | 2085年12月20日 | 年内立春 | 無春年 | 4 |
2087年 | 2月4日 00:16:37 | 2087年1月2日 | 新年立春 | 単春年 | 5 |
2088年 | 2月4日 05:59:36 | 2088年1月12日 | 新年立春 | 双春年 | 6 |
2089年 | 2月3日 11:56:08 | 2088年12月23日 | 年内立春 | 無春年 | 7 |
2090年 | 2月3日 17:43:48 | 2090年1月5日 | 新年立春 | 双春年 | 8 |
2091年 | 2月3日 23:32:23 | 2090年12月15日 | 年内立春 | 単春年 | 9 |
2092年 | 2月4日 05:30:26 | 2091年12月27日 | 年内立春 | 無春年 | 10 |
2093年 | 2月3日 11:20:14 | 2093年1月8日 | 新年立春 | 双春年 | 11 |
2094年 | 2月3日 17:18:45 | 2093年12月18日 | 年内立春 | 単春年 | 12 |
2095年 | 2月3日 23:08:49 | 2094年12月29日 | 年内立春 | 無春年 | 13 |
2096年 | 2月4日 04:48:39 | 2096年1月11日 | 新年立春 | 双春年 | 14 |
2097年 | 2月3日 10:43:49 | 2096年12月21日 | 年内立春 | 無春年 | 15 |
2098年 | 2月3日 16:30:52 | 2098年1月3日 | 新年立春 | 単春年 | 16 |
2099年 | 2月3日 22:11:25 | 2099年1月14日 | 新年立春 | 双春年 | 17 |
2100年 | 2月4日 04:02:13 | 2099年12月26日 | 年内立春 | 無春年 | 18 |
2101年 | 2月4日 09:41:53 | 2101年1月7日 | 新年立春 | 双春年 | 19 |
年 | 立春瞬時(JST) | 旧暦 | 朔旦判定 | 単双判定 | 周期性 |
- 自作プログラムによる計算です。
- 将来の日時は閏秒ズレが予測できないため近似値となります。
- 単双判定の欄で「単春年」という言葉は「双春年」に対して便宜上作った言葉です。この記事内のみの表現ですのでご留意ください。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
2025年のうるう秒調整はなくなりました ― 2025/01/07
国際地球回転・基準系事業(IERS/INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE)から1月6日UT付け(発表は7日夜JST)に「2025年7月1日(同年6月末UT)のうるう秒挿入はない」と発表がありました(→>IERS News:2025年1月6日UT付けBULLETIN-C69)。これにより、少なくとも今年いっぱいUTC-TAI = -37秒が維持されることになりました。最後のうるう秒挿入(2017年1月8:59:60JST)から今年の正月で丸8年。来年までうるう秒はありませんので、9年間うるう秒無しは確定。観測史上最長を再々更新です。
左図は2017年のうるう秒挿入直後を原点として、1日ごとのLOD(Length of Day:1日の実測長)差分値を足してゆき(水色線)、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく時計がどれだけズレているか(緑線)を表したグラフ。(※測定データは昨年12月1日までを利用。)また右下図は、LODと24時間=86400秒との差の日々の値(薄青線)、および31日移動平均(赤線)をグラフ化したもの。一昨年までは一日が24時間より少ない傾向が強かったですが、去年はプラスに転じる時期が長くなりました。当面は多少の変動はあれど「ほぼ24時間」という期間が続くのかも知れません。
一方で昨年7月5日に「観測史上最短の一日」という記録も出ています。2022年6月29日の記録更新時には「史上最短日」などというニュースを国内外問わず結構見かけたけれど、昨年の記録更新の際はマイナス1.65ミリ秒という大幅更新にも関わらず報道を全く見かけませんでした。人間が慣れてしまったのかな?ネットを検索しても2022年の件しか出てきません。wiki「Leap second(閏秒)」の項も2022年の記録のまま更新されていませんね(2025.1.7.現在)。
右グラフの範囲内だけ見ると、移動平均の赤グラフは去年からマイナス側へ引き戻されている傾向も感じます。24時間より短い日が2021-2022年並に戻ると、再び史上初の「閏秒削除」という話になるでしょう。1日あたり1ミリ秒という小さな世界でも1000日続けば1秒になるんです。現在のように急速な温暖化が進めば南極や北極の氷が溶け、海が赤道付近に多く集まり、海底との摩擦が大きくなり、自転を遅くする要因となる…といった主旨の研究も進んでいます。
世界規模で2035年までに閏秒という仕組みを無くすことは既に決定されています(廃止に関する議論は国立天文台・暦Wikiにある解説を参照)。それまでに閏秒挿入/削除が起こるかどうか、見守りたいと思います。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
左図は2017年のうるう秒挿入直後を原点として、1日ごとのLOD(Length of Day:1日の実測長)差分値を足してゆき(水色線)、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく時計がどれだけズレているか(緑線)を表したグラフ。(※測定データは昨年12月1日までを利用。)また右下図は、LODと24時間=86400秒との差の日々の値(薄青線)、および31日移動平均(赤線)をグラフ化したもの。一昨年までは一日が24時間より少ない傾向が強かったですが、去年はプラスに転じる時期が長くなりました。当面は多少の変動はあれど「ほぼ24時間」という期間が続くのかも知れません。
一方で昨年7月5日に「観測史上最短の一日」という記録も出ています。2022年6月29日の記録更新時には「史上最短日」などというニュースを国内外問わず結構見かけたけれど、昨年の記録更新の際はマイナス1.65ミリ秒という大幅更新にも関わらず報道を全く見かけませんでした。人間が慣れてしまったのかな?ネットを検索しても2022年の件しか出てきません。wiki「Leap second(閏秒)」の項も2022年の記録のまま更新されていませんね(2025.1.7.現在)。
右グラフの範囲内だけ見ると、移動平均の赤グラフは去年からマイナス側へ引き戻されている傾向も感じます。24時間より短い日が2021-2022年並に戻ると、再び史上初の「閏秒削除」という話になるでしょう。1日あたり1ミリ秒という小さな世界でも1000日続けば1秒になるんです。現在のように急速な温暖化が進めば南極や北極の氷が溶け、海が赤道付近に多く集まり、海底との摩擦が大きくなり、自転を遅くする要因となる…といった主旨の研究も進んでいます。
世界規模で2035年までに閏秒という仕組みを無くすことは既に決定されています(廃止に関する議論は国立天文台・暦Wikiにある解説を参照)。それまでに閏秒挿入/削除が起こるかどうか、見守りたいと思います。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
2025年の初日の出・初日の入りマップ ― 2024/12/31
2024年も暑い一年でした。「情熱がたぎる」ほうの“熱い”なら大いに結構なのだけれど、気温の暑さは避けようも無く、気力と体力と電力を奪い取ってゆきますね。来年はどうなってしまうのでしょうか。
2025年の初日の出と初日の入りを計算し、同時曲線として地図に起こしました。自作プログラムによる計算で、標準大気の大気差まで考慮してありますが、標高は考慮していません。地図内時刻はJST表記です。この時期は日本全土の夜明けが1.5時間程度で済んでしまうのに対して、暮れるのに2.5時間もかかり、両者に大きな差があります。弓形の国土に対する同時曲線の傾きや進行方向の違いに注目してください。
計算しているうちに前日との違いが気になったので、2024年12月31日の日の出入りも地図化しました(下A・B図)。「初日(はつひ)」の対義語…つまりその年最後の日の出入りの呼び方がよく分からなかったので、ここでは「末日(まつひ)」と言うことにしました。「終日」は意味が違うし「大晦日」はお日さまのニュアンスを含んでいませんからね。一年最後の太陽を何と呼ぶのかご存知の方がいらっしゃったらお教えください。
12月31日と翌1月1日の日の出入りを比べると興味深いことが分かります。ぱっと考えて「同じように一日ぶんずれる」と考えがちだけれど、ズレ量は日の出と日の入りとで異なるんです。元日ごろは冬至後であり、既に日没時刻が伸び始めています(→12月2日記事参照)。対して日の出はまだまだ遅くなってる最中で、1月上旬から中旬にかけて折り返し点を迎えます。
地図同士を比べると、日の出の同時曲線はほとんど一緒の位置ですが、日の入りは屋久島一個ぶんくらい北東にずれています。同じ地点で考えると、日の出は大晦日と元日とでほぼ同じ(10秒程度の差)だけれど、日の入りは1日当たり1分程度ずつ早まっているんです。よほど博識な方でも無い限り、こんなこと言われないと気付かないでしょう。私たちが頭に構築してる一日の経過って、案外勘違いしてることが多いかも知れませんよ。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
2025年の初日の出と初日の入りを計算し、同時曲線として地図に起こしました。自作プログラムによる計算で、標準大気の大気差まで考慮してありますが、標高は考慮していません。地図内時刻はJST表記です。この時期は日本全土の夜明けが1.5時間程度で済んでしまうのに対して、暮れるのに2.5時間もかかり、両者に大きな差があります。弓形の国土に対する同時曲線の傾きや進行方向の違いに注目してください。
計算しているうちに前日との違いが気になったので、2024年12月31日の日の出入りも地図化しました(下A・B図)。「初日(はつひ)」の対義語…つまりその年最後の日の出入りの呼び方がよく分からなかったので、ここでは「末日(まつひ)」と言うことにしました。「終日」は意味が違うし「大晦日」はお日さまのニュアンスを含んでいませんからね。一年最後の太陽を何と呼ぶのかご存知の方がいらっしゃったらお教えください。
12月31日と翌1月1日の日の出入りを比べると興味深いことが分かります。ぱっと考えて「同じように一日ぶんずれる」と考えがちだけれど、ズレ量は日の出と日の入りとで異なるんです。元日ごろは冬至後であり、既に日没時刻が伸び始めています(→12月2日記事参照)。対して日の出はまだまだ遅くなってる最中で、1月上旬から中旬にかけて折り返し点を迎えます。
地図同士を比べると、日の出の同時曲線はほとんど一緒の位置ですが、日の入りは屋久島一個ぶんくらい北東にずれています。同じ地点で考えると、日の出は大晦日と元日とでほぼ同じ(10秒程度の差)だけれど、日の入りは1日当たり1分程度ずつ早まっているんです。よほど博識な方でも無い限り、こんなこと言われないと気付かないでしょう。私たちが頭に構築してる一日の経過って、案外勘違いしてることが多いかも知れませんよ。
参考:
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高高度の月食は起こるのか? ― 2024/12/20
2024年12月11日記事では高高度の満月を扱いました。いつも拙ブログをピックアップしてくださる天リフ・山口編集長さんが12月17日配信中に「高高度の皆既月食を見てみたい」とぼそっと放った一言がとても面白い着眼点と思ったので、深入りしてみました。
近年の皆既月食で高高度だったのは、配信中にも「たつまる」さんがチャットコメントしてた2018年1月31日のもの(上画像)。このとき皆既最大時刻(1月31日22:30ごろ)は南中の1.5-2時間前、月の赤経が夏至点と秋分点の間あたりでした。月食が日本の高い空に見えるには「月食最大時が南中に近い」かつ「月が夏至点付近にいる」場合が理想と言えそうです。夏至点とは黄道上のおうし座とふたご座の境界あたり(M1とM35の間あたり)にあって、ここに太陽が来れば夏至になる位置。太陽だけでなく、月や惑星に置き換えれば北半球で南中高度が高くなるのです(※天頂より北を通過しない北緯に限る)。ちょうど今の木星や二ヶ月前の火星がそうですね。冬の悪シーイングも最小限で済むといったメリットは大きいですよ。
月がどれくらいの頻度/周期で高高度になるのか考えてみましょう。このような考察で問題になるのは、独立した条件が二つ以上重なること。例えば「最高高度」かつ「満月期」と言ったことです。「高度が高くなる」と「満月期を迎える」は互いに独立した周期なので、いわば速度の違う長針と短針がいつ交わるか探すような話になります。
月が黄道の特定位置…例えば夏至点に最接近するのはひと月内に必ず一回あって、その周期を「1恒星月(約27.32166155日)」と呼びます。いわゆる月の公転周期ですね。対して満月になる周期はおなじみ「1朔望月(約29.53058886日)」。両者は2日あまり違うので、ある満月がぴったり夏至点にあっても、次の満月は2日ぶん夏至点から遠くなってしまうでしょう。違う周期を同時に満たすケースを拾うのは面倒なのです。ここには答えを書きませんから、時間がある方は面倒さを味わいながら解き明かしてみてください。
月食の話をする前にもう一度「高高度満月」を正確に捉えてみましょう。私たちが地上から天体の運動を考えるときは赤道儀と同じように赤道座標系を使うほうが便利です。いっぽう、月や惑星は黄道に近いところを動くため、地球軌道面の延長である黄道座標系を使うと便利。このため、両者の関係性を知る必要がありますね。
小難しく言うと、天球の赤道と黄道が交差する位置が春分点・秋分点というふたつの分点(交点)、それぞれから黄道に沿って90°離れた位置が夏至点・冬至点というふたつの至点。この四つの点は互いの位置関係を決める要になります。天体の赤緯と観測位置の緯度が決まれば南中時の最高高度は一意に決まるけれど、黄道から離れずに分布する月や惑星は四つの点を行き交って赤緯を変えてしまいます。だから分点至点を基準にふたつの座標系のずれを把握することが大事なんです。
高高度満月を考えるときも「月が夏至点付近にいる」条件は必須に思えます。ところが事態はかなり複雑。天球上で月の通り道を表す白道が黄道に対してずれているからです。黄道に対し白道は約5.1°傾斜しているので、前述の赤道・黄道の関係と同じように交点と至点を考えることができます。地球から見た太陽の交点至点と区別するため、ここでは「月の交点・至点」あるいは「白道の分点・至点」などと言うことにしましょう。右上に模式図を掲載します。ふつう地球と太陽の関係を示すのにこんな天動説みたいな図は描きませんが、月軌道との類似性を表現するため敢えてこうしました。
白道の夏至点は黄道面に対して白道が最も北に離れる点ということ。従って、もし月の夏至点と太陽の夏至点が重なることがあれば、赤道座標からのズレは黄道のズレに白道のズレが加算され、「そこを通る月は夏の太陽より高く見える」ことになるでしょう。ただしその時に満月とは限りません。満月が夏至点にいるためには、反対位置…つまり冬至点に太陽がいなければならないため「もしふたつの夏至点が重なる年の冬至ごろに満月になったら高い空を通る」ことになります。でもそれが実現する周期となると「太陽と月の夏至点方向が重なる」「月が夏至点近傍」「そのとき満月になる」という三条件の成立が必要。数が増えてしまったよ…。
事態を混乱させているのは月軌道が固定されてないこと。ゆっくりですが、月の交点至点は黄道に対してずれてしまうし、軌道面内でも近地点方向が刻々と変わってしまうんです。「もし月の夏至点と太陽の夏至点が重なることがあれば…」と書いたけれど、実は滅多に重なりません。交点のずれが元の位置に戻るのに約18.6年もかかりますから、「最高高度の満月」の実現はこの周期が支配的になってしまいます。ここまでの苦労はいったい…。
気を取り直して、いよいよ高高度月食を考えてみましょう。月食の時は太陽・地球・月が概ね一直線に並びます。前出の座標系図に照らし合わせると「月黄緯がゼロ付近でなければ月食が起きない」ことが分かります。白道が黄道から離れた位置で満月になっても太陽・地球・月は一直線になりませんよね。つまり、月食は白道の春分点(昇交点)か秋分点(降交点)で満月になる必要があるのです。これは日食も同じ。簡潔に言うと、日食も月食も黄道近辺でしか起こりません。
もし白道交点の方向がいつまでも変わらなければ毎年決まった時期に日食や月食が起こることになりますが、前述した通り白道は刻々と向きを変えます。なので、日食や月食はまんべんなく年間にばらけます。実際の周期性は図化したほうが分かりやすいかも知れません。左図は月の黄緯変化に注目したグラフ(赤線)。2020年からの2年間です。このグラフに追加して、満月瞬時(赤丸)、月の二至二分点瞬時(青丸)、地球の二至二分(緑丸)、および発生した5回の月食(灰色楕円点線)を描きました。
満月から次の満月までが1朔望月、春分から次の春分が(地球の)1年…という具合に、こんなグラフにも様々な周期が潜んでいます。また、黄道ゼロラインに沿って白道の昇交点・降交点が並んでますね。高高度満月を考えるときは白道の夏至点近くで満月になるケースを探しましたが、月食の場合は前述した通り必ず交点近くで起きるのでした。グラフ内の5回の月食もすべてそうなっています。
高高度月食はこれらの条件を満たしつつ、更に地球が冬至の時期である必要があります。月食時の月黄緯がゼロ付近と決まってるため、月食高度に白道のズレが加算される余地はありません。かくして「月食最大時が南中に近い」かつ「夏至点付近にいる満月」という最初に予想した通りの条件が必要だと確認できました。頭の中だけで頻度や周期を導くのも骨が折れますから、高高度月食に関しては記事下表に数値計算結果を掲載しておきます。表を見ると二つの条件を満たす月食は少なく、10月から3月まで分布が広がってますね。もはや黄緯が大きいアドバンテージは薄いようです。近い将来では2029年の年明けすぐに始まる皆既月食が高高度スタート。皆既最大で天頂に見える訳ではないけれど、石垣島では欠け始まりから40分足らずでほぼ天頂という好条件です。今すぐ旅行会社に予約を。
なお、面白いことを考える人がいるもので、223朔望月≒242交点月が成り立つことが古くから知られていました。これは6585.3212日≒18年11日に相当し、この周期を経て起きた日食/月食は欠け方や食分、継続時間などがとても良く似た状況を生みます。サロス周期と呼ばれるものです。「日付が同じ日に同じ形の月が見える」性質を持つ19太陽年≒235朔望月(メトン周期)も広く知られてますね。一見すると平々凡々に過ぎる日常から、自然界に折り重なった見えざる周期を見いだす探求心は人間が持つ宝と言えましょう。
近年の皆既月食で高高度だったのは、配信中にも「たつまる」さんがチャットコメントしてた2018年1月31日のもの(上画像)。このとき皆既最大時刻(1月31日22:30ごろ)は南中の1.5-2時間前、月の赤経が夏至点と秋分点の間あたりでした。月食が日本の高い空に見えるには「月食最大時が南中に近い」かつ「月が夏至点付近にいる」場合が理想と言えそうです。夏至点とは黄道上のおうし座とふたご座の境界あたり(M1とM35の間あたり)にあって、ここに太陽が来れば夏至になる位置。太陽だけでなく、月や惑星に置き換えれば北半球で南中高度が高くなるのです(※天頂より北を通過しない北緯に限る)。ちょうど今の木星や二ヶ月前の火星がそうですね。冬の悪シーイングも最小限で済むといったメリットは大きいですよ。
月がどれくらいの頻度/周期で高高度になるのか考えてみましょう。このような考察で問題になるのは、独立した条件が二つ以上重なること。例えば「最高高度」かつ「満月期」と言ったことです。「高度が高くなる」と「満月期を迎える」は互いに独立した周期なので、いわば速度の違う長針と短針がいつ交わるか探すような話になります。
月が黄道の特定位置…例えば夏至点に最接近するのはひと月内に必ず一回あって、その周期を「1恒星月(約27.32166155日)」と呼びます。いわゆる月の公転周期ですね。対して満月になる周期はおなじみ「1朔望月(約29.53058886日)」。両者は2日あまり違うので、ある満月がぴったり夏至点にあっても、次の満月は2日ぶん夏至点から遠くなってしまうでしょう。違う周期を同時に満たすケースを拾うのは面倒なのです。ここには答えを書きませんから、時間がある方は面倒さを味わいながら解き明かしてみてください。
月食の話をする前にもう一度「高高度満月」を正確に捉えてみましょう。私たちが地上から天体の運動を考えるときは赤道儀と同じように赤道座標系を使うほうが便利です。いっぽう、月や惑星は黄道に近いところを動くため、地球軌道面の延長である黄道座標系を使うと便利。このため、両者の関係性を知る必要がありますね。
小難しく言うと、天球の赤道と黄道が交差する位置が春分点・秋分点というふたつの分点(交点)、それぞれから黄道に沿って90°離れた位置が夏至点・冬至点というふたつの至点。この四つの点は互いの位置関係を決める要になります。天体の赤緯と観測位置の緯度が決まれば南中時の最高高度は一意に決まるけれど、黄道から離れずに分布する月や惑星は四つの点を行き交って赤緯を変えてしまいます。だから分点至点を基準にふたつの座標系のずれを把握することが大事なんです。
高高度満月を考えるときも「月が夏至点付近にいる」条件は必須に思えます。ところが事態はかなり複雑。天球上で月の通り道を表す白道が黄道に対してずれているからです。黄道に対し白道は約5.1°傾斜しているので、前述の赤道・黄道の関係と同じように交点と至点を考えることができます。地球から見た太陽の交点至点と区別するため、ここでは「月の交点・至点」あるいは「白道の分点・至点」などと言うことにしましょう。右上に模式図を掲載します。ふつう地球と太陽の関係を示すのにこんな天動説みたいな図は描きませんが、月軌道との類似性を表現するため敢えてこうしました。
白道の夏至点は黄道面に対して白道が最も北に離れる点ということ。従って、もし月の夏至点と太陽の夏至点が重なることがあれば、赤道座標からのズレは黄道のズレに白道のズレが加算され、「そこを通る月は夏の太陽より高く見える」ことになるでしょう。ただしその時に満月とは限りません。満月が夏至点にいるためには、反対位置…つまり冬至点に太陽がいなければならないため「もしふたつの夏至点が重なる年の冬至ごろに満月になったら高い空を通る」ことになります。でもそれが実現する周期となると「太陽と月の夏至点方向が重なる」「月が夏至点近傍」「そのとき満月になる」という三条件の成立が必要。数が増えてしまったよ…。
事態を混乱させているのは月軌道が固定されてないこと。ゆっくりですが、月の交点至点は黄道に対してずれてしまうし、軌道面内でも近地点方向が刻々と変わってしまうんです。「もし月の夏至点と太陽の夏至点が重なることがあれば…」と書いたけれど、実は滅多に重なりません。交点のずれが元の位置に戻るのに約18.6年もかかりますから、「最高高度の満月」の実現はこの周期が支配的になってしまいます。ここまでの苦労はいったい…。
気を取り直して、いよいよ高高度月食を考えてみましょう。月食の時は太陽・地球・月が概ね一直線に並びます。前出の座標系図に照らし合わせると「月黄緯がゼロ付近でなければ月食が起きない」ことが分かります。白道が黄道から離れた位置で満月になっても太陽・地球・月は一直線になりませんよね。つまり、月食は白道の春分点(昇交点)か秋分点(降交点)で満月になる必要があるのです。これは日食も同じ。簡潔に言うと、日食も月食も黄道近辺でしか起こりません。
もし白道交点の方向がいつまでも変わらなければ毎年決まった時期に日食や月食が起こることになりますが、前述した通り白道は刻々と向きを変えます。なので、日食や月食はまんべんなく年間にばらけます。実際の周期性は図化したほうが分かりやすいかも知れません。左図は月の黄緯変化に注目したグラフ(赤線)。2020年からの2年間です。このグラフに追加して、満月瞬時(赤丸)、月の二至二分点瞬時(青丸)、地球の二至二分(緑丸)、および発生した5回の月食(灰色楕円点線)を描きました。
満月から次の満月までが1朔望月、春分から次の春分が(地球の)1年…という具合に、こんなグラフにも様々な周期が潜んでいます。また、黄道ゼロラインに沿って白道の昇交点・降交点が並んでますね。高高度満月を考えるときは白道の夏至点近くで満月になるケースを探しましたが、月食の場合は前述した通り必ず交点近くで起きるのでした。グラフ内の5回の月食もすべてそうなっています。
高高度月食はこれらの条件を満たしつつ、更に地球が冬至の時期である必要があります。月食時の月黄緯がゼロ付近と決まってるため、月食高度に白道のズレが加算される余地はありません。かくして「月食最大時が南中に近い」かつ「夏至点付近にいる満月」という最初に予想した通りの条件が必要だと確認できました。頭の中だけで頻度や周期を導くのも骨が折れますから、高高度月食に関しては記事下表に数値計算結果を掲載しておきます。表を見ると二つの条件を満たす月食は少なく、10月から3月まで分布が広がってますね。もはや黄緯が大きいアドバンテージは薄いようです。近い将来では2029年の年明けすぐに始まる皆既月食が高高度スタート。皆既最大で天頂に見える訳ではないけれど、石垣島では欠け始まりから40分足らずでほぼ天頂という好条件です。今すぐ旅行会社に予約を。
なお、面白いことを考える人がいるもので、223朔望月≒242交点月が成り立つことが古くから知られていました。これは6585.3212日≒18年11日に相当し、この周期を経て起きた日食/月食は欠け方や食分、継続時間などがとても良く似た状況を生みます。サロス周期と呼ばれるものです。「日付が同じ日に同じ形の月が見える」性質を持つ19太陽年≒235朔望月(メトン周期)も広く知られてますね。一見すると平々凡々に過ぎる日常から、自然界に折り重なった見えざる周期を見いだす探求心は人間が持つ宝と言えましょう。
【高高度の月食/1900-2100年/日本経緯度原点】
食最大日時(JST) | 種類 | 食分 | 食最大時の 高度(°) | 食最大時の 地心距離(km) | 本影食開始時 の高度(°) | 本影食終了時 の高度(°) | 本影食内の 南中高度(°) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1901-10-28 00:14:33 | 部分 | 0.221 | 64.672 | 357457.6 | 67.391 | 58.037 | 南中なし |
1907-01-29 22:37:16 | 部分 | 0.710 | 65.646 | 398353.4 | 49.427 | 72.375 | 72.640 |
1908-01-18 22:20:52 | 半影 | -0.571 | 65.635 | 406274.4 | -- | -- | -- |
1911-11-07 00:36:00 | 半影 | -0.175 | 64.614 | 366009.0 | -- | -- | -- |
1920-10-27 23:10:54 | 皆既 | 1.400 | 66.803 | 371272.7 | 54.906 | 59.473 | 67.045 |
1924-02-21 01:08:11 | 皆既 | 1.601 | 59.816 | 379066.7 | 64.216 | 41.501 | 65.212 |
1927-12-09 02:34:26 | 皆既 | 1.352 | 47.856 | 363472.7 | 67.016 | 27.592 | 南中なし |
1934-01-31 01:41:59 | 部分 | 0.113 | 60.441 | 403109.5 | 67.055 | 52.629 | 南中なし |
1935-01-20 00:46:51 | 皆既 | 1.351 | 70.435 | 404425.7 | 70.789 | 50.090 | 74.901 |
1936-01-09 03:09:14 | 皆既 | 1.016 | 43.436 | 388148.0 | 63.020 | 23.212 | 南中なし |
1944-12-29 23:48:50 | 半影 | -0.017 | 76.310 | 381847.4 | -- | -- | -- |
1946-12-09 02:47:44 | 皆既 | 1.163 | 45.376 | 356805.5 | 63.958 | 26.234 | 南中なし |
1955-11-30 01:59:15 | 部分 | 0.119 | 54.198 | 358367.6 | 61.290 | 46.667 | 南中なし |
1957-11-07 23:26:46 | 皆既 | 1.029 | 69.945 | 394438.9 | 60.036 | 59.441 | 69.946 |
1958-10-28 00:27:06 | 半影 | -0.314 | 61.944 | 406166.1 | -- | -- | -- |
1961-03-02 22:27:56 | 部分 | 0.799 | 55.283 | 400747.6 | 39.988 | 61.235 | 61.331 |
1963-12-30 20:06:42 | 皆既 | 1.336 | 40.957 | 362027.0 | 21.110 | 61.010 | 南中なし |
1974-11-30 00:13:20 | 皆既 | 1.291 | 72.827 | 374396.6 | 71.142 | 54.946 | 75.854 |
1982-12-30 20:28:42 | 皆既 | 1.181 | 45.740 | 357153.9 | 26.641 | 64.782 | 南中なし |
1989-02-21 00:35:20 | 皆既 | 1.276 | 63.324 | 402843.8 | 60.854 | 47.260 | 65.124 |
1999-02-01 01:17:29 | 半影 | -0.025 | 62.759 | 378543.3 | -- | -- | -- |
食最大日時(JST) | 種類 | 食分 | 食最大時の 高度(°) | 食最大時の 地心距離(km) | 本影食開始時 の高度(°) | 本影食終了時 の高度(°) | 本影食内の 南中高度(°) |
2009-02-09 23:38:13 | 半影 | -0.090 | 67.221 | 364028.1 | -- | -- | -- |
2011-12-10 23:31:49 | 皆既 | 1.105 | 76.680 | 397268.7 | 63.515 | 63.946 | 76.687 |
2012-11-28 23:32:58 | 半影 | -0.189 | 74.548 | 406348.1 | -- | -- | -- |
2018-01-31 22:29:49 | 皆既 | 1.316 | 63.092 | 360201.9 | 45.146 | 70.553 | 70.835 |
2022-11-08 19:59:11 | 皆既 | 1.358 | 40.224 | 390652.9 | 18.377 | 61.075 | 南中なし |
2029-01-01 01:52:04 | 皆既 | 1.247 | 59.331 | 377593.5 | 76.239 | 38.564 | 南中なし |
2037-01-31 23:00:28 | 皆既 | 1.206 | 67.866 | 358083.4 | 51.948 | 69.156 | 71.449 |
2039-12-01 01:55:17 | 部分 | 0.944 | 54.754 | 404948.6 | 72.026 | 34.322 | 南中なし |
2046-01-22 22:01:26 | 部分 | 0.054 | 60.589 | 360847.8 | 55.821 | 65.288 | 南中なし |
2049-11-10 00:51:00 | 半影 | -0.355 | 63.624 | 383376.3 | -- | -- | -- |
2059-11-19 22:00:24 | 部分 | 0.206 | 65.524 | 367679.5 | 56.587 | 72.644 | 南中なし |
2066-01-12 00:03:36 | 皆既 | 1.136 | 75.105 | 399743.5 | 65.691 | 59.605 | 75.506 |
2066-12-31 23:28:58 | 半影 | -0.130 | 75.862 | 406023.1 | -- | -- | -- |
2068-11-09 20:45:48 | 皆既 | 1.016 | 49.902 | 363069.8 | 31.322 | 66.442 | 南中なし |
2076-12-10 20:33:41 | 皆既 | 1.445 | 48.540 | 387368.1 | 26.796 | 69.610 | 南中なし |
2078-11-19 21:38:50 | 半影 | -0.907 | 62.225 | 356715.2 | -- | -- | -- |
2087-11-10 21:04:23 | 皆既 | 1.500 | 53.035 | 356999.1 | 33.091 | 69.112 | 南中なし |
2091-03-06 00:57:12 | 皆既 | 1.282 | 56.408 | 359514.3 | 59.297 | 41.584 | 60.140 |
2094-01-02 01:58:55 | 部分 | 0.888 | 57.645 | 403587.7 | 74.297 | 37.623 | 南中なし |
食最大日時(JST) | 種類 | 食分 | 食最大時の 高度(°) | 食最大時の 地心距離(km) | 本影食開始時 の高度(°) | 本影食終了時 の高度(°) | 本影食内の 南中高度(°) |
- 自作プログラムによる計算です。201年間に起こる457回の月食を全て調べました。
- 本影食は皆既食前後の部分食を含む月食状態です。半影食のみの状態は含みません。
- 観察地において、食最大時・本影食開始時・終了時・本影食中の南中時のいずれかの月高度が60°以上になるケースをピックアップしました。
- 本影食の時間の中で南中が起こる場合はその高度を記しています。高高度月食になるケースは南中時間と食最大が近いケースになるでしょう。
- 「南中なし」のケースでは、食終了後に南中するか、南中後に食が始まるかのどちらかです。
- 半影月食では食最大時の高度みの判断です。
- 月の南中時刻や月高度は観察場所により変わりますが、食最大時刻は変わりません。
- 月や地球の大きさ、大気の厚さなどの定数としてどの観測値を採用するかによって食分や本影時刻が若干変動します。