マダガスカル島に強いサイクロン接近2018/03/16


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アフリカの南東、インド洋西域にあるマダガスカル島に大型のサイクロン「ELIAKIM」が接近し、猛威を振るっているとのこと。マダガスカルへは今年これ以外に少なくとも三つのサイクロンが接近または上陸しています。左はNASA Earth Observatoryからの引用で、昨日15日に地球観測衛星が撮影した接近中の「ELIAKIM」。

マダガスカル上陸サイクロン経路



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過去の統計を見ると、マダガスカル島のあるインド洋南西海域では年間平均で5個程度のサイクロンが発生しています。2、3年に1度は風速100ノット以上の強大なサイクロンが島へやって来て大きな被害が出ていますね。記憶に新しいところでは2012年のサイクロン「GIOVANNA」や2017年の「ENAWO」がこのクラスでした。右上図は「GIOVANNA」と「ENAWO」の経路図(気象データはJoint Typhoon Warning Centerのものを使用)。いちばん強い勢力のときに島へ上陸していることが分かります。また上陸しないまでも、島へ接近した強いサイクロンは結構ありました。赤道を折り目に南北ひっくり返すと沖縄と同等の緯度で、暖かい大海原に面していますので納得できるでしょう。

右下は前述NASA Earth Observatoryからの引用で「ENAWO」の画像。「サイクロンの目」がしっかりしていますね。今年1月に上陸した「AVA」や3月上旬に接近した「DUMAZILE」も非常に強い渦でした(下画像/インド気象局からの引用でINSAT-3D画像/インサート地図・経緯度線は筆者/赤点円はサイクロン中心の半径1000km円)。

マダガスカルでサイクロンが多いシーズンは11月から2月と聞きますが、去年の「ENAWO」も今年の「ELIAKIM」も3月。気候がずれてきたのでしょうか?適切なデータがあれば統計を取ってみたいですが、この地方の気象データをざっと見た限り内容が不揃いでした。「気象情報弱者(国)」が存在している現状、もしかしたらそのせいで被害が多くなってしまうかも知れないことに、何だかもどかしい思いがしました。

  • 20180105Tropical Cyclone AVA

    Tropical Cyclone AVA
    2018年1月5日6:00UT
  • 20180304Tropical Cyclone DUMAZILE

    Tropical Cyclone DUMAZILE
    2018年3月4日6:00UT
  • 20180314海面温度

    2018年3月14日の海面温度
    (NOAA)