今日の太陽2024/11/01

20241101太陽
昨夜から今朝は雲のかかった星空。肉眼で見るにじんだ星々が意外に美しく感じました。11月最初の今日も朝から雲が多め。日没ごろから明日いっぱいは雨が降り続く予報なので、日が差しているうちに早めの太陽観察。

20241101太陽リム
左は9:10ごろの太陽。中央左上の活動領域13878では本日6:20JSTをピークとしたX2.03クラスフレアが発生。前後3時間ほどMクラス以上のX線フラックスを維持していました。左画像撮影時も小さな領域ながらプラージュがキラキラ見えていました。右下に寄ってきたたくさんの活動領域も一週間ほどかけて少しずつ裏側へ隠れてゆきます。昨日に続き今日もプロミネンスが少ないです。

台風21号+前線の影響でまたも週末は荒れ模様。H3ロケット打ち上げも延期が度重なってますし、明日2日に予定されていた我が家近くで開催される「土浦全国花火競技大会」(日本三大花火のひとつ)も中止・延期無しになりました。ひとかたまりの天候不順はあちこち影響しますね。

火星と「みつご座」の季節はじまる2024/11/02

火星の動きとみつご座
夏の終わりごろ、おうし座の角に挟まれていた木星と火星。木星は相変わらず角に挟まってますが、火星はどんどん移動し、ふたご座に入っています。すごい彗星が宵空で話題をさらってましたから、明け方の微妙な変化に疎くなった方も多いでしょう。

今期の火星はふたご座からかに座にかけてのエリアで衝を迎えます。すなわち同エリアで「順行→逆行→順行」=「留→衝→留」が起きるのです。2023年5月中旬に宵空を飾ったふたご座+火星が「みつご座」になり、とてもかわいらしい姿を披露してくれました。今回はどうでしょうか?

火星の動きを星図に落とし込んだものが左上図です(自作プログラム計算/ステラナビゲーターで作図)。ここではカストルとポルックスを結んだ線の延長をジェミニ・ライン(GL)と呼ぶことにします。ジェミニ・ラインは天球を最大径で一周する大円になります。火星は今秋から来春にかけて、火星は3回もジェミニ・ラインをまたぐのですね。短期間にまとまって数回起こるシチュエーションは1992年冬から翌年春に起こって以来、実に32年ぶりのようです。

数日前、10月30日に今期一回目のジェミニ・ライン通過がありました。30日夜・31日夜の二夜とも肉眼で見ていましたが、一列に並ぶ様子が美麗で感動しました。ただ今回はポルックス・火星間離角が約7.31°もあり、やや仲間はずれの感が否めません。来年1月と4月はそれぞれ3.24°、5.87°ですから、一回目よりずっと近づきます(下A表)。他の惑星も加えて調べると、実はジェミニ・ラインを横切り、かつポルックス・惑星間が7°より狭くなるケースは、頻繁に空を横切る内惑星なら結構起こりますが、外惑星は火星だけです。火星が黄道から離れがち、という理由もあるのでしょう。

2025年みつご座の例
ちなみにカストル・ポルックス間は約4.51°。火星がジェミニ・ライン通過時にこの間隔と近くなるのは直近で2057年3月23日 12:33ごろ。肉眼では等間隔に並んだように感じるでしょう。また一直線にこだわらず、火星・ポルックス・カストルが正確な二等辺三角形になる瞬間なら、極めて平べったい三角も含めると2025年1月から4月の間に4回も起こります(下B表)。ライン上に並ぶ例とほぼ直角二等辺三角形に見える例を右図に示しました。ふたご座が沈んでいたり昼間で見えない場合は、前夜か当日夜に見える時間があるか探しましょう。

もちろんドンピシャの日時でなくても楽しめますし、なにより二つの明るい星を基準に順行や逆行をじっくり観察できる格好の機会。天空のゆったりした変化をぜひお楽しみください。

【三天体がGL上に並ぶ日時】
日時(JST)離角(°)
1912年5月22日 13:256.77
1914年4月23日 19:286.05
1927年6月1日 9:026.92
1929年5月6日 19:246.43
1944年5月17日 7:526.67
1945年11月2日 6:576.94
1946年1月11日 0:383.30
1946年4月14日 2:095.70
1959年5月27日 14:086.84
1961年4月30日 0:186.25
1974年6月5日 3:156.97
1976年5月11日 16:506.56
1978年2月10日 7:243.17
1978年3月29日 19:375.05
1991年5月22日 14:046.76
1992年11月20日 8:036.09
1992年12月13日 21:184.65
1993年4月21日 23:386.00
2006年5月31日 11:446.91
2008年5月5日 12:276.41
2023年5月17日 6:286.66
2025年1月17日 23:253.13
2025年4月11日 13:135.61
2038年5月26日 16:126.84
2040年4月28日 11:526.22
2053年6月4日 6:406.97
2055年5月11日 12:316.54
2057年2月19日 23:003.42
2057年3月23日 12:334.76
2070年5月21日 14:146.75
2071年11月13日 20:586.48
2071年12月25日 17:574.01
2072年4月20日 2:155.94
2085年5月30日 14:466.91
2087年5月5日 4:266.39
【三天体が二等辺三角形になる日時】
日時(JST)GLからの
方向角(°)
1913年12月4日 22:5813.02
1913年12月26日 19:2586.84
1914年4月13日 2:1751.52
1914年4月16日 9:3433.59
1946年1月7日 2:45-12.79
1946年1月26日 17:3396.05
1946年3月28日 23:5367.72
1946年4月8日 16:0820.33
1978年2月4日 4:58-17.20
1978年3月26日 18:167.70
1992年12月14日 17:272.42
1993年1月3日 14:3591.14
1993年4月10日 6:5355.21
1993年4月15日 0:2530.38
2025年1月13日 13:42-15.17
2025年2月3日 18:4295.44
2025年3月24日 5:4371.48
2025年4月6日 10:4418.01
2057年2月12日 13:02-15.72
2057年3月21日 18:243.79
2071年12月23日 15:35-4.14
2072年1月11日 17:2993.92
2072年4月7日 9:2958.43
2072年4月13日 11:2527.73

  • 「GL上に並ぶ」表ではGL上を火星が通過する瞬時をを計算しました。離角欄はポルックス・火星間の離角で、7°以内の場合のみセレクトしてあります。離角を問わなければもっとたくさんの機会があります。
  • 「二等辺三角形になる」表の「GLからの方向角」とは、カストル→ポルックスの方向角を基準にして測った火星の方向角。正の数値はGLより西側に火星がいる場合です。90°に近ければ火星・ポルックス・カストルの三角形はほぼ直角二等辺三角形に見え、また0°に近いと「GL上に並ぶ」状態ということです。
  • いずれも自作プログラムによる計算で、期間は1900年始めから2100年末まで。惑星位置や離角は地心基準ですから、地上からの観察では若干変化します。
  • 当初公開していたデータに僅かな狂いがあったため、あらためて計算し直してあります。ご了承ください。


今日の太陽2024/11/03

20241103太陽
昨日は一日雨。夜になって徐々に回復し、未明から明け方は曇りと快晴とが交互に繰り返す空でした。朝からは穏やかに晴れています。

20241103太陽リム
左は9:30ごろの太陽。北半球の大きな黒点は太陽フィルター越しに肉眼で見えるようになりました。大きさがこのままなら4、5日は見え続けると思われます。活動領域数は減ったけれどなぜか賑やかに感じますね。立派なダークフィラメントやプロミネンスがあちこちに見えるからでしょうか。こんな日々が続くと楽しい。

“おうし座”をゆく紫金山・アトラス彗星2024/11/04

20241103_C/2023A3
穏やかに晴れた昨日は午後になって透明度が下がったのを感じました。雲はほとんど無いけれど、星空の煌めきは若干落ちるかも…。そう思いつつも、宵の紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)を捉まえる準備を始めます。左はその結果。透明度はともかく、一片の雲もなく今までで一番安定した晴れ間だったかも知れません。

街中からは肉眼ではもちろん双眼鏡でも見つけられませんでした。近くの星仲間も5cmで見えなかったそうです。計算上は5等台ですが、光害や霞などの影響があると見えなくなるレベルに下がったのでしょう。

20241103_C/2023A3の位置
ところで彗星位置を星図を見ると“おうし座”にいることが判明しました。「いやいや違うよ、まだへびつかい座を出てないよ」という声が聞こえてきそうです。ここで言うおうし座とは「ポニアトフスキーのおうし座」(→wiki)のこと。周囲の配置が本家おうし座にそっくりです。ご丁寧に「すばる」に相当する位置に散開星団IC4665もあります。

本家でヒアデスと呼ばれているV字形(おうしの顔のところ)に昨夜の彗星がTA彗星がいた、というお話し。この近くには見かけの固有運動が全天一を誇るバーナード星もいます。光害で星が全く見えず手探りで撮った右画像にもちゃんと写っていました。

20170603ポニアトフスキーのおうし座
【追記】
同じ市内ですが、条件の良いときに撮影したポニアトフスキーのおうし座(2017年6月撮影)。天の川の西縁ですから微光星がたくさんです。こんな低倍率でも、7年半の間にバーナード星が北へ動いたことが分かるでしょう。

20241104木星
【追記2】
仮眠後に木星を観察。撮影始めは本当に11月なのかと疑うほどシーイングが良くてワクワクしましたが、8ロールほど撮影した頃から画面が急に暗くなりました。何だろうと空を見るといつの間にか波状雲がかかり始めていたのです。大赤斑の出始めでもう少しコマ数を稼ぎたかったため、トータル40分も粘りましたが、雲が無いところでもシーイングの乱れが残っており、小刻みに震えています。

結局不良の5カットを捨て、17カットで仕上げたけれど、それでも締まりが悪い。最終的に最初の7コマのみで仕上げたものが一番良い像になりました(左画像)。だめなものはいくら重ねてもだめですね。