春霞に負けない水星の尾 ― 2025/03/15
昨夕は春霞で低空がくすんでいたけれど、かなり低くなった金星と水星を探しました。狙いは「水星のナトリウムの尾」を捕らえることです。一週間前にもトライしましたが、このときは尾が見易い条件に達してなかったため、確認できませんでした。
日没後すぐ金星を頼りに水星を探すと、貧相な姿が見えてきました。周囲が暗くなるのをゆっくり待てるほど高度はありませんが、尾は薄暮中になかなか見えないため、バランスが大事。頃合いを見て30秒×30コマほど撮影。このときPCモニターでは水星本体以外全く見えませんでした。
部屋に戻ってゴリゴリに画像処理すると、驚くほどの見事な尾が!左画像では約25分角の尾が写っており、周囲の恒星も10等近くまで確認できます。空が縞模様になっているのは電線の隙間から撮っているためです。撮影開始時の水星高度は7°、濃い春霞、標高わずか数十メートルの関東平野からの撮影…と言った悪条件オンパレードを加味するなら、とても明るい尾だったのではないかと想像できます。1000m級の山で見たらNaナローバンドフィルター無しで数度の尾が写ったかも知れませんね。
右図は撮影時におけるナトリウムの尾のシミュレーション(計算は自作プログラム/表示はステラナビゲーター)。尾の長さを0.03AUと仮定しています。白い四角は撮影範囲です。長さこそ足りませんが、尾の向きは完全に一致していますね。
今回はタイミングがとても良かったと思います。撮影時で計算すると、TAA(真近点角/True Anomaly Angle)は58.735°。尾が最も明るいとされる65°付近に極めて近かったのです。東方最大離角が3月8日だったのでまだ一週間しか経っていないことも幸いでした。叶わぬ夢だけれど、いつか高い山の透き通るような空でこの尾を見てみたい…。
東を見ると満月が昇ってました。黄砂のような空のくすみ具合で、一面が真黄色です。日本では半影食でしたが、天リフさんによるチリリモートの皆既月食ライブを見なから観測気分に浸ります。
日付が変わる1時間あまり前に満月を撮影(左画像)。月の周りにはスギ花粉による光環が見えました。満月瞬時は過ぎているため、右リムが僅かに欠け始まっていますよ。フンボルト・クレーターチェーンが見えそうでしたが、期待したほどシーイングは良くありませんでした。
先日着陸成功したブルーゴーストからは「地球による日食」が見えたとのこと(記事末追記参照)。行く行くは地上と月面とで「日食月食同時中継」も夢ではなくなるでしょう。長生きしなくちゃね。
日没後すぐ金星を頼りに水星を探すと、貧相な姿が見えてきました。周囲が暗くなるのをゆっくり待てるほど高度はありませんが、尾は薄暮中になかなか見えないため、バランスが大事。頃合いを見て30秒×30コマほど撮影。このときPCモニターでは水星本体以外全く見えませんでした。
部屋に戻ってゴリゴリに画像処理すると、驚くほどの見事な尾が!左画像では約25分角の尾が写っており、周囲の恒星も10等近くまで確認できます。空が縞模様になっているのは電線の隙間から撮っているためです。撮影開始時の水星高度は7°、濃い春霞、標高わずか数十メートルの関東平野からの撮影…と言った悪条件オンパレードを加味するなら、とても明るい尾だったのではないかと想像できます。1000m級の山で見たらNaナローバンドフィルター無しで数度の尾が写ったかも知れませんね。
右図は撮影時におけるナトリウムの尾のシミュレーション(計算は自作プログラム/表示はステラナビゲーター)。尾の長さを0.03AUと仮定しています。白い四角は撮影範囲です。長さこそ足りませんが、尾の向きは完全に一致していますね。
今回はタイミングがとても良かったと思います。撮影時で計算すると、TAA(真近点角/True Anomaly Angle)は58.735°。尾が最も明るいとされる65°付近に極めて近かったのです。東方最大離角が3月8日だったのでまだ一週間しか経っていないことも幸いでした。叶わぬ夢だけれど、いつか高い山の透き通るような空でこの尾を見てみたい…。
東を見ると満月が昇ってました。黄砂のような空のくすみ具合で、一面が真黄色です。日本では半影食でしたが、天リフさんによるチリリモートの皆既月食ライブを見なから観測気分に浸ります。
日付が変わる1時間あまり前に満月を撮影(左画像)。月の周りにはスギ花粉による光環が見えました。満月瞬時は過ぎているため、右リムが僅かに欠け始まっていますよ。フンボルト・クレーターチェーンが見えそうでしたが、期待したほどシーイングは良くありませんでした。
先日着陸成功したブルーゴーストからは「地球による日食」が見えたとのこと(記事末追記参照)。行く行くは地上と月面とで「日食月食同時中継」も夢ではなくなるでしょう。長生きしなくちゃね。
【追記:BLUE GHOSTから見た地球による日食】
各種ニュースやtweetでも流れてますが、BLUE GHOSTから見た地球による日食をGIF動画として掲載しておきます(ソースおよびクレジット:Firefly Aerospace)。搭載カメラが広角なので、日食の詳細までは分かりません。ベイリービーズのように見えるのは何でしょうか?地球は大気層があるので、月による日食のようなベイリービーズはできないはず。そもそも月から見た地球視直径は太陽視直径の3.4倍ほどもありますからね。雲の頭頂部などが光っているのかも知れません。
ところでこの動画を見て違和感を覚えました。太陽が左側からやってくる地球に隠されているような時系列なのです。月から見ると、太陽は約一ヶ月かけて東から西へ天球を一周しますが、地球は秤動の幅しか動きません。ですので、太陽のほうが速く移動し、今回は地球を北から南へ貫きつつ日没へ向かうと思っていたのです。
BLUE GHOSTからどんな日食が見えるのか、自作プログラムにより14日2時UTから13時UTまで一時間おきにシミュレートしてみたのが右図。BLUE GHOSTのランディング・ポイントは大雑把ながらNASAのこの資料によります。昨日から今日にかけて経度秤動はマイナスへ変化しており、地球から見た危難の海は東の縁へ追いやられる方向へ回っています。逆に危難の海にいるBLUE GHOSTからは地球が西(右)へ向かうように見えるはずなので、図の時系列は合っていると思われます。前述した「左から地球がやって来て…」というのは確かにその通りになってますね。ただ、地球と太陽の速度差がピンときません。
突貫プログラムなので細部が間違っているかも知れませんし、BLUE GHOSTのカメラが正しく水平を保持しているとも思えませんが、時系列はやはり太陽が上(地球の北側)から下へ貫く感じですね。うーむ、動画の順番が逆再生になってる気がします。どなたか詳細をご存知の方がいらっしゃったら教えていただきたいです。
【追記2】
上記のシミュレートを30分おきの計算図から動画にしてみました。時間と共に地球の北側に太陽が隠れ、右下側へすり抜けてゆくことが分かりますね。
ちなみにニュースやツイートなどで出回っているBLUEGHOST日食画像(ダイヤモンドリング風のもの)は4:30EDT=8:30UTCに撮影されたとのことで、このシミュレートとも一致してます。
各種ニュースやtweetでも流れてますが、BLUE GHOSTから見た地球による日食をGIF動画として掲載しておきます(ソースおよびクレジット:Firefly Aerospace)。搭載カメラが広角なので、日食の詳細までは分かりません。ベイリービーズのように見えるのは何でしょうか?地球は大気層があるので、月による日食のようなベイリービーズはできないはず。そもそも月から見た地球視直径は太陽視直径の3.4倍ほどもありますからね。雲の頭頂部などが光っているのかも知れません。
ところでこの動画を見て違和感を覚えました。太陽が左側からやってくる地球に隠されているような時系列なのです。月から見ると、太陽は約一ヶ月かけて東から西へ天球を一周しますが、地球は秤動の幅しか動きません。ですので、太陽のほうが速く移動し、今回は地球を北から南へ貫きつつ日没へ向かうと思っていたのです。
BLUE GHOSTからどんな日食が見えるのか、自作プログラムにより14日2時UTから13時UTまで一時間おきにシミュレートしてみたのが右図。BLUE GHOSTのランディング・ポイントは大雑把ながらNASAのこの資料によります。昨日から今日にかけて経度秤動はマイナスへ変化しており、地球から見た危難の海は東の縁へ追いやられる方向へ回っています。逆に危難の海にいるBLUE GHOSTからは地球が西(右)へ向かうように見えるはずなので、図の時系列は合っていると思われます。前述した「左から地球がやって来て…」というのは確かにその通りになってますね。ただ、地球と太陽の速度差がピンときません。
突貫プログラムなので細部が間違っているかも知れませんし、BLUE GHOSTのカメラが正しく水平を保持しているとも思えませんが、時系列はやはり太陽が上(地球の北側)から下へ貫く感じですね。うーむ、動画の順番が逆再生になってる気がします。どなたか詳細をご存知の方がいらっしゃったら教えていただきたいです。
【追記2】
上記のシミュレートを30分おきの計算図から動画にしてみました。時間と共に地球の北側に太陽が隠れ、右下側へすり抜けてゆくことが分かりますね。
ちなみにニュースやツイートなどで出回っているBLUEGHOST日食画像(ダイヤモンドリング風のもの)は4:30EDT=8:30UTCに撮影されたとのことで、このシミュレートとも一致してます。
久しぶりの水星 ― 2025/03/08
昨夕から夜半前まで薄雲が増えつつも晴れ間がありました。昼間吹いていた強風は徐々に収まってきたものの、天頂近くまでシーイングが乱れまくっていました。
ちょうど夕空に金星と水星が並んでいたので、久しぶりに水星の尾を捉えるべく望遠鏡を向けました。今期の宵側は東方最大離角(本日8日)の後から尾が見やすい時期へ移行する絶好のタイミング(→アーカイブ「水星の尾の見頃」参照)。昨宵時点ではまだ見やすいとは言えませんでしたが、一応撮っておくことにした次第。
金星も拡大撮影する予定だったため焦点距離を長めにした影響か、尾があるのかないのか分かりません(左画像)。あるとすれば方向角60°付近(画像の10時方向)です。強めの処理をするとモヤッと明るいですが、フィルターゴーストとか別の可能性もあります。元々まだ尾が光る時期に入ってないから、この程度でも仕方ありませんね。また晴れたら望遠鏡を向けてみましょう。
念のために書くと、水星のナトリウムの尾は常に出ていますが、光って見えるかどうかは太陽との相対速度に依存します。地上から観たとき「太陽から離れている」「高度がある」「光度がある」という三条件が揃う時期と、尾が光る条件というのは全く別の周期。今期は3月9日の週、中ごろまでです。後になるほど尾は輝くけれど、水星の高度や光度がどんどん下がります。ご覧になりたい方はチャンスを逃さないようにしましょう。この後金星も撮ったのですが、あまりのシーイングの酷さでボツ。もう内合が近いため、日没後の撮影は難しいですね。
米国月面探査機「Blue Ghost」に続いて7日2:30JSTごろ月面南極域に着陸したIntuitive Machines社の民間探査機「Athena」でしたが、ファーストミッションに続きまたも横転してしまい、太陽発電がままならず電池切れでミッション終了が告げられました。失敗は残念ですが、ここから多くを学んで欲しいものです。
昨夜の月に望遠鏡を向けると、あまりの悪シーイングに具合が悪くなるほどでした。一応撮ってみたもののうまくスタックしてくれません。偽模様だらけで不完全ですが右に掲載します。7日21:40頃の撮影で、太陽黄経差は約100.63°、撮影高度は約49.02°、月齢は7.49。見ごろを過ぎて明るくなったけれど月面X&LOVE地形が確認できます。画像下側・欠け際ギリギリにAthenaの着陸地点も写っていますよ。
14日の満月は南北アメリカを中心に月食が見られます。日本は北海道や東日本の一部で月出帯食(部分食の最後)となります。また19時JSTごろまでは全国的に半影食の状態が続いています。薄暮のころ昇った月を見ると上側(本影に近い側)が少し暗く感じるかも知れません。晴れたら観察してみましょう。
ちょうど夕空に金星と水星が並んでいたので、久しぶりに水星の尾を捉えるべく望遠鏡を向けました。今期の宵側は東方最大離角(本日8日)の後から尾が見やすい時期へ移行する絶好のタイミング(→アーカイブ「水星の尾の見頃」参照)。昨宵時点ではまだ見やすいとは言えませんでしたが、一応撮っておくことにした次第。
金星も拡大撮影する予定だったため焦点距離を長めにした影響か、尾があるのかないのか分かりません(左画像)。あるとすれば方向角60°付近(画像の10時方向)です。強めの処理をするとモヤッと明るいですが、フィルターゴーストとか別の可能性もあります。元々まだ尾が光る時期に入ってないから、この程度でも仕方ありませんね。また晴れたら望遠鏡を向けてみましょう。
念のために書くと、水星のナトリウムの尾は常に出ていますが、光って見えるかどうかは太陽との相対速度に依存します。地上から観たとき「太陽から離れている」「高度がある」「光度がある」という三条件が揃う時期と、尾が光る条件というのは全く別の周期。今期は3月9日の週、中ごろまでです。後になるほど尾は輝くけれど、水星の高度や光度がどんどん下がります。ご覧になりたい方はチャンスを逃さないようにしましょう。この後金星も撮ったのですが、あまりのシーイングの酷さでボツ。もう内合が近いため、日没後の撮影は難しいですね。
米国月面探査機「Blue Ghost」に続いて7日2:30JSTごろ月面南極域に着陸したIntuitive Machines社の民間探査機「Athena」でしたが、ファーストミッションに続きまたも横転してしまい、太陽発電がままならず電池切れでミッション終了が告げられました。失敗は残念ですが、ここから多くを学んで欲しいものです。
昨夜の月に望遠鏡を向けると、あまりの悪シーイングに具合が悪くなるほどでした。一応撮ってみたもののうまくスタックしてくれません。偽模様だらけで不完全ですが右に掲載します。7日21:40頃の撮影で、太陽黄経差は約100.63°、撮影高度は約49.02°、月齢は7.49。見ごろを過ぎて明るくなったけれど月面X&LOVE地形が確認できます。画像下側・欠け際ギリギリにAthenaの着陸地点も写っていますよ。
14日の満月は南北アメリカを中心に月食が見られます。日本は北海道や東日本の一部で月出帯食(部分食の最後)となります。また19時JSTごろまでは全国的に半影食の状態が続いています。薄暮のころ昇った月を見ると上側(本影に近い側)が少し暗く感じるかも知れません。晴れたら観察してみましょう。
最大光輝を迎えた金星と5グループのこと ― 2025/02/16
金星は昨日15日に最大光輝を迎えました。以前にも取り上げましたが、現在の「最大光度」は主に2通りの計算が出回っています。ひとつは「輝面積が最大になる日時」、もうひとつは「計算光度式が極大になる日時」。また、計算光度式も2022年ごろから改訂された新方式の他に、いまだに旧方式のままのものも散見されて混乱を招いています。
国立天文台や天文年鑑の発表値は「輝面積最大」に基づくもので、かつて最大光輝と呼ばれていたもの。当サイトでは区別がつくように今も光輝と光度を分けて使っています。光輝は古い言い方だと言う訳ではなく、そもそもの定義が違うのです。
今期の最大光輝瞬時は2月15日8:30:53JSTごろで-4.863等でした。また2月19日21:47ごろになっている表記は「計算光度式極大」に基づいており、-4.873等です。旧方式での極大は2月16日18:07ごろで、-4.636等などとなっているでしょう(2022年2月8日記事参照)。アストロアーツサイトの現象カレンダーは前回まで旧方式極大でしたが、ようやく今回からは輝面積最大・新方式になったようです。どなたかが指摘したのかな?
左上画像は昨夕撮影したもの。少し風があったためベランダ撮影です。昼間から良く見えていました。また、下A画像は一緒に撮影した土星。まだ薄暮が明るい時間ですが高度は13°しかなく、ファインダーでやっと見える程度。低空に薄雲もあってボケボケでした。環がすっかり細くなりましたが、まだそれなりに傾斜があります。
ところで、2月の宵空で金星が最大光輝を迎えるのは2017年や2009年にも起こっています。偶然ではなく、金星と地球との会合周期は短期間で見ると高々五つのパターンに分けられてしまうからです(国立天文台・暦Wikiの記事参照)。分かり易いように、各最大光輝をその年の1月1日から何日経ったか計算し、円グラフにプロットしてみたのが下B図。綺麗に分かれましたね。次回は2033年ですよ。この5グループは少しずつドリフトしながら、隣のグループへと遷移します。同様の5グループ分けは最大離角、内合、外合、宵空や明け空に描く移動パターンなどにも見られますから調べてみてください。
参考:
ゆっくりやって来た金星外合(2022/10/22)
今季初の宵の明星を確認(2021/04/26)
とても太陽に近かった金星の内合(2020/06/05)
国立天文台や天文年鑑の発表値は「輝面積最大」に基づくもので、かつて最大光輝と呼ばれていたもの。当サイトでは区別がつくように今も光輝と光度を分けて使っています。光輝は古い言い方だと言う訳ではなく、そもそもの定義が違うのです。
今期の最大光輝瞬時は2月15日8:30:53JSTごろで-4.863等でした。また2月19日21:47ごろになっている表記は「計算光度式極大」に基づいており、-4.873等です。旧方式での極大は2月16日18:07ごろで、-4.636等などとなっているでしょう(2022年2月8日記事参照)。アストロアーツサイトの現象カレンダーは前回まで旧方式極大でしたが、ようやく今回からは輝面積最大・新方式になったようです。どなたかが指摘したのかな?
左上画像は昨夕撮影したもの。少し風があったためベランダ撮影です。昼間から良く見えていました。また、下A画像は一緒に撮影した土星。まだ薄暮が明るい時間ですが高度は13°しかなく、ファインダーでやっと見える程度。低空に薄雲もあってボケボケでした。環がすっかり細くなりましたが、まだそれなりに傾斜があります。
ところで、2月の宵空で金星が最大光輝を迎えるのは2017年や2009年にも起こっています。偶然ではなく、金星と地球との会合周期は短期間で見ると高々五つのパターンに分けられてしまうからです(国立天文台・暦Wikiの記事参照)。分かり易いように、各最大光輝をその年の1月1日から何日経ったか計算し、円グラフにプロットしてみたのが下B図。綺麗に分かれましたね。次回は2033年ですよ。この5グループは少しずつドリフトしながら、隣のグループへと遷移します。同様の5グループ分けは最大離角、内合、外合、宵空や明け空に描く移動パターンなどにも見られますから調べてみてください。
参考:
ゆっくりやって来た金星外合(2022/10/22)
今季初の宵の明星を確認(2021/04/26)
とても太陽に近かった金星の内合(2020/06/05)
久しぶりに仰ぐ月 ― 2025/02/12
昨夜から今朝にかけて、本当に久しぶりに風が収まった静かな夜になりました。と言っても暗くなるまで狂ったように風が吹いていたため、宵空の金星や木星は観察できず。夜半に天頂を越した火星と月を眺めました。近くのアメダスによる10日の最低気温は-5.2度、11日は-5.4度、そして昨夜(今朝方)はついに-7.2度。当地では滅多に出ない低温でした。
左画像は12日1時頃の撮影で、太陽黄経差は約169.28°、撮影高度は約61.76°、月齢は13.14。満月の約22時間前です。12日夜の天気は悪い予報のため、前夜の月が拝めて良かった…。
酔ってしまいそうなシーイングでしたが、久しぶりの月にときめき、隅から隅まで眺めました。南側が良く見え、バイイが堂々としていますね。南の海もかなり奥まで見えています。グリマルディの近くにはすっかり明るくなった月面A地形が見えています。ダーウィンのドームがぽこっと浮き出ていてベストタイミングでした。
左は12日になったばかりのころ撮影した火星。視直径は12.7″角を下回り、私の貧弱な望遠鏡では模様の描写が難しくなってきました。ちょうど大シルチスが正面、左際に子午線湾が朝を迎えています。子午線湾が正面の頃に見たかったけれど毎晩のように強風で望遠鏡を出せなかったのが残念。
火星はカストルとポルックスを二分する線に近づいており、一週間後あたりには火星を頂角としたとんがり帽子の二等辺三角形になるでしょう。穏やかな夜があるといいな。
左画像は12日1時頃の撮影で、太陽黄経差は約169.28°、撮影高度は約61.76°、月齢は13.14。満月の約22時間前です。12日夜の天気は悪い予報のため、前夜の月が拝めて良かった…。
酔ってしまいそうなシーイングでしたが、久しぶりの月にときめき、隅から隅まで眺めました。南側が良く見え、バイイが堂々としていますね。南の海もかなり奥まで見えています。グリマルディの近くにはすっかり明るくなった月面A地形が見えています。ダーウィンのドームがぽこっと浮き出ていてベストタイミングでした。
左は12日になったばかりのころ撮影した火星。視直径は12.7″角を下回り、私の貧弱な望遠鏡では模様の描写が難しくなってきました。ちょうど大シルチスが正面、左際に子午線湾が朝を迎えています。子午線湾が正面の頃に見たかったけれど毎晩のように強風で望遠鏡を出せなかったのが残念。
火星はカストルとポルックスを二分する線に近づいており、一週間後あたりには火星を頂角としたとんがり帽子の二等辺三角形になるでしょう。穏やかな夜があるといいな。