準消失でも環が見えている土星2025/11/25

20251124土星
計算上では24日夜から25日朝の土星の環の傾斜が夏以降では最小になります。「もしかしたらほとんど見えないのでは?」という期待を込めて準消失などと言われたものの、実際はしっかり見えていました。

昨夕から西空に雲が湧き始め、次第に広がってきました。日の入り前に先行してやって来た薄雲が空の半分を覆っています。雲間からでも確認したいと思い、日没ごろから望遠鏡をセットして外気に慣らしておきました。薄明が終わりかけの頃から運良く雲間が続いたので撮影強行。所定のロール数を撮り終えた1分後に全天雲に覆われると言う間一髪な有り様でした。

シーイングが良いときと悪いときが半々くらい。撮影始めと終わり頃がよく見えていました。環は22日の観察と全く変わらず。当初想像していた明るさよりずっと暗いものの、眼視・写真ともはっきり見えてました。環の横幅や本体視直径は22日の画像より若干小さくなってます。

2025土星の環の傾斜
11月25日以降は徐々に環の傾斜が(マイナス側に)大きくなる、つまり太陽光が当たっている環の南面がより広く見えてきます。とは言えすぐ大きくなるわけではないので、準消失の状態は向こう半月ほど続くと思われます。小口径や悪シーイング下での観察だと棒のような環がかき消えてしまうかも知れません。

いっぽう太陽から見た環の傾斜=環から見た太陽高度は5月6日UT以降着々と大きくなっています(右図参照)。12月10日UTには4°に達し、これは環面と本体赤道帯付近の明るさがかなり近くなる時期であることを意味します。実際の環がいつごろから本体より明るいと感じるか、引き続き観察してみましょう。なお土星は2026年3月25日に黄経の合を迎えます。2月中旬には西空で薄暮時高度が20°を切りますから、チャンスを逃さないようにしてくださいね。

2025夏〜秋の土星
【追記】
6月28日から11月24日までに撮影した土星を抜粋してGIFアニメにしてみました。本体の大きさ、環の見え方や明るさ、影のつき方などの変化をお楽しみください。

【準消失が「だれでも見えた」と言えるかどうか】
亜熱帯天文台ブログさんの記事によると、大小様々に用意した望遠鏡のどれでも環が確認できたとのこと。こうした眼視による実戦記事はほんとうに素晴らしいです。画像にするといくらでも増感できてしまうし、シーイングも均されてしまいますからね。私が疑問なのは「土星と知らない人が細い環の存在に気付けるか」ということ。観測に慣れた人が「そこに環があるはず」と思って目を凝らしてしまうから見えるのであって、全くの初心者が予備知識無しで小口径で発見できる明るさ(解像度)だったかどうかは、試してみないと分からないでしょう。


環の準消失2日前の土星2025/11/23

20251122土星
昨夜は天気が下り坂でしたが、宵のうち雲が少なめだったので、いつもより20分早く土星観察を強行。無事画像におさめることができました。

天気の変わり目はシーイングが悪いことが多いけれど、極く稀に“嵐の前の静けさ”のごとく素晴らしく良いときもあります。昨宵は後者で、目を疑ったほどでした。時々雲の通過があって乱れるけれど、それさえやり過ごせば素晴らしい見え味。もう初冬に近いのに有り難いことです。ひととおり撮影が終わるころから一気に雲が増えました。

20251121土星
環の明るさは20日撮影の頃と全く変わりません。度々言ってきたように、薄いためにシーイングの影響を受けやすく、肥大して暗く感じてしまうようです。これは眼視でも画像でもそうなりますね。内合時の金星を見ている感覚に近いと思いました。参考までに、右は前日21日宵の撮影。22日宵よりも良い天気なのにシーイングは最悪に近い状態でした。機材・撮影方法や画像処理は全く同様なのに環が暗いですし、本体模様もボケてます。

明後日には計算上「最薄」になります。天気が思わしくありませんが、ひと目だけでも拝みたいものです。

20-21日の土星と恒星間天体ATLAS彗星2025/11/21

20251120土星
昨宵も晴れたので日暮れと共に望遠鏡をセット。土星に向けました。気流は前日ほど乱れてなくて、時々大きく震える以外は比較的落ち着いたシーイング。

左は撮影中央時刻が18:42、50分強で30シーンのデローテーション。前日悩まされたADCトラブルは、何度か大きく回したあとで調整したらうまくいきました。赤道帯・北側に出ていたアーティファクトも消えてます。あれは何だったのだろう…?

シーイングが良かった15日撮影と比べても遜色なく、本体模様が良く出てくれました。環の明るさはほとんど変わりません。人によって暗く感じたりしているようですが、薄さに対して望遠鏡の解像度が不足したりシーイングが悪いせいと思われます。星像が太るほど暗くなりますからね。でもまぁ長期に渡って細い環を確かめられるのは今年の特権ですから、大いに楽しみましょう。

このまま完全消失することなく24-25日を過ぎて行くのでしょう。それにしても衝の頃から比べて小さくなりました。光度も落ちつつあるため、フレームの露出を数ミリ秒長くしたりゲインを微調整して対処しています。

仮眠後、今度は明け方に高くなってきた恒星間天体・ATLAS彗星(3I)を撮影しました。以前撮影した7月下旬ころは本当に暗い恒星状でしたが、今回は彗星らしさが出ています。明確にATLAS彗星と言っていいんじゃないかと思います。

下A・B画像はFが大きい望遠鏡で街中の光害地からの撮影のため明瞭ではありませんが、2時方向に淡く伸びるメインの尾、8時方向に短く伸びた明るめのアンチテイルが出ています。核を中心に近傍が異様に明るく、その外周を包む緑色のコマも発達していますね。Michael Jaegerさんの画像などを見ると、下画像の対角の2倍以上イオンテイルが伸びているようです。

最大光度からは10日あまり過ぎたけれど、12月19日UTに地球に接近するころが大きな見せ場になりそうです。高度もぐんぐん上がるからとても観察しやすいでしょう。どんな姿になるか楽しみですね。

  • 20251121ATLAS彗星(3I)

    A.3I/ATLAS
  • 20251121ATLAS彗星(3I)

    B.3I/ATLAS(白黒反転)


環の準消失5日前の土星2025/11/20

20251119土星
昨夜は透明度が悪い快晴。夜半前には雲が多くなってしまいました。

18時台に土星に望遠鏡を向けてみたけれどシーイングはすこぶる悪い印象でした。でも環はしっかりと見えています。前回15日に見たときより若干暗いと感じました。それがシーイングの影響なのか、それとも実際暗いのかは分かりません。画像にすると環が太ってしまい、本体の細かい筋模様もはっきりしません。ちょうど冬の悪シーイングで星を撮ると太ってしまう、あの感じです。それほど薄い環になってると言うことなんでしょう。

ADCの調子も悪く、いくら調整しても色ズレしてしまいます。う〜ん、どうしたものか。