どこへゆく、恒星間天体3I/アトラス ― 2025/07/15
二度あることは三度ある…。古の諺どおり、三つ目の恒星間飛行天体「3I/ATLAS」が7月始めに発見されました。軌道要素もだいぶ収束したので、現時点の計算を元に色々な側面を探ってみましょう。発見前に「A11pl3Z」、確定後は「3I/ATLAS」「C/2025 N1」「アトラス天体」などの呼称もありますが、本記事では3Iアトラスに統一します。「さんじゅういちアトラス」ではなく「さんあいアトラス」。英語の「I」はInterstellar(恒星間)のイニシャル。
自作プログラムでたくさん図を描きました。軌道要素は7月14日3時UT時点のIAU最新値。また星図ベースはステラナビゲーターによります。みなさんの理解の手助けになれば幸いです。
仮に3天体が同じ平面を運動するとして、統一スケールで軌道を描くと下A1図のようになるでしょう。短周期で太陽を回るハレー彗星も入れてみました。3天体の軌道はいずれもぶっ飛んでますが、太陽にどれだけ近づいたかで冒頭グラフの中央盛り上がりに差が出るんだなと直感できますね。また2Iボリゾフより太陽に近づくのに3Iアトラスの軌道があまり曲がってないのは太陽系への進入速度が速すぎるせい。図の中で火星軌道に接してるように見える3Iアトラスですが、実はリアルでも接近します。下A2図は主な太陽系天体との距離を図化したもの。今年10月3日は火星に0.194AUまで接近、太陽系から去って行く来年3月16日には木星に0.359AUまで接近しちゃうみたい。
3Iアトラスは新幹線の700倍という高速度で太陽系に進入、太陽による重力アシストを得て、ほんのちょっと方向を変えて飛び去る天体だと分かりました。ちょうど探査機ボイジャーが惑星を使って飛行方向を変えた「スイングバイ」の技術にそっくり。遠くに棲む生命体が太陽系調査のために飛ばした巨大建造物、というトンデモ設定が脳裏に浮かんでしまいました。
軌道傾斜が約175°だから、地球公転面とほぼ平行に逆周りでやって来たことになります。今年いっぱいは黄道に沿ってしし座やかに座まで逆行。来春以降はふたご座の方向へ収束してゆきます。いつか別の恒星圏に捉まることはあるのでしょうか?なお他の2天体がやって来た方向や向かう先はそれぞれ1Iオウムアムアの記事と2Iボリゾフの記事に掲載してあります。
参考までに、現在ボイジャー1・2号がどこにいるか確認しましょう。下C1・C2図として、惑星探査をしていた頃から2099年までの星図を示します(探査機位置のみJPL-HORIZONSによる計算)。1号はへびつかい座の頭のほうへ、2号は南天のくじゃく座のほうへ向かっています。バネを伸ばしたような経路図になるのは、地球公転による視位置変化を反映しているからです。
7月15日0時UT時点で1号は太陽から167.5883AU、2号は140.2299AUまで遠ざかりました。ボイジャーも太陽系に戻ることはないので、人工の恒星間飛行天体です。方向は違うけれど、4倍近い速度で追い上げる3Iアトラスは2041年5月に2号と同じ距離に到達、2045年3月には1号の距離も抜き去ります。さすがに速い。
3Iアトラスの光度ピークは近日点通過から10日後あたり。明け方の東空ですが、まだ太陽から30°くらいしか離れてないため、十分な撮影時間を確保できないまま夜が明けるかも知れません。時期を少し遅らすか、または夕方に見える初秋のうちに狙うと良いでしょう。ただし秋の宵は黄道が寝ているため、彗星も低めですからご注意。
それにしても三者三様で面白い。オウムアムアは光度ピーク時でも19等台でしたからアマチュアによる撮影や観測例はほとんど無いようです。2Iボリゾフは15等台以上になるころ南下して日本から見辛くなったけれど、2019年9月下旬から12月末の地球接近頃まで私の貧弱望遠鏡でも写りました。3Iアトラスは2Iボリゾフより条件が良いですから期待大。
3Iアトラスは一般的な地球接近小惑星などと比べたらかなり遅いけれど、機材によっては感度を上げた短露光速写テストやメトカーフ合成などの処理技術が必要になるため事前に備えておきましょう。似た光度の小惑星はたくさん飛んでますから、練習にどうぞ。機材限界に近い光度の移動天体で練習してください。大部分の時期で視認できる像になりませんから、像の芯を特定しないとAlignment不可能なPixInsightのような手法は全く使えないのでご注意。また8月下旬までは天の川を移動するので、撮影/合成位置が他の恒星と重ならないよう写真星図で対策を。
右のE図は3Iアトラスが天球上をどれくらいの速さで移動するかのグラフ。上のD3図に対応させると速度ピークが地球接近と密接に関係していることが分かるでしょう。計算できる方は撮影時期ごとに移動量がご自身の機材で1ピクセル程度に留まる時間を逆算し、一コマあたりの許容露出時間を見積もっておくといいですね。下に簡単な計算例を書いておきます。
見かけの速度ピークは2Iボリゾフのおおよそ1.5倍。いつ撮るか、どのような機材セッティングが良いかは天気や光害にもよるから、出たとこ勝負ですね。一コマでは全く見えないのに何十枚も撮ってメトカーフ合成すると浮き上がってくる、というワクワク感は暗い小惑星や彗星を追っている方なら経験があるでしょう。一晩の観察で無理だったとしても諦めることなく、試行錯誤を重ねてご自身の経験に反映させてください。暗い移動天体を撮ったことがない方は、この機会にぜひ。
前出の動画はキャプションに7月3日撮影と書いてありますが、背景の恒星から割り出すと4日7:08UTから13分間の撮影と分かります。尾の方向角が260°付近(ほぼ真西向き)から100°付近(ほぼ真東向き)へ大きく変化する終盤で、撮影時は約112°でした。でも映像を観る限り全く反対なので、アンチテイルを彷彿とさせます。無論、尾ではなく別の何かだと言う可能性も。
つまり、仮に尾が出ているとしても視線奥へ向かっているので推測し難く、尾の広がりやカーブが見え方を左右してしまう状況かも知れません。現状は小惑星のように写るそう。近日点距離が遠いため活発な彗星活動は期待できないけれど、短い尾でも出てくれたらきっと楽しい。
8年間で3例も見つかったら三度目の正直、もはや日常ですね。恒星間天体が今まで来なかったのではなく、観測網に引っかからなかっただけという気がします。ともあれせっかく飛来してるのですから、この暗いターゲットに望遠鏡を向けて挑戦してはいかがでしょうか。
自作プログラムでたくさん図を描きました。軌道要素は7月14日3時UT時点のIAU最新値。また星図ベースはステラナビゲーターによります。みなさんの理解の手助けになれば幸いです。
★実速度はどれくらい?
左上図は過去発見された「1I/オウムアムア」「2I/ボリゾフ」とともに3Iアトラスの太陽系に対する相対速度を描いたグラフ。基準は各天体が最も太陽に接近した日で、プラスマイナス360日間を比較しました。全体として3天体の中で3Iアトラスが一番速いのですが、オウムアムアが太陽に接近していた1ヶ月間ほどは負けてますね。これはオウムアムアが太陽に極めて近いところを通ったのに対し、3Iアトラスの近日点距離は地球軌道半径(1AU:天文単位)より遠いからです。仮に3天体が同じ平面を運動するとして、統一スケールで軌道を描くと下A1図のようになるでしょう。短周期で太陽を回るハレー彗星も入れてみました。3天体の軌道はいずれもぶっ飛んでますが、太陽にどれだけ近づいたかで冒頭グラフの中央盛り上がりに差が出るんだなと直感できますね。また2Iボリゾフより太陽に近づくのに3Iアトラスの軌道があまり曲がってないのは太陽系への進入速度が速すぎるせい。図の中で火星軌道に接してるように見える3Iアトラスですが、実はリアルでも接近します。下A2図は主な太陽系天体との距離を図化したもの。今年10月3日は火星に0.194AUまで接近、太陽系から去って行く来年3月16日には木星に0.359AUまで接近しちゃうみたい。
3Iアトラスは新幹線の700倍という高速度で太陽系に進入、太陽による重力アシストを得て、ほんのちょっと方向を変えて飛び去る天体だと分かりました。ちょうど探査機ボイジャーが惑星を使って飛行方向を変えた「スイングバイ」の技術にそっくり。遠くに棲む生命体が太陽系調査のために飛ばした巨大建造物、というトンデモ設定が脳裏に浮かんでしまいました。
★どこから来てどこへ行く?
具体的にどこから来て、どこへ向かうのでしょう?他の恒星につかまりそうな何億年も前や未来は分かりませんが、数百年前後なら計算できます。下B1〜B3図は現在プラスマイナス45年の位置を星図に落とし込んだもの(地心計算)。B1図を見ると1980年ごろは発見位置から東にわずか22°しか離れていない、同じいて座にいました。星が密集する天の川をひたすら漕ぎ進んでいたのですね。軌道傾斜が約175°だから、地球公転面とほぼ平行に逆周りでやって来たことになります。今年いっぱいは黄道に沿ってしし座やかに座まで逆行。来春以降はふたご座の方向へ収束してゆきます。いつか別の恒星圏に捉まることはあるのでしょうか?なお他の2天体がやって来た方向や向かう先はそれぞれ1Iオウムアムアの記事と2Iボリゾフの記事に掲載してあります。
参考までに、現在ボイジャー1・2号がどこにいるか確認しましょう。下C1・C2図として、惑星探査をしていた頃から2099年までの星図を示します(探査機位置のみJPL-HORIZONSによる計算)。1号はへびつかい座の頭のほうへ、2号は南天のくじゃく座のほうへ向かっています。バネを伸ばしたような経路図になるのは、地球公転による視位置変化を反映しているからです。
7月15日0時UT時点で1号は太陽から167.5883AU、2号は140.2299AUまで遠ざかりました。ボイジャーも太陽系に戻ることはないので、人工の恒星間飛行天体です。方向は違うけれど、4倍近い速度で追い上げる3Iアトラスは2041年5月に2号と同じ距離に到達、2045年3月には1号の距離も抜き去ります。さすがに速い。
★光度と距離はどう変化する?
ここからは「私たちアマチュア天文家が3Iアトラスを観察できるのか?」という視点で見てみましょう。暗いけれど、手が届かないほどではありません。まず3天体の三要素(光度・日心距離・地心距離)を下D1〜D3図に示します。光度は地球や太陽との位置関係、天体表面の特性、位相角、彗星活動の有無などに左右されるのではっきりしませんが、計算値のみから判断すると15等台より明るくなる期間があり、良い時期に狙えば口径10-20cm・焦点距離長めの望遠鏡で写せると思われます。3Iアトラスの光度ピークは近日点通過から10日後あたり。明け方の東空ですが、まだ太陽から30°くらいしか離れてないため、十分な撮影時間を確保できないまま夜が明けるかも知れません。時期を少し遅らすか、または夕方に見える初秋のうちに狙うと良いでしょう。ただし秋の宵は黄道が寝ているため、彗星も低めですからご注意。
それにしても三者三様で面白い。オウムアムアは光度ピーク時でも19等台でしたからアマチュアによる撮影や観測例はほとんど無いようです。2Iボリゾフは15等台以上になるころ南下して日本から見辛くなったけれど、2019年9月下旬から12月末の地球接近頃まで私の貧弱望遠鏡でも写りました。3Iアトラスは2Iボリゾフより条件が良いですから期待大。
★見かけの移動は?
写真を撮る場合、実はこれが一番の問題。同程度の明るさでも、見かけの移動が速いほど写り難いのはご存知の通り。例えば地球接近小惑星や月へ向かう宇宙機などは移動が速く、一コマ1分露出しても対象の光が1ヶ所に1分溜まる訳ではありません。ものによっては数秒で隣のピクセルへ移ってしまうほど速いのです。暗いなら露出を伸ばせば良いと考えるのは高速移動天体を撮ったことがない人の「あるある思考」ですね。(→参考:月から帰還途中のアルテミス1・オリオン宇宙船の撮影例1、その2、その3。)3Iアトラスは一般的な地球接近小惑星などと比べたらかなり遅いけれど、機材によっては感度を上げた短露光速写テストやメトカーフ合成などの処理技術が必要になるため事前に備えておきましょう。似た光度の小惑星はたくさん飛んでますから、練習にどうぞ。機材限界に近い光度の移動天体で練習してください。大部分の時期で視認できる像になりませんから、像の芯を特定しないとAlignment不可能なPixInsightのような手法は全く使えないのでご注意。また8月下旬までは天の川を移動するので、撮影/合成位置が他の恒星と重ならないよう写真星図で対策を。
右のE図は3Iアトラスが天球上をどれくらいの速さで移動するかのグラフ。上のD3図に対応させると速度ピークが地球接近と密接に関係していることが分かるでしょう。計算できる方は撮影時期ごとに移動量がご自身の機材で1ピクセル程度に留まる時間を逆算し、一コマあたりの許容露出時間を見積もっておくといいですね。下に簡単な計算例を書いておきます。
【例:焦点距離1000mmの望遠鏡+ピクセルピッチ3.76μmセンサーで撮る場合】
- 直焦点なら1ピクセルあたり0.7756秒角の写野相当。
- ↑上の概算は ATAN(ピッチ÷焦点距離)で計算可能。必ず単位を揃えること。
- 7月中旬ならE図から見かけの天体移動は時速90秒角 = 秒速0.025秒角。
- 1ピクセルを越えない移動時間は 0.7756÷0.025 = 約31秒。
- 2ピクセルまで移動を許容するなら一コマあたり約1分で撮れば良い。
- 撮影後、移動に合わせてメトカーフ合成すると天体光が一ヶ所に集まる。
見かけの速度ピークは2Iボリゾフのおおよそ1.5倍。いつ撮るか、どのような機材セッティングが良いかは天気や光害にもよるから、出たとこ勝負ですね。一コマでは全く見えないのに何十枚も撮ってメトカーフ合成すると浮き上がってくる、というワクワク感は暗い小惑星や彗星を追っている方なら経験があるでしょう。一晩の観察で無理だったとしても諦めることなく、試行錯誤を重ねてご自身の経験に反映させてください。暗い移動天体を撮ったことがない方は、この機会にぜひ。
★尾は見える?
3Iアトラスが2Iボリゾフのように尾を伸ばすかどうか、まだ不明です。ESOが公開してるこのYoutube動画を見ると、コマ、あるいは短い尾みたいなものが形成されつつあるように感じます。右やや上向きに伸びた楕円形に見えるので、試しに3Iアトラスを彗星と仮定して尾の向きを計算してみました(左下F図)。尾は太陽と正反対に伸びる(変形しない)と仮定。「方向角(PA)」とは赤道座標系に倣って測る値で、0°が天の真北向き、90°が真東、180°が真南、270°が真西。多くの彗星がそうであるように、3Iアトラスの合や衝のタイミングで真南や真北を向き、その前後で短時間の大きな回転が発生します。前出の動画はキャプションに7月3日撮影と書いてありますが、背景の恒星から割り出すと4日7:08UTから13分間の撮影と分かります。尾の方向角が260°付近(ほぼ真西向き)から100°付近(ほぼ真東向き)へ大きく変化する終盤で、撮影時は約112°でした。でも映像を観る限り全く反対なので、アンチテイルを彷彿とさせます。無論、尾ではなく別の何かだと言う可能性も。
つまり、仮に尾が出ているとしても視線奥へ向かっているので推測し難く、尾の広がりやカーブが見え方を左右してしまう状況かも知れません。現状は小惑星のように写るそう。近日点距離が遠いため活発な彗星活動は期待できないけれど、短い尾でも出てくれたらきっと楽しい。
8年間で3例も見つかったら三度目の正直、もはや日常ですね。恒星間天体が今まで来なかったのではなく、観測網に引っかからなかっただけという気がします。ともあれせっかく飛来してるのですから、この暗いターゲットに望遠鏡を向けて挑戦してはいかがでしょうか。
明け方に見えてきた紫金山・アトラス彗星 ― 2025/02/23
昨夜は本当に久しぶりに風のやんだ快晴夜になってくれました。(…と言っても時折思い出しように吹いてましたが…。)このチャンスを活かすべく、ずっと観察したかった天体たちに望遠鏡を向けました。
左は明け方に回ってきた紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)。薄明が始まるころ高度が20°未満での撮影開始。電線越しでしたが、モニターでもしっかり見えました。だいぶ暗くなったけれど、まだまだ元気ですね。尾の向きが北西になったのでしょうか。
南に低くなってしまったアトラス彗星(C/2024 G3)と違い、しばらくは13-14等で見え続けます。現在はいるか座におり、これから夏の大三角形を横切るように移動しますからぜひ目を向けてみてください。
日付が変わる前には小惑星を二つ。ひとつは昨年末に地球フライバイを終えた小惑星探査機Lucyの次なる目標、小惑星Donaldjohanson(52246)です(下A画像)。以前に「探査機Lucyの先回りをする」と題して目標小惑星を撮影したとき、逃していたもののひとつです。順調なら今年4月に小惑星Donaldjohansonへ到達する予定とのこと。楽しみですね。
もうひとつ、天文関係の知人の名を冠した小惑星Tamotsu(9096)もすぐ近くで光っていたので望遠鏡を向けました(下B画像)。一週間ほど前に光度ピークを迎えていますから明るいですね。途中で赤緯方向のガイドが暴れてしまい星像にスパイクが出てしまいましたが、誤魔化さずに掲載しました。暗くなる前に再度チャンスがあったらまた見てみようと思います。久しぶりの星見で大満足でした。
左は明け方に回ってきた紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)。薄明が始まるころ高度が20°未満での撮影開始。電線越しでしたが、モニターでもしっかり見えました。だいぶ暗くなったけれど、まだまだ元気ですね。尾の向きが北西になったのでしょうか。
南に低くなってしまったアトラス彗星(C/2024 G3)と違い、しばらくは13-14等で見え続けます。現在はいるか座におり、これから夏の大三角形を横切るように移動しますからぜひ目を向けてみてください。
日付が変わる前には小惑星を二つ。ひとつは昨年末に地球フライバイを終えた小惑星探査機Lucyの次なる目標、小惑星Donaldjohanson(52246)です(下A画像)。以前に「探査機Lucyの先回りをする」と題して目標小惑星を撮影したとき、逃していたもののひとつです。順調なら今年4月に小惑星Donaldjohansonへ到達する予定とのこと。楽しみですね。
もうひとつ、天文関係の知人の名を冠した小惑星Tamotsu(9096)もすぐ近くで光っていたので望遠鏡を向けました(下B画像)。一週間ほど前に光度ピークを迎えていますから明るいですね。途中で赤緯方向のガイドが暴れてしまい星像にスパイクが出てしまいましたが、誤魔化さずに掲載しました。暗くなる前に再度チャンスがあったらまた見てみようと思います。久しぶりの星見で大満足でした。
小惑星Torifuneに再会 ― 2024/11/28
昨夜から今朝は快星…のはずでしたが、夜になって急に竜巻注意情報が二度も発令され、その後短時間ながらまとまった雨になりました。予想外の急変でビックリ…。夜半前には回復したものの、時折雲が流れ、また地面はびしょびしょ。悩みましたが、当初予定していた小惑星を撮影しました。
ターゲットは「トリフネ」の正式名が付いたアポロ群の地球近傍小惑星98943。前回の撮影は2023年2月9日でしたから1年半ぶりの再会です。以前は2001CC21の仮符号で呼ばれていましたね。拡張ミッションを継続している小惑星探査機はやぶさ2の次なる目標地(フライバイ)です。予定通りなら2026年7月に到着予定。
最新軌道要素による今回の地球最接近は2024年11月19日9:09:08JSTで、約39087500kmでした。月までの距離の100倍ほどで、NEOにしては結構遠いです。来年8月は今年の半分ほどまで接近しますが、光度は暗いです。今年の衝は11月24日19:16:55JST、計算上の光度の最大は同日21:09:01JSTで、16.683等。もう少し早く撮りたかったけれど、タイミングを逸していました。12月中頃までは18等より明るいので、アマチュアでも撮影可能でしょう。
ターゲットは「トリフネ」の正式名が付いたアポロ群の地球近傍小惑星98943。前回の撮影は2023年2月9日でしたから1年半ぶりの再会です。以前は2001CC21の仮符号で呼ばれていましたね。拡張ミッションを継続している小惑星探査機はやぶさ2の次なる目標地(フライバイ)です。予定通りなら2026年7月に到着予定。
最新軌道要素による今回の地球最接近は2024年11月19日9:09:08JSTで、約39087500kmでした。月までの距離の100倍ほどで、NEOにしては結構遠いです。来年8月は今年の半分ほどまで接近しますが、光度は暗いです。今年の衝は11月24日19:16:55JST、計算上の光度の最大は同日21:09:01JSTで、16.683等。もう少し早く撮りたかったけれど、タイミングを逸していました。12月中頃までは18等より明るいので、アマチュアでも撮影可能でしょう。
小惑星が地球に大接近 ― 2024/06/30
昨夕から今日未明にかけての天気予報は曇りでしたが、薄雲があったものの概ね晴れてくれました。期待してなかった晴れ間が突然やって来ると何をしていいのか迷ってしまいますが、ちょうど地球に大接近した小惑星があったので狙ってみました。
この小惑星は「2024 MK」と呼ばれ、発見されたばかりのアポロ群に属するNEOかつPHAです。NASA-CNEOSサイトのデータベースによれば直径150mほどの大きさで、昨夜13:49UTごろ(29日22:49JSTごろ)に地心からおよそ0.00197AU(295000km弱)のところを通過したとみられます。
最接近時は我が家から隣家に隠れる低さでしたが、およそ30分後に見えてきたところを捉えることができました(左上画像/露出開始は23:15頃から)。日付を跨いで合計三回撮影しました(下A・B画像)。いずれも線のような軌跡はトータル20分の移動に相当し、同一縮尺にしてあります。微妙に進行方向や速度が変わり、また途中の増減光が感じられます。このあと空のモヤはどんどん酷くなり、月や土星が昇った頃にはぼんやりとした空に…。間一髪の撮影となりました。この小惑星は想像よりかなり明るく、モニターPC上でも移動の様子がはっきり見えました。地球接近小惑星の捕捉は久々でしたが、何度やってもワクワクしますね。
「小惑星2024 MK」に先立ち、別のアポロ群小惑星「2011 UL21/415029」も撮ってみました(下C画像)。こちらは直径が2kmクラスの巨大さで、27日20:16UT(28日5:16JST)ごろ地心に最接近したとみられます。最接近時は日本の昼間、しかも地面の下でした。その日の宵ごろスピカの南側に見えたことでしょう。(当地は悪天。)昨夜はスピカの東に移動していました。こちらは最接近時の距離がおよそ0.04439AU(6640000kmあまり)でしたから、大きいサイズとは言っても2024MKより暗いです。最接近から1.5日以上経過し、移動も遅くなりました。下A画像はトータル30分の移動幅です。
空いた時間に「T CrB」も撮影できました(下D画像)。全く明るくなっていませんね。むしろ暗くなった?上辺の輝星はεCrB(約4.1等)で、T CrBが予想通り増光すればεCrBよりずっと明るくなるはずです。なおこの画像内に小惑星パラスが写っています。お時間があればぜひ特定してください。
この小惑星は「2024 MK」と呼ばれ、発見されたばかりのアポロ群に属するNEOかつPHAです。NASA-CNEOSサイトのデータベースによれば直径150mほどの大きさで、昨夜13:49UTごろ(29日22:49JSTごろ)に地心からおよそ0.00197AU(295000km弱)のところを通過したとみられます。
最接近時は我が家から隣家に隠れる低さでしたが、およそ30分後に見えてきたところを捉えることができました(左上画像/露出開始は23:15頃から)。日付を跨いで合計三回撮影しました(下A・B画像)。いずれも線のような軌跡はトータル20分の移動に相当し、同一縮尺にしてあります。微妙に進行方向や速度が変わり、また途中の増減光が感じられます。このあと空のモヤはどんどん酷くなり、月や土星が昇った頃にはぼんやりとした空に…。間一髪の撮影となりました。この小惑星は想像よりかなり明るく、モニターPC上でも移動の様子がはっきり見えました。地球接近小惑星の捕捉は久々でしたが、何度やってもワクワクしますね。
「小惑星2024 MK」に先立ち、別のアポロ群小惑星「2011 UL21/415029」も撮ってみました(下C画像)。こちらは直径が2kmクラスの巨大さで、27日20:16UT(28日5:16JST)ごろ地心に最接近したとみられます。最接近時は日本の昼間、しかも地面の下でした。その日の宵ごろスピカの南側に見えたことでしょう。(当地は悪天。)昨夜はスピカの東に移動していました。こちらは最接近時の距離がおよそ0.04439AU(6640000kmあまり)でしたから、大きいサイズとは言っても2024MKより暗いです。最接近から1.5日以上経過し、移動も遅くなりました。下A画像はトータル30分の移動幅です。
空いた時間に「T CrB」も撮影できました(下D画像)。全く明るくなっていませんね。むしろ暗くなった?上辺の輝星はεCrB(約4.1等)で、T CrBが予想通り増光すればεCrBよりずっと明るくなるはずです。なおこの画像内に小惑星パラスが写っています。お時間があればぜひ特定してください。