増光中のカシオペア座新星を再撮影2021/05/10

20210510_V1405Cas
昨夜から今朝にかけて断片的な晴れ間があったので、急増光しているV1405 Casの撮影にチャレンジ。薄明頃に大量の雲がやってきて早めに切り上げなくてはいけませんでしたが、何とか撮影を済ませました(左画像)。

最初にモニター画面へ導入したとき、一瞬どの星かわからないほどでした。あまりにも明るすぎたので、既存の星と思い込み、「あれれ、ここの星の配列が分からないな」などと混乱してしまったのです。

測定のために撮影するなら、もっと単焦点で比較星をたくさん入れて、短時間露光で十分です。左画像は比較星が無さすぎてなんとも言えませんが、5等台は間違いないでしょう。ん?…と言うことは、『肉眼新星』になっているということかぁ!

20210510_V1405Cas比較
右画像は3月23日明け方に同一機材で撮影したものとの比較画像。再処理し、背景の状態をなるべく同じ様に仕上げました。めちゃくちゃ明るくなっていることが分かります。AAVSOなどの観測データを見ると9日0:00UT時点で5.2等から5.6等あたりに集中しています(Vis光度およびV光度)。やはり肉眼新星間違いなし。どこまで上がるでしょうか?楽しみです。

今朝方はもう2、3テーマ見たいものがあったのですが、V1405 Cas撮影中から雲が出始め、終了になりました。薄明中にはコアモジュール天和の高高度パスがあり、雲間から観察しました。一番明るくなったときはベガやアルクトゥルスより明るく、Heavens-Aboveに載っている予報光度よりも0.5等ほど明るく見えるという経験則が再確認できました。

カシオペア座の新星が急増光2021/05/09

20210508天和とV1405Cas
三重県の中村祐二さんが3月18日に発見したカシオペア座の新星「V1405 CASSIOPEAIE」が急増光してる、という情報を新潟の観測家Sさんからいただきました。なんと6等台!4月前半はゆっくり減光していたから、このまま…と思っていたのに、何ということでしょう。

早速見たいところですが、今夜(8日夜から9日明け方)は完全に曇っており、晴れそうにありません。残念…と思ったところで、ふと明け方に撮影した天和や長征5号Bのことを思い出しました。準広角レンズでの撮影ですが、カシオペア座をフレーム・インしてあるからひっとして写っているかも、と点検してみました。

長征5号Bの写野はフレーム外でしたが、天和のほうははっきりと写っていました。レンズが曇ってしまいお蔵入りだったので、これは嬉しい棚ぼた。捨てないでよかった…。ほぼ真っ白な元画像から丁寧に星像を発掘し、使えそうな4カットをコンポジットしたのが左上画像。

20210508_V1405Cas_AAVSO
北極星下側からカシオペア座方向に飛んでゆく暗い天和の光跡(肉眼でも微かでした)とともに、V1405 Casが写っています。周囲の星と比較して、おおよそ6.0等と見積もりました。

右図はAAVSOの観測から描いた発見直後から5月8日までの光度グラフ(Vis光度とV光度のみ)。4月中旬から微増に転じ、5月5日ごろから急激に増光していますね。どうなっちゃうのか、この新星…。

月面X&LOVEびよりでした2021/04/20

20210419-月面X&LOVE比較
昨宵は月面Xと月面LOVEがよく見える予報でした。昼間にごうごう音を立てていた風も夕刻には止み、静かな薄暮の中で上弦前の月が輝いています。いつになく気持ちが高ぶってしまいました。

久々に条件が良かったため、地形を拡大撮影して刻々と変化する様子を10分おきくらいに追いかけようかとも考えましたが、忙しない観察では楽しむ気持ちも半減してしまうでしょう。今回はふたつの時刻のみで、全体撮影をして比較することにしました。

20210419シリウス
星が見え始めてくる時間帯には気流が随分落ち着いていることに気づきました。ピント合わせや追尾チェックのため1等星をいくつか導入、最後にシリウスで確認すると、伴星がよく分離してるではありませんか!(右画像)まだ航海薄暮が終わって間もない頃ながら、シリウスは既に高度23.8°まで下がっています。こんなに低いのに伴星が確認できるなんて…。最低高度記録かもしれません。

月面は19:39ごろと21:05ごろの二回、約1.5時間の間隔をおいて撮影しました。一番北の月面Vから一番南の月面Lまでを切り出して比較したのが左上画像、それぞれの全景が下A・B画像です。欠け際は短時間でもこんなに変わるんですね。山々のてっぺんが次第に照らされてゆく様子が分かるでしょう。それから、ごく僅かなのですが、見かけの大きさも変わっています。昨夜は月が次第に遠ざかっており、二枚の画像撮影間も950kmほど遠くなりました。二枚の月画像は同縮尺ですが、ノーヒントで大きさの差に気付けた方はすごい!

もうひとつ、それぞれの月画像は月の南北方向を画像上下方向に正しく合わせてあります。目立って分かるほどではありませんが、「太陽が月の右やや下側から照らしている」ことがお分かりになれますか?これは、今回の月面LOVE予報時刻で南部のEやLより北部のVが遅い原因にもなっています。

太陽から見た月面中点の月面緯度
同じ上弦の頃でも、例えば半年後の10月13日の上弦では「太陽が月の右やや上側から照らす」ことになるでしょう。月の南北に見える尖ったエッジ部分(ここをカスプと言います)は必ずしも北極や南極に届いているわけではなく、したがって半月の欠け際が「北極から南極に向かってスパッとナイフを入れた」様になることはほとんどありません。たいていは輪切りに失敗しちゃってるんです。撮影している方はぜひ撮り比べてみてくださいね。

ついでに、なぜそうなるのか考えてみましょう。参考までに太陽が月のどちら側から照らしているのか、2021年の一年分を計算してグラフ化してみました(右図)。オレンジ点で表した「上弦のタイミング」でどう変わってゆくのか、探ってみてください。

(追記)日付が20日になってからアトラス彗星(C/2020 R4)を撮影してみました(下C画像)。今週後半に地球へ最接近するため、とても速く移動しています。コマが大きく、尾も扇形に広がりを見せていました。もう少し焦点距離が控えめの明るい光学系にしないと追いつきませんね…。

  • 20210419-1939月

    A.19:39撮影
  • 20210419-2105月

    B.21:05撮影
  • 20210420_アトラス彗星(C/2020 R4)

    C.アトラス彗星(C/2020 R4)


久しぶりに重星を観察2021/04/12

20210412_εDra
昨夜から今朝は概ね晴れました。当地は夜半まで少し雲が残りシーイングも悪そうでしたが、夜半以降はかなり良い空でした。夜明けまであまり時間がなかったですが、久しぶりに重星を観察しようと望遠鏡を組み立てます。

3月18日の撮影ではっきり分離しなかったものがあったので、まずεDraに向けてみました(左画像/離角3.201″, PA:21.7° at 2021)。するとモニター上でもきっちり分離。本当に同じ光学系かと思うほど素晴らしく、間違いなくグッドシーイングです。δCyg、 23Aql、5Aqlも気持ちよく分離しました。この中で一番狭いのはδCyg(離角2.777″, PA:214.4° at 2021)です。シーイングの良し悪しで主星の結像からして倍ほども直径が変わるんですよね。そりゃ分離しないわけだ。

いっぽう、アンタレスはさすがに無理でした。明け方が迫り、ちょっと低くなり始めてしまったせいかも知れません。(大気による色収差がひどかった…。)また、記録では離角12.5″もあるはずのλAqlが写りませんでした。主星3.5等、伴星7.5等だから等級差も全く問題ないはずですがどうしてかな…?違う星を見てしまったのかな?原因が分かりません。軌道が分かってないようなのと、最終観測が2009年と古いため動いてしまった可能性は否定できませんが、ギトギトに強調しても7.5等は見つかりませんでした。(周囲にある10等以下の星は写っています。)

朝が早くなり観察時間確保が難しくなってきましたが、今後も可能な範囲で楽しもうと思います。なお掲載画像は全て画像上が天の北方向、縮尺は統一(800px四方=約200″四方相当)してあります。

  • 20210412_δCyg

    δ Cyg
  • 20210412_23Aql

    23 Aql
  • 20210412_5Aql

    5 Aql