久しぶりに月と木星を観る2026/02/06

20260206月
昨夜は晴れ。ときおり浮浪雲が流れるものの、さほど寒くも無い穏やかさでした。生活環境が変わり、機材の使い方がかなり変化してしまったため、皆既月食まで一ヶ月を切ったことにも背中を押されて月を撮ってみることにしました。

左は6日0:30過ぎの撮影。太陽黄経差は約226.39°、撮影高度は約39.72°、月齢は17.82。ジャンセンが夕方を迎えています。シーイングが良ければタルンティウスあたりのドームがたくさん見えたでしょうか。

シーイングが悪い上に霞んでいましたが、概ね予想通りの写りになってくれました。一見して何の変哲も無い月面写真ながら、裏には考え抜いた様々な工夫があります。まだいくつかのハードルがあって、それを越えなくてはなりませんが…。3月3日皆既の始まりは今回撮影より低いため、大気差の色ずれや減光があるでしょう。些細なことですが、そう言ったことも確認しておくことが肝心。とにかく、ひな祭りは晴れてほしいものです。これを逃すと次は2029年1月1日まで皆既月食はありませんからね。

20260205木星
月の前に木星も撮ってみました。こちらも酷いシーイングで、二本の太い縞すら見えなくなるほど乱れることもありましたが、50分ほどの撮影の後半に持ち直し、そこそこ細かく見えていました。結局撮影した半分以上はボツにしてデローテーション。ザラついてしまったものの、模様のディテールは活きました。

こちらも今回からカメラを変更したため、まだ使い勝手が馴染みません。フレーム数が多いとバッファリングのムラが出るようで、ドロップフレームが異常に多くなったり、少なかったり…。しばらくは試行錯誤が続きそうです。

月とアンタレスが接近2026/01/15

20260115月とアンタレスの接近
本日明け方に月とアンタレスが約1.5°まで接近し、とても素敵な夜明けを演出してくれました。

数日前の天気予報では夜半前から雲が多めだったので諦めていたのですが、当日になってあまり雲が出てないことに気が付きました。ひょっとしたら見えるかもと準備。月が登ったころは低空の雲越しではっきりしなかったけれど、薄明が始まったころには雲の上まで高度を上げてくれました。左は5:50ごろの撮影。どこに何が写っているかは右下マーカー付き画像をどうぞ。

20260115月とアンタレスの接近
先日起きたレグルス掩蔽と同様に、アンタレスも掩蔽される可能性がある1等星です。今回もオーストラリアなどでアンタレス掩蔽になりました。日本で見えた直近のものは2023年9月21日でしたね。この先しばらくは今回のように月がアンタレスの南側を通るため、日本から見えるアンタレス掩蔽はありません。それどころか、3月2日のレグルス掩蔽以降、2032年4月25日のスピカ掩蔽まで1等星の掩蔽は起こらないのです。

今回並みに月がアンタレスに接近するのもなかなか起きなくて、2027年3月27日や6月17日くらいでしょう。「近くに見える」程度なら毎月のように起こりますが、接近と呼べるのは意外に少ないですね。月軌道が少しずつ変化し、再びアンタレス掩蔽が日本で見えるのは2042年3月14日明け方です。みなさんが元気に天文活動を続けていたらぜひご覧ください。

参考:
レグルス接食掩蔽情報(2026/01/06)
雲越しのアンタレス掩蔽(2023/09/22)
晴れてほしいアンタレス掩蔽(2023/09/20)

天リフさんによるレグルス接食・簡単集計2026/01/07

20260107レグルス食・天リフ観測
今日未明に九州の一部で見えたレグルスの接食掩蔽。天文リフレクションズさんによるYouTube配信結果を元に大雑把ですが集計してみました。

配信のタイムマークで測り、レグルスの潜入・出現を破線として月縁図に描くと左図の水色線のようになります。ゼロライン(平均月縁で接食になる地点)から観測地までの距離が約940mとのことなので、縦軸940mの位置に水色線がひいてあります。線が途中で何ヶ所か途切れてますね。これは月縁の凸凹にレグルスが隠されたり、また見えたりした様子を時系列で反映しています。

黄色メッシュで描かれた月縁地形は月周回無人衛星LROの観測を元にしたもので、こうした凸凹のシミュレーションは皆既日食のベイリービーズ予報などにも利用されています。あくまでデータに基づく地形モデルですから、正確無比と言うわけではありません。細かい地形など観測に引っかからないものや高度データに誤差を含む場合もあります。

赤矢印の小さな山に隠されたと思われる1秒ほどの潜入が見えたことは素晴らしい成果。配信時計や観測位置の不正確さなど改善点はありますが、気軽に実践した観測でもこのように遠くの月の地形が分かってしまうのが実に愉快ですね。二ヶ月後の3月2日にも夜間に見えるレグルス接食掩蔽が鹿児島県で起こります。またある程度明るい恒星の接食は全国各地で起こっており、天文年鑑などに掲載されています。お近くでチャンスがあればぜひ観察してみてください。

レグルス接食掩蔽情報2026/01/06

本記事は大量のデータを内包しているため、回線が細かったりPC処理能力が弱いと表示がもっさりします。ご注意ください。


20260107レグルス接食・月縁図
今夜(6日25時ごろ〜=7日1時ごろ〜)、しし座の1等星レグルスが月に隠される掩蔽現象が起こります。掩蔽を起こす1等星はレグルスのほかアンタレス、スピカ、アルデバランの四つが知られています。日本から夜に見えた1等星掩蔽としては2024年12月25日のスピカ以来ですね。月に隠される現象を「食」と言う方も多いですが、正しくは掩蔽と言います。(食は天体の『影』に隠される現象を指します。)

今回国内では九州の一部や南西諸島で見えないものの、大部分で観察可能です。特に九州を横断するラインでは接食掩蔽(グレージング:Grazing lunar occultation)になる予報です。天文リフレクションズさんによるYouTube配信が予定されているとのことなので楽しみに待ちましょう。(追記:配信後の映像を使って集計した結果はこちらをどうぞ。)

どのあたりで見えるか地図化しましたので、直前ながら掲載しておきます。今回もOccultという掩蔽計算アプリに自作プログラムを加味して各種データを算出しました。また九州での月縁図を左上に掲載しました。縦軸のkmがゼロライン(地図の赤い線)からの距離に対応、横軸は時間経過(分)で、黄色のメッシュで表現された月縁の地形によってどのように隠されるかが分かります。場所を選べば2、3回の潜入・出現が楽しめそうですね。(注:この月縁図は東経130.5°のゼロライン上におけるものです。月縁は観察場所によって若干変化するのですが、九州限定かつ精密観測が目的でないなら、本記事掲載のもので十分です。)

接食掩蔽用語解説
月縁図と地図の見方・使い方は地図下の説明をお読みください。予報時刻は目安なので、これにとらわれず数分程度の余裕を持って観察しましょう。

掩蔽や接食のとき、地上からどう見えるかという図はたくさん見つかるけれど、こうした接食地図のようなものをめっきり見かけなくなりました。明るい星の接食掩蔽は大変貴重で、限界線はどこなのかと言う情報も極めて大事です。お近くの方は時計片手に観察してみてください。正確な時刻付きの動画で記録しておくと良いですよ。

今年は3月2日および5月23日にもレグルス掩蔽が起こります。5月の回は昼間の現象ですが、3月の回(皆既月食前夜!)は20時台に観察可能で、これまた九州南部で接食掩蔽になります。お楽しみに。


  • 赤線はゼロライン(平均月縁がレグルスに接して見える観測地)です。この位置を基準にプラスマイナス2kmまで、0.5km間隔で線が引いてあります。線をクリックすると「+2.0km」などとポップアップ表示されます。

  • +○○kmという距離のプラス符号は、月中心に対して恒星が離れる方向です。今回は南限(月の南縁)で起こるので、プラス方向(ゼロラインの南)に離れるほどレグルスが月から南へ外れます。反対にマイナス方向(ゼロラインの北)で観測するとレグルスが月に深く隠されます。

  • どこで見たら良いかは月縁図を対応付けてご覧ください。縦軸の目盛と地図のラインのプラスマイナスが対応しています。横軸は時間経過(単位は分)で、左に離れるほど予報より前、右ほど予報より遅い時間です。月を止めて考えると恒星が左(東)から右(西)へ移動しますから、見たまんまの時間経過になります。

  • 黄色のメッシュ状に描かれているのが月縁の山々です。接食掩蔽ではこの山に隠されれば恒星が消え、谷から出れば光って見えます。重星では片方だけ隠されるケースもあります。今回は月の暗い側で起こりますからとても見やすいグレージングです。(注:月縁図はUT表記のため、タイトルがJan 6になってます。)

  • 例えばゼロライン上で観測すると、図の真ん中を左右に横切る線に沿って月に対してレグルスが左から右へ移動するように見えます。つまり予想時刻の約2分20秒前に隠され、予想時刻の約1分後に現れます。

  • いっぽう+1kmライン上の観測では違った見え方になります。二つの山と一つの谷を通過するので、二回の潜入・出現が楽しめます。広域に分布した複数人で観測して正確な時間を計って図化すると、山の形を浮き上がらせることができます。これがグレージングの醍醐味ですね。近年では小惑星の形を調べるのにもよく使われる手法です。

  • ゼロライン上に経度0.05度間隔でドーナツ型のアイコンがあります。クリックすると各種データが表示されます。眺めるだけなら緯度経度と予報時刻だけ確認すれば大丈夫でしょう。地図はGoogleMap同様にドラッグ移動できます。