みちびき7号をつかまえる ― 2026/08/25

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昨夜から今朝にかけて良い天気だったので、複数天体の観察を計画。まずは宿題だったQZS-7の検出から。

QZS-7、通称みちびき7号機は8月11日に打ち上げられたばかり。多くの方は打ち上げたロケットイベントばかり注目してしまうようですが、大切なのは打ち上げられた小さな衛星のほう。これに注目せずして何になりましょう。22日には予定軌道投入がアナウンスされました。

投入されたのは東経184.5°上空の準静止軌道。つまり日付変更線と赤道が交差する地点の真上におり、地球赤道に対してわずかな軌道傾斜があるということ。これを日本から見ると、常に東の空、天の赤道付近で、高度30°あたりに居続け、周期的に小さな8の字を描いているはずです。

前日明け方に僅かな晴れ間があったため、ちょうどM42付近を飛んでいるはずのQZS-7を星雲と一緒に撮ってみました。ただ、全てのコマに雲がかかってたことや、よく考えれば明け方は逆光になってしまい、観察者側が影になって光度が落ちるでしょう。良いタイミングでフレアが出る可能性はあるけれど、まぁ望み薄でしょう。

そこで昨夜は順光位置で撮ることに。ちょうど20:40ごろ地球影の真北に来ているはずで、春分・秋分前後の一ヶ月くらいは地球影に隠される時間帯もあるので、21:30-22:30あたりが見やすい時間でしょうか(またはもっと早い薄明終了頃の時間帯)。

この狙い通り、衛星位置を写野に導入したらモニターですぐ分かりました。記事冒頭の固定撮影、および下A画像の恒星ガイド撮影の二種類を撮りました。衛星自体は10等後半〜11等と見積もりましたが、移動天体なので、恒星ガイドしてしまうと擦れた線のようになります。

また、ひとコマ5秒と言う短い露出にも関わらず赤緯方向の移動が速く、結果として衛星位置基準スタックでは恒星の軌跡が階段状になってしまいました。これを回避するには1秒以下の露出にするか、衛星追尾ソフトを導入するしかないでしょうね。

少し間をおいて土星も撮りました。シーイングはほどほどでしたが、残念ながら風がやや強かったことと、途中から薄雲が広がってしまいました。またどういうわけかADCがうまく機能せず、色ズレが出てしまいました。原因不明です。

  • 20260824_みちびき7号

    A.みちびき7号
  • 20260825土星

    B.土星


SOHOがとらえたパンスターズ彗星 ― 2026/04/24

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太陽観測衛星SOHOのLASCO-C3カメラ写野内にパンスターズ彗星(C/2025 R3)が写り始めました。

24日0時現在に確認した範囲では23日11:18UTC(20:18JST)撮影のコマから写っています。2026年4月8日記事に提示した予想図に対して約1時間の遅れで(左画像参照/日時はUT)、これは誤差の範囲内。(※予想図は平均的なSOHO位置で計算してるため、視点位置が若干ズレている可能性があります。)

今後の彗星は約80時間かけて写野を横切ります。この間、4月24日11時UTCごろに黄道面を通過、26日9:24UTCごろ地球に最も近くなります。このころの彗星は太陽と地球のちょうど中間あたり。尾を“地球側”へ向ける時期で、見かけの尾の長さは(計算上)短くなります。前方散乱によって彗星や尾が明るくなるかも知れません。

パンスターズ彗星(C/2025 R3)
また太陽の表側で強いCMEなどが起こると尾の形状に変化をもたらす様子が見える可能性もあるでしょう。18日UTあたりにも尾の大きな乱れが観測されましたので、同じようなことがSOHOで見えたら面白いかも。ゆったりと見守りましょう。随時右のようなGIF動画を作りたいと思います。

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【追記】
24日18:30JST時点ではまだ“青SOHO”画像(LASCO-C3・JPEG画像のこと)24日ぶんは全く公開されていません。きっと混み合っているのでしょう。

未処理のfitsは8:54UTC(17:54JST)撮影ぶんまで出ていましたので、簡単ストレッチ+天体マーキング画像をお届けします。彗星がずいぶん進みましたね。

オリオン宇宙船から見た月面が素晴らしい ― 2026/04/11

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アルテミスII・オリオン宇宙船から撮影された月面画像をNASAが公開し始めました。鳥でも花でもそうですが「高精細な写真を撮影したかったら近寄るべし」と言わんばかりの美しい画像。地上で撮って何千枚もスタックしてるのが馬鹿らしく思えるほどです。でも貴重な回線なのに、いつ画像を送ったんだろう?さすがにメモリーカード全部は送ってないよね?

月の表側は地上からもたくさん撮影され、資料が豊富ですが、裏側は意外に少ないものです。画像上で「月面散歩」を楽しみたい方のため、数枚セレクトして主なクレーター名を記入してみました。旅のお供に地図があったら便利ですよね。(ご自身で特定したい方は以下の画像を見る必要はありません。)裏が載ってる月面図やサイト、アプリと一緒にお楽しみください。(※目視で特定・手書きで記入してますので、間違いがあったらご指摘ください。)今のところ裏面の南半球画像クローズアップが少ないのがちょっと残念。帰ってからのお楽しみでしょうか。

下A画像のみ、北を上向きに回転させました。右縁のグリマルディは地上からは反対の左縁近くに見えますね。オルバースやアインシュタイン、レントゲン、東の海(Mare Orientale)あたりは時期を選べばギリギリ見えます。その他は無理。下B画像のリム近く、ボルタやジェラルドも地上からOK。ジェラルドQ-inner&outerは「接尾語を持つネームドクレーター」として知られます(→2024年1月6日記事参照)。

Local Histogram Equalizationの効果
東の海を包むオリエンタレ盆地とヘルツシュプルングを包む浅い盆地が多重リング状地形(いわゆる内輪山・外輪山を持つ構造)になっているのが分かるでしょう(黄色点線円)。オリエンタレ盆地から左上に何本も伸びる長大なクレーターチェーン。よく見ると盆地の南側へも伸びていますね。何かすさまじい衝突があったのではと想像させられます。ヘルツシュプルングはネームドクレーターとして月面最大です。

アルテミスIIからの画像は明る過ぎたり暗過ぎたりで地形が見辛いものが多いため、当記事では軽くLocal Histogram Equalizationをかけて明暗の調子を適切に整えています(右の作例画像参照)。予めご了承ください。無加工の原画を見たい方は見出しに書いてある画像番号を参考に、NASAサイトから直接入手してください(Artemis IIのリソースはこちら)。IMAGE CREDIT NASA。

  • art002e010208

    A.art002e010208
  • art002e010399

    B.art002e010399
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    C.art002e009289


オリエンタレ盆地周辺の比較
【おまけ:「オリエンタレ盆地」周辺の比較】

今回撮影されたオリエンタレ盆地周囲の画像(画像番号:art002e012090)と、私が近所で撮影した画像を比較してみました。条件が良い日でもここまでしか見えない(ここまでなら見える)ということが分かりますね。

東の海は北から中央へ向かって明るい部分がせり出しており、これも地上から線のようになって判別できています。リムには断片的に高い山が見えるので、ひょっとしたら盆地対岸の山脈の一部まで見えているのかも知れません。

撮影がねじれの関係(画像の南北が合っていない)にあるため、対応する地形を線で結ぶと奥行きに応じて交差してしまいます。


アルテミスII・オリオン宇宙船チャレンジ二夜目 ― 2026/04/09

20260409アルテミスII・オリオン宇宙船
昨夜から今朝にかけても良く晴れ、再びアルテミスII・オリオン宇宙船チャレンジができました。前夜より1、2度気温が高めながら春の夜にしてはかなり低めに推移。透明度は高く、結露もありませんでした。ただ風がやや強めで時折望遠鏡が揺れました。

今回は少し慣れたため、撮影回数を3回に増やしました。なぜ複数回にするかと言うと、ノイズなどの誤認を避けるためと、恒星カブリの可能性を考慮するためです。暗い移動天体撮影ではメトカーフ合成の際に近くの恒星トレイルが上書きしてしまうおそれがあるのです。被ったコマだけ省いて合成するのでもいいのですが、なるべく途中が切れる仕上げをしたくないのが本音。今回はたまたま3回とも恒星カブリはありませんでしたが、3回ともダメだったこともあります。

昨夜より月が離れ、背景のカブリも少なくなりました。どのみち街灯が凄まじい公園で撮ってますから光害は避けようもありませんが、予報位置に宇宙船の光が浮かび上がるのは嬉しいものです。3回の撮影全てきちんと写っていました。宇宙船が近くなったぶん、前夜より明るくなりましたね。

今夜(9日夜〜10日朝)はさそり座のお腹まで南下し、日本から見る最後のチャンスですが、お天気は下り坂。当地も雨が降りそうです。4月11日0時JSTの段階でさそり座のしっぽの先、赤緯-37°あたりに見えますが、これは地上の南緯37°の天頂を通ると言うこと。JPL-HORIZONSで計算できる11日8時JSTには赤経-53°あたりです。アルテミス1のときと同じように南極上空側から進入、何周か周りながら北上し、太平洋に着水となるのでしょう(→2022年12月11日記事参照)。無事に帰ってきてほしいですね。

続いて前夜同様、パンスターズ彗星(C/2025 R3)を撮影。月撮影を諦めて望遠鏡を交換、設置場所も移動して臨みました。(それでも撮影適時に電線に被ってしまった…。)下画像の通り、なんとか長い尾をカメラに収められました。写ってるだけでも2.6°の尾が確認できます。空の良いところなら2、3倍の長さが期待できるでしょう。

関東はこの先、一週間に一回程度しか晴れ間が期待できませんが、できる範囲で雄姿を追いかけようと思います。

  • 20260409パンスターズ彗星(C/2025 R3)

    A.9日明け方のC/2025 R3
  • 20260409パンスターズ彗星(C/2025 R3)

    B.Aの白黒反転