今日の太陽と鳥2024/04/01

20240401太陽
今日から4月。昨夜から今朝は雲が多く、明け方には近くを雨雲が通ったようです。朝からは回復してきたものの、晴れと曇りの繰り返し。午後はまた雨雲が通り、県内の所々でゲリラ春雨になっています。最高気温は17.3度、桜は1分咲き、空のあちこちからツバメやヒバリ、ウグイスの声が響いてきます。

20240401太陽リム
左は10:30ごろの太陽。透明度が落ちているのか、かなり減光していました。昨日から左上に見えていた極小黒点付近は活動領域13624と採番。中央右上にも新たな小粒が見えています。右端やや上のフレアはちょうど撮影中がピークだったようで、M3.91クラスに達しました。

20240401太陽と鳥
撮影中に大きな影が横切ったので、作業後に再生したら鳥の通過でした。4フレーム写っていたので比較暗で合成(右画像)。なんだろう?首を畳んでないのと、長さからサギ系じゃなくカモ系っぽいですが、この辺りを飛んでる種類は多いので特定できるかな?

ロジェストヴェンスキーを観る2024/04/02

20230402ロジェストヴェンスキー、プラトー、ピタゴラス
「月世界への招待」サイトで東田さんが月面北極にあるロジェストヴェンスキーという大きなクレーターが見える時期と紹介されており、実際に観察されていました(撮影日記の3月31日および4月1日)。このクレーター中心経度は約-158.44°、つまり完全に裏側にあるのですが、クレーターが大きいことや月面北極に極めて近いことが幸いし、秤動が良ければほぼ全容を見ることができます。ただ、そうした機会はなかなかなくて、この3月末から4月頭が絶好のチャンスだったのでした。後述する見やすさ計算で2020年から2030年まで算出した中では、来年2025年3月22日明け方に次いで条件が良かったのが今朝の月です。

私もロジェストヴェンスキーの壁までしか見たことが無かったため(→※2019年8月21日記事など)、このチャンスを活かしてクレーター底まで観ることができないかと模索。何しろ今の時期は月赤緯が低く、通常私が望遠鏡設置可能な範囲から全く見えないのです。でも不安定な天気続きの中で今朝は唯一晴れが期待できたので、思い切ってかなり北の空き地まで機材を運んでみました。その甲斐あって無事ロジェストヴェンスキーを拝むことができました(左上画像)。シーイングは目茶苦茶でしたが、雲や風が無かったのは幸いでした。

リム近くの裏側地形の見やすさはなかなか判断しづらいけれど、予測できない天候以外…計算できる要素は予め見積もっておくことが可能です。下A図は2022年5月11日記事に掲載したもの。この角P(観察者・対象地形・月心が作る角度)は計算できるので、秤動によって縁ギリギリをさまよう地形の見やすさの目安となるでしょう。下B図はロジェストヴェンスキー中心位置に関して角Pを求めたもの(薄青線)。日時によってかなりふらつきますね。この中から更に「日が沈んでいる」「月高度が10°以上」「地形が太陽に照らされている」「角Pが92°以上」といった別の条件を与えて絞り込んだものが赤線部分。極端にチャンスが少なくなることが分かります。

今後5月頭と末ごろもう一度チャンスがあり、6月以降はほとんど見えなくなります。このまま今年のチャンスは終わってしまうかと思いきや、面白いことに10月6日や11月4日の夕方に細い月の北側カスプが北極点をオーバーハングし、「逆光のロジェストヴェンスキー」が見える可能性があります。もし晴れたら望遠鏡を向けてみてください。ただし日没後では月高度が足りない時期のため、できるだけ日没前からの観察が望ましいでしょう。

20240402エラトステネス、コペルニクス、フラ・マウロ
ちなみにロジェストヴェンスキーの見ごろは年々少しずつ早まります。前出の2019年8月21日ごろは今回と同様の条件でした。今年までの5年間で春まで早まったことになり、2030年ごろには晩秋の11月ごろしし座の足元で見えるようになって、高度的にかなり見やすいでしょう。もちろん秤動と密接に関係するため毎年見やすい時期がある訳では無く、おおよそ5、6年ごとにピークが訪れると言ったところでしょう。秤動図の振れる向きが一定のパターンに戻るのに5、6年かかると言うことですね。これは他のリム地形でも同様です。ただし北極や南極に極めて近い領域の場合、秤動図が線状になって完全に避けられる時期以外は全く見えない訳では無いため、最良の条件にこだわらなければ「ちょっとは見える」状態が比較的起きやすいとも言えます。現に去年や一昨年もロジェストヴェンスキーは見えていましたし、来年も再来年も見えます。

今朝はこのほか「円に近い虹の入江」などが面白かったです(下C画像)。秤動のおかげですね。また右画像では下弦側の「グルイテュイゼンの月面都市」や、フラマリオンのRay現象も分かります。ここには写っていませんが「ホイヘンスの剣(Huygens’s Sword)」とも呼ばれる直線壁(下弦側なので剣の形に光っている)も確認できました。薄明がどんどん進む中の観察で慌ただしくもが充実した時間となりました。日が高くなると雲が出始めたのでギリギリセーフ。

  • リム地形の見え方判断

    A.リム地形の見え方判断
  • ロジェストヴェンスキーの見やすい時期

    B.ロジェストヴェンスキーの見やすい時期
  • 20230402虹の入江、プラトー、雨の海

    C.雨の海付近


今日の太陽2024/04/02

20240402太陽
朝から晴れていましたが、昼前にはもう薄雲が張り出し、午後は太陽も届かなくなってきました。明日午後から1週間ほどは雨や曇りが続くようです。せっかく桜が咲き出したのにねぇ。

20240402太陽リム
左は9時過ぎの太陽。左半球が寂しいですね。いちおう微小黒点は所々あるようですが…。右上リムのプロミネンスが宙をうねっていました。ダークフィラメントも続々リムに近づいています。約1週間後には皆既日食となるので、コロナやプロミネンスのおおよその分布が予測できるでしょうか。

間もなくメキシコ・北米皆既日食2024/04/06

20240408皆既日食
間もなく新月期を迎えますが、今回は太平洋南東部からメキシコを経て北米を横断する皆既日食が起こります。日本時間では日付が9日に変わってすぐの頃の現象ですが、日本以外では世界時表記で「April 8th,2024」と告知されてますから、日付を間違わないようしましょう。この日食は半月前に起きた半影月食とペアになっています(→2016年3月10日記事参照)。

左は今回の日食図(エクリプスナビゲーターによる)。日食最大地点はメキシコです(だいたい西経104°08′53″・北緯25°17′23″付近)。ピンク線で挟まれた地域で皆既日食になり、そのなかでも特に赤線のところで最長に近い条件で観察できます。それ以外の黄色線内は部分日食となります。ちょうどアメリカの気象衛星GOESシリーズの撮像範囲ですから、時間になれば移動する月影が写るでしょう。余裕があったら当ブログでお伝えします。

ところで静止気象衛星の全球画像は直下点位置から経度・緯度方向ともに概ねプラスマイナス80°あまりの範囲が見えます。例えば気象衛星ひまわりはだいたい東経140.7度、緯度0°の上空にいますから、経度方向は東経60.7°から西経139.7°あたりまで捉えています。それを踏まえて左上の日食図を良く見ると、ハワイやアラスカを通る経度(西経160-140°あたり)でも赤線が少しひっかかっていますね。つまり気象衛星ひまわりの撮像範囲に皆既帯がわずかに入っているのです。ひまわりの全球画像で9日1:40JST-1:50JSTごろのものを見ると地球の赤道東端少し下あたりが微かに暗くなると思われます。見逃しそうなギリギリの条件ですが、ぜひ確認してみてください。右下図はアーカイブ「静止気象衛星による日食月影の可視範囲」に掲載している気象衛星ひまわりの日食月影シミュレーション。暗くなるのはピンク線あたりですよ。(参考:2019年7月3日の日食時に似た見え方と思われます。)

20240408a
今回の皆既日食は月がほぼ近地点のころ起こります。近地点通過が8日2:44:39JST、このとき地心-月心距離は約358841.5kmで、概ね24時間後に日食ですから月直径は極めて大きく、太陽が完全に隠される訳です。金環に近い皆既日食と違って「全周ベイリービース」みたいなことは期待できない代わりに、日食継続時間がそこそこ長くなります。2024年3月12日記事で触れましたが、太陽周囲に可視惑星が勢揃いしており、おまけに増光中のポン・ブルックス彗星(12P)もいます。昼間の空で全部見えるでしょうか?

第2接触と第3接触の近くでは太陽が月縁の谷間からこぼれ出す部分的なベイリービースが見えると思われます。このとき下A図のように月縁の地形を把握しておくと、どのようなビース配置になるか予測できます。この図はエクリプスナビゲーターの作図に主なクレーター位置と南北の方向を描き入れたもの。黄色線は黄道、白線は白道で、太陽は黄道に沿って、月は白道に沿って右下から左上に移動します。エンディミオンや危難の海方向のリムは低地のようですね。ラングレヌス-レイタ間の低地は南の海の北部あたりでしょうか。対して月面西側は低地が少ないことが分かります。

今回のサロスNo.は139。サロス139に属する日食は1501年5月に北極から開始し、2763年7月に南極で収束します。下B図としてサロス139に属する全日食図のgif動画をNASA・Eclipseサイトから引用し掲載しました。1988年3月18日(昭和の終わりの前年ですね)の小笠原沖日食orインドネシア日食として知られる皆既日食は同系列のサロスです。国内各地でも「深く欠けた部分日食」が見えましたが、曇りのところも多かったようです。気象庁のサイトに、当時稼働していたひまわり3号(GMS-3)による日食月影画像が載っていますよ。

今回のメキシコ・アメリカは日本から見物に行かれる方も多いでしょう。今のところ現地の大部分が曇りという残念な天気予報ですが、無事見えると良いですね。

  • 20240408皆既日食時の月縁

    A.皆既日食最大位置での月縁
  • 日食・サロス139

    B.サロス139の日食