またしても月は雲の中2023/10/01

20230930エンディミオン、メッサラ
昨夜は月の出ごろ晴れ間があったので望遠鏡を組み立て、高くなるまで外気に慣らしがてら待っていました。電線群の密集方向を抜けてようやく観察できる時間になるとともに雲が全天を覆い、その後は断片的にしか見えず…。夜半まで3時間ほど空模様とにらめっこを続けたものの、クリアになるチャンスは一度もありませんでした。このところずっとこんな感じです。

消化不良ながらも雲越しに何シーンか撮ったうちのひとコマをご紹介。左は欠け始まった北東側のエリアです。名月時に秤動が良くて見えていたフンボルト海が没しつつあり、辛うじて海の西側にある大きなクレーターが縁だけ見えました。手前にはエンディミオン、アトラス、ヘラクレス、夢の湖、ポシドニウス(一部切れ)、メッサラ、ゲミヌス、クレオメデス(一部切れ)などが確認できます。フンボルト海を正面から見ると巨大な二重クレーターになっていて、その外輪山を斜め横から見る構図になるでしょうか。

20230930ゼノン
雲が多くて気付けなかったのですが、画像右辺中央付近に写っているゼノン(ゼノ/ツエノ)で小さなRay現象が起こっています。どうやらゼノンDとゼノンの間が谷のように凹んでいて(右画像ピンク矢印のところ/NASA・LRO画像)、その隙間からゼノン側に光が漏れているようでした。ちょうどヘシオドスとピタトゥスのような関係になっているのでしょう。ただ、よほど秤動と位相の条件が良くなければ見えそうにありませんね。

この画像では切れてしまったけれど、ガウスが日没を迎え、クレーター縁とセンターピークのみポツポツ光っていたり、南半球側でもギルバートやケストナー、アンスガリウス、フィリップスなど100km級のクレーターが次々に没する様子がダイナミックでした。長い長いスネリウス谷も見え始めています。

今日の太陽2023/10/02

20231002太陽
10月に入りましたが、曇りがちな天気が続いています。昨日はまとまった雨、今日は曇り時々薄日が差す程度。15時までの真夏日地点数は26まで減りました。

20231002太陽リム
左は11時過ぎの太陽。昼前後にやや青空が多くなったときに何とか撮影できました。左上に活動領域13451と13452、左下に13454が進出しています。13448は中央を過ぎ、13453と13450が間もなく中央です。ダークフィラメントとプロミネンスがまた多くなりましたね。

今朝の月面ピックアップ2023/10/03

20231003マクロビウス、オニール橋、タルンティウス
昨夜は夜半まで雲が多く、日付が今日になってから回復。ただ、明け方まで薄雲が残りました。シーイングが非常に悪かったので、月のみ観察。いくつか撮った中から2シーンをご紹介。

ちょうどオニール橋付近に明暗境界が差しかかったので、危難の海西縁を含む辺りをがばっと撮影。「跳ね橋の下を夕日がくぐり、反対の川面を照らす」というお馴染みの構図が完成していました。よく見ると危難の海の西部にあるヤーキーズ、ピカール、パースの三つのクレーター縁もうっすら光っていました。何本か大規模なRay現象も見えていますね。

Rayと言えば、危難の海北側にあるクレオメデスの南(たぶんクレオメデスC付近)にも細い光が差し込み、地形の一部が点々と光っています。

また、Ray現象ではありませんが、マクロビウスの西縁にある「欠け」が影になってクレーター内に投影されているのがなんとも可愛らしい。影の欠けを口、クレーター縁の欠けを耳に見立てると、シルエットが人の横顔みたいです。顔といえばマクロビウスの西にエスクランゴンという15km径ほどのクレーターがあって、クマの顔みたいで可愛い。

20231003オニール橋
およそ2.5時間後にもオニール橋を写してみると、右画像のようになってました。もう奥のクレーターは光っておらず、周囲の影も伸びていました。月面から見ると太陽の高度が1°あまり低くなっただけなんですが、それを地球から眺めると大きく変化しているのですね。(地球の変化はもっと早いですよ。)橋の入り口にある明るいプロクルスに東から接するように小さなV字または「<(不等号記号)」が見えます。これ、2.5時間後に消えるかと思ったのですがまだ見えていました。

その他この画像では、ガードナーのメガドームやコーシー谷、コーシー断崖(壁)、タルンティウス付近の変化に富んだ地形や数々のリッジ、その近くにある日本人の名のついたクレーター「アサダ(麻田剛立)」、タルンティウス・チェーンクレーター、画像下縁ギリギリにメシエAから伸びる彗星のような光条も確認できます。ここだけでご飯何杯でもいけちゃうほど面白いエリアです。

20231003ジャンセン、レイタ、ライヘンバッハ
こちらは南半球側に見えた明暗縁の一部。中央にはレイタ谷が黒々と鎮座し、南にはジャンセン、北側にはライヘンバッハ北部からスタートしているスネリウス谷が影を落としています。地球からみて月面をボールが転がったように見える跡はたくさんあり、月が形成される過程で本当にボール状の小天体が転がったのではと思ってしまいます。

画像上、神酒の海の南にあるフラカストリウスの北東に接して「ミッキーの顔」のような見事なクレーターがあります。なぜこんな回転対象形になったのか不思議でたまりません。フラカストリウス内には細い谷が走っており、その支流は更に細いため、すべて写しとるのは相当シーイングが良くなければ難しいでしょうね。谷などの細い地形は、同じ幅であっても月面中央から遠くなるほど必要な分解能が急激に上がるので、球体であることを頭に入れておかなくてはいけません。

画像内には月面K地形(ライヘンバッハ・クレーター)もありますが、まだ周囲が明るいのでK字に見えませんでした。オニール橋と月面Kはだいたいタイミングが合うのですが、太陽のさす方位角の違いで時間差が出ます。

ジャンセン内にあるファブリシウスの影や、左下ぎりぎりに写っているヴラークの影なども人の横顔に見えますね。ファブリシウス北にあるメティウス内に見える三つ並んだお団子も気になりました。ジャンセン東のシュタインハイルGに接するように十字架または剣のように光る地形も見えました。このエリアもご飯何杯でもお代わりできちゃいます。

今日の太陽とハロ現象2023/10/03

20231003太陽
朝のうちは雲が少なかったものの、昼ごろから雲多めで推移しています。天気が下り坂のようで、明日朝は雨予報。

20231003太陽リム
左は10時過ぎの太陽。昨日から見えていた左上リム近くの極小黒点周囲は活動領域13455と採番されました。ずっと細かい黒点が多いフェーズが続きますね。ダークフィラメント、プロミネンスとも賑やか。左下リムと右端リムから出ている細くて長いプロミネンスが面白いです。

20231003ハロ現象
午後遅くなると弱い内暈が見えました。良く見ると離れた位置に小さな幻日を伴っています。左右とも見えたのは久しぶり。更に良く見ると、右の幻日から内暈に向かってローウイッツアークのような筋が見えています。右の幻日の右側まで伸びているような…?この時間しか観察しなかったので、雲の斑を見間違えたのかも知れません。他にご覧になった方はいらっしゃいませんか?