お天気悪いけど、今夜は十三夜2019/10/11

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今日も朝から空はどんより。台風が迫っているせいか社会のあちこちで緊張が漂い、余裕が無い様に感じます…。すっかり忘れ去られた感があるけれど、今夜は「十三夜」。秋の収穫に感謝し、まんまるではない十三夜月に形が似た栗や豆をお供えして月を尊ぶ日です。「栗名月」や「豆名月」とも言われますね。

今年は空梅雨、酷暑、水不足からの大雨、台風と続き、とりわけ一次産業は大ダメージでした。「自然に感謝しないからだ」とか「気候変動を蔑ろにし過ぎてる」などと精神論や暴論を展開するつもりはないけれど、落ち着いて月も見上げられない社会というのは先が見えてるなぁと感じます。

さておき、今夜の十三夜は多くの地域で見えそうにないため、代わりに二日前…9日20:50ごろ撮影しておいた月(左画像)をご覧いただいて「片見月」を回避するとしましょう。近年はネット墓参りだってあるのですから、台風時くらいはネット月見でも許されるのでは?(笑)…撮影時の太陽黄経差は132.00°、撮影高度38.2°、月齢は10.72です。十三夜月に及ばないものの、随分ふっくらしていました。横倒しに昇る姿を想像すると、栗の実に似てるでしょう?

9月19日記事に書きましたが、月面着陸予定だったインドの技術実証機ヴィクラムインドが通信途絶してから1ヶ月以上経ちました。墜落したと考えられる場所は月齢が一巡りして日向になったため、NASAも捜索を再開したようです。でも未だリポートはありません。見つかると良いのですが…。

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台風が去って晴れるであろう14日朝に満月を迎えます。その数日後には月面Kが見えるので紹介しておきましょう。冒頭画像にいくつかの位置を描き込んで右に掲載しました。海の配置を頼りに方角や位置関係をしっかり把握し、観察に臨んでください。

月面東寄りに目立つ光条が見えますが、中でもプロクルスやステヴィヌスはかなり明るいので有名です。月面Kの位置はステヴィヌス・クレーターの近くになります。下弦側の現象ですから、段々影になる過程で文字地形が見えます。月面Xや月面Aなど上弦側に比べて、既に見えている地形を探すだけなので特定が楽なことは最大のメリットでしょう。

詳しい日時はアーカイブ「月面文字地形の観察」に載せてあります。10月17日明け方4:00の日照をシミュレートしたものが下A画像。やや光が当たりすぎてますが、これ以降は朝が来てしまい、月も低くなります。早起きして観察することをお勧めします。「早起きなんて無理!」という方は、11月15日夜のチャンスにトライしましょう。下B画像に当日21:00のシミュレートを掲載しました。11月のほうが陰影はクッキリするのですが月高度がやや低く、高くなるのを待っていると全て影に没してしまうのでご注意。

10月17日明け方にはもうひとつ、とっておきの現象が見えるかも知れません。それは「オニール橋の出現」です。オニール橋はネット検索するとたくさんの解説や画像があるので詳しくは触れませんが、「アーチ橋の下を夕日が通るように見える」月面の錯視地形。地形そのものは危難の海付近が光っていればいつでも確認できますが、「橋と夕日の様な錯視」として観察可能なタイミングが難しく、偶然に任せていると一生出会えません。私も詳細な観察条件を現在探っているところです。A画像生成のついでにオニール橋も調べたら、見事に見えていました(下C画像)。早起きできる方は本当に見えるかどうかを是非調べてみてください。(※10月17日限定での概算によると、3時前頃から4時過ぎ頃までが「もっとも橋&夕日らしく見える」と予想しています。参考にしてください。)ちなみに11月15日は見えません(※見えるとしたら月出直後)。位置は前述のプロクルス・クレーター近くです。(C画像の緑点線円内・左上のクッキリしたクレーターがプロクルス。)

更にマニアックな観察がしたければ「ラリエー(ラリュー)のダム/Larrieu’s Dam」(ポリュビオス-K・クレーター/Polybius K)も探してみましょう。クレーターが『ダム』で堰き止められた様な半月状=D型に見える小クレーターで、月面Kが見える頃からアルタイ崖近くに確認できます。(下図A・Bに入っています。)これも日照によって見える時期が限られる地形の1つですね。どうかみなさんのお住まいに台風被害が及ぶことなく、爽やかな秋晴れに恵まれます様に。

  • 20191017-0400月面K_sim

  • 20191115-2100月面K_sim

  • 20191017-0400オニール橋sim


  • A・B・C画像は自作プログラムによる日照シミュレートCGです。実写ではありません。実際の陰影とは微妙に異なると思われますのでご注意ください。標高データはNASAが公開しているLRO標高データで、地質による反射率差は無視しています。また秤動は光学秤動のみ反映しています。(実際は観察地・観察時刻ごとに微少な秤動差が出ます。)

  • 何通りかのシミュレート結果により、月面Kが見える条件は月面における太陽高度だけでなく方位角がシビアに関係しているらしいことが分かっています。時間に余裕を持って観察してください。


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