静岡の西村さんが発見した突発天体をやっと撮影2021/05/16

20210516_TCP J22194001+0452101
少し遡ったお話ですが、5月10日2時過ぎ、静岡県の西村栄男さんがペガスス座の一角に13.0等の突発天体を発見したとのこと。ずっと撮影したかったけれど、ゴールデンウィーク以降の天候不順が響き、なかなか望遠鏡を向けるチャンスがありませんでした。薄明開始時点で高度30°を越しているので難しい位置ではありませんが、我が家からは電線と光害の密集方向のため、撮影可能時間帯が限られる苦労もありました。

昨夜は曇り予報、本日16日は雨予報だったので全く期待してませんでした。でも宵には月も見えていたため、念のため仮眠後の夜半すぎに外へ。な、なんと快星でした。透明度は落ちていますが少しのあいだ雲が来ないだけでもありがたい。急いで準備し、隣家の屋根から出てきたところを撮影。40分程の露光ができました。撮影完了頃には一気に雲量8割程度に増え、間一髪。

低空のため写りが悪いものの、該当位置には14等前半くらいの青白い星があります。数日経たないうちに暗くなってしまう突発天体もありますから、6日過ぎてもまだ写ってくれてラッキーでした。

20210516_V1405Cas
西村さんの突発天体が屋根から顔を出すまでの間を使い、V1405 Casも撮影しました。ちょっと低かったけれど、こちらも何とか撮影完了。前回撮影した10日の画像と並べてみました(右画像)。再度減光を始めています。測定波長にも寄るでしょうが、各日画像左端やや下の白く明るい星が6.6等だから、これと同等か、やや明るい感じ。まだまだ追えますね。それにしてもずいぶん赤いなぁ。

もう梅雨なのかと思えるような不安定な空ですが、つかの間の星の光を堪能できました。ずっと低かった土星や木星もようやく見える位置に登りつつあります。今年の夏は晴れるでしょうか?

思いがけず三日月が見えました2021/05/15

20210515宵空
15日は記録的な早さで四国、中国地方以西が梅雨入りし、関東の天気も芳しくありませんでした。朝のうち盛大に内暈が出現。その後は日差しが弱まり、夕方近くまで比較的厚めの雲が空を覆っていました。

「たしか今夜は三日月か…無理かなぁ…」などと思いながら日没後にベランダへ出ると、なんと、かなり雲が引いているではありませんか(左画像)。前日の宵は薄雲越しに二日月が確認できたものの、撮影は全くできない有様。それから比べれば雲泥の差でした。急いで簡単ながら機材を組みました。

まだ明るいうちに何カットか保険撮影。その後、30分ほど経って暗くなってからも雲に十分な隙間があったので、再度撮影。無事、5月の三日月を記録することができました(下A・B画像/B画像は地球照込で仕上げました)。気流が落ち着いていたせいか、カメラファインダー越しでもたくさんのクレーターが観察できました。

三日月の左上、10°弱離れて火星が輝いていました(下C画像)。と言っても火星は四捨五入で2等星まで減光してしまったため、あまり目立ちません。月背後にあるふたご座の星のひとつかな?って思っちゃうほど地味でした。でもC画像内では月に次いで二番目に明るい星ですよ。16日宵には2°余りまで接近しますが、少なくとも関東の天気は雨予報…。冒頭画像のアングル内には他にも水星と金星がいたはずですが、雲が邪魔で全く見えませんでした。

夢中で月を観察していた同じ時間帯に、コアモジュール「天和」と国際宇宙ステーションの通過が立て続けにありました。カメラを向け直すのも面倒なので撮影はしませんでした。天和のほうは雲でよく分かりませんでしたが、さすがにISSは雲越しでも明るく輝いていました。思いがけず、宵空のプレゼントにほっこり。

  • 20210515夕空の月

    A.5月15日宵の月(月齢3.65)
  • 20210515夕空の月

    B.三日月と地球照
  • 20210515_月と火星の接近

    C.月と火星


今日の太陽2021/05/14

20210514太陽
昨日は夜まで雨が残るお天気。今日明け方から晴れ間が広がり、蒸し暑くなりました。昼を過ぎると薄雲がかかり始め、太陽観察に支障が出始めました。当地・茨城はゴールデンウィーク頃から実質的に梅雨のような空模様。

20210514太陽リム
左は14:10頃の太陽。薄雲越しの撮影です。北半球の黒点を伴う活動領域12822と、同じく南半球の12823が見えています。南半球の黒点は小さいですね。また、黒点はありませんが左下にやや活発な領域が確認できます。プロミネンスは落ち着いており、小振りのものが何ヶ所か見えていました。

今夜からまた曇り続きのようなので、なかなか連続観察ができませんね。

センタームーンを観よう・補足2021/05/13

測心秤動比較(2021年5月・中心付近)
5月5・6日に掲載した「センタームーンを観よう」の記事に関して、いくつかのご意見やご質問をいただきました。そのなかから二点をピックアップして補足説明いたします。観察の参考になれば幸いです。


★国内での測心秤動の差は?
本編では当ブログの基点として使っている茨城県つくば市(市役所位置)での測心秤動図を掲載しました。「国内では概ね同様の傾向」とは言っても、日本は直径3000km円からはみ出るほど大きいため、それなりに差が出ます。では、どれくらいの差なのでしょうか。

具体例を挙げたほうが分かりやすいので、本編に掲載した秤動図のうち、今月5月の中心付近プラスマイナス4°を拡大してみました(左図)。この中に、つくば市以外の比較として札幌(北海道庁)、福岡(福岡県庁)、那覇(沖縄県庁)の三地域も一緒に描き込みました。新月と満月のマーク、近地点通過時(×印)、遠地点通過時(+印)が確認できます。いちばん秤動がずれているあたりを測ると、札幌-那覇間で0.4°未満。緯度秤動と経度秤動に分解すればもっと小さいです。同じ日時の観察に限って言えば、これを超えることは滅多に無いでしょう。

こうして拡大すると分かりやすいのですが、遠地点通過のころより近地点通過のころのほうが「バネの様な測心秤動の伸び幅」も「地域間のまとまり具合」も離れています。月が近く、動きも大きいため、観察位置差による月面の向きの差が目立って大きくなるわけですね。


★秤動がいちばん大きいときは?
2021年5月の秤動
タイトルがセンタームーンですから「秤動がゼロに近いタイミング」に拘って探ってきましたが、逆に「秤動が最大になるときはいつなのか?」が気になる方も多いでしょう。むしろ「裏側を見たいから」という理由で、こちらのほうが需要があるかも知れません。

期間や範囲などを区切ったとき、注目する観測値が取りうる最大値または最小値は「極値」と呼ばれます。秤動の場合、ひとことで極値と言っても様々な解釈があるでしょう。ここでは以下の6種類について計算しました。

  • 地心経度秤動がプラス側に最大/マイナス側に最大
  • 地心緯度秤動がプラス側に最大/マイナス側に最大
  • 測心経度秤動がプラス側に最大/マイナス側に最大
  • 測心緯度秤動がプラス側に最大/マイナス側に最大
  • 地心秤動が中心から最も遠い
  • 測心秤動が中心から最も遠い

2021年秤動極値
経度秤動の極値は地心または測心の秤動図で「最も右側/左側の点」ということ。緯度秤動なら「最も上側/下側」ですね。また、ある日時の秤動位置を緯度経度ではなく「真の月面中心からの離角(=秤動量)」と「月面北極方向からの方向角」で表したとき、秤動量が最大になるポイントが見つかるでしょう(右上図/2021年5月の例)。もちろん経度秤動や緯度秤動の極値とは異なる日時になります。

この秤動量最大点も地心と測心とで異なり、同じ様な位置になることもあれば右上図のように全く違う方向角の場合もあります。更には、集計期間によっても変化するし、「毎年5月は似た傾向…」なんてこともありません。とにかく変幻自在なんです。

秤動極値は具体的に計算して結果を示したほうが良いので、ひとまず今年2021年分を左図および下表に提示します。前後20年分ほど1年ごとに計算しましたので、後日アーカイブに収めたいと思います。秤動が大きな時期に月面を見ると、地球から見えない面の一部が見えます。秤動を厳密に調べ、10年くらいかけてリム近くに見える全方向の裏側地形を観察する、といった凄まじい試みも楽しく、やりがいがあるでしょう。なかなかに奥が深い秤動の世界。更に学んでいきたいと思います。

【2021年・緯度経度秤動の最大】
項目最小日時最小秤動(°)最大日時最大秤動(°)
地心緯度秤動最小最大2021年11月27日 14:14-6.8532021年6月2日 14:036.849
地心経度秤動最小最大2021年4月21日 22:08-7.9752021年12月11日 1:207.886
測心緯度秤動最小最大2021年11月27日 2:09-6.6622021年11月12日 15:067.665
測心経度秤動最小最大2021年4月22日 0:34-8.5412021年12月11日 11:278.345

【2021年・秤動量の最大】
項目最大日時離角(°)方向角(°)
地心秤動量最大2021年12月10日 15:3610.343310.934
測心秤動量最大2021年12月10日 11:3211.251312.668

  • 自作プログラムによる計算です。
  • 計算量が膨大なので、1分おきに計算したものの極値としました。