2019年の台風19号が発生2019/10/06


20191006-0300台風19号
昨日気象庁から「台風になるかも」と発表が出ていた熱帯低気圧は、本日3:00に台風19号「ハギビス/HAGIBIS」になったと報道がありました。直前の台風18号発生から7日と18時間後、18号消滅から2日と12時間後の発生になります。

左は発生時刻の気象衛星ひまわり画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。夜間なので赤外波長の白黒画像です。赤点線円は台風中心の直径1000km円を表しています。現在は南鳥島の近海にあって西進していますが、ゆっくりと北寄りに進路を変え、日本へ接近する予報です。

二日後頃には「強い台風」クラス、三日後頃には「非常に強い台風」クラス、そして4日後頃には「猛烈な台風」クラスになる予想で、勢力を保ちながら週末の連休頃に関東から南西諸島にかけての太平洋側のどこかへ最接近または上陸する最悪のシナリオになる可能性が高まりました。間違いなく今年一番警戒しなくてはならないレベルですね。十分な防災対策を取ってください。

今日の太陽2019/10/06

20191006太陽
明け方に雨が強く降りました。昼にかけて怪しい雲行きでしたが、午後遅くなって急激に天気が回復してきました。

20191006太陽リム
左は15:10前の太陽。もう随分低くなっていたため迷いましたが、せっかく青空になってくれたので一応観察することにしました。大気の状態は著しく悪いため不鮮明です。活動領域12749は中央子午線に近づきました。右上と左上のリムに小さなプロミネンスが見える程度で、外周は目を引くものがありませんでした。

15:00時点の真夏日地点数は14。今日は全国的に涼しいようです。太陽観察後、1時間もしないうちにすっかり雲に覆われました。

【追記】

Spaceweather.comの10月6日記事に興味深い話が出ていたのでご紹介。この日の太陽には黒点を伴わない南半球の活動領域12749とともに、北半球にも微少な活動領域(番号なし)がありました。それぞれの領域は所属する太陽周期が違うというのです。上の私撮影画像とほぼ同時刻に撮影された太陽観測衛星SDOの画像を下A・B画像として引用しました。

A画像はAIA171紫外域カメラで、活動領域がはっきり分かります。ふたつの領域近くに+と−の記号を振っておきましたが、これは磁力線の(観測者に対する)向きを示します。+は観測者へ近づく方向、−は遠ざかる方向です。この磁場極性を通常のナローバンドカメラで知ることは難しいけれど、B画像のように磁場観測カメラを使うと分かりやすいです。白い部分が+、黒が−ですから、対応する位置を調べれば良いわけです。磁力線はN極からS極へ向かうので、+をN極、−をS極と読み替えても良いでしょう。

ではなぜ各領域の太陽周期が違うと分かるのでしょう?これは「ヘール・ニコルソンの法則」を知る必要があります。太陽を北半球と南半球に分けたとき、次の3つの性質があるという法則です。

  • 片方の半球内にある全ての活動領域で、磁極の東西位置(極性)は一致する。
  • 同じ太陽周期内ならば、活動領域の極性は北半球と南半球とで逆になる。
  • 太陽周期が変わる度に、北半球と南半球それぞれの極性は反転する。

あらためて画像に写ってる活動領域の極性を見ると、どちらも+が東側(先行N極)。ヘール・ニコルソンの法則の二番目によると、同じ太陽周期内で両半球の極性一致はありませんから、それぞれ違う太陽周期に属すると分かるでしょう。現在の第24太陽周期は北半球が+/−(先行S極)、南半球は逆に−/+(先行N極)であることが知られていますから、南半球のものは第24太陽周期と一致しますが、北半球のものは次の第25太陽周期のものだと分かるのです。

ちょうど今は太陽周期が入れ替わりつつある最中なので、極性が混在しているという訳でした。単純に黒点数の増減だけ集計しても太陽周期を正確に切り分けることができないという良い例ですね。なお、太陽周期が混在していない極性サンプルとして、2015年9月28日の私撮影画像とSDOの磁気画像を下C・D画像に掲載しました。とても分かりやすいですから、同じ要領で北半球と南半球を確かめてみてください。アマチュアでも磁力を写せる様な安価な望遠鏡があるといいんですけどねぇ。

  • 20191006-0611ut-AIA171

    A.2019年10月6日(紫外線)
  • 20191006-0615ut-mag

    B.2019年10月6日(磁場)


  • 20150928太陽

    C.2015年9月28日(Hα)
  • 20150928_011500ut-HMI

    D.2015年9月28日(磁場)