台風21号が小笠原諸島を直撃 ― 2019/10/24
本日24日の朝から昼にかけて、台風21号の中心が小笠原諸島を通過しました。気象庁のアメダス速報によれば、9:20に父島の小笠原村ポイントで日最大瞬間風速52.7m/sを観測したとのこと。これまでのトップ記録は1986年9月の台風17号に伴う59.7m/s、2位が1997年10月の24号に伴う53.9m/sですから、それに匹敵する様な風ですね。被害がどれほどかまだ分かりませんが、無事であることを祈りたい。
左画像は本日正午の気象衛星ひまわり画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。ナチュラルカラー処理のため、水色の雲は活発に上昇した氷粒状態、白やグレイの雲は低層の水粒状態を表します。赤点線円は台風21号中心の直径1000km円を表しています。中心南寄りにある縦並びの島が父島と母島。同じ東京都管轄でありながら、伊豆諸島や小笠原諸島の防災や復興対応は後回しになってしまう傾向があるそうです。これは地方の島しょ地域も同様でしょう。同じ命の重みなのに、地の利が無いだけで扱いが変わるのは酷いことです。
小笠原諸島に接近・通過する台風を気象庁ベストトラックで調べたら、強風域がかかる程度のコースまで含めると年間平均4個ほどありました。小笠原村から半径50km圏内を台風中心が通ったものに絞ると、記録に残る1951年以降では35個。風速が記録されている1977年以降で通過時に中心付近最大風速がもっとも強かったのは1983年17号(風速100ノット)、2006年14号(同90ノット)、ついで今回の21号(同90ノット※速報値)。今日の通過は歴代二位タイの凄さだったのです。(※1ノット = 0.5144m/s。)台風15号の千葉県直撃や19号の首都圏直撃より10ノットも速いんですよ。なのにそんな報道、ごくわずかですよね。
台風は今日夕方時点で次第に島々から離れつつありますが、吹き戻しも心配ですね。雨も降り始めから本日18時までに80mmほど降っています。梅雨前には水不足、台風シーズンには風雨の被害が毎年の様に起こっています。小さな島は小動物のごとく環境変化に弱いもの。防災ストックも少ないでしょう。都市部だけでなく、小さな島々のことも考えてあげてください。暮らす人たちに非はありませんから。