明るくなってきた紫金山・ATLAS彗星2024/04/26

20240425_紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)
昨夜から今朝にかけて雲が残ったものの、星が見えていました。夜半前から月明かりがあったのですが、日付をまたいで久しぶりに紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)に望遠鏡を向けました。

モニター画面でもしっかりした像が確認でき、カーブした尾も写りました。頭部が押しつぶされたように感じます。光度は10等中盤といったところでしょうか。概ね予報通り、順調に明るくなっていますね。崩壊しない限り、このぶんなら間違いなく肉眼光度に達するでしょう。今年9月下旬から10月上旬の明け方、そして10月中旬以降の宵空でどんな雄姿を見せてくれるでしょうか。とても楽しみです。

20040418_SOHO写野のブラッドフィールド彗星(C/2004 F4)
なおこれとは別に先日発見されたATLAS彗星(C/2024 G3)も来年1月に肉眼光度になる予報が出ています。ただし1月までは日本から見えない南天の空、明るくなる頃は太陽に近過ぎて見えない、という残念な状況です。この彗星は太陽観測衛星SOHOの写野にギリギリ入るかも知れないので、それが唯一の観察手段になりそうです。※ちなみに、紫金山・ATLAS彗星は10月7日から10日ごろ確実にSOHO写野を横切りますから要注目!右画像はSOHOギャラリーからの引用で、C3カメラ写野を横切るブラッドフィールド彗星(C/2004 F4)。このとき彗星はおよそ2等級前後とのこと。紫金山・ATLAS彗星が予報通りならこれより明るくなるでしょう。

【追記:尾の向きと長さ】
20240426紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)の軌道
NASA-JPLのSmall-Body Database Lookupを見てみると、4月下旬現在の紫金山・ATLAS彗星は太陽と地球を結ぶ線の延長近くにあり、昨夜の撮影時点で位相角=地球・彗星・太陽の成す角はわずか5.2°でした。黄道面からあまり離れず衝の位置に近いことが分かります。また偶然ながら彗星赤緯が0°に近いことから、地球赤道面からも離れていません。彗星の軌道傾斜が140°近くもあるのに、実に面白いことになってますね。

ざっくり言って尾が太陽と反対に伸びているものとすれば、衝の頃の尾は地球から見て視線方向・奥側へ向かうことになります。仮にとても長く伸びていても実際の長さを感じ取れない方向で、言わば停止流星みたいな見え方ですね。いま長さとして見えているのは、重力の影響で尾が太陽と正反対の方向から逸脱している、このズレ量の成分が結構占めていると思われます。6月中旬くらいになれば東矩の位置までやってきて、距離も火星軌道に近くなるので、尾の様子を横からじっくり眺められるようになるでしょう。梅雨ですけどね…。


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