年越しのJWSTと夜明けの月2022/01/01

20220101月・火星・アンタレス接近
2022年になりました。明けまして…の前の時間。気温がマイナス4度の中、近くの広場まで歩いて月を見に行きました。低空まで澄み渡り、心が洗われます。吐く息があまり白くないのは乾燥しているせいでしょうか。

現地に着いて程なく、接近した月と火星がさそり座の頭部とともにのぼりました。火星とアンタレスは数日前に最接近しており(→両天体の接近日時は2016年4月4日記事を参照)、今朝は月も加わってなかなか豪華。地球照が眩しいと感じました。

20220101月・火星・アンタレス接近

20220101月
さそり座の1等星アンタレスは「火星に対抗するもの(アンチ・アレス/火星は軍神アレスの象徴)」からきた名前ですが、今朝は赤さも明るさも完全勝利していました。2022年は火星が地球に接近する年だけれど、最接近は11ヶ月後の12月1日ですから、今はまだまだ暗い時期です。

右下は5:50ごろ撮影した月(※上が天頂方向)。太陽黄経差が約333.10°、撮影高度が約7.6°、月齢は27.55。昨年秋に見事な水平月を見せてくれた夜明けの月も、もうこんなに傾斜していました。弦傾斜は約-41.99°。時が過ぎゆくのは早いものですね。


時間は少し遡りますが、年が変わる前後に天体を2つ撮影しました。ひとつは前夜もチャレンジしたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)。今回は位置を間違えないよう慎重にフレーミングし、ひとコマの露出を半分に抑えました。前夜は雲が多かったけれど、年越しの夜は透明度が高い快星夜。1時間以上撮影継続できたおかげでJWSTは驚くほどはっきり浮かび上がってくれました。

もうひとつは1ヶ月ほど前に大阪府の徳岡修二さんがおおぐま座のUGC4671に発見した超新星SN2021afsj。この星は現在見える超新星の中でトップクラスに入るほど明るく、減光している現在でもしっかり写ってくれました。今年はどんな新天体発見があるでしょうか。楽しみですね。

  • 20220101_JWST

    A.ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
  • 20220102_SN2021afsj in UGC4671

    B.SN2021afsj in UGC4671


今日の太陽2022/01/01

20210101太陽
大晦日から元日にかけて快星夜。朝からも良い天気ですが11m/sに届きそうな強風が吹き荒れています。家がそこらじゅうガタガタ鳴っていて台風並みですね。

20210101太陽リム
左は10:30過ぎの太陽。中央左寄りにできていた黒点群周囲は12922と採番されました。このあとに続く活動領域は今のところなさそうなので、だんだん寂しくなりますね。 左下リム沿いにたくさんのプロミネンスが見えました。新年のお祝い?



20210101_SOHO
今日昼過ぎの太陽観測衛星SOHO画像を見ると、右下へむかってコロナの吹き出しがあったような跡が見えました(右画像・SOHOサイトから引用)。遡って調べると、昨日朝に起きたもののようです。昨日の太陽右下に見えていたのっぽのプロミネンスは爆発の過程でできたものでした。あのあとぐんぐん伸びて今日の痕跡につながったようです。

今が旬の彗星をふたつ観察2022/01/02

20220102アトラス彗星(C/2019 L3)
昨夜から今朝も快星夜。シーイングは冬そのものですが透明度は比較的高く、気持ち良い晴れっぷりです。こんなときは淡い天体に最適…というわけで、相次いで天頂を通る彗星をふたつ観察しました。

まずは左画像のアトラス彗星(C/2019 L3)。このお正月に最盛期を迎えており、小さなモニターでも存在がはっきり分かります。明るい核と短い尾が特徴ですね。街中で撮るとはっきりしませんが、淡く緑のコマも大きく広がっているようです。彗星すぐ北に写っている移動天体は小惑星Gabrova(2206/15.9mag)です。

20220102チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)
ふたつ目は計算上の光度ピークを少し過ぎたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)。まだまだ明るいです。まっすぐに伸びた尾と大きく広がった尾の二種類が認められます。こちらは緑のコマがよく見えますね。

それにしてもこんな狭い写野なのに人工衛星や航空機が多いこと…。赤い光跡が写ったコマを見たときはめまいがしましたが、あえて外さずコンポジットしました。まじめに測光してる観測者などには大迷惑でしょうねぇ。ひところ盛り上がったコンステレーション衛星の反対運動もいつの間にか聞こえなくなってしまいました。悲しい限りです。

今日の太陽と金星2022/01/02

20220102太陽
明け方から雲が出ていましたが、午前中はその雲が厚くなってしまい、近くでは降水もあったようです。午後になると回復したので、太陽と金星を観察しました。

20220102太陽リム
左は13:40前の太陽。活動領域12922が中央子午線に近くなりました。右上リム近くの12918付近が明るく、活発な活動があるようです。場所は少し違うんですが、12918の北側に淡いけれど高く伸びたプロミネンスが見えてますね。左下のプロミネンス群も相変わらず立派です。

20220102金星
続けて別の機材で青空の中の金星を探し出しました。うすうす感じていたのですが、やっぱりシーイングは最悪。昨年12月28日に撮影したときよりも風は無かったのに、糸のような金星像が踊りまくっていて、ピントのピークさえつかめませんでした。仕上げた画像も12月28日の画像より太ってしまった感じ。機材・撮影法・カメラの向き・画像縮尺などほぼ一緒です。(※夜追記:多少マシになった画像に差し替えました。)

内合の一週間前ですから折れそうなくらい細いのですが、うまく撮影することができないのはもどかしいですね。日没後に小型双眼鏡で見たところ、可愛らしい三日月状の姿が見えました。