晴れ渡る夜明けの月、ミラなども見える2019/10/23

20191023_28641月
久しぶりに昨夜は夜半頃から晴れの予報。期待してたのですが、やはりそれなりに雲が流れていました。ただ、台風通過後のわずかな晴れ間以外では半月ほど全く見ていなかった美しい星々が空を飾ってくれたので涙が出るほど嬉しく、穏やかな気持ちになりました。

時間が経つと共に雲が少なくなって、天文薄明が始まる頃には雲ひとつない月夜に。高度が出てきた下弦過ぎの月に望遠鏡を向けました。大気の揺らぎが大きくて像がメチャクチャでしたが、透明度は冬の様。心が躍ります。

さすがに拡大撮影は諦めましたが、せっかくなので全体像を撮っておきました(左画像)。4時過ぎの撮影で、撮影時の太陽黄経差は約286.41°、撮影高度は約50.75°、月齢24.03です。天気が悪くて下弦前後の月は全く観察できませんでしたから、もうこんなに痩せてしまったかぁ…と戸惑うばかり。しばし月面を目で追いました。虹の入り江は夕方を迎え、コペルニクスは西側の崖だけが見えています。シラーやシッカルド、バイイといった南部の大型クレーターもよく見えていますね。

20191023オリエンタレ盆地
月縁を見ている内に、どうにも「オリエンタレ盆地」(Orientale basin)や、その中心にある「東の海」(Mare Orientale)辺りが見えるような気がしてならなかったので、部屋に戻って調べると、やはり左下が中央へ寄っている秤動でした。3年も前に書いた2016年10月31日記事にも偶然今日の日付が書いてありビックリ。こんな重要な日を忘れていたとは、我ながら呆れました。

シンチレーションが悪すぎて東の海まで分解しませんでしたが、盆地に沿って月縁が変形しているのは分かります。真ん丸の縁ではなく、やや直線状に凹むのです。真円の定規を描いてみると見間違いではないと納得できるでしょう(右画像・緑矢印のところ)。凹んでいる両端は何ヶ所か逆に突き出ていて(同・水色矢印のところ)、ここが三重の外輪山だと分かります。

20191023ミラ
月を眺めるまでの時間、雲間を狙ってくじら座のミラも撮ってみました。撮影の頃は雲だけでなくやや風が強かったため大型機材は諦め、ポタ赤での撮影です。右画像で、右下の明るいオレンジ星がミラ(οCet)、左上の明るいオレンジ星がくじら座α星(αCet)です。かなり明るいピークを迎えつつあり、同じくらいの明るさですね。

色合いが分かるよう、普通の撮影画像の上からデフューズフィルタ付き撮影画像を薄くコンポジットしてあります。ミラの左に見える直線状の光は静止衛星でしょうか?随分明るいのですが…?

もうひとつ、やはりピークを迎えつつある長周期変光星/脈動変光星のうさぎ座R星、通称「クリムゾン・スター」も撮影したかったけれど、雲行きと時間とが合いませんでした。3cm小型双眼鏡で観察すると見えており、6等台後半程度の明るさと見積もりました。(※ピークは天文年鑑によると11月10日・日本変光星研究会では10月16日。)427日もの長い周期ですから、見逃すと次の極大が1年以上後になっちゃいます。

今日の太陽2019/10/23

20191023太陽
実に10日ぶり、太陽観察できそうな快晴の朝となりました。ベランダから青白い富士山が見えます。ただしお天気は今日日中だけのようです。秋が少ないまま冬が来てしまいそう…。

20191023太陽リム
左は9:30過ぎの太陽。活動領域はありません。所々に小さなダークフィラメントがありますが、光球面はパッとしませんね…。プロミネンスが右リム北半球に多く見えています。淡いけれど、左リム北半球にも何ヶ所か出ているようです。北半球が活気付いているのかな?

昼になって少し雲が出始めましたが、まだ晴れています。気温は23度止まり。涼しくなりましたね。明日は二十四節気の「霜降」です。