台風のたまごが発生、サイクロンKyarrも心配2019/10/29


20191029-0300熱帯低気圧
気象庁によると、本日3:00に「台風になるかも知れない熱帯低気圧が発生した」とのこと。場所は南シナ海で、北緯15°に満たない位置を西進しているため、日本への影響はなさそうです。【追記:30日3:00に台風22号となりました。】

左画像は発生時の気象衛星ひまわり画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。夜間なので赤外波長の白黒画像です。オレンジ点線円は熱帯低気圧中心の直径1000km円を表しています。日本の位置は画像右上になります。

日本に直接影響が無いとは言え、現地の人たちが心配ですね。また同じアジア圏内ですから、仕事で行く必要があったり、取引など関わりがある方もいらっしゃるでしょう。被害が出ないことを祈るばかりです。

ところで、同じ気象衛星ひまわりが巨大サイクロンを写しているのをご存じでしょうか?下A画像は1日半前の27日21:00JSTに撮影されたもの(画像元:NICT/画像処理・地図等は筆者)。地球左上リム近くに明るい雲の渦塊が見えますね。薄く地図を重ねてありますが、場所はインド西部海域です。写っているのは観測史上最強と言われているサイクロン「Kyarr」(→29日・気象予報士の森さやかさん記事参照)。こんなに地球の縁ギリギリなのに、クッキリした「目」までよく分かります。気象衛星ひまわりはハワイ東側の東太平洋からインド洋/アラビア海の途中まで写し撮ることができます。

自分の気象記録によると、このサイクロンがアメリカ海軍・JTWC(Joint Tyhoon Warning Center)の記録に載り始めたのは10月25日、ちょうど東日本が大荒れの頃でした。当時はまだ名前が無く、Tropical Cyclone 04Aという番号のみで呼ばれていました。当初は東進しており、インドへ上陸するかと思っていましたが、24日頃から北上、25日には西進するコースへ。そして現在のアラビア半島へ向かう進路になった次第。

下B画像はNASA-WorldViewからの引用で、地球観測衛星Suomiが昨日撮影したKyarr。左にアラビア半島、右にインドが写っており、アラビア海を覆ってしまうほど大きなサイクロンだと分かるでしょう。サイクロンの雲が明るくてはっきりしませんが、中心の目の中に「メソ渦」(→2018年9月26日記事参照)が四つ確認でき、とても激しい嵐であることが見て取れます。27日6:00UT(15:00JST)以降ずっと最大風速130ノット(約66.87m/s)を維持し続けており、もうしばらく続きそう。今朝のJTWC予報(下C画像)を見る限り、幸いアラビア半島への上陸は無さそうな気配ですが、世界中でこうも頻繁に強大な嵐が起こり続けると、心がザワザワしますね。

  • 20191027-2100JST_Cyclone Kyarr

    A.気象衛星ひまわりによる
    サイクロンKyarr(10月27日21時)
  • 20191028サイクロンKyarr by Suomi

    B.地球観測衛星Suomiによる
    サイクロンKyarr(10月28日)
  • 20191028-2100UT_JTWC

    C.JTWCによるKyarr予報図(10月29日朝)


参考:
アラビア半島にサイクロンLUBAN上陸(2018/10/14)
アラビア海のサイクロン(2018/05/27)