今日の太陽と晴天特異日のこと2022/11/03

20221103太陽
昨夜から今日未明まで曇り、明け方は快晴になったようです。朝からも暖かい天気が続きますが、そのせいで透明度が悪くなりました。また午後になって5m/sを越える風が吹いています。

20221103太陽リム
左は10時前の太陽。左上リムに現れていた小黒点付近は活動領域13137となりました。右上の13131近くにプラージュが見えてますね。南半球のフィラメントが凄いことになってます。立体的に見たらどうなってるんだろう?1時間位おいて撮影した2シーンから立体画像が作れそうです。どなたかやってみてください。昨日も見えましたが、左上リム、高緯度のプロミネンスも大きくなって素晴らしいですね。

天気出現率・東京
今日は文化の日。東京の「晴天特異日」とよく言われます。2017年11月3日記事で「天気のシンギュラリティ(特異日)」を取り上げ、この「文化の日が晴天特異日ではなさそう」ということを検証しました。久しぶりに東京管区気象台のサイトを訪ねると天気出現率のページが1991年からの統計に刷新されていたので、前出記事に倣って東京の天気出現率グラフを描いてみました(左図)。

この統計で「晴れ」の出現率が多い順にソートすると、トップはやはり12月24日(93.3%)、次いで1月3日(90.0%)になりました。80%以上の日は24日もありますが、以前の統計からは4日も減っています。また本日11月3日の晴れの出現率は56.7%(前回は70.0%)、121位タイとかなり低いものでした。やはり文化の日が晴天特異日というのは都市伝説っぽいですね(今のところ確かな証拠が見つかりません)。年間総じて晴れる日は減っているようで、関東の天文屋から見れば由々しき事態でしょうか。おそらく関東だけの問題では無さそうです。

ついでに当地・茨城の県庁である水戸、および水戸と概ね同緯度の石川県金沢についてもグラフ化しました(下画像)。気象庁による雲量の目視観測が廃止される現状、こうした統計は今後やらなくなる/減らされるというお話だそうで、それも問題です(→2020年1月27日記事参照)。

  • 天気出現率・水戸

    A.天気出現率・水戸
  • 天気出現率・金沢

    B.天気出現率・金沢


付記:気象台の統計によると、天気の分類は以下の1から4に向かって判断します。
  • 優先順位1・「雪」:雪日数に数えられる大気現象(雪、霧雪、細氷、ふぶき)が観測された
  • 優先順位2・「雨」:日降水量が1.0㎜以上あった
  • 優先順位3・「曇」:日降水量が1.0㎜未満で、日平均雲量が8.5以上あった
  • 優先順位4・「晴」:日平均雲量が8.5未満だった
  • うるう日の2月29日は件数が少ないので統計から除きます。


雲に邪魔されつつも月面N&Iを観察2022/11/04

20221103コペルニクスと月面N&I
昨夕は薄雲が流れつつも一応晴れており、絶好の「月面N&I地形」観察日和でした。この地形が見える条件を正確に特定しようと薄暮中から準備。ところが途中から雲の通過頻度が増し始め、観察開始が少し遅くなりました。

事前に月面N地形の代表点から見た太陽高度を計算し、0.0°から1.0°まで0.1°刻みに撮影を行いました。これは日本時間にして18:11から20:14、約12分から13分の間隔に相当します。程よい高度、しかも南中近くになってくれたのは非常にありがたい。でもシーイングは悪く、時間とともに高度が増しているにも関わらず悪化する一方でした。また何度も雲の通過がありました。

左は19:00の様子。月面N地形代表点から太陽中心を見ると、地上0.4°に見えている計算です。地球から観察するとまだN地形はかなり暗く、この画像のようにくっきり見える訳ではありません。眼視で観るか、電子観望で観るかでも「見える」と判断する閾値が変化するかも知れませんね。画像ではNの字の右側縦棒が少し途切れていることが分かるでしょう。I地形は太陽光を遮る地形がないため、問題なくつながって見えています。

20221103コペルニクスと月面N&I
撮影した2時間ぶん・11シーンを使い、GIF動画にしました。右画像をクリックすると再生します。コペルニクス・クレーター内の影の変化、N地形がつながってゆく様子、N地形東側で起きているRay現象、明暗境界より更に西側の暗闇から山頂の輝きが広がる様子など見どころたくさん。2時間でこんなに変化するのかビックリするでしょう。

概ね最後のコマでN地形が全部つながりますので、当初の予想通り「月面N地形代表点の太陽高度が1.0°で完成する」という条件で予報が立てられることが確認できました。ただ細かいことを気にしなければ2時間前でもほとんどN字に見えましたから、この地形に限り予報の解釈はざっくりで構わないと思います。
20221103_11905月
現代のようにカメラセンサーを介した観察が主流になりつつある環境では輝度や感度を変えることで暗いうちからしっかり見えてしまいますからね。

最後に全体を撮ろうと思っていたけれど、雲が多くなってしまいました。1時間ほど待つと晴れ間が訪れ、ようやく撮影できました(左画像)。撮影時の太陽黄経差は約119.05°、撮影高度は約36.45°、月齢9.06。かなり酷いシーイングだったので細部がぼんやりしています。ともあれ、だいぶ雲に翻弄されたけれど楽しく充実した「十日夜」のひとときでした。

今日の太陽2022/11/04

20221104太陽
昨夜か今朝は薄曇り時々晴れ。朝からは少し持ち直したけれど雲多めです。昼からは昨日同様いくらか強めの風が吹いています。

20221104太陽リム
左は9:30過ぎの太陽。雲間を狙って撮りました。北半球中央のペア黒点は活動領域13135。大きめの黒点だった右上の13131は弱体化してるようですね。左上リム近くに大きな黒点が見え始めました。今後が楽しみです。南半球のフィラメントたちもまだ粘ってますね。

だんだん丸くなってきた2022/11/06

20221105_14426月
昨夕から今朝にかけての天気予報は曇りでしたが、思いの外晴れてくれました。時折横切る雲さえ気にしなければ、コンディションは上々。あまり時間が割けませんでしたが、月、火星、シリウスを観察しました。

左の月面は5日21時過ぎの撮影で、太陽黄経差は約144.26°、撮影高度は53.47°、月齢は11.05。木星と並んで輝いていました。皆既月食を三日後に控え、じりじりと丸みを帯びてきましたね。虹の入り江はすっかり夜が明け、明暗境界にアリスタルコスが見えます。右上側が中央に寄っている秤動が限界に近く、フンボルト海やスミス海などがとても良く見えています。

シーイングが比較的良いと感じたのですが、画像を仕上げると意外にもシャープネスが足りません。機材の原因という線は薄いので、自分の観察力が落ちていたのでしょう。

夜半過ぎに高くなった火星も見てみました(下A画像)。ちょうど欠け際に大シルチスやヘラスが見えます。砂嵐の影響はほぼ解消されているようです。火星もずいぶん丸くなりましたね。撮影設定のどこかが狂っていたらしく、ホワイトバランスがうまくとれていません。

この晩秋に最遠となるシリウスBも捕らえました(下B画像)。個人的な計算(→2022年9月26日記事参照)では11月25日が最遠日となっています。グラフにすると下C図のようになります。最遠まであと20日ほどですね。もっとも前後一ヶ月ほどは誤差の範囲ですけれど。今秋にもう何度も観てきましたが、シャープに見えたことは一度もありません。安定したシーイングで観察したいものです。

  • 20221106火星

    A.火星
  • 20221106シリウス

    B.シリウス
  • シリウスAとBの離角

    C.シリウスAとBの離角