アラビア半島にサイクロンLUBAN上陸2018/10/14


20181014LUBANfromTerra
インド洋海域でもサイクロン活動が活発な時期ですが、アラビア半島へ今年2回目のサイクロン上陸があったようです。

1度目は5月27日の記事で取り上げたサイクロン「MEKUNU」。そして今日14日6:00UT前(15:00JST前)上陸したのはサイクロン「LUBAN」。LUBANの上陸時勢力は最大風速30ノット程度とみられ、気象庁で言えば熱帯低気圧相当ですが、この砂漠地域にサイクロンが接近上陸すること自体が大変珍しいので暴風雨への備えは弱いと思われ、MEKUNUと同様に被害拡大が心配です。

2018インド洋サイクロン
左はアメリカの地球観測衛星Terraが本日撮りたてのLUBAN(NASA WorldViewより引用)。サイクロン中心はほぼ海岸線ですね。右図はMEKUNUとLUBANそれぞれの位置と勢力を地図に描いたもの(元データ:Joint Typhoon Warning Centerが公開しているデータ/風速分類はインド気象局方式)。移動方向が違うため到達した位置は違いますが、両者とも大きくカーブすることなく直線状に進行しています。

特筆すべきは両者とも進行速度が遅かったこと。日本の台風は最頻値15km/hから20km/h(十数ノット前後)程度ですが(→参考記事)、MEKUNU・LUBAN共に最大値でも20km/hを越えることはほぼありませんでした(下図)。11日頃のLUBANなんて、徒歩以下ですよ。10日間かかっても日本を縦断できないような速さなのです。勢力が弱いならともかく、強いまま何日もうろつかれるのでは被害が拡大する一方ですね。各地で発生する嵐は、地理条件と共に嵐の特性をよく考えた対処が必要のようです。

  • 2018インド洋サイクロンMEKUNU

    A.サイクロンMEKUNUの移動速度
  • 2018インド洋サイクロンLUBAN

    B.サイクロンLUBANの移動速度


迷走ハリケーンLESLIE、ヨーロッパ到達2018/10/14


20181013Aqua画像
大西洋で発生し、長い間バミューダ海域付近を迷走していたハリケーン「LESLIE」が、なんとポルトガル海岸に近づいています。カテゴリー1もしくはトロピカルストームの勢力を保ったまま、まもなく上陸する予想です。

LESLIEが小さな嵐として発生したのは9月23日のこと。先日北米に上陸したMICHAELよりも前でした。一時的にカテゴリー1のハリケーンになりましたが、どこかに上陸する様子もないし、途中弱まって追跡されない期間もありました。ところがここ数日再度発達し、急速にヨーロッパへ向かったのです。

左は13日(日本時間今朝方)に地球観測衛星Aquaによって撮影されたLESLIE。もうユーラシア最西端のロカ岬近くまで来ていました。日本時間本日午前にも上陸するでしょう。下A図は13日15:00UT(14日0:00JST)までのLESLIE経路図。またB図は最大風速の変化グラフです。かなり複雑なコースを辿ってヨーロッパまで流れ着いた(?)様子がうかがえます。試しに距離を計算したところ、発生から480時間で8445kmも移動していました。

今年はヨーロッパでも様々な気象災害がありましたね。LESLIEは弱まりつつあり、日本で14日朝(ヨーロッパは夜)時点の最新状態は「POST-TROPICAL CYCLONE」でしたが、そのままスペインまで進む予報も出ています。収穫の時期、どうか大きな被害が出ませんように。

  • 20181013-1500UTハリケーンLeslie経路

    A.ハリケーンLESLIE経路
  • 20181013-1500UTハリケーンLeslie最大風速

    B.ハリケーンLESLIE最大風速


ハリケーンMICHAELがC4でフロリダ上陸2018/10/11


20181010-1800UT衛星画像
メキシコ湾で急速に発達したハリケーン「MICHAEL」が10日18:00UTごろ(11日3:00JSTごろ)アメリカ南東のフロリダ州に上陸しました。上陸時のカテゴリーは4で、先月上陸したFLORENCE上陸時より強いのはもちろん、フロリダ観測史上でも稀な上陸となっています。(2017年9月フロリダに上陸したIRMAは上陸半日前までC4でした。)

左は上陸時18:00UTの衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理は筆者)。他にも嵐が多数発生していますが、はっきりした渦を見せているMICHAELと、数日後に上陸するとみられる太平洋側のSERGIOが目立っています。

20181012-0900AL142018chart
右図はNational Hurricane Center(NHC)のデータを元に描いた最大風速の変化グラフ。下手するとカテゴリー5での上陸になるところでした。上陸後急速に弱まりつつも、まだFLORENCEの被災から十分に立ち直っていないノースカロライナ州のほうへ向かう見込みとのこと。各地の被害が心配です。

あらためて風速変化を見ると、MICHAELは発生からわずか2.5日でカテゴリー4まで到達したことが分かります。この時期とても暖かいメキシコ湾は格好のハリケーン燃料タンク。シーズンオフまでまだまだ警戒が必要です。


【ハリケーン「MICHAEL」の主な速報値】
※NHCの発表(6時間ごと)から手作業で拾い集めました。確定値ではなく速報値ですのでご注意ください。
(Last Update:10月13日 10:30JST/MICHAELは消滅したので更新終了)
日時
(UTC)
中心位置最低気圧最大風速瞬間
最大風速
風速34ノット域風速64ノット域目の直径タイプ

カテ
ゴリー
北東側南東側南西側北西側北東側南東側南西側北西側
北緯西経hPaノット
(m/s)
ノット
(m/s)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
10月6日
21:00
18.086.6100625
(12.9)
35
(18)
---------TD
-
10月7日
3:00
18.886.6100425
(12.9)
35
(18)
---------TD
-
10月7日
9:00
18.686.9100430
(15.4)
40
(20.6)
---------TD
-
10月7日
15:00
19.286.9100430
(15.4)
40
(20.6)
---------TD
-
10月7日
21:00
19.285.599945
(23.1)
50
(25.7)
---------TS
-
10月8日
3:00
20.085.499750
(25.7)
60
(30.9)
40
(74)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
-----TS
-
10月8日
9:00
20.685.598360
(30.9)
75
(38.6)
80
(148)
80
(148)
0
(0)
0
(0)
-----TS
-
10月8日
15:00
21.284.998265
(33.4)
80
(41.2)
70
(130)
50
(93)
20
(37)
30
(56)
25
(46)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
-H
1
10月8日
21:00
22.285.297870
(36)
85
(43.7)
60
(111)
50
(93)
20
(37)
50
(93)
30
(56)
0
(0)
0
(0)
25
(46)
-H
1
10月9日
3:00
23.285.397080
(41.2)
100
(51.4)
60
(111)
50
(93)
40
(74)
50
(93)
30
(56)
30
(56)
25
(46)
30
(56)
-H
1
10月9日
9:00
24.185.997380
(41.2)
100
(51.4)
70
(130)
50
(93)
30
(56)
50
(93)
35
(65)
30
(56)
20
(37)
30
(56)
-H
1
10月9日
15:00
25.086.296595
(48.9)
115
(59.2)
60
(111)
50
(93)
30
(56)
50
(93)
30
(56)
30
(56)
20
(37)
30
(56)
25
(46)
H
2
10月9日
21:00
26.086.4957105
(54)
130
(66.9)
70
(130)
50
(93)
30
(56)
50
(93)
40
(74)
30
(56)
20
(37)
30
(56)
20
(37)
MH
3
10月10日
3:00
27.186.5947110
(56.6)
135
(69.4)
70
(130)
60
(111)
30
(56)
50
(93)
40
(74)
30
(56)
20
(37)
30
(56)
-MH
3
10月10日
9:00
28.386.5943120
(61.7)
145
(74.6)
80
(148)
80
(148)
40
(74)
50
(93)
40
(74)
35
(65)
25
(46)
30
(56)
20
(37)
MH
4
10月10日
15:00
29.486.0928125
(64.3)
150
(77.2)
80
(148)
80
(148)
40
(74)
50
(93)
40
(74)
35
(65)
25
(46)
30
(56)
15
(28)
MH
4
10月10日
21:00
30.985.1932110
(56.6)
135
(69.4)
60
(111)
80
(148)
50
(93)
50
(93)
35
(65)
35
(65)
25
(46)
25
(46)
20
(37)
MH
3
10月11日
3:00
32.183.897065
(33.4)
80
(41.2)
40
(74)
40
(74)
30
(56)
20
(37)
25
(46)
25
(46)
0
(0)
0
(0)
-H
1
10月11日
9:00
33.582.598345
(23.1)
55
(28.3)
---------TS
-
10月11日
15:00
34.780.899045
(23.1)
55
(28.3)
---------TS
-
10月11日
21:00
36.178.899045
(23.1)
60
(30.9)
---------TS
-
10月12日
3:00
37.176.198845
(23.1)
55
(28.3)
---------TS
-
10月12日
9:00
38.073.198355
(28.3)
65
(33.4)
0
(0)
50
(93)
50
(93)
0
(0)
-----TS
-
日時
(UTC)
北緯西経hPaノット
(m/s)
ノット
(m/s)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
海里
(km)
タイプ

カテ
ゴリー
中心位置最低気圧最大風速瞬間
最大風速
北東側南東側南西側北西側北東側南東側南西側北西側目の直径
風速34ノット域風速64ノット域

20181012-0900AL142018map
  • 1ノット=1海里/h=1.852km/h=0.5144m/sです。
  • タイプはTD:Tropical Depression、TS:Tropical Storm、H: Hurricane、MH:Major Hurricaneの4種、カテゴリーはSSHWS(下記参照)の5段階表記です。
  • 協定世界時(UTC)を日本時(JST)に直すときは9時間足してください。(例:9月1日21:00UTC=9月2日6:00JST)
  • 日本の気象庁は強風域・暴風域を円形で管理・告知していますが、NHC(NOAA)では四象限(北東、南東、南西、北西)に分け、それぞれの半径を発表しています。
  • 値が不明なものや定まらないものは「−」の表記です。
  • カテゴリーは最大風速(ただし1分間平均)によるハリケーン強度の5段階分類(SSHWS/Saffir-Simpson Hurricane Wind Scale)のことで、次の通りです。
  • カテゴリー1…64–82ノット(33–42m/s、119–153km/h)
    カテゴリー2…83–95ノット(43–49m/s、154–177km/h)
    カテゴリー3…96–113ノット(50–58m/s、178–209km/h)
    カテゴリー4…114–135ノット(59–69m/s、210–249km/h)
    カテゴリー5…136ノット以上(70m/s以上、250km/h以上)
    (※カテゴリー3以上がMajor Hurricane、1以上3未満ならHurricane)


かなり北上したハリケーンWALAKA2018/10/08


20181002-1200気象衛星ひまわり
今日は二十四節気の寒露。台風25号が日本海で温帯低気圧になるタイミングに重なったこの連休、全国的に高温と強風に見舞われたものの、今日現在日本の近くに台風はなく、夏から続いた嵐の季節も一段落となっています。

ところで台風25号と時を同じく活動していたハリケーンWALAKAもCentral Pacific Hurricane Center(CPHC)の観測更新が6日15:00UTで終了しており、嵐としての構造はなくなったものと思われます。左は10月2日にも掲載しましたが、一番強かった頃の台風25号とハリケーンWALAKA(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。下A図はCPHCのデータを使って描いたWALAKAの最大風速変化グラフです。

WALAKAはハワイの南を西進したあと急に北へ向きを変えたので、奇異な動きに興味をそそられてしばらく追いかけていました。ハリケーンからトロピカルストーム(最大風速34ノット以上63ノット以下)へ勢力を落としてもまだ北上を続け、進路予報図にアラスカが見えた時はさすがに驚きました。

日本へ近づく台風は東北や北海道までやって来ますから、北緯40°以北に達することがしばしばあると分かります。ですが、太平洋中央や東側で発生するハリケーンはあまり北上しません。下B図はJoint Typhoon Warning Centerによる1960年以降2017年までのベストトラックを元に、トロピカルストーム以上の勢力が記録された全1128個の嵐がどこまで北上したか調べたグラフ。太平洋側(東経180°以東)および大西洋側と分けて集計したので、海域により特性が大きく異なると分かるでしょう。

北緯30°以北までの北上は大西洋側で65.8%あったのに対し、太平洋ではわずか4.3%。北緯40°以北なら大西洋側38.4%、太平洋側1.1%。WALAKAの最終記録は北緯36.2°でした。この時点で風速はまだ45ノットあったので、風速だけならまだまだトロピカルストームの範疇でした。いやはや、今年もアウトローな嵐が目立ちますね。

  • 2018年ハリケーンWALAKAの最大風速変化

    A.2018年ハリケーンWALAKAの最大風速変化
  • 北半球ハリケーンの到達緯度

    B.北半球ハリケーンの到達緯度