うつろう宵の空模様2018/12/09

20181209幻日
今日も曇りがちな一日でしたが、ときおり太陽が顔をのぞかせています。(太陽面観察できるほどではありませんでした。)周囲には久しぶりに見る彩雲がいっぱい。寒気が日本へ入ってきたので、上空が冷えている証拠ですね。

夕方に天気チェックのためベランダへ出ると、ヒンヤリした空気のなかに傾いた太陽と淡い幻日が見えました(左画像)。彩雲も相変わらず出ています(右下画像)。

20181209彩雲
上空に目を凝らすと、ごく淡い環天頂アークも見えました。何枚か写真を撮ったのですが、淡すぎてうまく虹色を取り出すことができませんでした。もう少し早い時間に見えていたなら、はっきりしたアークだったかも知れません。惜しいことをしました。

20181209月と土星
今夕は日没後に月と土星が大接近してるはずなので低空の雲行きが気になっていましたが、幸運にもだんだん雲は無くなってくれて、かなり透明度の良い空になりました。日没頃にはもう月齢2の細い月が見え始め、ほどなく土星も見えてきました。

右画像は17時過ぎに180mm+APS-Cで撮影し、半分ほどにトリミングしたものです。土星は原画上できちんと楕円になっていました。低空の電線などが画面に入るくらい低かったけれど、こんな素晴らしい眺めに出逢えて本当に幸せです。

月面XとLOVEを観察2018/11/16

20181115月面・欠け際の変化
昨夕は月面Xデーでした。同時に「月面LOVE」の出現も一緒に観察できる日でもありました(→関連記事)。みなさんはご覧になったでしょうか?当地・茨城は晴天に恵まれ、月没まで途切れることなく観察できました。

意識的に月面LOVEを観察したのは初めてだったので、どういうタイミングで出現するのか18時からキッチリ1時間おきに写真を撮ってみました。欠け際を切り出して並べたのが左画像です。日没後暗くなる頃にはもうX地形が見えていました。またO地形とV地形は更に先行して昼間から見えていたはずです。どこに何があるかは前出のリンクをご覧ください。最後の22時は月高度10°未満で見た目に赤く、画質もかなり悪くなっています。

E地形とL地形がいつ頃出現するか見物でしたが、画像を見ると20時には断片的ながら現れており、21時の時点でほぼ完成しています。E地形における太陽高度は20時で約-1.2°、21時では約-0.85°。ということはE地形の完成は現地の太陽高度-0.8°から-0.7°あたりで、-0.5°まで待つ必要はないことが分かりました。

月面ハートなどの例
いっぽうL地形は最後まで見えませんでした。(西日本の観察ならこのあと見えたかも知れません。)11月7日の記事ではE地形のみの計算で作成、L地形との差は無いものとしていました。観察を続けつつ時刻表を修正する必要がありそうです。ひとつひとつ実際の観察を通して知見を得てゆくことは自然科学の基本。こんな些細な観察でも面白く、ワクワクします。

まったくの余談ですが、欠け際の地形には色々と想像が膨らみます。上画像の18:00のものを使って、LOVEならぬハートマークなどを見つけてみました(右画像/南半球のみ使用)。ここに描いたのはほんの一例。みなさんも楽しい月面○○地形を作り出してくださいね。面白いのができたらぜひ教えてください。

月面LOVEはいつ見える?2018/11/07

2018年11月15日の観察例も併せてごらんください。

20180720月面LOVE
天文や宇宙の専門家による美しい写真と解説が日めくりで紹介される「APOD:Astronomy Picture of the Day」のサイトで、日本の方が撮影した「月面LOVE」が紹介されました。APODの11月3日記事をご覧ください。今や月面Xは有名ですが、これと同じように月面地形の陰影からアルファベットに見える場所を探し、ほぼ同時刻に「L・O・V・E」となる地形を探し当てたよ、という内容でした。

ここ5年くらいで一気に月面Xブームが盛り上がった気がしますが、ついに複数文字まで来たか、と感慨深く感じます。もっともLOVEの文字は少し前から国内ネタとして取り上げられていました。少なくとも今年春にはあちこちで撮影されていたと記憶してます。文字位置もAPODで紹介された以外に幾つかバリエーションがあるようです。特に「O」はいっぱい見つけられますね(笑)LOVEと一緒にハートマークもいくつか発見できるでしょう。

遡って調べると、私が今年撮影した月面Xの最新画像(2018年7月20日昼間)にも写っていました(左画像/元記事はこちら)。位置さえ分かればどなたでも見えますが、問題は4文字がいつ揃うのか判断しづらいということ。LOVEの地形は一ヶ所に固まっておらず、上弦前後に光が当たることは分かっても、正確な予報はどこにも出ていませんね。当サイトで月面X予報日時をアーカイブしてますが、実のところ「月面Xが見え始まる時刻でも、LOVE地形が全部見えるとは限らない」のです。

2017年の月面LOVEタイミング比較
具体例を示しましょう。右は2017年の1月・7月それぞれの月面X登場に合わせて撮影した画像。書いてある通り、X地形は太陽高度が高い1月のほうがよく見える計算です。O地形はどこよりも東側なので問題ないとして、EやLはXと逆に1月はほぼ見えず7月ははっきり見えました。この差の原因は「太陽が北側から差すか、南側から差すか」に大きく依存するためです。ではどういった条件が揃うと「LOVE地形」がベターなタイミングで見えるでしょうか?過去に上弦のころ撮影した画像を徹底的に調べてみました。すぐ分かるのは次のことです。

  • O地形とされるApianusクレーターはX地形に近く、X地形より東にある。このため上弦のころX地形に日が当たっていればO地形は確実に見えている。
  • V地形とされるUkert Mクレーター付近はX地形より北に大きく離れているが、経度が1.5°近く東であることを考えると、南側から太陽が差したとしてもX地形より遅れて光ることはない。


問題はX地形より南にあるL地形とE地形です。これらは南に離れていることと、X地形より若干西に位置することから、特に北側から太陽が差し込むときにX適正時刻よりかなりズレてしまうのです。右上画像例にオレンジ文字で示しましたが、1月のケースでは月自転軸に垂直な方向に対して北へ約1.6°の方向に太陽があり、7月のケースでは南へ約0.7°の方向でした。(※この角度は地軸基準に測ったカスプ角と同等。)これに月秤動も加わるので、月面への太陽の当たり方はかなり複雑なんです。蛇足ながら「自転軸に垂直な方向」は月の赤道と違います。月の赤道は緯度秤動ぶんズレたところにあります。

私たちは見た目…例えば月齢とか明暗境界の膨らみの違い等に目を奪われがちですが、経度差が少なく緯度差が大きい南北のクレーターが朝を迎えるタイミング差は、パッと見ただけでは分からないこの「太陽方向のわずかな違い」のほうが支配的と考えられます。端的に言うなら「月面における日出同時曲線の傾きを考える必要がある」のです。このため、当サイトのアーカイブにある月面X観察日時表は「月面LOVE観察日時表」として流用できません。(※この現象は「北東から南西に延びる日本列島全体へ朝日が当たるのに要する時間は夏のほうが長く、冬は短い」ということと似ています。→参考記事。)

改めて過去画像を見ると、L地形やE地形に太陽が当たっていれば、例外なくX・O・V地形は明るく見えていました。ですから、計算基準をL地形かE地形近くに定めて計算し直せば、大凡の日時が絞れるはずです。というわけで、まず月面図を描いて地形を特定してから、「月面LOVE観察日時表」を計算してみました(下資料)。詳しい条件は何度も観察して絞り込む必要がありますが、全く見えない日に望遠鏡を振り回す手間は回避できるでしょう。たくさんの観察報告をお待ちしています。

【月面LOVEを構成する地形図】
月面L地形月面L地形
(マーカー付き)
月面O地形月面O地形
(マーカー付き)
月面L地形-1
月面L地形-2
月面O地形-1
月面O地形-2
月面V地形月面V地形
(マーカー付き)
月面E地形月面E地形
(マーカー付き)
月面V地形-1
月面V地形-2
月面E地形-1
月面E地形-2

  • 赤線部分の東側斜面に東(右側)から太陽が当たることで該当文字に見えると考えられます。
  • 上記月面図はNASA・LRO標高データを使い、GMTで作図しました。
  • 作図に関しては関連記事をお読みください。
  • V地形はメルカトル図法、それ以外はランベルト正角円錐図法で、縮尺は全て統一、該当地形を直上から眺めたような地図にしています。


【月面LOVEが見えるかも知れない日時】
※「Saussure D」クレーターにおける太陽高度を基準にした、2017年1月から2020年12月までの計算値です。緑文字のところはLOVE全地形の光り始めタイムラグが1時間以内に収まるケースです。表下の註釈も必ずお読みください。
日付E地形
(Saussure D)
太陽高度=-0.5°
E地形
(Saussure D)
太陽高度=0.0°
E地形
(Saussure D)
太陽高度=+0.5°
X地形
太陽高度=-0.5°
(E地形との時刻差)
V地形
(Ukert M)
太陽高度=-0.5°
(E地形との時刻差)
2017年1月5日19:3621:0322:3017:04(-2:32)13:15(-6:21)
2017年3月5日21:0122:2723:5420:16(-0:45)18:16(-2:45)
2017年5月3日20:0121:2722:5420:38(0:37)20:02(0:01)
2017年7月1日19:1220:3922:0519:25(0:13)18:25(-0:47)
2017年8月29日20:3021:5723:2318:59(-1:31)16:13(-4:17)
2017年9月28日10:0311:2912:5607:40(-2:23)4:03(-6:00)
2017年11月26日13:5115:1816:4510:57(-2:54)06:46(-7:05)
2018年1月24日16:3017:5719:2314:59(-1:31)12:12(-4:18)
2018年3月24日17:0718:3319:6017:23(0:16)16:25(-0:42)
2018年5月22日16:5818:2519:5117:32(0:34)16:52(-0:06)
2018年7月20日17:3018:5620:2316:39(-0:51)14:33(-2:57)
2018年9月17日19:2120:4822:1516:48(-2:33)12:58(-6:23)
2018年11月15日22:0223:2924:5619:12(-2:50)15:06(-6:56)
2018年12月15日11:1512:4214:0909:02(-2:13)05:32(-5:43)
日付E地形
(Saussure D)
太陽高度=-0.5°
E地形
(Saussure D)
太陽高度=0.0°
E地形
(Saussure D)
太陽高度=+0.5°
X地形
太陽高度=-0.5°
(E地形との時刻差)
V地形
(Ukert M)
太陽高度=-0.5°
(E地形との時刻差)
2019年2月12日12:5514:2215:4912:37(-0:18)11:04(-1:51)
2019年4月12日13:5815:2516:5114:40(0:42)14:07(0:09)
2019年6月10日14:5616:2217:4914:43(-0:13)13:17(-1:39)
2019年8月8日16:0317:2918:5614:01(-2:02)10:45(-5:18)
2019年10月6日17:2718:5420:2114:29(-2:58)10:15(-7:12)
2019年12月4日19:0020:2721:5417:00(-1:60)13:45(-5:15)
2020年2月1日20:4322:1023:3620:39(-0:04)19:20(-1:23)
2020年3月2日09:4311:1012:3610:17(0:34)09:36(-0:07)
2020年3月31日22:4724:1425:4023:29(0:42)22:57(0:10)
2020年4月30日11:4813:1514:4212:08(0:20)11:14(-0:34)
2020年6月28日13:2014:4716:1411:59(-1:21)09:23(-3:57)
2020年8月26日14:0515:3216:5811:17(-2:48)07:13(-6:52)
2020年10月24日14:2815:5517:2111:55(-2:33)08:06(-6:22)
2020年12月22日15:2616:5218:1914:40(-0:46)12:40(-2:46)
日付E地形
(Saussure D)
太陽高度=-0.5°
E地形
(Saussure D)
太陽高度=0.0°
E地形
(Saussure D)
太陽高度=+0.5°
X地形
太陽高度=-0.5°
(E地形との時刻差)
V地形
(Ukert M)
太陽高度=-0.5°
(E地形との時刻差)

  • 「Saussure D」クレーターは「E地形」の一部を構成します。今回の調査から得られた経験上、このクレーターの標高をゼロと見なし、上弦側における太陽高度がプラスマイナス0.5°となるとき「LOVE地形」全部が揃って見えるチャンスと仮定しました。
  • 上表でE地形太陽高度=-0.5°の時刻がみなさんの観察地において日没前後になる場合が観察に最適なパターンと考えられます。もちろん日没前の青空でも確認できます。一部のケースでは月面X観察時間と重複していますので、過去に撮影した画像があったら確認してみましょう。
  • X地形とV地形で太陽高度が-0.5°になる(各地形が概ね明るく見える)時刻と、E地形時刻差も表に加えました。予想通り、多くの場合はE地形よりX地形やV地形が早く見えますが、ごく稀にほぼ同時または若干遅くなる事があります(2017年5月や2020年3月など)。緑文字のところの様にこの時刻差がゼロに近いほど「全地形がほぼ同時に現れる」という素晴らしいタイミングと考えられます。
  • 上記の計算は時間帯が12:00から23:00の間に少しでもかかる場合のみ機械的にピックアップしました。実際には月高度が低すぎたり、観察地によっては没している場合があります。なお24:00を越える時刻は30時間表記です。(例:25:00→翌日1:00のこと。)
  • ここに掲載した数値は「E地形に太陽が当たり始める時間」を基準とした概算です。もう少し前の時刻でも見えている可能性はあります。時間外は全く見えないわけではありませんので、あまりこだわらずに様々な観察を試みてください。もっと見やすいケースがあるかも知れません。
  • 計算は自作プログラムによります。月の秤動まで考慮した、月面地形における日出没計算を行っています。趣味で楽しめる程度の概算であることをご承知置きください。


参考:
月面Xに関係する記事(ブログ内)
月面Aに関係する記事(ブログ内)

夜明けの空に細い月と金星が輝く2018/11/06

20181106明け方の月と金星
今月初めに下弦を過ぎた月はどんどん細くなっており、明後日8日に新月を迎えます。その途中である今日6日と明日7日に、内合を過ぎて明け方に移った金星と接近を果たす予定でした。

ところが今週に入って関東の天気は思わしくありません。天気予報はずっと曇り。ときおり小雨まで舞う始末です。昨日も昼前後に少し晴れたものの、雲量が8、9割の時間帯が長く続きました。そんなわけで今朝もあまり期待してなかったのですが、3時頃起きてみると雲間に星が見え隠れしています。

自宅では月・金星とも低くて見えないので、「見えればラッキー」という軽いノリでカメラ片手に近くの広場へ出向きました。道中に細くなった月が見えてきたときは飛び上がるほど嬉しくなりました。ただし金星の高度は5°以下だったので、雲がベッタリ貼り付いて期待薄です。

薄明はとっくに始まっており、現地到着後すぐ三脚を立てて撮影開始。あとは低空に雲の切れ間が来てくれるのをひたすら待つのみ。執念が通じたのか、月と金星とが一緒に見える瞬間が数十秒だけやって来てくれたのです。この画像撮影後また曇ってしまい、その後は雲が厚くなる一方でした。月の地球照もくっきりしていて実に美しい…この焦点距離では金星の形まで分かりませんが、望遠鏡で見れば極細の月と同じ形になっていたでしょう。本当に有り難い明け方のひとときでした。

今後しばらくは毎月一回明け方に月と金星とが接近します。次は12月4日で、もっと高い空で3°あまりまで接近します。その次は2019年1月2日で、これは1°未満の大接近ですからお見逃し無く。さらにその次の2月1日も離角2°あまり、3月3日は2°弱と、見応えある接近が続きます。