皆既日食による月の影中継2017/08/21

皆既日食の際には月の影が地球に投影されます。もしそこが静止気象衛星などの撮影範囲であれば、衛星画像を通じて見ることが可能でしょう。今夜の皆既日食は日本で見ることができませんが、衛星の目を借りれば「月の影」を観察できます。他であまりやってないようなので、当サイトでは日食中継ならぬ「月の影中継」をこの記事内でやってみようと思います。衛星は以下の三機です。

(※22日6:00現在、中継は終了しました。この記事は一時的なもので、遅くとも22日夕方には削除します。後日あらためてまとめる予定です。)

  • 20170822-0500ひまわり

    HIMAWARI-8  8/22 5:00(JST)
  • 20170822-0500goes

    GOES-16  8/22 5:00(JST)
  • 20170822-0500msat

    METEOSAT-10  8/22 5:00(JST)

(画像コメント)大西洋に落ちた月の影が地球の夜側に重なり、闇に吸い込まれていきます。皆既日食はこのとき終了を迎えます。


【履歴:22日2:30まで】
衛星名 8/21
18:00(JST)
8/21
21:00(JST)
8/22
0:00(JST)
8/22
1:00(JST)
8/22
2:00(JST)
8/22
2:30(JST)
HIMAWARI-8
20170821-1800ひまわり
20170821-2100ひまわり
20170822-0000ひまわり
20170822-0100ひまわり
20170822-0200ひまわり
20170822-0230ひまわり
GOES-16
20170821-1800goes
20170821-2100goes
20170822-0000goes
20170822-0100goes
20170822-0200goes
20170822-0230goes
METEOSAT-10
20170821-1800msat
20170821-2100meteosat
20170822-0000meteosat
20170822-0100msat
20170822-0200msat
No Data


【履歴:22日3:00以降】
衛星名 8/22
3:00(JST)
8/22
3:30(JST)
8/22
4:00(JST)
8/22
4:30(JST)
HIMAWARI-8
20170822-0300ひまわり
20170822-0330ひまわり
20170822-0400ひまわり
20170822-0430ひまわり
GOES-16
20170822-0300goes
20170822-0330goes
20170822-0400goes
20170822-0430goes
METEOSAT-10
20170822-0300msat
No Data
20170822-0400msat
No Data


  • METEOSATは毎正時のみの画像です。
  • Image Credit:NICT,RAMMB,EUMETSAT/画像処理等は筆者


いよいよ今夜、皆既日食2017/08/21

20170821日食図
いよいよ今夜(日本時間22日明け方)、北米を横断する皆既日食が起こります。現地は盛り上っていることでしょう。左は今回の日食図(元画像:NASA Eclipse Web Site)。ここに記してある通り、ハワイやシベリア最東部で太陽が欠けたまま登る「日出帯食」となり、これが世界で最も早い目撃の瞬間となります。残念ながら「皆既日食の日の出」が見えるところに陸地はありません。

皆既帯が北米・西海岸に差しかかるのは22日の2:15JST過ぎ。東海岸への到達は3:50JST頃です。この間に皆既食の様子があちこちのメディアで取り上げられるでしょう。部分日食は北米大陸全域は元より、グリーンランドから南米北側まで広範囲で観察でき、欠けた太陽が沈む「日没帯食」はヨーロッパ・アフリカの一部で見ることができます。こちらも残念ながら「皆既日食の日の入り」が見えるところに陸地はありません。

さて、日食と言っても実は様々。皆既日食、金環日食、部分日食という大区分けだけでなく、食分(月がどれくらい太陽を覆うか)や皆既/金環の継続時間もバリエーションがあります。また皆既と金環のハイブリッドタイプもありますよ。

1950年から2050年の101年間に地球上のどこかで見える日食は223回。そのうち今回のような皆既日食(ハイブリッドは除く)は68回起こります。今日の皆既日食は食分が1.0306で、食分順に見ると52位。また継続時間は2分40秒で、日食種に関係ない順位は91位です。日食時間が長いほど喜ばれますが、皆既日食継続時間の単純平均値は3.6分程度なので今回はやや短めです。

前述101年間のなかでもっとも継続時間が長いのは1955年12月14日の金環日食で12分9秒。皆既日食に限ると同1955年6月20日の7分8秒でした。こうした違いはその時の太陽と月の見かけの大きさに寄ります。1月上旬に地球が近日点通過(太陽がもっとも大きく見える)、7月上旬に遠日点通過(太陽がもっとも小さく見える)という時期をご存じの方は、「夏に起こる日食は太陽が小さい状態」「冬は逆」となることが想像できるでしょう。

日食継続時間と太陽・月の大きさ
いっぽう月の大きさはアーカイブ「大きい満月」などを見ると時期が偏る傾向はあるものの、太陽の視直径との相対的な関係は簡単に推測できないので、各場合ごとに計算しなくてはなりません。

一例として、右に今回の北米日食と1955年のふたつの日食について、太陽と月の大きさを比べてみました(Stellariumによる/全て同一スケール)。2つの天体の微妙な大きさの差が、日食継続時間を大きく左右していることが分かるでしょう。今回の日食、多くのみなさんが楽しめると良いですね。

近づいてきた月と金星2017/08/18

20170818月と金星
晴れない日が何ヶ月も続くと、いつか星座の並びを忘れてしまうんじゃないかと不安になります。幼少から親しんだ星々ですが、人間が何もかも、いつまでも覚えていられると言うことはありませんからね。たまに小さな晴れ間を見つけると愛おしすぎて、おもちゃをもらったこどもの様にはしゃいでしまいます。

昨夜から今朝もずっと曇っていましたが、明け方たまたま空を確認したとき東に雲越しの月が見えました。ひょっとしたら金星とのツーショットが見えるかなと、カメラを用意して待つこと数分…。左画像のようにいくつかの星々を捉えることができました。どこに何が写っているかは右下画像をどうぞ。

20170818月と金星
月齢はもう25を越していました。四日後には北米皆既日食が起こるのですから当然ですね。月と金星の角距離は18°くらい。撮っているときに気付きませんでしたが、ふたご座の星々も写っていました。晴れていたらさぞ美しかったでしょう。

明日明け方には月と金星が5°まで接近します(※一ヶ月前の接近はこちら)。当地・茨城では雨または曇りの予報で望み薄ですが、みなさんの地域が晴天に恵まれたら、ひと夏の思い出にぜひご覧ください。

満月のとき、地球の影はどこにいるの?2017/08/08

20170808部分月食図
今朝方は全国的に観察可能な部分月食が起こりました。ただ台風5号が本州を横断中だったため、観察できた地域は限られたでしょう。当地・茨城県南部は夜半まで時々大雨(私の街では大雨警報発令中)、夜半を過ぎて落ち着きましたが、時折小雨の空模様でした。明け方に月のある方向の雲がぼんやり明るくなっていましたが、月食は確認できませんでした。

左図は今回いちばん欠けた頃のシミュレーション。月直径の約25%が赤銅色に染まる予定でした。実際は見えませんが、月軌道まで地球の影が届いており、図の位置に本影と半影が広がっていました。地球は大気に覆われているため、ここにスクリーンを広げても本影や半影の縁が線のようにはっきり見えることはありません。

ところで、二週ほどまえの新月時に書いた記事で、「毎月の新月は太陽からどれくらい離れているか」ということを考察しました。同様のことを満月に当てはめると、近くに必ず地球の影があるはずです。

「満月は地球を挟んで太陽の反対に位置する」と言いますが、月食が毎回起こるわけではありませんから、完全な正反対(=地球影内を通過する)というわけではありません。今日のように影の中に月が入れば月食が起こり知覚できますが、入らない満月もたくさんあります。そこで、「毎月の満月のとき、地球の影からどれくらい離れているか」を計算してみました。

満月時の月−地球影離角
右がその結果。今回も自作プログラムを作り、今年を含む前後5年間の全ての満月について「月中心と地球影中心の離角」をグラフにしました。地球上のどこかで月食になる満月には赤丸を付けました。(※各中心間離角が最小になる時刻と満月の時刻は異なります。)新月の場合と同様に周期性がありますね。また新月・満月ふたつのグラフをぴったり重ねると驚くような対比が現れますが、それはみなさんへの課題としましょう。

次回、日本で見える月食は来年2018年1月31日の皆既月食。21時前から欠け始め、22:30頃に食最大を迎えます。とても条件が良いですから期待して待っててください。また右グラフの通り、その次の2018年7月28日皆既月食は地球影中心にかなり近いです。地球影中心に近いほど月食は暗くなるため、ひと味違う見え方が期待できます。ただし日本の大部分では月沈後に食最大となるため、肝心のシーンを見ることはできません。

月食説明図
参考までに、皆既月食のとき地球影中心と月中心が極めて近いことは珍しく、1950年から2050年で0.1°以下となるケースを計算すると、1953年7月26日(0.0040°)、1971年8月7日(0.0782°)、1982年7月6日(0.0527°)、2000年7月16日(0.0273°)、2011年6月16日(0.0879°)、2029年6月26日(0.0137°)、2047年7月7日(0.0588°)だけでした。私はこのうち2000年7月の月食をリアルタイムで観察しましたが、食最大のころは月を見失うほど暗く、暗い流星の観察さえ可能だったことを覚えています。

参考:
アーカイブ:皆既月食の一覧
アーカイブ:部分月食の一覧
連続する半影月食のヒミツ(2016/08/17)
日食とペアになる月食(2016/03/10)