今日の太陽2022/11/06

20221106太陽
昨夜から今朝はほぼ快星。朝からも良いお天気です。暖かいですが、カラッとしてて爽やかな大気。

20221106太陽リム
左は9:40ごろの太陽。昨日曇ってたので分かりませんが、活動領域13138から13141まで一気に増えていました。特に左上、大きな黒点を伴った13140・13141はこれからの注目株でしょうか。南半球にあった長いフィラメントのいくつかがリムに到達してます。なかなか立派なプロミネンスが見えますね。

天気が崩れる前に月食準備2022/11/07

20221106_15648月
昨夜から今日未明も良く晴れましたが、今夜は一荒れありそうで、夜半過ぎから雲が出始めていました。(※関東圏では今朝の時点で神奈川や千葉で雨が降り出してます。)月食に向けた機材調整をするなら昨夜しかありませんでしたので、宵のうちから始めました。

左は21時少し前の月。太陽黄経差は約156.48°、撮影高度は約56.55°、月齢12.05。二日後の皆既月食のうち、部分食の欠け終わり高度とほぼ同じですから、月位置と日周ルートをしっかり確認しておきます。我が家のように住宅に囲まれていると、ちょっとしたことで障害物に隠れてしまったりするからです。

月食があってもなくても、冬の満月に向かう月を眺めるのは何だかワクワクしますね。少なくとも私にとっての名月は中秋では無く真冬に天頂近く昇りつめた満月。位相と共にどんどん高度を上げる月はまさに期待と高揚感そのものでした。

昨夕は前夜より大気が落ち着いて、比較的シャープに感じました。細かな揺らぎが少なかったかも知れません。でも時折大きく揺らぎました。欠け際には前夜見えなかったシッカルトやバベジ、アナクシマンデルあたりが見えます。その奥のパスカルやピタゴラスまでもう一息。

続いて、皆既中に月に掩蔽される天王星とその衛星たち、東に上った火星も撮影しておきました(下画像/天王星画像は火星画像の2倍弱拡大してあります)。天王星は皆既月食翌日の9日に衝を迎えますから、今が見ごろで明るいです。ぎりぎり肉眼等級と言っても天王星はかなり暗いため、月撮影と同じ設定ではどうにもなりません。皆既中の月はそれなりに明るいでしょうから、両立できるかどうか心配。明るすぎたり暗すぎて色情報を失わないよう、様々な撮り方を試しておきました。でもさすがに衛星までは写らないでしょうね。火星は一晩前よりコントラストが高く細部まで写りました。やはりシーイングが良いみたい。前夜より1時間あまり早く撮影したので、大シルチスなどが良く見えています。ただ、色々やってみましたがホワイトバランスの問題が解決しません。

  • 20221106天王星

    A.天王星
  • 20221106天王星の衛星

    B.天王星の衛星
  • 20221107火星

    C.火星


今日の太陽とクロイツ群のこと2022/11/07

20221107太陽
二十四節気の「立冬」を迎えました。昨夜は快星、のち曇り。程よい寒さでした。今日も雲多めで推移してますが、午前中は日差しがある時間もあったため、早めに太陽観察しました。

20221107太陽リム
左は9:20頃の太陽。望遠鏡視野に太陽を導入した途端、フレアに気付きました。場所は左上の活動領域13141。観察後に調べてみると9:10をピークとしたM5.3クラスのフレアでした。雲が多い中で偶然とらえることができてラッキーです。左やや下にもプラージュがあり、小さな黒点もあるようですね。右端から下側にかけてのプロミネンスも相変わらず立派です。

ところで太陽観測衛星SOHOの画像から太陽をかすめる、あるいは太陽に突っ込んでゆく彗星(クロイツ群)が発見されることが多いのですが、最近立て続けに似たような軌道をとりつつ太陽に向かうペアが見つかっています(下画像)。同じ母彗星から二つに分かれたものか、それともたまたま同じ軌道になった別物か、はたまた地球から見て偶然追尾してるように見えただけなのかは分かりませんが、面白いこともあるものですね。(SpaceWeather.comの2022年10月24日記事に下A画像の動画が紹介されています。)なお11月6日画像中の太陽近くの輝星は、明るいほうが金星、暗いほうが水星です。

  • 20221022-0430UT_SOHO

    A.2022年10月22日4:30UT
  • 20221106-1030UT_SOHO

    B.2022年11月6日10:30UT


月食1日前の月2022/11/08

20221107_16868月
皆既月食一夜前になりました。当初の天気予報では結構な雨が降る予報だったのに、降雨域が南東へ100kmほどズレたため「雲の多い晴れ」となりました。せっかくなので月が高くなったころ撮影してみました。

左は21時過ぎの撮影で、太陽黄経差は約168.68°、撮影高度は約57.80°、月齢13.06。シーイングがかなり悪く、雲が近くを通るたび大きく乱れました。天気には逆らえませんね。一晩前に見えなかったピタゴラスが朝を迎え、パスカルの縁にも光が当たっています。南側ではラグランジュやインギラミ、バイイなども見え始まりましたよ。

20221107月面A付近
ちょうど月面A地形に日が当たるタイミングで、月出直後に観察したらA地形の出現を追えたことでしょう(右画像は原画からトリミング)。この画像ではすっかり日が当たって、他の地形とつながっています。また月の東側が中央に来る秤動により、西側にあるA地形は押しつぶされて小さくなっています。せっかく良いタイミングなのに、地形が細長いのは残念ですね。

23時間後には皆既月食のピークに包まれていることでしょう。みなさんの地方が良い天気に恵まれますように。

【細かなお話し】
下の三種類の丸い月を比べてみましょう。昨年の9月の名月直前、今年2月のほぼ満月、そして昨夜の月。いずれも1日内に満月となるのですが、決定的に違うことがあります。それは「極域のクレーターの影」。黄緯がプラス側に高かった2022年2月満月は「地球の影」の位置(太陽と地球を結ぶ延長、つまり黄道上にある)よりも北を通り、満月前後でも南極域のクレーターのみに影ができました。その約半年前、2021年9月の満月では黄緯がマイナス側に低かったため、地球影の南側を通り、北極域のクレーターのみに影ができました。

これらに対し、今月の満月は黄緯がほぼゼロに近いので、南極側も北極側も影を残しつつ満月に向かっています。このまま進めば地球影に入る可能性が高いと予知できる訳ですね。逆に言うと、こうしたわずかな違いに気付くことで「この満月は黄道に近いかどうか」=「月食に向かいそうな満月か否か」が分かるのです。月食そのものだけでなく、こうした前後の月面も注意深く観察してみましょう。極域の影の違いは満月のプラスマイナス二日間ほどは感じ取れます。(参考:「欠けた満月を観る」(2022/02/17記事)

  • 20210921満月前

    A.2021年9月21日
  • 20220217満月前

    B.2022年2月17日
  • 20221107満月前

    C.2022年11月7日