月面X&LOVEびよりでした2021/04/20

20210419-月面X&LOVE比較
昨宵は月面Xと月面LOVEがよく見える予報でした。昼間にごうごう音を立てていた風も夕刻には止み、静かな薄暮の中で上弦前の月が輝いています。いつになく気持ちが高ぶってしまいました。

久々に条件が良かったため、地形を拡大撮影して刻々と変化する様子を10分おきくらいに追いかけようかとも考えましたが、忙しない観察では楽しむ気持ちも半減してしまうでしょう。今回はふたつの時刻のみで、全体撮影をして比較することにしました。

20210419シリウス
星が見え始めてくる時間帯には気流が随分落ち着いていることに気づきました。ピント合わせや追尾チェックのため1等星をいくつか導入、最後にシリウスで確認すると、伴星がよく分離してるではありませんか!(右画像)まだ航海薄暮が終わって間もない頃ながら、シリウスは既に高度23.8°まで下がっています。こんなに低いのに伴星が確認できるなんて…。最低高度記録かもしれません。

月面は19:39ごろと21:05ごろの二回、約1.5時間の間隔をおいて撮影しました。一番北の月面Vから一番南の月面Lまでを切り出して比較したのが左上画像、それぞれの全景が下A・B画像です。欠け際は短時間でもこんなに変わるんですね。山々のてっぺんが次第に照らされてゆく様子が分かるでしょう。それから、ごく僅かなのですが、見かけの大きさも変わっています。昨夜は月が次第に遠ざかっており、二枚の画像撮影間も950kmほど遠くなりました。二枚の月画像は同縮尺ですが、ノーヒントで大きさの差に気付けた方はすごい!

もうひとつ、それぞれの月画像は月の南北方向を画像上下方向に正しく合わせてあります。目立って分かるほどではありませんが、「太陽が月の右やや下側から照らしている」ことがお分かりになれますか?これは、今回の月面LOVE予報時刻で南部のEやLより北部のVが遅い原因にもなっています。

太陽から見た月面中点の月面緯度
同じ上弦の頃でも、例えば半年後の10月13日の上弦では「太陽が月の右やや上側から照らす」ことになるでしょう。月の南北に見える尖ったエッジ部分(ここをカスプと言います)は必ずしも北極や南極に届いているわけではなく、したがって半月の欠け際が「北極から南極に向かってスパッとナイフを入れた」様になることはほとんどありません。たいていは輪切りに失敗しちゃってるんです。撮影している方はぜひ撮り比べてみてくださいね。

ついでに、なぜそうなるのか考えてみましょう。参考までに太陽が月のどちら側から照らしているのか、2021年の一年分を計算してグラフ化してみました(右図)。オレンジ点で表した「上弦のタイミング」でどう変わってゆくのか、探ってみてください。

(追記)日付が20日になってからアトラス彗星(C/2020 R4)を撮影してみました(下C画像)。今週後半に地球へ最接近するため、とても速く移動しています。コマが大きく、尾も扇形に広がりを見せていました。もう少し焦点距離が控えめの明るい光学系にしないと追いつきませんね…。

  • 20210419-1939月

    A.19:39撮影
  • 20210419-2105月

    B.21:05撮影
  • 20210420_アトラス彗星(C/2020 R4)

    C.アトラス彗星(C/2020 R4)


久しぶりに重星を観察2021/04/12

20210412_εDra
昨夜から今朝は概ね晴れました。当地は夜半まで少し雲が残りシーイングも悪そうでしたが、夜半以降はかなり良い空でした。夜明けまであまり時間がなかったですが、久しぶりに重星を観察しようと望遠鏡を組み立てます。

3月18日の撮影ではっきり分離しなかったものがあったので、まずεDraに向けてみました(左画像/離角3.201″, PA:21.7° at 2021)。するとモニター上でもきっちり分離。本当に同じ光学系かと思うほど素晴らしく、間違いなくグッドシーイングです。δCyg、 23Aql、5Aqlも気持ちよく分離しました。この中で一番狭いのはδCyg(離角2.777″, PA:214.4° at 2021)です。シーイングの良し悪しで主星の結像からして倍ほども直径が変わるんですよね。そりゃ分離しないわけだ。

いっぽう、アンタレスはさすがに無理でした。明け方が迫り、ちょっと低くなり始めてしまったせいかも知れません。(大気による色収差がひどかった…。)また、記録では離角12.5″もあるはずのλAqlが写りませんでした。主星3.5等、伴星7.5等だから等級差も全く問題ないはずですがどうしてかな…?違う星を見てしまったのかな?原因が分かりません。軌道が分かってないようなのと、最終観測が2009年と古いため動いてしまった可能性は否定できませんが、ギトギトに強調しても7.5等は見つかりませんでした。(周囲にある10等以下の星は写っています。)

朝が早くなり観察時間確保が難しくなってきましたが、今後も可能な範囲で楽しもうと思います。なお掲載画像は全て画像上が天の北方向、縮尺は統一(800px四方=約200″四方相当)してあります。

  • 20210412_δCyg

    δ Cyg
  • 20210412_23Aql

    23 Aql
  • 20210412_5Aql

    5 Aql


四日月とISS、そして重星を楽しむ2021/03/18

20210317四日月
昨夜から今朝にかけてよく晴れました。夕方まで暖かかったのに、放射冷却なのか夜に入って一気に気温が下がりました。乾燥していたため結露はほぼありません。

宵のうち月や国際宇宙ステーションの通過を楽しみました。四日月を迎え、だいぶ太って(?)きましたね。シーイングがひどくてメラメラしてましたが、主要なクレーターは辿れます。左画像は日没約1時間後、うっすら薄暮が残る時間に撮ったものです。まだ地球照がよく見え、撮影もしましたが割愛。

国際宇宙ステーションはパスが2回ありました。1回目はこの月を見た後すぐの頃で、南から北東へ明るい輝きを見せていました。2回目は約1.5時間後、月がかなり低くなった頃、月の左側を昇ってきて月の側で地球の影に入りました。もともと暗い上に低空の減光もあって視認できませんでした。写真には微かな軌跡が写りましたが、低空過ぎて電線だらけなのでこれも割愛。

仮眠後、夜半すぎから今日明け方まで、東に昇ってきた重星巡りを楽しみました。前夜の酷い透明度に比べ格段に美しい空でしたが、シーイングは劣悪。冬の名残のような透明度とシーイングのトレードオフ、なかなかバランス良くいかないものですね。

かなり見て回りましたが、3″角以下は分離しませんでした。撮影できたもののうち、何とか存在が分かるものも含めて下に掲載しました。画像上が天の北方向、縮尺は統一(800px四方=約200″四方相当)してあります。εDraは11時方向、ψCygは6時方向、59 Serは2時方向、23 Aqlは0時方向にごく弱い光の偏り(出っ張り)があり、これが伴星と思われます。また39 Draは一番明るい主星Aの1時方向に接するように伴星B、少し離れて写ってるのが伴星Cです。日本の都市部じゃ期待できないけれど、1″台が見分けられるシーイングだと、いずれもはっきり写るんでしょうね。うまく分離してないものは、またいずれ再撮影しようと思います。

  • 20210318_233Dra

    233 Dra
  • 20210318_εDra

    εDra
  • 20210318_39Dra

    39 Dra
  • 20210318_ψCyg

    ψCyg


  • 20210318_95Her

    95 Her
  • 20210318_70Oph

    70 Oph
  • 20210318_59Ser

    59 Ser
  • 20210318_23Aql

    23 Aql


大きなPHA小惑星231937(2001 FO32)接近中2021/03/15

20210315小惑星231937(2001 FO32)
一晩前にPHA(Potentially Hazardous Asteroid/潜在的に危険な小惑星)のひとつ、小惑星アポフィスを撮影しましたが、現在地球に近い位置にあるPHAのなかで最大級の小惑星231937(2001 FO32)も撮影したいと思っていました。2019年5月21日記事の接近リストにも載せた通り、最接近は今日から一週間後、2021年3月22日1:03JSTの予報です。

この小惑星は推定直径が1kmもあって、PHA仲間のアポフィスやリュウグウに対してかなり大きいサイズ。当然接近すると明るく見えます。今日未明に左上画像を撮影した時点で約15.0等、最も明るくなる21日には11.7等。小型望遠鏡での眼視観察や電子観望が可能な光度ですね。

ただし問題なのは「高度」のほう。今はケンタウルス座北部を南下中で、最接近前夜にはおおかみ座付近を高速移動。関東では南中高度わずか10°前後ですから障害物や低空の春霞の影響を受けてしまうでしょう。また接近日は地面に隠れている範囲を移動するため、薄明開始頃まで全く見えません。…と言うことで、この小惑星を楽しめるのも今週いっぱいと考えて良いでしょう。日ごと低くなるため、一晩でも早い観察をお勧めします。

普段の観察に使っている我が家の駐車場からは小惑星231937が全く見えませんので、同じ敷地の別の駐車場を間借りして撮影に臨みました。(その場所でも屋根すれすれで、1時間あまりで建物に隠れました…。)撮影後に時間が余ったけれど、今度は他の方向の撮影ができない位置でした。仕方がないから、望遠鏡の向きをあまり変えずに撮影できたさそり座頭部近辺の重星を4つ撮影(下画像)。画像上が天の北方向、縮尺は統一(800px四方=約200″四方相当)してあります。シーイングはかなり悪い状態でした。

二重星としてのアンタレス(αSco)は伴星の離角が2.62″(at 2021年)でかなり無謀なのですが、どうにか分離しないかとあの手この手で挑戦を続けています。色収差を補正しても北西(右上)がやや白っぽいことから、伴星の光が漏れている可能性があります。2 Scoも2.0″と限界に近かったのですが、西側にちっちゃな伴星がくっついてますね。楽しすぎて時間を忘れていたら、もう空が白んでいました。

  • 20210315_αSco

    αSco
  • 20210315_12Sco

    12 Sco
  • 20210315_2Sco

    2 Sco
  • 20210315_11Sco

    11 Sco