雲越しの彗星と月2024/04/14

20240413木星、天王星、ポン・ブルックス彗星
昨夕(13日夕方)の日没ごろは全天が薄雲に覆われていました。晴れ間は期待できなさそうでしたが、少しの間星月が見えていたので強行突破で観察実施。

西空のポン・ブルックス彗星(12P)はだいぶ低いものの、木星と縦並びだったので、できるだけ拡大率を上げて撮影。天王星まで入れてみました(左画像)。低空の雲がちょうど彗星の高度まで覆っていたけれど、どうにか核の存在は分かります。尾は全く写りませんね…。すっきり晴れないとダメなのでしょう。この画角なら明日も一緒に撮れそうです。

月も間に合うかなと大急ぎで望遠鏡を組み立てました。でも撮影開始する頃にはもう薄雲が…。なんとか3カット撮れましたが、その後は雲に覆われてしまいました。

下A画像は静かの海と豊の海が交わるあたり。コーシーが夜明けを迎えており、断崖と谷が良く見えます。周囲のドーム地形も目立ちますね。タルンティウス連鎖クレーターが不鮮明で、その程度のシーイングだったことが伺い知れるでしょう。左下角付近が神酒の海北東部です。もうすぐSLIMの3回目の夜明けが訪れるでしょう。

下B画像は朝を迎えたジャンセンやレイタ谷付近。複合クレーターがいっそう際立つ月相です。南の海も良く見えますね。左下、ブサンゴの周囲にあるヘルムホルツ、ノイマイヤー、ヘールの並びの先に、何とかリッテンハウスが確認できました。このショットはほとんど雲がかかっていましたが、どうにか記録写真として成立する程度までコントラストを保つことができました。

  • 20240413コーシー、タルンティウス、ラングレヌス

    A.コーシー、タルンティウス、ラングレヌス
  • 20240413ジャンセン、レイタ、ブサンゴ

    B.ジャンセン、レイタ、ブサンゴ


月、木星、ポン・ブルックス彗星が並ぶ2024/04/10

20240410月・木星・ポン・ブルックス彗星(12P)
久しぶりに一日晴れました。宵からまた雲が湧く予報で心配だったものの、日が沈んだころ薄雲の間に折れそうな月が見えてきました。やがて木星も視認でき、役者が勢揃い。

地球照をまとった細月と木星との間にはポン・ブルックス彗星(12P)もいるはず。薄暮が弱まるのを待っていると雲に覆われそうだったので、適当な頃合いにバシャバシャとカメラに収めました。彗星や淡い恒星を浮き立たせる処理を軽く挟んで仕上げたのが左画像。名前入りが右下画像です(画像上が天頂方向)。ここには写っていませんが、木星の上方、写野外ギリギリに天王星もいたはずです。

20240410月・木星・ポン・ブルックス彗星(12P)
かなり明るいうちからポン・ブルックス彗星は液晶ファインダーでしっかり見えました。画像では淡い尾も見えますね。月が薄雲で時々暗くなるのが分かります。やがて木星もぼんやりし始め、天体たちは雲に消えて行きました。

我が家からはそろそろこの彗星も見納め。低空の見晴らしを十分確保できない街中からは観察が難しい彗星でした。約10日後に計算上の最大光度を迎えますが、日没時点で高度約15°くらいですから、暗くなるのを待つ間に5°程度まで下がってしまうでしょう。月末までは追えないと思われます。10月に肉眼等級が期待できる紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)はポン・ブルックス彗星よりも見やすいと思うので、少し期待して待つとしましょう。

20240410_02262月
皆既日食を終えたばかりのお月様、シーイングが酷かったけれど拡大撮影してみました。左画像は10日18:40前頃の撮影で、太陽黄経差は約22.62°、撮影高度は約15.13°、月齢は1.64。かなり横倒しで舟のようでしたが、左画像は月の南北を上下に揃えてあります。

2024年4月6日記事のA図を見ると分かりますが、皆既日食を終えた後の月は黄道面に対して北側に離れいてきました。このため今宵の細月は右下方向から照らされることになり、北カスプよりも南カスプのほうがしっかり長めに見えています。

20240410_02262月
リムに並ぶ縁の海やスミス海、ガウスより北にはフンボルト海も見えますね。南側はヘカタイオスやフンボルトも見えました。南北カスプともかなりのびていましたが、この画像では分かりません。試しに露光オーバー気味に撮影したのが右画像。特に南カスプは画像左下ギリギリまで届いていますね。この月、明日の宵にはプレアデス星団の近くまで移動するでしょう。

すらっとのびた水星の尾2024/03/28

20240327水星の尾
週末に向かって天気がまた下り坂のようですが、昨夕から夜半前までは何とか持ちこたえていました。25日に東方最大離角を過ぎた水星ですが、28日から29日にかけてナトリウム原子の尾を出すピークを迎えるため、22日の観察に倣って望遠鏡を向けました。

低空に雲とモヤ、上空は電線や建物その他の障害物が多い方向になってしまい、かなり無茶な撮影になりましたが、左画像の通り50′角ほどのすらっとした尾をとらえることができました。今まで挑戦した中では最も長い尾でしょうか。水星本体は内合に向かって急速に光度を下げているため、たった数日でも探しづらくなりました。もう一回くらい撮ってみたいけれど、天気が不安定…。

新天体の発見情報もあったので、続けざまに撮影。まず25日1:11ごろ、山形県の板垣公一さんがかみのけ座のUGC7223に15.9等の超新星候補天体を発見したとのこと。発見時は満月から15°も離れてなかったので驚きです。分光もままならなかったようですが、昨夜ようやくType2の超新星と分光されたようです(下A画像)。淡過ぎてよく分かりませんが、超新星の背後にフェイスオン銀河が写っています。また画像左上の大きな銀河はM98。

もうひとつ27日2:42ごろ、北海道の上田清二さんがわし座に11.2等の突発天体を見つけたとのこと。未明にわずかな晴れ間が合ったので、これも撮ってみました(下B画像)。ただ、該当位置付近に11等台の天体はありませんでした。マーカー位置の恒星(普段は15等くらいの変光星らしい)の短時間の増光か、あるいは何か別の光の見間違いか…。他の観測が無いので謎です。

  • 20240327_SN2024exw in UGC7223

    A.SN2024exw in UGC7223
  • 20240328_TCP J18595064+0605336

    B.TCP J18595064+0605336


水星の尾が見ごろです2024/03/23

20240322水星の尾
3月下旬になり、宵の西空でポン・ブルックス彗星(12P)が人気上昇中。その影でひっそり水星も見頃を迎えています。25日に東方最大離角なのですが、この時期は宵の黄道が立っているため太陽に対して高度が増す方向に離れることになって、通常の最大離角より見やすいのです。例えば次回の東方最大離角(今年7月25日)頃はかなり寝た黄道になるので、今回と比べてみれば見やすさの違いが一目瞭然でしょう。

そしてタイミングを合わせたように「水星のナトリウムの尾」が来週にピーク時期を迎えます。こんな幸運は滅多にありません。残念ながら来週の天気予報が壊滅的なので、昨夕に撮影してみました。

左上画像は市民薄暮の約17分後から30秒露出×17枚のスタック画像。明るい白丸が水星で、左上にむかってうっすらと尾が伸びていますね。右下の暗い影は電線です。水星はこんな短時間でも移動するので、メトカーフコンポジットしなくてはなりません。おまけに高度10°前後の超低空ですから恒星が大気で浮き上がってしまい、各コマのアラインメントが大変です。

撮影時のTAA(真近点角/True Anomaly Angle)がまだ30°未満のためピークには達していませんが、それでも予測通りに見えてくれました。万が一来週にチャンスがあればまたトライしようと思います。時期や条件についてはアーカイブ「水星の尾の見頃」をご覧ください。

夜は雲が増える予報でしたがしばらく持ちこたえそうだったので、月が高くなった頃を見計らって望遠鏡を向けました。シーイングは前夜より良好でした。ひと晩前は暗かったアリスタルコスがすっかり明るくなっていました。下A画像は欠け際で夜明けを迎えつつあるリュンカー山を含めた画像。もう少し待てばリュンカー山が円環状に見えたと思います(→2023年9月5日記事参照)。アリスタルコス外周を蛇のように取り巻くアグリコラ山脈。その舌の先、ニールセンからリュンカー山に向かってのびるリッジと、ヘロドトスAから南のマリウスに向かうリッジが対称になっていて印象的です。

下B画像はアリスタルコスから南側の様子。マリウス周囲のドーム群が鳥肌のようです。マリウス谷も見えますね。立派な光条を持ちながら、お隣にコペルニクスという大御所があるせいで目立たないケプラー。両者の光条が絡んでいるあたりを「パズルの眼」をもって眺めるのが面白いです。

下C画像は朝を迎えたシッカルトや、すっかり明るいシラーあたり。ナスミスとフォキュリデスが靴跡のようです。カプアヌス近くのConcentric Craterのひとつ、マルトも見えますね。

4カットほど撮影したのち急にシーイングが落ちたと思ったら、薄雲が空を覆っていました。もっと撮りたかったのですが雲に追いつかれてしまっては仕方ありません。せめて虹の入江をカメラに収めたかったけれど、無念…撤収しました。

  • 20240322アリスタルコス付近

    A.アリスタルコス北側付近
  • 20240322アリスタルコス、マリウス、ケプラー

    B.アリスタルコス南側付近
  • 20240322シラー、シッカルト、湿りの海

    C.シッカルト付近