アトラス彗星が明るい2020/10/19

20201019_C/2020 M3アトラス彗星
昨宵から今朝にかけ、久々に晴れてくれました。時折通過する浮浪雲はあるものの、ひと通りの観察ができそうです。夜半前は火星、夜半過ぎから彗星と決めて準備しました。

まず彗星からご紹介。ネオワイズ彗星(C/2020 F3)が去ったあと彗星の話題がぱったり途切れたようですが、実は南天から徐々にアトラス彗星(C/2020 M3)が頭角を現していたのです。我が家から隣家に隠れて南の低空が見えない、そもそも天気が良くない、ということでしばらくお預けを食らってましたが、ようやく望遠鏡を向けることができました(左画像)。

既に8等台中盤で、とにかくコマが大きい!光害地で、しかも高度30°もない空なのに視直径15′角近く確認できます。西に伸びる短い尾も分かりますね。最盛期の11月上旬にはオリオン大星雲に3°近くまで接近するので、映える光景がもっと条件良く楽しめることでしょう。

20201019_C/2020 S3エラスムス彗星
お次は、これも最近急増光中のエラスムス彗星(C/2020 S3)。9月17日に発見されたばかりですが、明け方で高度を下げつつ光度を上げています。現在は10等を下回るものの、12月には6等台になる予報も出ているようです。ただし日本からはせいぜい11月中旬までで、それ以降は南東の地平へ消えてしまうのが惜しい…。

我が家からは電線群の中なので撮影に難儀しました。何度か写野を電線の影が横切りましたが構わずコンポジットしています。前述のアトラス彗星と違って日々高度が下がる一方なので、1日でも早い観察が吉ですね。

さて、19日に日付が変わる前に観察した火星。21時台には大シルチスが見えるアングルなので早めに望遠鏡を向けたものの、シーイングがひどすぎてがっかり。でも時間が経つほど落ち着いてきました。と言っても「中の下」くらいです。

22:10ごろと23:45ごろに撮影したものを下に載せました。併せて対応する火星図も掲載しておきます。大シルチスは22時の画像で右側に見えていますが、23時にはもうリムぎりぎりになってしまいました。代わって子午線湾が中央近くにやってきましたね。北極側の雲が均等ではなく、アギダリア平原側に偏っているのが分かります。

もう少し経てば中央経度0°なので撮影を続けようかとも思いましたが、天気は下り気味。夜時間が長くなったものの悠長にもしてられませんので、このあとは彗星撮影に切り替えた次第。案の定薄明時にはもう曇り始めました。気温は今期初くらいの一桁(7度台)と冷えこんでます。貴重な晴れ間に色々観察できて本当にラッキーでした。

  • 20201018火星1

    2020年10月18日 22:10
  • 20201018火星2

    2020年10月18日 23:45


  • 20201018_2210火星図

    2020年10月18日 22:10
  • 20201018_2345火星図

    2020年10月18日 23:45


衝を迎えた火星2020/10/14

20201013火星
昨夜もまた晴れ間が期待できない天気予報でしたが、実際は時折思い出したようにぽつり、ぽつりと星が見える雲間が通過していきます。ものは試しと機材を組み、深夜まで火星を待つことにしました。

23:20頃、10分ほどの撮影チャンスが訪れました。またすぐ次の雲が迫っていたので、入念にピントを合わせる暇もなく大慌ての観察と撮影。コマ数も最低限です。それでも気流が意外に落ち着いていて、今期撮影した火星像ではいちばん良い写りになりました。

確認できる地形は太陽湖からアリンの爪あたり。(右下図は星図ソフトGuideによる撮影時シミュレーション。)小さな極冠や北極側の青白い雲などもよく見えます。アルギュレ平地にある逆「の」の字模様は何だろう?

20201013-2320火星図byGuide
…毎日これくらいシーイングが良かったら、何年見ていても飽きないなあと感じました。この後日付が変わらないうちにベタ曇りとなって、もう回復しませんでした。

2020年7月6日の記事に書きましたが、本日14日8:26に火星が衝を迎えます。(※黄経基準の衝です。15日6:06などと書いてある資料は赤経基準の衝。)衝直前の火星は地球最接近時より視直径が0.75%程度小さいものの影がほぼ無くなり、光っている面積が最大となります。結果的に最接近時より0.05等ほど明るいのです。実に良いタイミングで観察できました。

雲間に見えた最接近の火星、板垣さんの超新星も観察2020/10/07

20201007火星
ついに火星が地球へ最接近しました。2018年7月31日の「大接近」以来のことです。当地・茨城は昨日午後から次第に曇り空。夜になってもなかなか晴れませんでしたが、夜半すぎにかけて雲が途切れる時間帯もあったため何とか火星を目に焼き付けることができました。

0時ちょい過ぎに撮影した左画像では、ちょうど太陽湖やマリネリス峡谷がよく見える向きでした。画像上部にはおぼろげながらオリンポス山も確認できます。小さくなった南極冠もよく見えますね。太陽湖→左目、シレーン→右目、マリネリス峡谷→眉、極冠→おちょぼ口と見立てると、「上目遣いで片目ウインクしてる顔」のように見えてしまいます。度々雲に遮られるものの、お隣さんの美しい顔立ちを間近に見て、つい照れますな…。(だが男だ!…笑)

一般に最接近は10月6日23時過ぎと広報されていますが、これは「地心計算」での時刻。地表に暮らす私達が一番近くなる測心計算では10月7日0時過ぎでした(当サイト基準の茨城県つくば市の場合)。真夜中に火星最接近ということは、大雑把に言って「地心よりも地球半径ぶん火星に近い」 ということ。だから日本での今回の接近はかなりお得感がありました。左上撮影時刻は雲行きの都合もあったけれど、もともと快晴だったとしても、ここにこだわって撮影しようと決めていました。

火星最接近時の地心赤緯
比較すると2回前の2016年5月31日の接近よりも今回のほうが遥かに近いです。2016年にはミスリードと思わんばかりの怒涛の盛り上がりがあったと記憶してますが、今回は「情熱」をほとんど感じませんでした。コロナ禍ということもありますが、天文界…特に情報を伝える側や指導者的立場の方々、関連業界側に「慣れによる飽き」や「新たな気持で取り組めない」など漫然とした倦怠感が漂ってるのかなと思ってしまいました。私の勘違いなら良いけれど、本当だとしたらとても残念です。

今後火星は少しずつ遠ざかりながら15日に衝を迎え、以降は宵側の空へと移ってゆきます。(※つまり、まだ衝前なので位相角が若干大きい→最接近時に右側が少し欠けている、ということです。)遅くまで起きてなくても見やすくなりますから、ぜひ観察を続けてください。また次回最接近は2022年12月1日。これはプラスマイナス10年間の接近の中でいちばん赤緯が高くなります(右図参照)。沖縄の那覇では南中高度が89°近く(…ほぼ天頂通過)!石垣島に至っては、なんと天頂より北側の空を通過することになります。シーイングさえ安定すれば申し分ない好条件が期待できるでしょう。

20201006_SN2020uxz in NGC514
時間は前後しますが、火星が高くなるのを待つ間に超新星をひとつ撮影しました。これは日付が10月6日になる直前に山形県の板垣公一さんがNGC514に発見したSN2020uxz。既にスペクトル分析されてIa型の超新星と確定されています。

前述したように天気が安定しませんでしたが、20時過ぎから空の半分ほど晴れてくれました。時々雲が通過したり、設置場所の関係で追尾が不安定ながらも何とか撮影。満月すぎの月明かりがあったものの、よく写ってくれました。発見光度は16.5等とのことですが、若干明るくなっているようです。火星のすぐ近くでとても見やすい位置ですから、余裕がある方はぜひ望遠鏡を向けてみてください。

参考:
アーカイブ「火星の地球接近」(ブログ内)
ようやく見つけた火星(2020/08/24)
火星の最接近まで残り三ヶ月!(2020/07/06)

十六夜の月と火星が並ぶ2020/10/03

20201003_18846月
昨夜から今朝も晴れ時々くもり、全体として天気は下り坂、というお天気。夜半過ぎまでは比較的晴れていたので、南中頃の月を観察しました。

1日夜は十五夜、2日6時過ぎが満月瞬時でしたから、18時間以上経って写した左画像は一応「十六夜」の範囲に入るのでしょうか。日を跨ぐ頃の言い方は難しいですね。

一夜前の月に比べると月の東側(右側)が欠け始まっています。南半球、ペタヴィウス・クレーターから右に目を移した明暗境界に、ちょうどセンターピークが光るフンボルト・クレーター。いっぽう右上明暗境界にはフンボルト海がはっきり確認できますから、ちょうど「ダブル・フンボルト」状態でした。

この画像は上下を正確に月の南北に合わせてあります。明暗境界をたどると、左上あたりのクレーターにも影がありますね。つまり、満月を過ぎてもこれくらいの位相ではまだ西側(左側)に影が残っているのです。ほとんどの方が「満月前(上弦期)に欠けてるのは西半球だけ、満月過ぎ(下弦期)に欠けてるのは東半球だけ」と思い込んでいらっしゃるでしょうが、さにあらず。これもまた満月期観察の面白い見どころですね。

20201003火星
月に7°弱まで接近していた火星も撮ってみました。しかしながら、ここ数日で一番ひどいシーイング。モニター画面ですら模様がはっきり見えず、陽炎ごしの景色を見ているようです。なんとかコンポジットしてみましたが、右画像が限界。これ以上画像処理すると破綻してしまいます。

昨夜に比べて東寄りの地形全体が見えるため、オリンポス山が丸く見えています。タルシス三火山付近の雲も昨夜より広範囲。シーイングの改善をもう少し粘るつもりでしたが、10分程で空全体が曇ってしまいました。地球最接近頃の深夜にはオリンポス山あたりの経度がちょうど中央に来ます。晴れるといいですね。