太陽系7天体が集合しつつあります2024/03/12

20240411-0400JST惑星集合
3月10日に新月を迎えたので夕空に細い月が戻っているはずですが、昨夕から曇り、今日は結構な雨。明日には回復するでしょうか。夕空には水星と木星、それに天王星と海王星もいるはず。(※海王星は太陽に近過ぎますが…。)

よくよく考えると明け方には土星、金星、火星が集っていますから、現在は太陽と月を含む可視惑星(水星から土星まで)が太陽周囲のかなり狭い範囲に集まっています。同じ状態は1朔望月後も再現し、4月11日4:00JSTごろ太陽系7天体が離角64.859°内(地心計算)に収まってしまうでしょう(左図/Stellariumによるシミュレート)。太陽を含んでいるからいっぺんに見たり撮ったりできないけれど、すごいことですね。うまくすれば次の新月時に起こる皆既日食(海外)のとき、この7天体の同時撮影が可能かも知れません。私は行けませんけれど。ポン・ブルックス彗星(12P)もこの視野に収まりますね。

直近では2022年2月末から3月頭頃の約50°内外というのがありました。そう考えると今年の集合は特別近い訳では無いのかなとも思えてきます…。

20400908夕空
先々を計算すると今年4月11日を下回る離角は当分現れず、次の記録的集合は2040年9月9日12:40ごろの29.399°まで待つことになるでしょう。太陽系7天体が30°未満、太陽を除けば10°程度に6天体ってすごくないですか?しかもこのときは太陽以外すべて東側ですから、夕空で接近する様子をまとめて観察できる訳です。

前日の宵には右のようになっていることでしょう。左端の恒星はスピカです。さぞ素晴らしい眺めだと思いますが、私が見届けるのは難しそう。これからの天文ファンに託しましょう。

なお2000年5月5日には2040年の記録以下となる26°台まで接近しました。この状態を利用して個別投影型の機械式プラネタリウム動作チェックに使ったお話しは2021年2月13日記事に書いてあります。現代のプロジェクタタイプでは全く必要のない知識ですが…。

水星の尾が見えない2024/01/07

20240107水星の尾
2023年12月23日に内合を迎えた後、明け方に姿を見せている水星。1月12日の西方最大離角に先んじてTAA(真近点角/True Anomaly Angle)が70°-100°になっており、ナトリウムの尾が伸びている可能性があります。今朝方晴れ間があったので撮影してみることにしました。

しかしながら我が家から東側の見晴らしは良くありません。かと言って機材一式を空が開けた場所まで運ぶのは諸事情により困難。今回は庭(共用駐車場)の範囲でできるだけ水星が早く見える場所を探して撮影しました。それでも撮影を始められるのは市民薄明開始の十数分前になってしまいます。かなり明るい状態ですね。

左上画像が実際に撮影したもの。白黒反転してあります。中央左寄りの黒い丸が水星で、右(天の西)方向に短い尾が少しだけ写りました。あまり鮮明ではなく「写っている気がする」程度の弱々しさ。2023年4月26日記事で捉えた際はPCモニターでも尾が見えましたが、今回は全く見えませんでした。なお水星を囲むように見える円形の像はナトリウム透過用ナローバンドフィルターのゴーストです。(彗星のコマのような実在するものではありません。)

理由は幾つか考えられます。例えば「低空に薄い雲が出ていたためコントラストが弱まった」「今朝の時点でTAAが90°を越しており、尾のピークを過ぎている」「水星以外の恒星が分からないくらい背景光が明る過ぎる」等々。やはりもっと低空で暗いうちに撮影すべきだったのでしょう。撮影環境の問題は自分の努力で変えられないため、諦めざるを得ません。3月下旬に西空でベストチャンスが巡ってきますので、晴れたら再チャレンジしよう思います。

参考:
アーカイブ「水星の尾の見頃」

ガリレオ衛星密集イベントは雲に阻まれる2024/01/03

20240128-202338ガリレオ衛星トライアングル
本日1月3日宵に木星の四大衛星がとても狭い範囲に集う予報を出していました。当地・茨城県南部は日没後30分後頃まで雲間から木星が見えていたものの、その後は二方向からやってきた雨雲に阻まれてしまいました。早くに機材をセットしていましたが無駄になってしまいました。

ガリレオ衛星配置関連として次の注目は今月28日の「エウロパ・ガニメデ・カリストが正三角形に並ぶ」イベントでしょう。三辺が揃うのは20:23:38頃の予定です。

この組み合わせでの正三角形は2023年11月14日にも発生しましたが、今回は三辺離角が前回より更に揃っており、また三角位置が木星にとても近いです(左上図/Stellariumによるシミュレーション)。倍率が低い眼視や電子観望などでは木星本体とガニメデが一体化してしまうかも知れませんからご注意を。兎にも角にも晴れたらぜひご覧になってください。

参考:木星の衛星配列に関する記事
またガリレオ衛星が密集しました(2023/12/10)
またまたガリレオ衛星が正三角形になりました(2023/11/15)
木星の衛星が正三角に並びました(2023/10/30)
ガリレオ衛星が狭い範囲に並ぶ(2023/09/26)
久しぶりに木星衛星がきれいな三角を作る(2023/09/10)
再びきれいな三角形に並んだガリレオ衛星たち(2022/11/19)
きれいな三角形を作ったガリレオ衛星たち(2022/10/01)


またガリレオ衛星が密集しました2023/12/10

20231209木星とガリレオ衛星3
昨夜は2023年9月26日記事に予報した通り、木星の四大衛星が狭い範囲に集合する様子を見ることができました。ただ、当地は夕方から湧きだした雲が段々厚くなり、苦戦を強いられてしまいました。

左は撮影したなかで最も密集度が高かった21:09のショット。シーイングは想像より良かったものの、ひっきりなしに襲いかかる雲によって像の明るさが恐ろしいほど上下しました。破綻せずにうまく一枚にまとまって良かった…。前回見た9月26日よりもずっと密集しており壮観でした。左側にチラッと大赤斑が顔を出し始めています。

木星の左下、一番近いエウロパはこのあと木星の前面通過を開始し、これをもって「四つの衛星が木星から独立して見える状態」は終了しました。前述記事内の予報では最小離角日時が22:00と書いてありますが、これは木星に重なることを許容した場合です。なおエウロパが前面通過を終えて再出現したあとも密集は続き、最終的に10日0:30ごろイオが木星に隠されるまで継続しました。(当地はそのころまでずっと曇ってました…)

下A・B画像は18:26ごろと20:20ごろの様子。18時台はまだシーイングが安定せず、木星細部が見えませんでした。衛星配置も倍くらい広がっていますね。20:20のショットは木星本体にガニメデの影が投影されています。衝をずいぶん過ぎたため、太陽は木星の右方向から照らすようになりました。木星本体の影も向かって左側に出るようになっています。衝の頃と比べ随分小さく暗くなりましたね。

次回は年が明けた1月3日宵に今回より更に狭いチャンスがあります。ただし条件はシビアで、ガニメデが木星の裏側から顔を出すと同時にエウロパが木星前面の通過を開始する瞬間を狙わなくてはなりません。お正月真っただ中ではありますが、天気とお時間が許すなら是非望遠鏡を向けてください。

  • 20231209木星とガリレオ衛星1

    A.18:26ごろ
  • 20231209木星とガリレオ衛星2

    B.20:20ごろ


参考:木星の衛星配列に関する記事
またまたガリレオ衛星が正三角形になりました(2023/11/15)
木星の衛星が正三角に並びました(2023/10/30)
ガリレオ衛星が狭い範囲に並ぶ(2023/09/26)
久しぶりに木星衛星がきれいな三角を作る(2023/09/10)
再びきれいな三角形に並んだガリレオ衛星たち(2022/11/19)
きれいな三角形を作ったガリレオ衛星たち(2022/10/01)