月食1日前の月2022/11/08

20221107_16868月
皆既月食一夜前になりました。当初の天気予報では結構な雨が降る予報だったのに、降雨域が南東へ100kmほどズレたため「雲の多い晴れ」となりました。せっかくなので月が高くなったころ撮影してみました。

左は21時過ぎの撮影で、太陽黄経差は約168.68°、撮影高度は約57.80°、月齢13.06。シーイングがかなり悪く、雲が近くを通るたび大きく乱れました。天気には逆らえませんね。一晩前に見えなかったピタゴラスが朝を迎え、パスカルの縁にも光が当たっています。南側ではラグランジュやインギラミ、バイイなども見え始まりましたよ。

20221107月面A付近
ちょうど月面A地形に日が当たるタイミングで、月出直後に観察したらA地形の出現を追えたことでしょう(右画像は原画からトリミング)。この画像ではすっかり日が当たって、他の地形とつながっています。また月の東側が中央に来る秤動により、西側にあるA地形は押しつぶされて小さくなっています。せっかく良いタイミングなのに、地形が細長いのは残念ですね。

23時間後には皆既月食のピークに包まれていることでしょう。みなさんの地方が良い天気に恵まれますように。

【細かなお話し】
下の三種類の丸い月を比べてみましょう。昨年の9月の名月直前、今年2月のほぼ満月、そして昨夜の月。いずれも1日内に満月となるのですが、決定的に違うことがあります。それは「極域のクレーターの影」。黄緯がプラス側に高かった2022年2月満月は「地球の影」の位置(太陽と地球を結ぶ延長、つまり黄道上にある)よりも北を通り、満月前後でも南極域のクレーターのみに影ができました。その約半年前、2021年9月の満月では黄緯がマイナス側に低かったため、地球影の南側を通り、北極域のクレーターのみに影ができました。

これらに対し、今月の満月は黄緯がほぼゼロに近いので、南極側も北極側も影を残しつつ満月に向かっています。このまま進めば地球影に入る可能性が高いと予知できる訳ですね。逆に言うと、こうしたわずかな違いに気付くことで「この満月は黄道に近いかどうか」=「月食に向かいそうな満月か否か」が分かるのです。月食そのものだけでなく、こうした前後の月面も注意深く観察してみましょう。極域の影の違いは満月のプラスマイナス二日間ほどは感じ取れます。(参考:「欠けた満月を観る」(2022/02/17記事)

  • 20210921満月前

    A.2021年9月21日
  • 20220217満月前

    B.2022年2月17日
  • 20221107満月前

    C.2022年11月7日


今日の太陽2022/11/08

20221108太陽
昨夜から今朝は晴れ時々曇り。朝からは快晴です。朝のうち少し寒く感じたけれど、日が高くなると暖かくなりました。

20221108太陽リム
左は10:10過ぎの太陽。中央によってきた活動領域13140の右に微小黒点群を伴った13142ができました。13141の黒点ズは立派になりましたねぇ。南半球中央近くにも小黒点がありますが、まだ採番はされていません。右下リムを飾っていたプロミネンス、今日はあまり見えなくなりました。