月の周りに花粉光環2019/03/20

20190320月による花粉光環
昨夕からまた雲が多くなってしまったのですが、夜半ごろから急速に回復しました。日付が変わって2時頃に外へ出ると、十三夜月の周りに花粉光環が視認できました。昼間の太陽による花粉光環と同じ方法で撮影したのが左画像です。光環がたいへん淡いため無理な強調をして中央が白飛びしていますが、いちおう遮光をしています。(遮光しないとハレーションで光環が見えにくくなります。)

三重目の赤リングの上にしし座の52番星があるようなので、月中心との離角を測ると約3.37°でした。この観察結果から回折を起こしている粒子半径を概算すると、約15.1μmとなりました(※粒子は真球と仮定)。スギ花粉の直径はおおよそ30μmから40μmと言われるので、だいたい合ってますね。水滴や氷粒、あるいは煙や黄砂などでできる光環は粒子の大きさが違うため、光環直径が変化します。

夜は恒星が写るため、パパッとこういう計算をするのに便利です。今回は一眼デジカメで固定撮影でしたが、フィルターを使って特定波長のみをガイド撮影すればより良い精度で測定できるでしょう。(画角が分かっていれば太陽で撮影したほうがクッキリ撮れますけどね。)

今日の太陽2019/03/20

20190320太陽
朝からよく晴れていますが、明日以降は何日か崩れる予報が出ています。午前は花粉光環がほとんど見えませんでした。あと1日ぶん地球が公転すると太陽が春分点を通過します。(正確には明日朝6:58JSTです。)

20190320太陽リム
左は10:20頃の太陽。活動領域12735の黒点が中央少し上に到達しましたが、それよりも右上の明るい部分に目を引かれました。これは一昨日黒点が見えて、昨日は消えていたところですね。ここが原因かは分かりませんが、X線フラックスが昨夜から増えてきてます。プロミネンスは相変わらず右上と左下が良く見えますが、右下にも背の低いものが出ています。

南半球にトリプルサイクロン発生中2019/03/20


20190320-1200JST気象衛星画像
つい先日に南半球で発生したサイクロン「IDAI」が迷走後にアフリカ南部を襲ったことは記憶に新しいですが、今日現在、気象衛星ひまわりから見える範囲でも、なんとトリプルサイクロン状態になっています。

左は本日12:00JSTの気象衛星画像(画像元:NICT/画像処理・地図等は筆者)。三つのサイクロンは発生順に「SAVANNAH」「TREVOR」「VERONICA」の名が付けられました。

JTWC(Joint Typhoon Warning Center)によると、「SAVANNAH」は3月14日0:00UTに熱帯低気圧からサイクロンへ成長し、今日はだいぶ衰えてきました。いっぽう三番目の「VERONICA」は19日12:00UT(日本時間昨夜21:00)にサイクロンになったばかり。「TREVOR」と共にオーストラリア北部に接近または上陸しており、明日21日には最大風速が100ノットを超す予報も出ています。なお気象衛星ひまわりから見えない西側海域に、もうひとつサイクロン候補の低気圧が発生しています。

国連によると先日の「IDAI」による被災者は各国総計で260万人以上にのぼり、南半球の気象災害史上最大とのこと(→国連ニュース)。日本の都道府県で人口が260万人より少ない所は35もありますから、「自分の県全員が被災!?」と考えればサイクロン「IDAI」の災害規模が異常過ぎるのは分かるでしょう。

小さな島国が多い、十分に防災対策がなされていない居住区が脆い土地や海岸近くまで点在する、いったん被災すると容易にインフラが崩壊し疫病が蔓延、復旧財源もすぐ枯渇する、生活経済の拠り所が自然相手の一次産業のみ…。このような南半球に多いお国の事情が事態を更に悪化させるのでしょう。今回のトリプルサイクロンも、どうか被害が最小限で済むよう願うばかりです。