子持ち銀河に超新星が写ってませんか?2019/03/12

20190312_2019abn_M51
春の銀河を観察しやすい時期です。観望派のみなさんも撮影派のみなさんも、定番の銀河やまだ見たことない銀河を巡り歩いてることでしょう。その中に、ときおり超新星が光っていることがあります。情報を仕入れて注意深く眺めてみてください。

例えば左のM51「子持ち銀河」。ここには今年1月22日に19.58等の超新星が発見されたのですが、その後の観測で過去何回か増光と減光をくり返しているLBV(高光度青色変光星/Luminous Blue Variable)であることが確認されました。2月に入ると17等前後まで増光し、3月に入ってもまだ光度を維持しています。

もし2月から3月にかけてM51を撮った方は左上画像マーカー位置を見返してみましょう。それ以前に撮影したM51画像があったら比較してみてください。どうですか?写っていましたか?知っていて写したのならともかく、知らずに写っていた…言われるまで気付かなかった…というのは、とてももったいない。鑑賞だけでもいいのですが、異変がないか調べるのも面白いですよ。もしかしたら新たな天体を発見する可能性もあるし、誰かの発見直後の撮影なら観測フォローにもなりますからね。

このM51は昨夜から今朝にかけて強風のなか撮影したもの。他に撮影した中から下にふたつ掲載します。A画像は9日に写りの悪かった小惑星Gaultを再撮影。今回は天体用白黒カメラを使ったため、小口径の街中撮りでもしっかりした像になってくれました。長く伸びる尾が見やすいよう反転してあります。またB画像はM51撮影の前に時間があったので、今年1月に山形県の板垣公一さんが発見した超新星2019npを撮りました。なんと息の長いことに、今も15等程度の明るさを保っていました。さあ、みなさんが観察・撮影した銀河にも何か写っていないか調べてみましょう。

  • 20190311小惑星Gault

    A.小惑星Gault
  • 20190312_2019np_NGC3254

    B.2019np in NGC3254


今日の太陽2019/03/12

20190312太陽
朝からよく晴れています。朝の4時間ほどで気温が10度も上昇し、暖かくなりました。でもおかげで大気の揺らぎが大きいです。

20190312太陽リム
左は10時少し前の太陽。活動領域12734は右リムに接近し、だんだん判別が難しくなってきました。右上リムの大きなプロミネンスはまだ続いてますね。左上リムにも高いプロミネンスがあるようです。

今日の花粉光環はあまり濃くありませんが、いちおう視認できました。

モザンビーク海峡で猛烈に発達するサイクロン「IDAI」2019/03/12


20190311サイクロンIDAI
マダガスカル島近くでは発達したサイクロン「IDAI」が猛威を振るっています。左は昨夜に地球観測衛星Aquaが撮影したサイクロン「IDAI」。渦が半分覆い被さっている島がマダガスカル。左側はアフリカ・モザンビーク付近です。

ずっとJTWC(Joint Typhoon Warning Center)のデータや予報を追っていたのですが、このサイクロンの大元はモザンビークの陸上にあった低気圧です。しばらく陸を這っていましたが、3月9日に海上へ出た途端に強まり、昨日は最大風速125ノットに達する予報が出ていました。今日の予報では少し落ちていますが、それでも100ノット越えは確実のようです。

11日まで東進し、そのままマダガスカル上陸かと思われましたが、急に西進に転じ、100ノット以上の風速を保持したまま再度モザンビークへ上陸する模様。極めて珍しいコースと思われます。

赤道以南で発生するサイクロンは北半球と同じように赤道から少し離れたところに発生場所が集中します。下A図はJTWCが公開しているベストトラックを元に熱帯低気圧が最大風速34ノットに達した位置をプロットした地図。広い海洋はもちろんのこと、例えばモザンビーク海峡のような狭い場所でも海が暖かければサイクロンが発生することが分かりますね(下B図参照/NOAA資料から引用)。ここは南緯15度から25度にかけての海峡なので、北半球で言うとルソン島から台湾くらいの位置に相当します。なお海面温度は南北非対称なのでご注意を。

下C図はマダガスカル島近海について、更に詳しくプロットしたもの。サイクロン番号と共に、そのサイクロン存在中に到達した最大風速も書き込みました。モザンビーク海峡に注目すると、115ノットとか130ノットといった強大なサイクロンがごく稀に発生することがあったようですね。しかしながら陸由来のサイクロンはかなり特殊ではないでしょうか。

  • 南インド洋サイクロン発生位置

    A.南インド洋サイクロン発生位置
  • 20190310SST

    B.海面温度(2019.3.10)
  • マダガスカル島付近のサイクロン

    C.マダガスカル付近サイクロン発生位置