今年一番の月面X&LOVE、ローバーが降り立った火星も添えて2021/02/20

20210219_08574月
昨夕は今年一番の「月面Xデー」でした。高度良し、日没タイミング良し、当地・茨城では天気も良し!おまけに「月面LOVE」も出揃っているとあって、月面ファンならずとも楽しめたことでしょう。

左は月面Xがほぼ出切った18:20頃に撮影しました。辺りはまだ薄暮が少し残っていたけれど月が明るいですから観察に支障ありません。V地形だけは若干遅れ気味で一部つながっていませんが、V字型はたどれるでしょう。シーイングはやや悪く、昼間から吹いていた風も少し残っていたけれど、とにかく快晴の空に恵まれたことは本当にありがたいですね。

20210219_欠け際の文字地形
右は欠け際だけ切り取って、白黒ベースで明るさを引き上げた画像。文字地形が見やすくなるでしょうか。どこに何があるかマーカー付きです。E地形だけは逆さになってますから、見間違えないようにしましょう。Eは撮影の1.5時間前に出きってしまったため、やや見辛いかも知れませんね。それからX地形のみ拡大撮影したものを下A画像に掲載しておきます。この他、月面グーもよく見えました。左上画像で探してみてください。

月の側には火星も輝いていました。昨年秋の接近時と比べたらかなり暗くなったけれど、まだまだ目立ちますね。NASA newsによれば、進行中の「マーズ2020ミッション」において2月18日20:55UTC(19日5:55JST)に火星探査ローバー「パーサヴィアランス(Perseverance)」が着陸に成功したとのこと。せっかくなので降り立ったばかりの火星も記念撮影しました(下B画像)。火星の北極を画像上方向に揃えてあります。

最接近から4ヶ月あまり経ち、視直径が三分の一以下まで小さくなりましたが、まだ南半球に薄っすら模様が見えます。ちょうど右上リム近くにオリンポス山がある模様の向きです。位相が違うため影がついているけれど、2020年10月2日の火星画像に近い模様と思われます。(画像の拡大率も一緒にしてあります。)パーサヴィアランスは大シルチスのジェゼロ・クレーター(Jezero Crater)に降り立ったとのこと。大シルチスは左側影の中にいます。数時間後、日本で火星が低くなった頃に影から出て朝を迎えたでしょう。ジェゼロ・クレーターの位置は下C画像に示しましたので参考にしてください(画像:StellariumおよびNASA-MARS Trekから引用)。

火星は2021年2月7日に北半球が春分を迎えたばかり(火星中心黄経Ls=0°)。ゆっくりと過ぎゆく火星の季節が秋分を迎えるころ、地球は既に来年2月24日になってしまいます。

  • 20210219月面X付近

    A.月面X付近
  • 20210219火星

    B.2月19日宵の火星
  • ジェゼロ・クレーター

    C.ジェゼロ・クレーター位置


まだ頑張るSN2021J+臨時でエッジオン銀河五夜目2021/02/20

20210220_SN2021J
昨夜から今朝もよく晴れました。宵の月面Xなどを楽しんだあと仮眠を取り、夜半から今日明け方まで再び天体観察です。

今年1月下旬に12等台まで増光し、その後ゆっくり減光していた超新星SN2021Jですが、10日ほど前の観測でまだ14等との情報を見かけたので気になっていました。そこで早速望遠鏡を向けてみました(左画像)。銀河の影響で見積もりづらいけれど、銀河核南西の既知の恒星がおおよそ15等ですから、これより若干明るいと思われます。撮影中の小さなモニターでもまだはっきり確認できました。発見から1ヶ月半以上立ちますが、今もって最近発見された超新星の中で一番明るい光度をキープしています。

20210220_NGC5908
明け方までにもう1天体だけ撮影できそうだったので、臨時(?)でエッジオン銀河めぐり五夜目を敢行。ターゲットはりゅう座のNGC5908です。フェイスオン銀河のNGC5905が近くにいるのでバランス良い構図にしました。なお2月11日に撮影したNGC5907はNGC5908の北1°弱のところにあります。

NGC5908は小粒ながら意外に明るく、暗黒帯もしっかり写ります。NGC891をうーんと小さくした感じでしょうか。赤緯が高いのも似てますね。もう一方のNGC5905は細い“脚”をワシャワシャさせている蜘蛛のような姿。中央付近および遠位の腕が所々直線状になっていますね。紙テープを巻き取るのに失敗してカクカクになった感じです。かなり外側まで腕が伸びているのが印象的。良い空では複雑な腕が写るでしょうが、街中の短時間撮影ではこれが限界でした。

昨夜は前夜までより気温が高く、明け方の湿度がほぼ100%のまま辺り一面凍りつきました。ずっと天頂に向けていたため主鏡が少し曇ったらしく、最後のほうのコマは光量が減っていました。

参考:
微減光中の超新星SN2021J(2021/02/08)
超新星SN2021Jは減光に転じてるようです(2021/02/03)
超新星SN2021Jがとても明るい(2021/01/31)
エッジオン銀河めぐり四夜目(2021/02/18)
エッジオン銀河めぐり三夜目(2021/02/18)
再びエッジオン銀河へ(2021/02/17)
エッジオン銀河めぐり(2021/02/11)

今日の太陽2021/02/20

20210220太陽
朝からよく晴れていますが、やや霞んでおり、150km先の富士山は全く見えません。風が強く、昼時点での日最大風速は6m/s超え。気温は13度超え。

20210220太陽リム
左は10時頃の太陽。右上にあった小黒点群はほぼ見えなくなりましたが、なぜか今日になって活動領域12802と採番されました。いっぽう左上の小黒点は次第に見やすくなっています。こちらはまだ採番されてないようです。(夕方追記:12803と採番されました。15時時点で細かい群が四ヵ所見えてます。)

右上リムにとても立派なプロミネンスが咲いていました。変形したループ?3D的な形が想像できません。左下や左上のプロミネンスも小柄ながら見事です。

美しい月とヒアデス星団の接近2021/02/20

20210220月とヒアデス星団の接近
今日の宵、月がヒアデス星団に接近しました。度々起こることですが、観察しやすさ・写しやすさの観点で言うと、月が細いシーズンでの接近のほうが格段に見やすくなります。つまり、3月から8月まで、太陽に近い5・6月を除く上弦前か下弦後がオンシーズンと言えましょう。今回はその先駆けですね。記事下表を参考にしてください。

左は19:30頃の撮影。多段階露光にて月表面から星団の暗い星まで押し込めてあります。気温が高いせいか空が霞んでいて肉眼ではパッとしませんでしたが、月も星団も明るいから問題なし。概ね小型双眼鏡の視野にすっぽり収まる接近なので実に見やすいです。特に、初めて星の世界に触れる方々にはうってつけの現象と思います。

来月3月19日にも同様に接近しますが、順行中の火星も一緒になり豪華でしょう。現在の火星はアルデバランより若干明るいけれど、来月はぐんと暗くなっています。覚えておいて比較してみてください。2月→3月→4月と見える位置が次第に低くなるため、視界が悪い観察環境ではお気をつけて。

【参考:月とヒアデス星団の接近日時・2021-2022年調べ】
最接近日時(JST)月齢月・ヒアデス離角(°)月・太陽離角(°)
2021年1月24日 7:0510.714.68123.03
2021年2月20日 15:318.484.9195.31
2021年3月19日 23:176.165.1867.93
2021年4月16日 6:033.775.3640.99
2021年5月13日 12:081.345.4214.50
2021年6月9日 18:1128.595.4111.68
2021年7月7日 0:4726.205.4437.70
2021年8月3日 8:1023.915.5963.78
2021年8月30日 16:0421.725.8390.07
2021年9月26日 23:5519.596.08116.70
2021年10月24日 7:1117.466.22143.70
2021年11月20日 13:4615.316.25171.05
2021年12月17日 19:5913.146.24161.29
2022年1月14日 2:2610.956.33133.51
2022年2月10日 9:418.796.56105.77
2022年3月9日 17:436.636.8378.24
2022年4月6日 1:584.447.0251.09
2022年5月3日 9:372.177.0824.40
2022年5月30日 16:1729.457.072.33
2022年6月26日 22:1427.077.1027.99
2022年7月24日 4:1224.687.2353.96
2022年8月20日 10:5822.347.4780.10
2022年9月16日 18:5320.077.71106.57
2022年10月14日 3:3117.867.85133.44
2022年11月10日 11:5815.677.87160.65
2022年12月7日 19:1813.477.85171.40

  • 自作プログラムによる概算です。ヒアデス星団の代表位置は赤経4h26m54s・赤緯+15°52′00″(J2000.0)としています。
  • 地心で見たときの日時・離角ですから、地表で見た場合では若干差が出ます。
  • 月齢が3から8(宵)または21から26(明け方)ごろがお薦め。この月齢と時間帯に最接近日時が入っていれば、一番接近した状態を眺めることができるでしょう。例えば2022年3月9日などはベストに近いですね。