明るくなったネオワイズ彗星が地球最接近2021/02/01

20210131_ネオワイズ彗星(C/2021 A2)
今年1月3日に発見されたネオワイズ彗星(C/2021 A2)が急速に明るくなり、11等前後で見頃を迎えています。日本から好条件で観察可能です。

昨日昼間は強かった風も夕方にやんできました。宵はよく晴れていたため、夜半前に彗星が南中を過ぎる頃狙ってみようと準備。増光していることは知ってましたが、実は今回が初撮りです。南天からやってきたためずっと低く、街中の我が家からは南側の建物に隠されていたのです。1月20日過ぎに太陽接近、2月頭に地球接近を迎え、急速に北上してチャンスが訪れた次第。

ネオワイズ彗星は現在おおいぬ座の東隣、とも座にいます。冬の天の川に沿って移動しており、導入してみたら背景の微光星がとても多くてびっくりしました。モニター上では南天の光害と月明かりのため広がりが分かりませんでしたが、核は見えました。計算上では2月3日13:20JSTごろ地球に最接近。従って昨夜も移動が速く(撮影時は8.5分角/時)、露出をかなり切り詰めても彗星位置基準コンポジットでは恒星が点線になってしまいました…(左上画像)。しかも露光予定の2/3ほどで雲に覆われてしまい、その後は皆曇。一晩晴れると思ってたのでショック。でもできるだけ丁寧に処理したら、淡いコマの広がりが確認できました。

ネオワイズ彗星は2月2日10時JSTごろ散開星団M47のど真ん中を足早に横切り、おおいぬ座を一瞬通っていっかくじゅう座に入ります。(※M47通過は昼間ですから、残念ながら日本では見えません。)次第に暗くなりつつも、9日・10日夜にはバラ星雲やクリスマスツリー星団の領域に、また15日夜にはモンキー星雲に接近し、花を添えるでしょう。月明かりの影響も少なく絶好の機会。ぜひご覧ください。

天文に詳しい方には周知の事実かと思いますが、2020年に世間を騒がせたネオワイズ彗星(C/2020 F3)とは別物です。どちらも同じ赤外線観測衛星NEOWISEによって発見されたため同じ名称になります。ネオワイズ彗星、パンスターズ彗星、アトラス彗星などは夜空のあちこちに複数同時存在しますから、確実に区別するために仮符号(この様な表記→「C/2021 A2」)を確認したり、併記するようにしましょう。


今日の太陽2021/02/01

20210201太陽
2月になり、国立天文台から暦要項の令和4年版(2022年)が発表されました。オリンピックの動向に関わらず、来年は通常の祝日パターンに戻るようですね。2022年の「スポーツの日」は7月ではなく10月10日ですよ。

昨夜半前から曇りが続き、朝には南西から飛来する雲が一部で雨や雪を降らせたようです。天気は明日に向けて下降しており、このまま崩れると思いこんでいたのに、15時前からいきなり快晴!午前の雨雲と明日の雨雲との間に隙間があったようです。約1.5時間は晴れ間が継続しました。

20210201太陽リム
左は15:30過ぎの太陽。高度が15°しか無かったため揺らぎや変形が大きかったけれど、2月最初の太陽を拝めたのは本当に幸運でした。活動領域は右上リム近くの12800のみ。右下リムにあった12797あたりからまだプロミネンスの一部が顔を出していました。また左下にかなり大きなプロミネンスが“吹き流される煙突の煙”のように見えていました。明日は12800も見えなくなりそうなので、しばらくは静穏な太陽になるでしょう。

今日の太陽2021/02/02

20210202太陽
昨日は曇りがち、夜もどんどん悪化し、今日明け方からしっかり雨が降りました。日中は回復してきたのですが、肝心の太陽方向だけ列をなす雨雲に覆われ、近くでは雨も降ったようです。夕方によってようやく太陽が顔を出したのでとりあえず望遠鏡を向けました。撮影高度は昨日より低く、10°あまりです。

20210202太陽リム
左は16時過ぎの太陽。活動領域12800は右上リムに達しています。今日はその西側(左側)に少し離れてプラージュが見え、そこに小黒点群ができていました。また断片的ながら北半球を横断するようにダークフィラメントが出ていたのが印象的。目立つプロミネンスが左上と右上に確認できます。

本日、124年ぶりに雑節の「節分」が2月2日となりました。

超新星SN2021Jは減光に転じてるようです2021/02/03

20210203_SN2021J
一晩晴れが続く予報だったのに昨夕から雲に覆われ、日付が今日3日に変わる頃までずっと曇り空でした。極めてローカルな雲だったのでしょうか。その後は美しい星月夜に転じました。観察したいものは色々あるけれど、1月31日の撮影でトラブルでよく撮れなかった超新星SN2021Jを狙ってみました。

下弦前でしたが前回より月明かりは暗くなっていますし、距離も若干遠く、影響は少なくて済みました。一回撮ってますから状況は分かってます。超新星が銀河核に埋もれないギリギリまで露出を伸ばし、結果的に超新星も銀河の腕も良く写ってくれました(左画像)。

写り具合を見た限りでは三日前より暗く感じました。実際、29日時点でピーク時より0.7等ほど暗い観測データも目にしました。どんどん暗くなりつつあるのでしょう。何コマかに一枚程度シーイングの影響で超新星が薄れている像もありました。それでも13等台というのは超新星としてかなり明るいほうですが、観察したい方はお早めにどうぞ。それにしてもこの領域、結構な数の銀河が写り込んでますね。

NGC4414_HST
【追記】
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したNGC4414があったので、おおよその超新星出現位置をマークしてみました(右画像・赤い+印の中心)。青矢印の恒星は超新星のすぐ南南西にある恒星です。(画像はWikipedia「渦巻銀河」パブリックドメイン経由で引用/マーカー記入は筆者/この画像は時計回りに約85°回すと上方向が天の北になり、私の撮影画像と向きが一致します。)