準水平月がすばるに並ぶ ― 2025/04/30
昨宵に極細月とプレアデス星団(すばる)が大接近すると言うので、楽しみにしていました。日中は風が強かったけれどほぼ快晴が夕方まで続き、ワクワクしながら準備。ところが日没後やっと月が見え始まった頃から雲の襲来が…。
構図を決め、日周を追いかけながら待つも、月が見えないほど雲が厚くなってしまいました。西に傾いた冬の星々も所々の雲間からチラッと見えるのみ。断片的に月の一部やすばるが二つ三つ見えることはあるけれど、残念ながら全体が晴れることは無さそうでした。
元々低い場所での現象ですから、薄暮が収まってくる頃には地上の風景が写野に迫ってしまいました。今夜は収穫無しかぁ…と諦めかかったとき、偶然にも雲の薄いところが横切ってくれたのです。夢中で200枚ほど撮影、数分後には再び厚い雲と地上の建物に隠されました。一番雲の影響が少ないところをスタックして仕上げたのが左画像です。上方向が天頂向きで、ずいぶん水平月に近い状態であることが分かりますね。月高度は約7°で、もう夕日のように月もすばるも真っ赤になってしまいました。
月とプレアデス星団は一定の周期で近づいたり遠ざかったりします。月の軌道面(白道面)は黄道面に対して約5.1°傾斜していますから、月の黄緯は高々プラスマイナス5.1°に収まります。この範囲で、白道と黄道との交点は常にゆっくりドリフトしているため、この周期がプレアデス星団との接近に大きく影響しています。右図は時系列で月とすばるの最短離角をグラフにしたもの。2024年から2029年あたりは接近の当たり年になってます。記事末にこの期間の見易いケースを一覧にしましたのでご活用ください。
これは何もすばるに限らず、黄緯がプラスマイナス5°以内にある天体に対して月は定期的に接近する可能性があるのです。M35やM44(プレセペ星団)なども仲間ですね。
構図を決め、日周を追いかけながら待つも、月が見えないほど雲が厚くなってしまいました。西に傾いた冬の星々も所々の雲間からチラッと見えるのみ。断片的に月の一部やすばるが二つ三つ見えることはあるけれど、残念ながら全体が晴れることは無さそうでした。
元々低い場所での現象ですから、薄暮が収まってくる頃には地上の風景が写野に迫ってしまいました。今夜は収穫無しかぁ…と諦めかかったとき、偶然にも雲の薄いところが横切ってくれたのです。夢中で200枚ほど撮影、数分後には再び厚い雲と地上の建物に隠されました。一番雲の影響が少ないところをスタックして仕上げたのが左画像です。上方向が天頂向きで、ずいぶん水平月に近い状態であることが分かりますね。月高度は約7°で、もう夕日のように月もすばるも真っ赤になってしまいました。
月とプレアデス星団は一定の周期で近づいたり遠ざかったりします。月の軌道面(白道面)は黄道面に対して約5.1°傾斜していますから、月の黄緯は高々プラスマイナス5.1°に収まります。この範囲で、白道と黄道との交点は常にゆっくりドリフトしているため、この周期がプレアデス星団との接近に大きく影響しています。右図は時系列で月とすばるの最短離角をグラフにしたもの。2024年から2029年あたりは接近の当たり年になってます。記事末にこの期間の見易いケースを一覧にしましたのでご活用ください。
これは何もすばるに限らず、黄緯がプラスマイナス5°以内にある天体に対して月は定期的に接近する可能性があるのです。M35やM44(プレセペ星団)なども仲間ですね。
【月とプレアデス星団の接近】
最小離角日時(JST) | M45・月離角(°角) | 月高度(°) | 月齢 | 太陽高度(°) |
---|---|---|---|---|
2022年11月10日 0:30:02 | 2.79 | 75.86 | 15.195 | -66.36 |
2023年1月30日 19:19:42 | 2.46 | 75.41 | 8.560 | -27.33 |
2023年10月31日 1:08:47 | 1.23 | 77.15 | 15.926 | -58.04 |
2023年12月24日 17:19:57 | 1.56 | 36.45 | 11.367 | -9.52 |
2024年1月21日 0:47:19 | 1.03 | 21.98 | 9.160 | -70.28 |
2024年12月14日 4:13:46 | 0.20 | 10.68 | 12.536 | -29.39 |
2025年3月5日 23:27:10 | 0.24 | 4.26 | 5.571 | -59.59 |
2025年8月17日 0:12:49 | 0.22 | 18.69 | 22.834 | -40.39 |
2025年11月7日 0:49:23 | 0.62 | 77.85 | 16.142 | -62.89 |
2025年12月31日 23:38:56 | 0.75 | 51.88 | 11.539 | -77.34 |
2026年3月23日 19:01:59 | 0.93 | 42.71 | 4.360 | -14.35 |
2026年10月1日 2:43:03 | 0.90 | 79.28 | 19.594 | -34.98 |
2026年11月24日 19:31:26 | 0.42 | 40.99 | 15.145 | -36.59 |
2027年1月18日 17:02:12 | 0.75 | 54.87 | 10.485 | -2.47 |
2027年7月29日 0:29:16 | 0.22 | 7.23 | 24.519 | -34.53 |
2027年10月18日 19:09:49 | 0.13 | 7.49 | 18.315 | -26.57 |
2027年11月15日 5:16:58 | 0.15 | 21.24 | 16.278 | -12.23 |
2028年1月9日 1:31:26 | 0.28 | 23.13 | 11.847 | -63.74 |
2028年7月18日 4:24:59 | 0.26 | 45.44 | 25.040 | -3.31 |
2028年10月8日 3:03:57 | 0.51 | 75.07 | 18.986 | -32.48 |
2028年12月29日 1:44:31 | 0.73 | 28.07 | 12.610 | -60.91 |
2029年2月21日 18:50:55 | 0.80 | 67.54 | 7.972 | -17.43 |
2029年7月8日 2:40:22 | 1.69 | 15.33 | 25.576 | -18.72 |
2029年9月28日 3:21:11 | 1.84 | 76.24 | 19.317 | -27.27 |
2029年12月18日 22:20:54 | 2.02 | 74.07 | 12.937 | -69.33 |
2030年3月10日 22:37:23 | 2.75 | 8.33 | 6.294 | -54.00 |
- 自作プログラムによる計算です。
- 日本経緯度原点による測心計算で、最小離角が3.0°以内、太陽から20°以上離れ、太陽が沈んでいる時間帯に最小離角で空に実現していることを条件としてピックアップしました。
- 2020年から2035年まで計算した中の、条件に合うものだけの表です。これら以外にも「近い」と感じるチャンスは多くあります。
- 昨夕は最接近時が日没前だったため、この表には入っていません。
復活している冬の超大三角形 ― 2025/04/18
昨夜から今朝にかけて雲が多くなる予報でしたが、宵空がいい具合に晴れていたため、西に傾いた冬の星々を眺めて過ごしました。左画像はベランダから簡単機材で撮影したスナップ。どこに何があるか分からない方はマーカー付きの右下画像をご覧ください。
昨年初冬に天文界で盛り上がりを見せた「冬の超大三角形」を覚えていますか?その後は火星と木星の移動に伴って崩れてしまい、忘れ去られた感があります。でも実は両惑星が順行して流行った頃の位置へ戻っており、今まさに大きな三角が復活を遂げているんです。2024年11月17日記事の期間表をご覧頂くと分かりますが、今月末ごろまで「大三角」と「超大三角」が相似形に整った様子を拝むことができるでしょう。どんどん低くなってしまうため、晴れているうちにお楽しみくださいね。これを逃すと10年以上後の2036年9月上旬(冬の大三角+金星+木星)まで超大三角になりません。
左上画像は光害溢れる街中撮影(薄暮と光害は画像処理で軽減)ですが、条件が良ければ冬の淡い天の川と黄道光がグランドクロスしている様子も見えるでしょう。今は宵空の黄道がそそり立つ時期ですから、黄道光がどの辺りまでのびているか確認してみてください。ただし黄道光や天の川が見易い時間まで待つと超大三角が沈んでしまうのでご注意。
ついでに、プレアデス星団(すばる)が沈む辺りの方向や、開けた場所をロケハンしておくと良いかも知れません。というのも、4月29日に月齢1.9の極細月との大接近、5月2日・3日にはSWAN彗星(C/2025F2)との接近を控えているからです(下A・B図参照/Stellariumによる描画)。観察地域によって高度が変わるけれど、ある程度暗くなる時点で概ね10°未満を覚悟したほうが良いでしょう。
参考:
みつご・トライアングル(2025/02/03)
冬の超大三角形は貴重らしい(2024/11/17)
火星と「みつご座」の季節はじまる(2024/11/02)
黄道光と天の川のグランドクロスを見よう(2024/09/29)
光害地から黄道光は見えるのか?(2023/03/27)
昨年初冬に天文界で盛り上がりを見せた「冬の超大三角形」を覚えていますか?その後は火星と木星の移動に伴って崩れてしまい、忘れ去られた感があります。でも実は両惑星が順行して流行った頃の位置へ戻っており、今まさに大きな三角が復活を遂げているんです。2024年11月17日記事の期間表をご覧頂くと分かりますが、今月末ごろまで「大三角」と「超大三角」が相似形に整った様子を拝むことができるでしょう。どんどん低くなってしまうため、晴れているうちにお楽しみくださいね。これを逃すと10年以上後の2036年9月上旬(冬の大三角+金星+木星)まで超大三角になりません。
左上画像は光害溢れる街中撮影(薄暮と光害は画像処理で軽減)ですが、条件が良ければ冬の淡い天の川と黄道光がグランドクロスしている様子も見えるでしょう。今は宵空の黄道がそそり立つ時期ですから、黄道光がどの辺りまでのびているか確認してみてください。ただし黄道光や天の川が見易い時間まで待つと超大三角が沈んでしまうのでご注意。
ついでに、プレアデス星団(すばる)が沈む辺りの方向や、開けた場所をロケハンしておくと良いかも知れません。というのも、4月29日に月齢1.9の極細月との大接近、5月2日・3日にはSWAN彗星(C/2025F2)との接近を控えているからです(下A・B図参照/Stellariumによる描画)。観察地域によって高度が変わるけれど、ある程度暗くなる時点で概ね10°未満を覚悟したほうが良いでしょう。
参考:
みつご・トライアングル(2025/02/03)
冬の超大三角形は貴重らしい(2024/11/17)
火星と「みつご座」の季節はじまる(2024/11/02)
黄道光と天の川のグランドクロスを見よう(2024/09/29)
光害地から黄道光は見えるのか?(2023/03/27)
水平月による鬼富士の可能性 ― 2025/03/30
本日は日没直後に月齢1の「準水平月」が見えるはずでした。昼過ぎからしばらくは晴れていたため少し期待して待ったのですが、日没前から雨雲が押し寄せ、18時以降は時折小雨までぱらつく天気。諦めざるを得ませんでした。
今年から概ね2033年ごろまで、春の宵に水平月・逆転月が見えるシーズンに突入します。見える高度を問わなければ(0°以上)、今年だけでも本日3月30日、4月28日、5月27日の三回もチャンスがあり、特に4月と5月は日本の多くの地で逆転月が見込めるでしょう。(ただし極端に低いですが…。)
ところで、中川光学研究室ブログ・3月29日記事で紹介されているように、秋田県のNKさんが「山に隠された三日月のカスプが鬼の角のように見える」ことを鬼○○とか鬼太郎○○と見なすことを伝えておられました。○○には山の名などが入り、たいへん的を得た表現です。例えばもし本日晴れて、極細月が富士山山頂に沈もうとしていたなら左上図のように火口の平らなところから二本のツノが生えたように見えながら沈み、1分も見えない貴重な「鬼富士」となってさぞ興味深かったでしょう。(図はステラナビゲーター+自前グラフィックによる。)
私もフィルム時代から何度も鬼○○を見てきました。大抵は名も知らない山や森、地元のシンボルタワー、地平の景色でしたが、確かに鬼やサイ、水牛、あるいはアルパイン・アイベックスなどのツノのように見えます。また、細い月ではありませんが、昨夜北大西洋で起こった深い部分日食のような「細い太陽」でも鬼○○になります。右下動画はSpaceweather.comでも引用されていた昨夜の日食動画。Jörg Schoppmeyerさんがカナダで撮影されたものです。日の出側なのでツノが生えてくる感じですね。
弦傾斜が右上がりなら伊達政宗や上杉謙信の兜の象徴、弦月(三日月)型前立てにも見えるでしょう。また、ふつうは満月が沈む場合をパール富士などと表現するけれど、輝面比が数%以下でほぼ地球照だけのような月が山頂に乗ってる場合、もっと別の例えのほうが適切ではないだろうか?イクラの皮?アゲハチョウの卵?などと考え込んだり。…とまぁ、このように地上風景と並べば色々な想像を掻き立てる極細月なのです。水平月のころは高さが揃った二本のツノ、それ以外はニョキッと生えた一本のツノになりがちなことも容易に想像できますね。
試しに冒頭で述べた今年三回の水平月・逆転月において、富士山による「鬼富士」が見える場所を概算してみました。下に地図として示しましたのでお近くの方は観察地の選定にご利用ください。あくまで概算のため、この地図のところへ直接行っても様々な理由でズレたり、思わぬ障害物に邪魔されることがあります。事前にステラナビゲーターなどで正確なシミュレーションをしたり、ロケハンをしっかり行いましょう。富士山から離れた地域の方も、例えば地元の単独峰などによる鬼○○が見えるかも知れません。ぜひ挑戦してください。(※鬼○○は極細月でなくとも、月齢4以下くらいなら見えると思います。ただし月齢が進むほど夜が深くなってしまうため、山のシルエットが暗くて見えなくなる可能性がありますからご注意。)
参考:
2022年の水平月シーズン到来です(2022/07/25)
見納めの水平月(2021/11/04)
例えようがないほど素晴らしい水平月(2021/10/05)
横たわる有明月を観よう・Part1(2021/08/31)
横たわる有明月を観よう・Part2(2021/09/01)
今年から概ね2033年ごろまで、春の宵に水平月・逆転月が見えるシーズンに突入します。見える高度を問わなければ(0°以上)、今年だけでも本日3月30日、4月28日、5月27日の三回もチャンスがあり、特に4月と5月は日本の多くの地で逆転月が見込めるでしょう。(ただし極端に低いですが…。)
ところで、中川光学研究室ブログ・3月29日記事で紹介されているように、秋田県のNKさんが「山に隠された三日月のカスプが鬼の角のように見える」ことを鬼○○とか鬼太郎○○と見なすことを伝えておられました。○○には山の名などが入り、たいへん的を得た表現です。例えばもし本日晴れて、極細月が富士山山頂に沈もうとしていたなら左上図のように火口の平らなところから二本のツノが生えたように見えながら沈み、1分も見えない貴重な「鬼富士」となってさぞ興味深かったでしょう。(図はステラナビゲーター+自前グラフィックによる。)
私もフィルム時代から何度も鬼○○を見てきました。大抵は名も知らない山や森、地元のシンボルタワー、地平の景色でしたが、確かに鬼やサイ、水牛、あるいはアルパイン・アイベックスなどのツノのように見えます。また、細い月ではありませんが、昨夜北大西洋で起こった深い部分日食のような「細い太陽」でも鬼○○になります。右下動画はSpaceweather.comでも引用されていた昨夜の日食動画。Jörg Schoppmeyerさんがカナダで撮影されたものです。日の出側なのでツノが生えてくる感じですね。
弦傾斜が右上がりなら伊達政宗や上杉謙信の兜の象徴、弦月(三日月)型前立てにも見えるでしょう。また、ふつうは満月が沈む場合をパール富士などと表現するけれど、輝面比が数%以下でほぼ地球照だけのような月が山頂に乗ってる場合、もっと別の例えのほうが適切ではないだろうか?イクラの皮?アゲハチョウの卵?などと考え込んだり。…とまぁ、このように地上風景と並べば色々な想像を掻き立てる極細月なのです。水平月のころは高さが揃った二本のツノ、それ以外はニョキッと生えた一本のツノになりがちなことも容易に想像できますね。
試しに冒頭で述べた今年三回の水平月・逆転月において、富士山による「鬼富士」が見える場所を概算してみました。下に地図として示しましたのでお近くの方は観察地の選定にご利用ください。あくまで概算のため、この地図のところへ直接行っても様々な理由でズレたり、思わぬ障害物に邪魔されることがあります。事前にステラナビゲーターなどで正確なシミュレーションをしたり、ロケハンをしっかり行いましょう。富士山から離れた地域の方も、例えば地元の単独峰などによる鬼○○が見えるかも知れません。ぜひ挑戦してください。(※鬼○○は極細月でなくとも、月齢4以下くらいなら見えると思います。ただし月齢が進むほど夜が深くなってしまうため、山のシルエットが暗くて見えなくなる可能性がありますからご注意。)
- ドーナツアイコンをクリックすると日時(JST)や地理情報がポップアップされます。
- 誤差が含まれますので、あくまで目安としてお使いください。
- 月高度が5°を越えるような場所(富士山近傍)では日没前になってしまうため、細い月を見つけることが極めて困難と思われます。富士山からできるだけ遠ざかったほうが薄暮とのコントラストを稼げるでしょう。ただし透明度が落ちるリスクもあります。
- 月の視直径はほぼ一定ですが、富士山を見込む角度は距離で大きく変化します。近いほど「大きな富士山から小さなツノ」、遠いほど「小さな富士山から大きなツノ」と言う構図が強調されるでしょう。
- 位置計算はこの計算サイトを利用しました。このサイトは富士山以外でも計算でき、位置情報をKML出力できます。KMLファイルがあればGoogle Earthなどでライン表示できるので試してみてください。
参考:
2022年の水平月シーズン到来です(2022/07/25)
見納めの水平月(2021/11/04)
例えようがないほど素晴らしい水平月(2021/10/05)
横たわる有明月を観よう・Part1(2021/08/31)
横たわる有明月を観よう・Part2(2021/09/01)
みつご・トライアングル ― 2025/02/03
数日前のお話しですが、ちょうど2月になりたての時間に外へ出たところ、頭上のふたご座と火星がとても綺麗に見えました。カストルとポルックス、そして火星がちょうど直角三角形のように並んでいます。1月18日未明の撮影では一直線に並んでいたのに、わずか2週間でこれほど形が変わるとは…。天動説を地動説へひっくり返した頃の科学者や数学者は大いに悩んだことでしょう。
左は2月1日2:20ごろ撮影したもの。85mm+APS-Cでの切り取りで、上が天頂方向です。どこに何があるか分からなければマーカー入りの下A画像をご覧ください。三つの星が直線状に並ぶのも良いけれど、美しい三角を作るのも乙なものだと思いました。色々思いを巡らせているうちに、みつごの星々が描く様々なパターンが浮かんだので、試しに配置とタイミングを計算してみることにしました。以下、下B図の通りジェミニライン、ポルックス垂線(線1)、中点垂線(線2)という補助線名を定義しておきます。言うまでもありませんが、これらは球面三角法に従うため「線」はすべて大円のことを指します。平面幾何学のようになりませんからご注意。なおB図はステラナビゲーターによる描画で、火星は地心位置です。
今回のような直角三角形はいつ見えるでしょうか。火星の軌道からして中点垂線上でカストルやポルックスに接近することはあり得ないと思うので、ポルックスを直角として火星・カストルを斜辺とする直角三角形はいつ成立するかを算出。すると、なんと1月31日10時ごろだったことが分かりました。前夜も見ていたのですが、「まだ直角より開いてるかなぁ…」と感じたのは正しかったようです。今期はもう一回、3月16日夜に起こります。見たい方は要チェック。その他、2000-2100年間に60回起こるようです(記事末の表参照)。
中点垂線に火星が重なるとちょうど火星を頂角とする二等辺三角形になるのですが、今期は重なることがありません。でも2月19-21日ごろはかなり接近しますから、眺めてみると良いでしょう。前後100年ほど計算しても双子の星の近くで火星を頂角とする二等辺三角形になることはなく、一番近いケースでも1946年2月4日22:59ごろや2072年1月18日12:47ごろ(それぞれ二等辺が7°弱)です。ここまで離れるとまとまり感が薄れるでしょうか。火星を頂角としなければ、別の見方で火星・カストルを底辺とする二等辺三角形も作れます。このタイミングは2024年11月2日記事内の表に書いた通りです。
なお今夜2月3日18:42ごろにはポルックスを頂角とする二等辺三角形になります。全国的に雲の多い立春ですが、もし晴れ間があったらご覧ください。他にも面白い形はあるでしょうし、整っていない三角だって美しいものです。
左は2月1日2:20ごろ撮影したもの。85mm+APS-Cでの切り取りで、上が天頂方向です。どこに何があるか分からなければマーカー入りの下A画像をご覧ください。三つの星が直線状に並ぶのも良いけれど、美しい三角を作るのも乙なものだと思いました。色々思いを巡らせているうちに、みつごの星々が描く様々なパターンが浮かんだので、試しに配置とタイミングを計算してみることにしました。以下、下B図の通りジェミニライン、ポルックス垂線(線1)、中点垂線(線2)という補助線名を定義しておきます。言うまでもありませんが、これらは球面三角法に従うため「線」はすべて大円のことを指します。平面幾何学のようになりませんからご注意。なおB図はステラナビゲーターによる描画で、火星は地心位置です。
今回のような直角三角形はいつ見えるでしょうか。火星の軌道からして中点垂線上でカストルやポルックスに接近することはあり得ないと思うので、ポルックスを直角として火星・カストルを斜辺とする直角三角形はいつ成立するかを算出。すると、なんと1月31日10時ごろだったことが分かりました。前夜も見ていたのですが、「まだ直角より開いてるかなぁ…」と感じたのは正しかったようです。今期はもう一回、3月16日夜に起こります。見たい方は要チェック。その他、2000-2100年間に60回起こるようです(記事末の表参照)。
中点垂線に火星が重なるとちょうど火星を頂角とする二等辺三角形になるのですが、今期は重なることがありません。でも2月19-21日ごろはかなり接近しますから、眺めてみると良いでしょう。前後100年ほど計算しても双子の星の近くで火星を頂角とする二等辺三角形になることはなく、一番近いケースでも1946年2月4日22:59ごろや2072年1月18日12:47ごろ(それぞれ二等辺が7°弱)です。ここまで離れるとまとまり感が薄れるでしょうか。火星を頂角としなければ、別の見方で火星・カストルを底辺とする二等辺三角形も作れます。このタイミングは2024年11月2日記事内の表に書いた通りです。
なお今夜2月3日18:42ごろにはポルックスを頂角とする二等辺三角形になります。全国的に雲の多い立春ですが、もし晴れ間があったらご覧ください。他にも面白い形はあるでしょうし、整っていない三角だって美しいものです。
【みつごトライアングルが直角三角形になる日時/2000-2100年】
2000年7月11日 19:17 | 2025年3月16日 23:08 | 2049年6月26日 17:18 | 2072年3月29日 14:38 |
2002年6月23日 11:02 | 2026年9月6日 9:00 | 2051年6月7日 23:10 | 2073年9月10日 12:12 |
2004年6月3日 13:25 | 2028年8月15日 7:51 | 2053年5月17日 18:32 | 2075年8月19日 20:16 |
2006年5月13日 22:32 | 2030年7月27日 6:05 | 2055年4月23日 4:26 | 2077年7月30日 13:24 |
2008年4月16日 19:17 | 2032年7月7日 20:42 | 2056年9月27日 0:27 | 2079年7月12日 2:22 |
2009年9月21日 18:11 | 2034年6月19日 10:53 | 2058年9月1日 13:02 | 2081年6月22日 17:36 |
2011年8月28日 17:52 | 2036年5月30日 7:42 | 2060年8月11日 3:02 | 2083年6月3日 18:48 |
2013年8月7日 17:20 | 2038年5月9日 0:10 | 2062年7月23日 6:13 | 2085年5月13日 0:26 |
2015年7月19日 23:56 | 2039年10月27日 18:11 | 2064年7月3日 21:45 | 2087年4月16日 6:25 |
2017年6月30日 16:02 | 2039年12月12日 4:22 | 2066年6月15日 9:56 | 2088年9月20日 13:44 |
2019年6月12日 2:04 | 2040年4月8日 21:36 | 2068年5月25日 23:23 | 2090年8月27日 21:56 |
2021年5月22日 8:43 | 2041年9月15日 21:10 | 2070年5月3日 18:12 | 2092年8月6日 23:27 |
2023年4月29日 6:36 | 2043年8月24日 5:51 | 2071年10月13日 3:19 | 2094年7月19日 6:53 |
2024年10月4日 14:08 | 2045年8月3日 14:54 | 2072年1月10日 0:11 | 2096年6月29日 23:08 |
2025年1月31日 10:01 | 2047年7月16日 1:06 | 2072年3月29日 14:38 | 2098年6月11日 7:58 |
- 自作プログラムによる計算です。日時はJSTです。
- ここでは天球上の3点で構成する三角形(3本の大円で構成される)に於いて、少なくとも1点以上で大円が直角に交差する三角形を直角三角形としています。(※球面三角法では三つの頂角全てが直角になることもあります。内角の和は180°を越します。)