光害地での天体撮影(透明度の悪い空で限界を知る)2018/10/10

  • 20181010_NGC246

    A.NGC246(C56)
  • 20181010_M77&NGC1055

    B.M77とNGC1055
  • 20181010_NGC1333

    C.NGC1333


昨夜から今朝は雲もほとんど無く天気は快星だったのですが、一昨夜に比べて透明度ががた落ちでした。雲がないのに1等星すら暗く感じます。夜半前には既に地上の結露が激しかったので、大気の水蒸気量が多かったのでしょう。

こんなときまともな天体観測はできませんが、逆にチャンスでもあります。多くの天文ファンなら良い空を求めて山奧などに移動可能でしょうが、私は身体障害の都合で自宅観測しか選択肢がありません。視界が悪く明るい街中で何がどこまで観察できるのか、望遠鏡とカメラと事後画像処理でどう工夫したらどこまで撮影できるか、普段から深く追求しておく必要があります。

そんなわけで、透明度2/5程度の昨夜は他の観測を止めて、夜半過ぎから明け方まで三種のNGC天体を順に写すことにしました。ターゲットは西から東、南から北、明るさも光害地で無理そうな対象ばかり。結果が上の三画像です。いずれも光害カットフィルター1枚だけで、各60分程度のザックリした撮影ですが、全体の処理を何度も見直し工夫すれば写せることが分かりました。とりわけNGC246「どくろ星雲」やM77外周の淡い楕円状の広がりが確認できたのには驚きです。透明度の良い日にフィルターワーク+数時間露出を組み合わせれば画質も向上できるでしょう。(※今回は諸事情により右方向を北にして撮影しました。熱ノイズがひどかったので強めの画像処理で画質が荒れています。)

敢えて悪い空を選んで無理に撮影する人はいらっしゃらないと思います。ですが、空の良い日や季節が選べる星雲星団と、日時限定の天文現象や待ってくれない移動天体とでは状況が全く違います。透明度最悪でも撮影しなくてはならないケースは少なくありません。普段の空き時間にこうした挑戦をして自分の限界を知ったり、限界突破能力を身に付けることはとても重要ですね。

参考:
光害地での天体撮影(しし座の三連銀河)(2017/03/01)
光害地での天体撮影(かみのけ座のNGC4565)(2017/03/02)
光害地での天体撮影(冬の南天に広がる星雲)(2017/11/22)


雲間のNGC8912018/10/03

20181003_ngc891
昨日午後から雲が湧き、夜は流れる雲に時折星月が見えるような状況でした。夜半を過ぎると幾分晴れ間が長いときもあったので、機材調整と撮影練習をすることに。ここ数ヶ月は快星夜が少なく、腕も機材もなまっていました。普段から整備や練習を怠らないようにしないと、いざ晴れたとき成果が上げられません。

天頂付近の晴れ間があったので、NGC891をターゲットにしました。時々通る雲に翻弄されるせいか、ガイド精度が悪いですね。大気の揺らぎが大きかったので、星像も大きくなりました。天体撮影はそういった運任せの面もかなりあります。

夜明けに冬の星座たちが登る季節2018/08/23

20180823明け方の星空
昨夕から今朝はゆっくり下り坂の予報もあったのですが、夜半前まで穏やかな晴れ間がありました。ラッキーとほくそ笑みながら火星を定期観察し、その後後片付けをする頃にはベール状の雲が空全体を覆ってしまいました。(※この日の火星観察は8月24日記事参照。)

明け方近く外を確認すると、なんと雲がかなり引いています。こんな事なら片付けるんじゃなかったと後悔しましたが、今から重機材を出しても朝になってしまうでしょう。せっかく月のない美しい星空なのでスナップを残そうと、簡単機材を抱えて近くの広場へ徒歩移動。

今頃の明け方は「冬の星座」が昇り始めたところで、ちょうど大三角や大六角が見えています。画像中央のヒアデスやプレアデスが煌びやかで美しいですね。この広場(駐車場)は見晴らしが良いけれど、そのぶん隣接する施設の街灯が直接カメラに届くため、左画像ではうまく樹木の影に隠れたり光害軽減する画像処理を施して神経使ってます。ところどころスカーフのような雲が残っていますが、天頂からオリオンへ落ちる天の川がごく薄らと見えました。中央の木々のすぐ上にある星がシリウス。もう少し待てば明け方に回ってきた水星も見えたでしょう。

ジャコビニ・ツィナー彗星とHeart and Soul2018/08/18

昨夜から今朝は信じられないほどよく晴れました。気温も低く、暑かった8月頭頃に比べて10度も低かったのです。おかげで透明度が増し、カメラの熱ノイズも減ってくれましたが、良いことばかりじゃありません。地上と上空の温度差が増すため大気が激しく揺らぎますので、月や惑星の拡大観察などに甚大な悪影響が出ます。

20180818ジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)
昨夜は火星も良く輝きましたが、拡大すると丸く見えないほど変形していました。一応撮影しましたが、あまりの酷さで画像処理に何日もかかかりそうなので(画像として仕上がらないかも知れないので)、取りあえず良く撮れたジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)を掲載しておきます。

18日の記事で「ここ数日ジャコビニ・ツィナー周期彗星が有名な星雲星団に接近してる」と書きましたが、今朝方はこれ以上望めないほど接近と快晴とがナイスタイミングでした。

左は105mm+APS-Cの画角で捉えた「彗星から二重星団にかけて」の星野。条件の良い山奧ならもっと良く写るでしょうが、光害のひどい街中でこれだけ写ってくれれば十分満足です。1時間露出なので左下に写っている彗星がそれなりに移動してますね。なお画像左方向が天の北です。

20180818ジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)
時間があったので、180mm+APS-Cで少し拡大してみました。こちらは上方向が天の北で30分露出です。拡大してるぶん彗星がはっきりしました。やはりかなり尾が伸びているようです。画角が狭くなったので二重星団までは入りませんが、下側左寄りのIC1848(胎児星雲 or Soul Nebula)と右寄りのIC1805(ハート星雲)がピッタリ収まりました。IC1805とIC1848まとめてHeart and Soul Nebulaeと呼ばれるこの星域は天体撮影者にとって普段から魅力ある撮影対象です。私にはハートと言うより「源氏パイ」に見えるのですが…。

調べてみると、ジャコビニ・ツィナー周期彗星は今後も幾つもの有名どころとツーショットになるようです。主なものを書くと、9月11日には散開星団M37、9月16日には散光星雲IC443(クラゲ星雲)、9月26日にはNGC2244(バラ星雲)といった具合。それぞれ接近する距離など変わりますので、撮影したい方は事前に撮影画角を念入りに研究しておきましょう。彗星はしばらく明るいので光度は問題ありませんが、移動速度が変わるので、星雲を写すつもりで長時間露出すると彗星が動いてしまいますからご注意。そのあたりのさじ加減は経験が必要ですね。(彗星と星雲のどちらも止めて合成するソフトもありますが。)

撮影が終わった夜明けの空にはオリオン座が登っていました。今期初のシリウスも見えました。