間もなく部分日食、晴れるかな?2016/03/07

20160309-1100星図
3月9日の部分日食まであと二日。でも今日昼の予報を見ますと9日は全国的に悪天のようですね。万にひとつも晴れる可能性がないなら諦めますが、薄雲越しでもいいから少し見えることを期待しましょう。

ところで春分もあと二週間でやってきます。晴れたとしても太陽はいつもと変わりませんが、天文学上はひとつの区切りになる日。春分の日…正確には春分の瞬間の太陽位置が「空の原点」だからです。

9日の日食のとき、青空をすっかり取り除いたら左図のようになります(Stellariumによる作画・上が天の北方向)。黄道上の太陽のそばに月がいますね。黄道と天の赤道が交叉する点を春分点と呼びます。お察しの通り、太陽が春分点に到着したら春分の日。私たちが見上げる空で天の赤道はいつも同じ位置ですから、天の赤道に対して太陽が上下に離れることはお昼時(南中時)の太陽高度に反映されます。右下(南西)からやってきた太陽は春分を境に左上(北東)に移動し、日本の空では前日よりも高く昇るように見えるのです。このことが四季を作り出しているのですね。

20160309日食図
今回は日本で部分日食ですが、インドネシアなどで皆既日食となります。具体的には右のような分布ですね(NASA-Eclipseサイトより引用・加工)。真ん中を通る細い青ライン内が皆既日食の範囲。それより外の水色ラインは部分日食範囲と欠ける割合を示しています。0.60とは「60%欠けるよ」という意味。日本は20%前後のようですね。また左右の明太子型ピンクラインは、左側の内部で日食のまま日の出(日出帯食)、右側の内部で日食のまま日の入り(日没帯食)となります。

さて、日食は太陽が月に隠される、ということはご存じの通り。このとき太陽・月・地球が一直線に並んでいます。ということは、太陽から見ると地球が月に隠れてしまうし、月の影はまっすぐ地球に向かってしまうのです。なんともダイナミックな影踏み状態…。

左下画像は国際宇宙ステーションから見た皆既日食時の月の影(画像クリックでAPODのサイトにリンクします)。ちゃんと暗くなっていますね。この暗い地域の中央にいた人は皆既日食が見えたわけです。遙々そこまで旅行した知人が撮影したのが右下の画像です(2006.3.29トルコ日食/撮影:田中千秋氏・画像処理:筆者)。

20060329ISSから見た月の影
当日日本がお天気悪くても、きっと世界中のネット配信で日食が見られるでしょう。それと一緒に見てほしいのがこの月の影。今や気象衛星が常に地球を写していますから、ほぼリアルタイムで影を確認できるでしょう。気象庁サイトには詳しい解説がありますから参考にしてください。

20060329トルコ日食
またNICTサイエンスクラウド・ひまわり衛星プロジェクトでは日食に合わせて「24時間地球のサブメニューとして全16バンド画像を公開」するとのことで楽しみです。本当は生で見たいですが、ネットも要チェック!

参考:
アーカイブ:日食の一覧
約1ヶ月後に日食があります(2016/02/09)
珍しい金環日食が見えました(2012/05/21)