夜明けの月の周りが豪華です2016/03/04

20160304_29176月
昨夜は一晩中晴れましたが、透明感のない空で大気の揺らぎも大きく感じました。明け方に昇っていた月を見ると幾分落ち着いてきたようだったので、撮影してみました。

左の撮影は今朝5:10頃で、太陽黄経差291.76°、撮影高度28.5°、月齢24.23です。もう少し高かったらもっと美しかったでしょうが、晩冬の明け方に昇る月は一年でもっとも低いので仕方がありません。

ただ、残念なことばかりでもないのです。実は背景を考えるとちょうどいて座付近なので、星空がいちばんにぎやかなところに月が差しかかっているのです。月が眩しくて周囲に目が行かない(写せない)だけなのですね。

20160304月周辺

20160304星図
そこで、無茶を承知でたっぷり露出をかけ、月周囲を撮ってみました。すると……右画像上のように、実に様々な天体が写りましたよ。ちょうど投網で大物を釣り上げたなかに、たくさんの稚魚やらカニやらエビやらが入っていたような気分(笑)。撮影範囲をステラナビゲーターで描くと右画像下の白枠のようになります。天の川の一番濃いあたりですね。

以前の記事でM天体のひとつ、M23の月による掩蔽(月に隠される現象)を考察しました(関連記事1関連記事2参照)。M23は今回の撮影範囲を1ブロック右側(西側)にずらしたところにあります。つまりこの付近の星団や星雲は月に隠される可能性があるのです。

いかんせん、明るい天体がないため興味を持ってもらえず残念なのですが、この光度差をいかに克服しながら観察するかという挑戦意欲がそそられませんか?

参考:
アーカイブ:月の形(黄経差288度以上、324度未満)

今日の太陽とスギ花粉光環2016/03/04

20160304太陽
朝から良く晴れていますが、昨日にも増して霞んでいます。太陽を撮影するときは基本的に同一条件なのですが、今日はかなり減光していたためゲインを上げました。

20160304太陽リム
左は11時過ぎの太陽。かなりおとなしい顔です。中央上に小さく明るい領域が見えますが、番号は12512でしょうか。プロミネンスは小さいものばかりです。

20160304花粉光環
今日はスギ花粉光環が確認できました。5日前の光環よりもずっと弱いものです(左画像)。

サイクロン「WINSTON」の成れの果て2016/03/04

先月2月20日から21日にかけてフィジー諸島付近に猛威をふるったサイクロン「WINSTON」(関連記事1関連記事2)。その後は島の少ない海域に移動したためか、だんだん話題にのぼらなくなりました。勢力も一時強大になったものの、1週間ほどで十分衰えました。ひとまず安心ですが、サイクロンの残した雲の渦は最近までオーストラリア東の海上に残っていたんです。

下に、気象衛星ひまわり可視画像(画像元:NICTサイエンスクラウド)の、2月20日から昨日3月3日までの各9:00JST撮影画像を使い、サイクロンの目(と思われる場所)を中心に切り取った画像を掲載しました。下部ボタンで日付を切り替えられます。2月末頃の「サイクロンの骨」みたいな渦構造は見事ですね。昨日の時点で種類の違う雲が湧いたようで、ようやくWINSTONの名残も消え去ったかなと感じました。