昨夜は今年最小のハロウィンブルームーン満月2020/11/01

20201031_18000満月
昨夜、日付が11月1日に変わる直前(23:50頃)に満月瞬時を迎えました。ご存知のように2020年「中秋の名月」直近の満月は10月2日6時過ぎでしたから、今月二度目の満月となりました。俗に言うブルームーン(※月間重複に基づく定義のケース)ですね。二分二至に基づくブルームーンが令和元年5月にありましたから、それ以来です。

昨夜から今朝も前夜に続いて快星夜でした。気温が数度高く推移したため透明度は落ちたけれど、そのぶんシーイングは若干良くなりました。おかげで月や火星の写りも少しだけシャープです(左画像)。ありがたい。

折しも世間はハロウィン。「46年ぶりのハロウィン満月」などというニュースが飛び交っていましたが、この言い方に少し違和感を覚えました。前述の通り満月瞬時は日本時間で24時直前。日本標準時は世界時+9時間ですから、+10時間以上進んでいるオーストラリア東部やオセアニア、ニュージーランド、ロシア最東部などでは満月が11月1日の出来事なのです。

日本のニュースであることが前提だからだとは思いますが、ハロウィンと満月日が一致したのは日本以西(標準時が+9時間以下の国々)に限る、ということに触れている解説はひとつも見当たりませんでした。同じ理由で、46年前の満月は標準時が世界時−2時間以西で前夜30日の出来事になって、ハロウィンに一致しません。「46年前ぶりの云々…」という事実は日本を含む地域限定イベントなんです。これが話の肝であって、とても重要だと思うんですけどね…。まぁ、46年前の日本にハロウィン文化など無かったというツッコミもありますが。

次回は38年後の2058年10月31日(満月瞬時は22時JSTごろ)。世界が平和であれば、また楽しくお月見できることでしょう。

満月日のいろいろな解釈
昨夜の満月には更にもう一つ「今年最小」という修飾も付きました。満月瞬時の大きさを比較すると、今年は4月8日が最も大きく、昨夜が最も小さかったのです。視直径比で書くと13.8%もの差がありました。

ただし4月8日満月瞬時は11:35だったため、日本では見ることができませんでした。これも多くのニュースには4月8日「夜」の満月、といった表記ばかりでしたが、計算すると8日明け方前の満月のほうが大きかったんです。満月瞬時が昼の場合、同日中に“準満月”を見るときは明け方か夕方がで距離や大きさが変わります。機械的に日付や昼夜で区切ることが現実とのギャップを生んでしまう悪例。ニュースやコラムのライターさんはちゃんと調べて書きましょうね(左図参照)。

2020年・満月比較
右は実際に同一機材で撮影した同一縮尺の月画像を並べたもの。空の中では直接比較できないけれど、こんなに違うんですね。撮影時を思い起こすと、4月は写野に入り切らず、二分割してモザイク接合しなくてはなりませんでしたが、昨夜はフレームにすっぽり入りました。なお、4月8日と書いてありますが、正確には8日直前(※測心距離が極小になった瞬間→当日の記事参照)に撮りました。満月半日前ということで、この差は大目に見てください。

20201031火星
月が高く昇る間に、火星も観察。前夜の画像より模様がはっきりしています。ただ、撮影していた20時台は良かったものの、21時頃からは大きく乱れ始まってしまい、再撮影はあきらめました。

8月に撮影を始めたころに比べ、まだ十分大きく感じます。地形模様が見える/写る、というだけでも観察を続ける立派なモチベーションになります。

参考:
アーカイブ「満月とブルームーンの一覧」
アーカイブ「小さい満月」
アーカイブ「大きい満月」
アーカイブ「誕生日満月の一覧」…特定日に満月となる年はいつか分かります

今日の太陽2020/11/01

20201101太陽
11月に入りました。今日未明から空の透明度が悪くなり、ほどなく薄い雲が張り出していることに気づきました。朝からも雲が多く、明日夜は雨が降るとのこと。昼前に偶然日が差してくれたので、すかさず太陽観察しました。

20201101太陽リム
左は11:10頃の太陽。活動領域12778&12779は辛うじて右下リムぎりぎりに見えており、所々明るくなっていますね。後続の領域がないためまた寂しくなってしまいそう。プロミネンスは小さいものばかりですが、左下リムのものがやや幅を利かせているようです。何か現れそうな予感…。

天気が崩れる予兆2020/11/02

20201101月の内暈
昨夜から今朝にかけて天気が不安定でした。宵のうち小雨が降っていましたが、しばらくすると月や火星が見えだしました。その後皆曇になったかと思ったら、薄明開始1時間前には快星。もう機材を組む時間もなく何の観察もできませんでした。

左は夜半前に見えた月暈を撮ったもの。やや斑があるものの、色合いがうっすら分かる内暈でした。撮影時の月とアルデバランとの離角は約19.9°ですから、内暈半径の約22°より内側ですね。暈内にはプレアデス星団も入っていました。

明け方一時的に晴れたものの、朝からは曇り。午後から明日にかけてまとまった雨になるようです。空の観察もひと休み。その後は晴れ間が多い予報なので楽しみ。

明け方の月と月面K2020/11/04

20201104_21454月
昨日は朝から雨で、昼には上がったものの丸1日天気がよくありませんでした。夜になり、21時頃からだんだん晴れてきましたが、夜半過ぎまでは時々雲が押し寄せました。

まだ満月期なので暗い天体を追うのは難しいだろうから、月と火星に対象を絞りましたが、大気のゆらぎが半端ない…。視直径が大きい月でさえシャープさが全くありません(左画像)。火星も撮りましたが、どんな処理をしても地形模様が浮かんでこなかったのでボツ。明け方には雲も取れて透明度が良くなったものの、シーイングは悪いままでした。

今朝方には月面K地形の日没が見頃だったので、なるべく明け方近く、低くならないうちに月面観察しました。左は3:40頃の撮影で、太陽黄経差は約214.54°、撮影高度は約60.5°、月齢は17.97。

20201104月面K
ちょっと暗いですが、右下欠け際の大きなジャンセン・クレーター少し上に月面Kが見えています。撮影時のK地形から見た太陽高度は約1.89°。1.0°から0.5°あたりがいちばん見やすいかと思われます(→参考記事)。でもこの地形が見えるのは月齢的に夜更けから明け方が多いため、一般向けではないのですよね…。

追記:右にK地形周囲のみ切り出してコントラストを付けてみました。ジャンセン+周囲のクレーターはうさこちゃんor中トトロみたいに見えますね。もう少し時間が経つとK地形は周囲から完全に独立して線も細くなります。

参考:
アーカイブ:月面の観察