まだまだ楽しい火星、アトラス彗星も最盛期2020/11/12

20201111火星
昨夜から今朝にかけてよく晴れましたが、夜半までは透明度がかなり落ちました。乾燥していたのにどうしてでしょうか?また風が明け方まで残り、観察に支障が出ました。

20時前頃から時間をかけて火星を観察(左画像)。当たり前ながら高倍率だともろに風の影響を受け、視野の中をぶんぶん飛び回り酔いそうになります。なるべく風が弱い合間を狙いつつ、撮影と観察を済ませました。風の影響を考慮しなければ、シーイングが良い時と悪い時が半々といったところ。

意図的にオリンポス山が明暗境界から出てくるタイミングを狙いました。前回、二晩前の画像よりも「虫刺されの跡」状態がはっきりしています。中央から右寄りにかけてマリネリス峡谷。渓谷の右上が目でもかなり明るく感じました。

前回撮影時にもあったのですが、この向きだと極冠の右側が暗くなっています。最初はスタックミスかと思いました。でも調べてみると、遅くとも10月下旬(26-27日頃?)から極冠のくびれor分離が複数の観測家によって捉えられていました。(→例えばこの撮影例など。)中央経度0°または180°方向からでは縦に重なって見辛いため、左上画像のように太陽湖側(中央経度90°)から見るほうが分離が見やすいようです。もっと大きい望遠鏡で風が避けられるところで観察してみたいものですね。

20201111ラッセル・リニア彗星(156P)
お次は火星から20°あまり南西にいたラッセル・リニア彗星(156P)に望遠鏡を向けてみました(右画像)。初撮りでしたが急増光しているとのうわさです。撮影ひとコマ目で明るい核が分かってビックリ!ここまで明るいとは思いませんでした。

よく見ると短い尾が東北東へ伸びています。また淡いながらも緑色のコマが半径3′角ほど広がっていますね。と言っても南西側(太陽の方向)のみで、なぜか北東側半分の写りが極端に悪い…光学系or画像処理のせい?彗星基準のコンポジットのため流れてしまってますが、彗星の左下にぼんやり写っているのはNGC7721。12等の明るい銀河です。

20201112アトラス彗星(C/2020 M3)
日付が変わって、今度はアトラス彗星(C/2020 M3)へ。二晩前は散々雲の影響を受けましたが、今回は雲なし。その代わり風があります。どうにかブレずに撮影することができました。月明かりの影響がなくなったので背景とのコントラストが大きくなり、コマが画面いっぱいに広がっている様子がわかるようになりました。光度ピークを過ぎつつあり、今まさに観察最盛期。

春先にぽっと出の肉眼彗星が話題をかっさらって行きましたが、肉眼で見えなければ彗星観測屋以外では噂にすらならないという悲しい現実があります。今回のアトラス彗星やエラスムス彗星(C/2020 S3)、前出のラッセル・リニア彗星など、手堅く明るくなって小型望遠鏡や双眼鏡で見える彗星も少なからずあります。ぜひ多くの方に楽しんでいただきたいものです。

今日の太陽2020/11/12

20201112太陽
昨夜から今日明け方まではよく晴れましたが、日が高くなると雲が厚くなりました。太陽観察は絶望的…に思われたものの、正午前後にわずかな雲の切れ目から日光をキャッチ。いつもの二割程度のキャプチャ枚数でざらついてますが、なんとか太陽の表情を記録できました。

20201112太陽リム
黒点を伴う南半球の活動領域12781は、一番大きい黒点以外見えなくなってしまったようです。北半球の12780はリム近く。黒点は認められません。いっぽう左下に見えてきた活動領域は12782と採番されました。可視光では細かな黒点たちが5グループほど見えるようです。活動領域が同時に3つ見えるのはいつ以来でしょうか。

今日は11:26JSTにC1.3クラス、13:12JSTにはC2.6クラスのフレアが出ており、とても活発な太陽面です。更にはもう3、4日経つと南半球の裏側からあらたな領域出現も期待できそう。活動領域リレーがどこまで続くか見ものです。