今日の太陽2020/11/04

20201104太陽
朝から良い天気。気温はやや冷たくて風もありますが、気持ち良い空です。朝のうち真っ白になった富士山が遠くに見えました。すっかり冬の空気ですね。

20201104太陽リム
左は10時過ぎの太陽。2日前から黒点が現れたニュースを聞いていたので楽しみにしていました。今月に入った頃に左リムの北半球に見えていたプロミネンス付近に活動領域12780、続いて南半球に現れた複数の大きな黒点を伴う活動領域が12781。12780にも二日前には小さな黒点があったものの、消えてしまったようです。12781のほうはしばらく持ちそうですね。

プロミネンスは小さいものが何ヶ所か見えました。第24太陽周期極大頃の2014-2015年頃盛んに見えていた巨大プロミネンスや長くて太いダークフィラメントの登場はまだまだ先のようですが、第25太陽周期が始まっている感はなんとなく察することができます。

オリオン大星雲に近づくアトラス彗星2020/11/05

2020201105アトラス彗星(C/2020 M3)
昨夜から今朝にかけ安定した晴れ間が訪れました。夜半すぎからは雲に覆われる時間もありましたが、それを避ければまずまず。

10月19日の記事にも書きましたが、計算上では今週から来週にかけてがアトラス彗星(C/2020 M3)の光度ピークを迎え、しかも11月7日にはM42・オリオン大星雲に3°あまりまで接近します。8日が下弦のため今週いっぱいは月明かりの影響が無視できないけれど、彗星はどんどん動きますから「新月まで待とう」という訳にはいきません。

この条件下で星雲と彗星がどこまで写せるか試そうと思い、ややキツイ構図ながら日付が変わったころ撮影してみたのが左上画像。お馴染みのM42やランニングマンは画像左上、緑のコマを広げたアトラス彗星は画像右下にいます。ある程度背景カブリを除去してありますが、元画像はかなり白っぽい…。

M42のすぐ下、画像内で一番明るいオリオン座ι星とM42中心との角距離がだいたい満月直径くらい。いっぽう現在のアトラス彗星コマは良条件下の夜空で満月の2/3程度広がっているそうですから、月がなかったら星雲も彗星もこの画像の倍程度は広がりを見せてくれただろうなと思われます。なるべく日が経ったほうが月の影響は少なくなりますが、この写野では縦構図にしてもギリギリ10日明け方までが限度。もう少し写野が広いレンズならOKだけれど彗星や星雲の写りが小さくなってしまうので悩ましいところです。どうするにしてもお天気次第ですね。

2020201104火星
前の晩、4日20時過ぎ頃には火星も観察しました。気流は安定しており、まだまだ視直径が大きいので模様が楽しめました。(こんなときに限って架台が安定しませんでしたが…。)この時間はキンメリアやアマゾニス平原、オリンポスやタルシス三火山などが正面付近。東の縁にまだ太陽湖が見えています。同じ時間の観察なら中央経度が約9°だけ日周と反対にずれますから、360÷9=40で40日前、だいたい9月下旬頃の模様に相当するでしょうか。

葉っぱに付く「ハモグリバエ」の幼虫の食痕みたいな白い筋模様(酷い例えだ…)が北半球に写し取れたのは大収穫でした。暗いアルベド模様は写りやすいけれど、地形の微妙な高低差が作り出す明るい模様はなかなか写りません。向こう10年の間に「最も遠い接近(小接近)」となる2027年2月20日と同等の大きさに至るのは12月5日ごろ。どこまで地形が追えるか楽しみです。

今日の太陽2020/11/05

20201105太陽
朝から晴れています。たまに雲が通過してゆく程度。透明度はやや悪い感じで、富士山がはっきり見えません。

20201105太陽リム
左は10:10過ぎの太陽。撮影前にNOAAサイトでフレアチェックをしたらC7.4クラスの強いフレア(9:22ピーク)が発生しており、あわてて撮影に取り掛かった次第。でも一歩遅かった…。もう1時間早く気づいていたら…。

それでもなお「燃えかす」のように明るく光る活動領域12781周囲が観察できただけマシでしょうか。北半球の12780には極小の黒点が復活していますが、左のHα画像では分かりません。可視光で大きく撮ってらっしゃる方は着付けるでしょう。プロミネンスは右リム沿いが多いですね。右下のものは特に目立っていました。

探査機はやぶさ2カプセル帰還まで残り一ヶ月!2020/11/06

20201105小惑星リュウグウ
小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセル地球帰還予定日まで残り一ヶ月となりました。順調に行けば2014年12月から続く長い旅に一区切り付くと思われます。サンプル収納カプセルを切り離したあとも更に別の小惑星を追加探査する予定が発表されました。人も機械もかなりの耐久が必要でしょう。

昨夜から今朝は時々雲に覆われたものの、特に夜半前に晴れ間があったので、一ヶ月前記念に小惑星リュウグウを撮影してみました(左画像)。10月21日の記事に光度グラフを掲載した通り、リュウグウはちょうど光度ピークを迎え、12月中旬ごろまで16等後半を維持しています。

ただしどんどん南下しており、12月3日以降は天の赤道より南になってしまうため観察場所によっては捉えるのが困難になります。12月下旬は低空過ぎて見えないと考えたほうが良いでしょう。見たい/撮りたい方は「今が一番」と思ってお早めにどうぞ。

ところで、探査機はやぶさ2はどこにいるでしょうか?折しも10月下旬にJAXAはやぶさ2プロジェクトのWebページで位置データが公開されていたので、これをステラナビゲーターで表示できるよう変換し、描いてみました(右下図)。ピンクラインが探査機はやぶさ2、緑ラインが小惑星リュウグウ。(※地心位置を黄道座標で表示しています。)

はやぶさ2と小惑星リュウグウの位置
図を見ると、7月頃までは並走していたようですが、それ以降は次第に離れ、今日現在の探査機はカシオペア座の方向にいるようです。秋以降は地球帰還に向けたTCM運用(Trajectory Correction Maneuver)が行われ、地球と並走するほうへ少しずつ導かれているわけですね。いま北半球で見える位置ということは、地球接近の際に北から南へ駆け抜けながらオーストラリアにカプセルが落ちるようリリースするという軌道なのでしょう。当日カプセルが落ちる様子は日本から見えるのでしょうか?ワクワクしますね。

カプセル分離は地球から約22万kmの位置、その後はやぶさ2は地球圏から離脱して新たな探査へと向かうわけです。地球近傍小惑星リュウグウも12月29日ごろ地球最接近ですから、追えるだけ追ってみようと考えています。

昨夜はこの他、リュウグウの子午線跨ぎを待つ間に早めの火星観察を決行。シーイングが落ち着かず像が甘いけれど、なんとかカメラに収めることができました(下A画像)。観察時間を早めたのは前夜と違う経度を見たいという目的もあります。このおかげで太陽湖やマリネリス峡谷が東縁に確認できました。

また、夜半以降は「M42・オリオン大星雲とアトラス彗星(C/2020 M3)の競演」を狙うべく機材をセット。ところが雲が多くなってしまい、2時間も待たされる結果になりました。雲間が30分も無い状況でしたが、前夜よりは月が離れたため背景と星雲・彗星のコントラストを付けることができました(下B画像)。一晩前の画像より彗星が星雲に近いため映えますね。最接近となる明日朝は天気が良くないようなので、撮れて良かった…。

  • 20201105火星

    A.11月5日19時台の火星
  • 20201106アトラス彗星(C/2020 M3)

    B.11月6日未明のアトラス彗星(C/2020 M3)