名月と名火星を楽しむ ― 2020/10/02
朝から小雨でスタートした10月初日でしたが、夕方前には青空が見え始め、夜は曇りと晴れとが繰り返すまでに回復しました。昨夜は2020年の「中秋の名月」、そして今朝6時頃には今月の満月ということで、南中を迎える1日23:30頃に名月鑑賞と洒落こみました。
時折雲が通過する中、火星から離角19°ほどのところに並んだ月が明るさを競うように夜空を照らします。透明度は少なく、湿気が多い白い夜。気温はなんと15度。ひんやりして気持ちいい…というか、未だ夏の格好で観察しているから寒い。ピリッとしてきた空気に、あらためて秋の深まりを感じさせられました。望遠鏡の筒外があっと言う間に結露してしまいます。
名月はりんとして見えますが、望遠鏡を向けるとやはりシーイングが乱れ、川底の石を見るようでした(左画像)。撮影時の太陽黄経差は約176.95°、撮影高度は約51.5°、月齢14.4。満月瞬時のおよそ6.5時間前です。秤動は大きく「お辞儀」してるように北(画像上)をこちらに向けており、北側がかなり欠けていますね。エルミート(Hermite/ヘルミット)やピアリー(Peary)、ナンセン(Nansen)など北極地方の大きなクレーターは難なく見えますが、その奥まで見えているようです。もう少し大気が安定していたら…と、ちょっと残念。でもまぁ、名月だから許しちゃいましょう。
月頭に名月ということは月末に「二の月(後の月)」、つまり秋の名月第二弾「十三夜」もやってきます。10月内に名月と二の月が両方見えることは珍しくなく、概ね10年に1回程度起こります。前回は2009年で、中秋の名月が10月3日、二の月が10月30日でした。次回は2028年で、名月が10月3日、二の月が10月30日。また、今月は満月瞬時が月末31日23:49にもあります。これは月間重複(満月が一ヶ月内に2回起こる場合の2回目)という定義に基づくブルームーンです。まさに名月づくしの一ヶ月となりそうですね。
最接近が来週に迫った火星も負けていません。2日と3日は1日よりも月に近いところで競り合います。月の揺れ具合から覚悟はしてましたが、望遠鏡を向けると9月28日の観察よりもひどいシーイング。それでも雲がずっと少なかったので、短時間で撮影を終えることができ、自転の影響も少なくて済みました(右画像)。
位相角は9.636°、月に例えるなら満月18時間前、といったところです。キンメリア人の海やシレーンあたりがよく見えます。欠け際に白く明るいところが見えますね。右端はたぶんオリンポス山あたりですが、その南側(タルシス三火山あたり?)は雲があるようです。うーむ、抜群のシーイングで見たいなぁ。
参考:
アーカイブ「伝統的七夕・中秋の名月の一覧」(ブログ内)
アーカイブ「満月とブルームーンの一覧」(ブログ内)
時折雲が通過する中、火星から離角19°ほどのところに並んだ月が明るさを競うように夜空を照らします。透明度は少なく、湿気が多い白い夜。気温はなんと15度。ひんやりして気持ちいい…というか、未だ夏の格好で観察しているから寒い。ピリッとしてきた空気に、あらためて秋の深まりを感じさせられました。望遠鏡の筒外があっと言う間に結露してしまいます。
名月はりんとして見えますが、望遠鏡を向けるとやはりシーイングが乱れ、川底の石を見るようでした(左画像)。撮影時の太陽黄経差は約176.95°、撮影高度は約51.5°、月齢14.4。満月瞬時のおよそ6.5時間前です。秤動は大きく「お辞儀」してるように北(画像上)をこちらに向けており、北側がかなり欠けていますね。エルミート(Hermite/ヘルミット)やピアリー(Peary)、ナンセン(Nansen)など北極地方の大きなクレーターは難なく見えますが、その奥まで見えているようです。もう少し大気が安定していたら…と、ちょっと残念。でもまぁ、名月だから許しちゃいましょう。
月頭に名月ということは月末に「二の月(後の月)」、つまり秋の名月第二弾「十三夜」もやってきます。10月内に名月と二の月が両方見えることは珍しくなく、概ね10年に1回程度起こります。前回は2009年で、中秋の名月が10月3日、二の月が10月30日でした。次回は2028年で、名月が10月3日、二の月が10月30日。また、今月は満月瞬時が月末31日23:49にもあります。これは月間重複(満月が一ヶ月内に2回起こる場合の2回目)という定義に基づくブルームーンです。まさに名月づくしの一ヶ月となりそうですね。
最接近が来週に迫った火星も負けていません。2日と3日は1日よりも月に近いところで競り合います。月の揺れ具合から覚悟はしてましたが、望遠鏡を向けると9月28日の観察よりもひどいシーイング。それでも雲がずっと少なかったので、短時間で撮影を終えることができ、自転の影響も少なくて済みました(右画像)。
位相角は9.636°、月に例えるなら満月18時間前、といったところです。キンメリア人の海やシレーンあたりがよく見えます。欠け際に白く明るいところが見えますね。右端はたぶんオリンポス山あたりですが、その南側(タルシス三火山あたり?)は雲があるようです。うーむ、抜群のシーイングで見たいなぁ。
参考:
アーカイブ「伝統的七夕・中秋の名月の一覧」(ブログ内)
アーカイブ「満月とブルームーンの一覧」(ブログ内)
今日の太陽 ― 2020/10/02
今日も良い天気。昨夜から続く雲があるものの、日向に出ると肌に暑さを覚えるほどです。雲を避けて、午前のうちに太陽観察しました。
左は11時頃の撮影。活動領域12773は西リムに近くなってきました。相変わらず黒点はなさそうです。昨日南半球の対象位置に見えた領域は見えなくなってました。短い命だった…。プロミネンスが左上リムと右やや上リムに見えています。そこそこ大きいようですね。
太陽観察後にベランダから見渡して驚いたことふたつ。ひとつは隣家の彼岸花(右画像)。なんと花盛りじゃないですか。9月29日記事にちょっと書いたときは数輪だったため、枯れ残っていると勘違いしてました…。どう考えてもおかしい。例年なら秋彼岸前に満開を迎え、10月にはもう茎しか残ってないのです。時期が半月もずれたことは記憶にありません。株本から既に葉芽が見え始まってるのも気になります。「葉見ず、花見ず」の異名はどうしちゃったのか…。
もうひとつは、今年初のナガサキアゲハ発見。目の前を通過したっきり戻ってこなかったので詳しく観察できませんでしたが、これも時期が遅いですね。まぁ鳥に食べられなければ何ヶ月かは生きているでしょうが、夏の間に一回も見なかったのはここ数年ありませんでしたから驚きました。
左は11時頃の撮影。活動領域12773は西リムに近くなってきました。相変わらず黒点はなさそうです。昨日南半球の対象位置に見えた領域は見えなくなってました。短い命だった…。プロミネンスが左上リムと右やや上リムに見えています。そこそこ大きいようですね。
太陽観察後にベランダから見渡して驚いたことふたつ。ひとつは隣家の彼岸花(右画像)。なんと花盛りじゃないですか。9月29日記事にちょっと書いたときは数輪だったため、枯れ残っていると勘違いしてました…。どう考えてもおかしい。例年なら秋彼岸前に満開を迎え、10月にはもう茎しか残ってないのです。時期が半月もずれたことは記憶にありません。株本から既に葉芽が見え始まってるのも気になります。「葉見ず、花見ず」の異名はどうしちゃったのか…。
もうひとつは、今年初のナガサキアゲハ発見。目の前を通過したっきり戻ってこなかったので詳しく観察できませんでしたが、これも時期が遅いですね。まぁ鳥に食べられなければ何ヶ月かは生きているでしょうが、夏の間に一回も見なかったのはここ数年ありませんでしたから驚きました。
十六夜の月と火星が並ぶ ― 2020/10/03
昨夜から今朝も晴れ時々くもり、全体として天気は下り坂、というお天気。夜半過ぎまでは比較的晴れていたので、南中頃の月を観察しました。
1日夜は十五夜、2日6時過ぎが満月瞬時でしたから、18時間以上経って写した左画像は一応「十六夜」の範囲に入るのでしょうか。日を跨ぐ頃の言い方は難しいですね。
一夜前の月に比べると月の東側(右側)が欠け始まっています。南半球、ペタヴィウス・クレーターから右に目を移した明暗境界に、ちょうどセンターピークが光るフンボルト・クレーター。いっぽう右上明暗境界にはフンボルト海がはっきり確認できますから、ちょうど「ダブル・フンボルト」状態でした。
この画像は上下を正確に月の南北に合わせてあります。明暗境界をたどると、左上あたりのクレーターにも影がありますね。つまり、満月を過ぎてもこれくらいの位相ではまだ西側(左側)に影が残っているのです。ほとんどの方が「満月前(上弦期)に欠けてるのは西半球だけ、満月過ぎ(下弦期)に欠けてるのは東半球だけ」と思い込んでいらっしゃるでしょうが、さにあらず。これもまた満月期観察の面白い見どころですね。
月に7°弱まで接近していた火星も撮ってみました。しかしながら、ここ数日で一番ひどいシーイング。モニター画面ですら模様がはっきり見えず、陽炎ごしの景色を見ているようです。なんとかコンポジットしてみましたが、右画像が限界。これ以上画像処理すると破綻してしまいます。
昨夜に比べて東寄りの地形全体が見えるため、オリンポス山が丸く見えています。タルシス三火山付近の雲も昨夜より広範囲。シーイングの改善をもう少し粘るつもりでしたが、10分程で空全体が曇ってしまいました。地球最接近頃の深夜にはオリンポス山あたりの経度がちょうど中央に来ます。晴れるといいですね。
1日夜は十五夜、2日6時過ぎが満月瞬時でしたから、18時間以上経って写した左画像は一応「十六夜」の範囲に入るのでしょうか。日を跨ぐ頃の言い方は難しいですね。
一夜前の月に比べると月の東側(右側)が欠け始まっています。南半球、ペタヴィウス・クレーターから右に目を移した明暗境界に、ちょうどセンターピークが光るフンボルト・クレーター。いっぽう右上明暗境界にはフンボルト海がはっきり確認できますから、ちょうど「ダブル・フンボルト」状態でした。
この画像は上下を正確に月の南北に合わせてあります。明暗境界をたどると、左上あたりのクレーターにも影がありますね。つまり、満月を過ぎてもこれくらいの位相ではまだ西側(左側)に影が残っているのです。ほとんどの方が「満月前(上弦期)に欠けてるのは西半球だけ、満月過ぎ(下弦期)に欠けてるのは東半球だけ」と思い込んでいらっしゃるでしょうが、さにあらず。これもまた満月期観察の面白い見どころですね。
月に7°弱まで接近していた火星も撮ってみました。しかしながら、ここ数日で一番ひどいシーイング。モニター画面ですら模様がはっきり見えず、陽炎ごしの景色を見ているようです。なんとかコンポジットしてみましたが、右画像が限界。これ以上画像処理すると破綻してしまいます。
昨夜に比べて東寄りの地形全体が見えるため、オリンポス山が丸く見えています。タルシス三火山付近の雲も昨夜より広範囲。シーイングの改善をもう少し粘るつもりでしたが、10分程で空全体が曇ってしまいました。地球最接近頃の深夜にはオリンポス山あたりの経度がちょうど中央に来ます。晴れるといいですね。