6月の満月を迎えました2019/06/18

20190617_18285月
イチゴは何科の植物かご存じですか?唐突ですが、割と有名なクイズです。答えは「バラ科」。イチゴの赤く熟れた可食部分は「実」ではなく茎の一部(花托)。可食部表面に付いてるツブツブも種子ではなく、これが実。この実の中に種子が入っています。蓮などにも見られる構造ですね。(ただし蓮の場合は種子が可食部。私がこどものころは好んで食べていました。)

いっぽう一般的なバラは種子を内包する実を花托の内部に持ちます。花が散った後に「ローズヒップ」と呼ばれる赤やオレンジの花托がぶら下がっている様子をご覧になった方も多いでしょう。

昨夕に登った6月の満月を「Strawberry Moon」と呼ぶニュースがあちこちハンコのように流れていました。一昨年の6月満月、あるいは昨年の6月満月も同じ状況だったことを思い出します。ブームなのかな?それともメディア主のネタ切れ?

茨城県人である私としては「Rose Moon」という呼称を強くお勧めしたいところ。バラは茨城県花なのです。前述のようにバラ科にイチゴも含まれますから、ちょうど良いのでは?「Mead Moon」(Meadは蜂蜜酒)という名もお気に入り。春の花から集めた蜜でミツバチの巣がいっぱいになるのは5月から6月。そんな時期を物語っています。でもね、蜜を持つバラは少ないので、純粋なバラのハチミツって稀少なのですよ…。新婚時期を表すハネムーン(Honey Moon)は満月とは関係ない言葉だけれど、かつては春の農作業が一段落し結婚に都合良い時期と考えられた6月(June Bride/ローマ神話で結婚の女神Junoにも関係する)や、前出の「Mead Moon」などと微妙に関わりがあって面白いですよね。

昨夕の満月の瞬間はまだ月の出前でした。約6時間後の23:20ごろ、南中前に撮影したのが左上画像。雲が出ていましたがキレイに撮れました。太陽黄経差は182.85°、撮影高度は約31.7°、月齢14.18です。ほんのちょっと右側が欠け始まっていますね。撮影後すぐ曇ってしまったので間に合ってラッキーでした。

20190617_18285月(色彩強調)
先月の令和最初の満月は「ブルームーン」でした。青く見える訳ではないけれどブルームーン。同様に昨夜の満月もイチゴ色やバラ色に見えたわけではありません。イチゴやバラが咲く/実る時期の満月、というニュアンスです。今月がブルームーンだったら「ブルーローズ・ムーン」になったのに…とちょっぴり悔しい。

満月は一見すると無彩色に見えますが、無改造のデジカメでできるだけニュートラルに撮影し、それを色彩強調すると色が付きます。フィルムではできなかったことが、デジカメ時代になって簡単に処理できるようになりました。左上画像を処理したのが右画像。この色合いは光学系由来ではなく、主に月の物質組成、年代、風化などが奏でる色調ですね。同じように見える「月の海」の内部も、複雑に入り組んでいることが分かるでしょう。北側(画像上側)にイチゴジャム色の土地が広がってるかと思えば、南側に集中している、牛乳をぶちまけたような「新しい衝突痕」も目を引きます。

呼び方であれ、色合いであれ、満月にはたくさん話題が詰まっていて、実に興味深いのです。

【蛇足】
満月とも空や自然とも全く関係ないお話し。茨城県の県章は1991年に現在のデザインになりましたが、新旧共に「バラの花」をモチーフにしたものです(下の県旗参照)。旧デザインはけっこう複雑で、「イハラキ」の四文字が内蔵されていますよ。描き順や円弧の中心位置などは正確に決められており、高校の頃までは覚えていてコンパスさえあれば自分で描けたのですが、もうすっかり忘れました。

ところでこの旧デザイン、じっと見ていると…なんだか満月の模様に見えてきませんか?(暗示)

  • 茨城県旗1

    茨城県旗(1991年まで)
  • 茨城県旗2

    茨城県旗(2019年現在)


参考:
夏至と満月(2016/06/21)…北米伝承の満月呼称一覧を掲載

今日の太陽とハロ現象2019/06/18

20190618太陽
昨夜夜半頃から雲が多くなり、今日日中も雲が多めです。昼過ぎからはときおり薄日が差すようになったため、太陽観察を試みました。

20190618太陽リム
左は13:45ごろの太陽。雲越しでコントラストが弱いです。活動領域はありません。左上にあった大きなプロミネンスはほぼ光球内に入ったようですが、代わりに(?)左下にとても大きなアーチ状のプロミネンスが出現していました(右画像の矢印のところ)。線は細いのですが、径はとても大きいですね。このまま消えてしまうのでしょうか。右リムにも小さなものがチラホラ見えました。

20190618内暈
昼前から時々内暈が見えました(右画像)。雲が多いのでなかなか全周は見えません。最近このパターンが多いですね。

6月7日の記事でお伝えしたように、一昨日16日までに日本全体が「今年一番日の出が早い日」を迎え終わりました。今はほんの少しずつ日の出が遅くなっています。(※秒の桁程度だから、分までしか載ってない新聞などの日出没欄では知り得ないでしょう。)いっぽう日の入りは6月末から7月初旬ごろまで遅くなり続けるため、トータルで考えると日の出から日の入りまでの「昼時間」は4日後の夏至まで伸び続けるわけです。