今日は夏至ではありません2019/06/21

ネムノキ
ヘンなタイトルです。でもね、(毎年のことですが)なぜかネットニュースや閲覧の多いメジャーソースなどで、間違った日付が書かれていることは少なくないんです。「本日6月21日は夏至」と書いてあるサイトを、朝だけで3つも見つけました。

「毎年6月21日は夏至」といった誤解だとか、「間違って去年のカレンダー見て記事書いてた」みたいなケアレスミスは一定数あるのでしょう。でも二十四節気のなかでもとりわけ大切な二至二分。ダブルスタンダードで良いはずありません。(※法律上は国立天文台が施行前年の2月に暦要項を発表し、これが日本のカレンダーの基準となります。)ここはひとつ性善説で「ミス以外の、何か別な理由」である可能性を考えてみましょう。

★算出法の差による可能性
現在の二十四節気は地球と太陽との位置関係をもとに計算するそうです。地球を基準に太陽の位置(黄経)を測り、15°の倍数ごとに到達日時を定めてゆくと、1年間(=360°)の中に24の節目ができあがるのです。この算出は定気法(実気法)と呼ばれます。当ブログのユーティリティ「空のこよみ」にある節気や雑節もこの方法で計算してますよ。

いっぽう、これとは別に古い時代に使われていた平気法(恒気法/常気法)もあります。これは「位置を24等分」するのではなく、「冬至から次の冬至までの1年という時間を24等分」する方法です。直感的に分かりやすいですね。ただしこの算出は太陽位置をまったく考慮しませんから、例えば春分なのに太陽が分点にいないといった不都合が生じます。

二十四節気・定気法と平気法の日差
記事末に2018年から2020年までの三年間、定気法と平気法とでどれくらいずれるのか計算した一覧表を掲載しました。また右図は2010年から2020年まで、両計算法の日差をグラフにしたもの。(※似たグラフが国立天文台の解説ページにもあります。)1年周期でプラスマイナス2日あまりのズレがありますね。

例えば2018年の夏至は定気法と平気法とで日付が違います。今年もずれていたら、冒頭に述べた「間違いサイト」は何らかの理由で平気法の日付を書いた可能性があるのですが、今年はたまたま一致していました。うーむ…。


★世界時表記による可能性
もうひとつ考えられるのは日本標準時ではなく、世界協定時ではないか、という疑いです。今年の夏至を時刻まで書くと「6月22日 0:54JST」ですが、これは世界時で「6月21日 15:54UT」ですから1日前になります。昨年の冬至でDoodle(Googleサイトトップの日替わりイラスト)が一日早い表示だったという記事を書きました。今日のDoodleも既に夏至になってますが、これも世界時では6月21日だということを受けての表示と思われます。日本語で書かれているけど日本向けの記事じゃなかった…なんていう裏事情があったのかも知れません。

何にせよ、算出法やタイムゾーンの記述、あるいは日付がずれるならその理由を明記してほしいです。計算マニアならともかく、普通の方々にとって「暦や時刻は天からのお告げ状態」でしょうから、合ってるのか間違いなのか、それともいたずらや混乱を狙ったフェイクなのか見分けが付きませんからね。自分も表記ミスを結構やらかすので、注意しなくちゃ…。


【定気法と平気法による二十四節気の違い・2018-2020年/JST表記】
定気法2018年平気法2018年定気法2019年平気法2019年定気法2020年平気法2020年
小寒1月5日 18:481月6日 6:421月6日 0:381月6日 12:371月6日 6:301月6日 18:33
大寒1月20日 12:091月21日 11:571月20日 17:591月21日 17:521月20日 23:541月21日 23:47
立春2月4日 6:282月5日 17:122月4日 12:142月5日 23:072月4日 18:032月6日 5:02
雨水2月19日 2:182月20日 22:272月19日 8:032月21日 4:222月19日 13:562月21日 10:16
啓蟄3月6日 0:283月8日 3:413月6日 6:093月8日 9:373月5日 11:563月7日 15:30
春分3月21日 1:153月23日 8:563月21日 6:583月23日 14:513月20日 12:493月22日 20:45
清明4月5日 5:124月7日 14:114月5日 10:514月7日 20:064月4日 16:384月7日 1:59
穀雨4月20日 12:124月22日 19:264月20日 17:554月23日 1:214月19日 23:454月22日 7:13
立夏5月5日 22:255月8日 0:405月6日 4:025月8日 6:365月5日 9:515月7日 12:27
小満5月21日 11:145月23日 5:555月21日 16:595月23日 11:515月20日 22:495月22日 17:42
芒種6月6日 2:296月7日 11:106月6日 8:066月7日 17:066月5日 13:586月6日 22:56
夏至6月21日 19:076月22日 16:256月22日 0:546月22日 22:216月21日 6:436月22日 4:10
小暑7月7日 12:417月7日 21:407月7日 18:207月8日 3:357月7日 0:147月7日 9:25
大暑7月23日 6:007月23日 2:547月23日 11:507月23日 8:507月22日 17:367月22日 14:39
立秋8月7日 22:308月7日 8:098月8日 4:138月7日 14:058月7日 10:068月6日 19:53
処暑8月23日 13:088月22日 13:248月23日 19:028月22日 19:208月23日 0:448月22日 1:08
白露9月8日 1:299月6日 18:399月8日 7:169月7日 0:359月7日 13:089月6日 6:22
秋分9月23日 10:549月21日 23:549月23日 16:509月22日 5:509月22日 22:309月21日 11:36
寒露10月8日 17:1410月7日 5:0810月8日 23:0510月7日 11:0510月8日 4:5510月6日 16:50
霜降10月23日 20:2210月22日 10:2310月24日 2:1910月22日 16:1910月23日 7:5910月21日 22:05
立冬11月7日 20:3111月6日 15:3811月8日 2:2411月6日 21:3411月7日 8:1311月6日 3:19
小雪11月22日 18:0111月21日 20:5311月22日 23:5811月22日 2:4911月22日 5:3911月21日 8:33
大雪12月7日 13:2512月7日 2:0712月7日 19:1812月7日 8:0412月7日 1:0912月6日 13:48
冬至12月22日 7:2212月22日 7:2212月22日 13:1912月22日 13:1912月21日 19:0212月21日 19:02

  • 自作プログラムによる計算です。秒の桁に誤差を含みます。
  • 冬至の瞬間を基準として、両算出を一致させています。
  • 世界協定時に直す場合は9時間を減じてください。


参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)