10月10日明け方にアルデバランのグレージングがあります ― 2017/09/28
2015年頃から始まった月とアルデバランの接近や掩蔽。それもいよいよ今年2017年末にはほぼ終盤を迎えます。その集大成とも言える「アルデバラン・グレージング」が、来る10月10日明け方に起こるのでご紹介しましょう。
月が恒星を何十分も隠す「掩蔽」に対し、月の縁が恒星をかすめる様に隠す「グレージング」は、別名「接食」あるいは「接食掩蔽」と呼ばれます。月の縁はお皿のようにツルッとしていませんので、遠くの恒星の光は縁の凸凹に応じて短時間の間に見え隠れすることになります。 長くても数分で終わる現象ですが、何度も明滅をくり返す様子はとても面白いもの。位置をちょっとずつ変えた数人のグループで観測すれば、明滅の時間差から月縁の地形が読み取れるのです。まさに同好会や学校の天文クラブ向けとして最適な現象と言えるでしょう。
しかしながらグレージングが見える範囲は皆既日食並みの狭い範囲。自宅から近い場所・観測しやすい月高度・明るい恒星・晴れ間が期待できる季節…といった条件良いグレージングは滅多に起きません。ハッキリ言って、私は皆既日食並みに貴重だと思っています。少しでも好条件であれば多少遠くても出かけて観測したいところ。
今回起きるのはおうし座の1等星アルデバラン。観察できる場所は下のGoogleMapに掲載したかなりの長距離。月高度は70°近くあって、天候さえ良ければ驚くほどの好条件と言えましょう。月に掩蔽される可能性がある四つの1等星(アンタレス、スピカ、レグルス、アルデバラン)のなかで、最も天の北側に位置するのがアルデバランなのです。
左上はStellariumによる現象直前の様子。ヒアデス星団にドップリ浸かった月が、アルデバランに接近しています。このあと月の南側の縁にアルデバランが接します。現象ラインより南側では全く隠れないけれど極めて近い「大接近」、また北側ではしっかり隠される「掩蔽」を見ることができます。どちらも貴重ですから、現象ラインに行けない方でもぜひ空を仰いでください。(※掩蔽エリアにある各県庁所在地などでの現象時刻も地図上に描いてあります。)
本州を横断するラインに沿って0ラインを中心に-4kmラインから+3kmラインまで1kmごとに描きました。各線は下に示す月縁図の同色線に対応します。ご覧になりたい東経に近い月縁図をお使いください。以下に東経137度の一例を示します。なお月縁はあくまで計算上のものです。予期しない凸凹があるかも知れません。過度に信用しないようにしましょう。
来年以降、月はアルデバランから段々遠いところを通過するようになり、2024年頃には近いときでも10°以上北側に離れてしまいます。右図は月がアルデバランと南北並びに接近した瞬時(1ヶ月弱周期)の地心離角を計算したグラフ。南北接近は最接近とは異なりますが、ほぼ最接近と見なせます。南北離角は毎回同じではなく、長いサイクルと短いサイクルの組み合わせになっていますね。再び両天体が近くに見えるのは2033年頃からの3年間。もう当ブログはこの世に無く、観察者はすっかり次の世代に入れ替わっているでしょう。
つまりは、これほどの貴重なチャンスと言うことなのです。でも当日のお天気ばかりはどうしようもありません。今回の現象ラインは山岳地が多いので、天気の変化にご注意ください。観測してみたいという全ての方が星天に恵まれ、良い結果を残せますよう願っています。
月が恒星を何十分も隠す「掩蔽」に対し、月の縁が恒星をかすめる様に隠す「グレージング」は、別名「接食」あるいは「接食掩蔽」と呼ばれます。月の縁はお皿のようにツルッとしていませんので、遠くの恒星の光は縁の凸凹に応じて短時間の間に見え隠れすることになります。 長くても数分で終わる現象ですが、何度も明滅をくり返す様子はとても面白いもの。位置をちょっとずつ変えた数人のグループで観測すれば、明滅の時間差から月縁の地形が読み取れるのです。まさに同好会や学校の天文クラブ向けとして最適な現象と言えるでしょう。
しかしながらグレージングが見える範囲は皆既日食並みの狭い範囲。自宅から近い場所・観測しやすい月高度・明るい恒星・晴れ間が期待できる季節…といった条件良いグレージングは滅多に起きません。ハッキリ言って、私は皆既日食並みに貴重だと思っています。少しでも好条件であれば多少遠くても出かけて観測したいところ。
今回起きるのはおうし座の1等星アルデバラン。観察できる場所は下のGoogleMapに掲載したかなりの長距離。月高度は70°近くあって、天候さえ良ければ驚くほどの好条件と言えましょう。月に掩蔽される可能性がある四つの1等星(アンタレス、スピカ、レグルス、アルデバラン)のなかで、最も天の北側に位置するのがアルデバランなのです。
左上はStellariumによる現象直前の様子。ヒアデス星団にドップリ浸かった月が、アルデバランに接近しています。このあと月の南側の縁にアルデバランが接します。現象ラインより南側では全く隠れないけれど極めて近い「大接近」、また北側ではしっかり隠される「掩蔽」を見ることができます。どちらも貴重ですから、現象ラインに行けない方でもぜひ空を仰いでください。(※掩蔽エリアにある各県庁所在地などでの現象時刻も地図上に描いてあります。)
本州を横断するラインに沿って0ラインを中心に-4kmラインから+3kmラインまで1kmごとに描きました。各線は下に示す月縁図の同色線に対応します。ご覧になりたい東経に近い月縁図をお使いください。以下に東経137度の一例を示します。なお月縁はあくまで計算上のものです。予期しない凸凹があるかも知れません。過度に信用しないようにしましょう。
(例)富山市や金沢市の南付近で観測→東経137度の月縁図を使用
- 月縁図はクリーム色のところが月で、地形の凹凸が強調された図です。横軸は現象時刻に対する恒星位置の相対時間(分)、縦軸は赤ラインに垂直な相対距離(km)です。
- 恒星は時間と共に左から右へ移動します。例えば赤ライン上で観察すると3つの山を横切りますから、3回の明滅が期待できます。予報中心時刻の10分前には観測を開始しましょう。
- 赤ラインから北に1km離れたところ(赤ラインに一番近い緑ライン)では、更に複雑な明滅が期待できます。
- 赤ラインから南に3km離れたところ(赤ラインから一番遠い青ライン)では全く隠れません。
- 複数人で観察できるなら、南北に500m程度ずつ離して一列に布陣すると良いでしょう。後で結果を持ち寄り、この図の上に明滅を書き込んでみると実際の地形が浮かんできます。
- 動画撮影がお勧めですが、必ず時刻が特定できる時報やインサートタイマーなどと共に録画しましょう。眼視観測の場合でも「ハイ、潜入」「ハイ、出現」等のかけ声と共に時報を同時録音すると立派な観測になります。
- 道路上や熊が出そうなところなど安全が確保できない場所での観察は避けましょう。
来年以降、月はアルデバランから段々遠いところを通過するようになり、2024年頃には近いときでも10°以上北側に離れてしまいます。右図は月がアルデバランと南北並びに接近した瞬時(1ヶ月弱周期)の地心離角を計算したグラフ。南北接近は最接近とは異なりますが、ほぼ最接近と見なせます。南北離角は毎回同じではなく、長いサイクルと短いサイクルの組み合わせになっていますね。再び両天体が近くに見えるのは2033年頃からの3年間。もう当ブログはこの世に無く、観察者はすっかり次の世代に入れ替わっているでしょう。
つまりは、これほどの貴重なチャンスと言うことなのです。でも当日のお天気ばかりはどうしようもありません。今回の現象ラインは山岳地が多いので、天気の変化にご注意ください。観測してみたいという全ての方が星天に恵まれ、良い結果を残せますよう願っています。
2017/10/10グレージング・経度に応じた月縁図
2017/10/10グレージング予報マップ(恒星:アルデバラン、光度0.9等、月齢:19.5)
- 予報ラインはグレージングの南限です。恒星は月の南側の縁に接します。
- 接食現象が見えるのは0.0kmラインからの距離が数km以内の範囲です。それより南では恒星が全く隠れません。また北に離れるほどグレージングではなく通常の掩蔽になります。
- 赤・青・緑のラインをクリックすると何kmラインか表示されます。恒星と月とが離れる方向がプラスの向きです。
- 赤丸アイコンをクリックすると、その地点の現象時刻などが表示されます。また星月マーカーをクリックすると県庁所在地などでの掩蔽概算データが表示されます。なお赤丸アイコンのデータは標高を一律30mで計算しています。標高が異なる所では現象内容や時刻が若干ずれます。
- 望遠鏡アイコンをドラッグすると、三脚下×印の緯度・経度・標高を測定して地図下(欄外)に表示できます。必要に応じてお使いください。なおGoogleMapの標高は実際よりずれていますので、あくまで目安に。
- ライン予報と月縁図はOccultを使用しました。あくまで概算なので精測観測には向きません。時間に余裕を持って観測してください。
参考:
★より専門的な観測をしたい方は下記サイトを参考にしましょう
星食観測日本地域コーディネーター(外部サイト)★過去に取り上げたグレージングや掩蔽予報・結果リポート(上ほど新しいです)
7月28日にポリマの掩蔽&グレージングがあります(2017/07/03)ひと月後に水星掩蔽(水星食)が起こります(2017/06/27)
5月7日のおとめ座ポリマ掩蔽が面白そう(2017/05/01)
グレージング現象が見えました(2017/02/04)
グレージング現象を観察しよう(2017/01/19)
アルデバラン掩蔽がきれいに見えました(2016/11/16)
2015年1月3日グレージング集計リポート(2015/01/10)
2015年1月3日のグレージング予報(2014/12/16)
グレージング見えたよ☆2014年11月10日編(2014/11/24)
2014年11月10日深夜のグレージング予報(2014/10/17)