アレキサンダーのビーズを観察2024/05/15

20240514_アレキサンダーのビーズ
「月世界への招待」サイトの東田さんが「アレキサンダーのビーズ」と呼ばれる陰影現象を予報されていましたので、昨夜の晴れ間に望遠鏡で観察してみました。と言っても今回は日没前後の明るい空だったため、特に開始時はコントラストが弱く見辛い状態。画像では近赤外透過フィルターを使い、青空光をカットしています。

左は18:50に撮影したアレキサンダーを含む北極地方から晴れの海にかけての様子。当地では日没11分後です。やや繋がりが多めのビーズが良く見えています。またアレキサンダーの東にも星団のように山頂だけ光った山が多数見えました。ポシドニウスやスミルノフ尾根、アサーラ尾根、死の湖のビュルク谷なども彫りが深く見やすいですね。北極域の大きなクレーターは何だろうと調べたらメトンでした。普段は桜の花びらのように広がった形が目に付くので、ぱっと見メトンとすぐに気付けませんでした。

下A−D画像は18:30ごろから20分おきに撮影したアレキサンダーのビーズ。キャプションの括弧書きの数値はアレキサンダーから見た太陽高度です。概ね-1.9°あたりが個々のビーズが綺麗に分離し、かつビーズの数も増えて見やすそうです。次回は7月12日16時前ごろから、9月9日16時ごろから、2025年2月4日16時前ごろから…と、完全に昼間の現象状態が続きます。日没後に見えるのは2025年11月26日まで待たなくてはなりませんが、西空に低い状態。比較的条件が良いケースは2026年12月16日18時ごろと随分先です。上弦前に月高度が高く留まる時間帯は狭いため、陰影現象条件はシビアなことが多いのです。

  • 20240514_1829_アレキサンダーのビーズ

    A.18:29(-1.958°)
  • 20240514_1850_アレキサンダーのビーズ

    B.18:50(-1.824°)
  • 20240514_1910_アレキサンダーのビーズ

    C.19:10(-1.694°)
  • 20240514_1930_アレキサンダーのビーズ

    D.19:30(-1.564°)


併せて撮影した中から二枚掲載。下E画像はラモントあたり。アラゴーαとβも見えていました。明暗境界から少し離れてしまったので、さほどはっきりはしていませんね。えぐれた形のトリチェリと、それを囲むトリチェリRが良く見えました。画像下部にはテオフィルスやキリルスも写っています。SLIMもうすぐ夜明けですね。

下F画像は南の海あたり、明るくなったジャンセンやレイタ谷、左下にはブサンゴも見えます。秤動が良い地域でしたが、時折吹く風に揺さぶられ、また日没後から急速にシーイングが悪くなったので細部が見辛い宵でした。月高度が高かったのに残念です。撮影を終えた途端に薄雲が張り出してきたので、天気の境界が忍び込んでいたのでしょう。兎も角、アレキサンダーのビーズが見えて良かった…。

  • 20240514プリニウス、ラモント、テオフィルス

    E.ラモント周辺
  • 20240514ブサンゴ、ジャンセン、フルネリウス

    F.南の海付近


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