2015年1月3日グレージング集計リポート2015/01/10

約1週間前の1月3日夜、グレージング(月による恒星の接食掩蔽)が近くで起こりました。私は参加できませんでしたが、つくば星の会の星仲間有志が観測しました。その集計をしたので暫定結果をお知らせします。

20150103接食
今回のグレージングは4.3等星の恒星が月の縁をかすめるという現象です。このとき地上で観る観察者の居場所によって恒星が見え隠れする度合いが変化し、複数人で観察すれば月縁の地形が見えてくるのです。4.3等といえば都会の空じゃ肉眼で見えない暗い星ですが、同じ地域で起こるグレージングの頻度から考えると、1年に1回あるかどうかの明るい星のチャンスなんです。事実、茨城では年内にこれ以上良い条件の予報はありません。今回のグレージングは左図のような予報でした。ちょうど月のクレーターの縁によって恒星が見え隠れするようです。(この図は予報ソフトOccultによります。高さ方向が拡大されています。)

20150103接食
このグレージング、当地では21:54頃の予報でした。そのときの月齢は12.4で、満月直前の眩しい月。ですから4.3等とはいえ見づらいことが予想されました。参加したSさんが撮影した現象直前の動画キャプチャを見てみましょう(右画像)。月を大きく拡大して撮影しています。主なクレーターを書いてみました。上記予報図のクレーターはこの画像の「エルミート」のようです。ここを拡大して明るくすると、恒星がぼんやり写っていることが分かります。

20150103接食
Virtual Lunar Atlasというソフトでこのあたりを正面から見ると(左図)、パスカルやエルミートといったクレーターがちょうど明暗境界にあることが分かります。今回は「月の暗い側で起こる現象」ですが、ほとんど明暗境界に接しているので、恒星がとても見づらいのです。

20150103接食
当日夜は良く晴れていましたが、大気の揺らぎが激しくて状況を更に困難にしました。動画を見ていると酔ってしまうほどです。それでも参加されたうち3人のデータが集まりました。予報ラインから観測地までの距離や互いの時間ずれを考慮し、一番上の予報図に書き加えた結果が左です。恒星は時間とともに線状に動いて表されます。クリーム色の線は恒星が光った状態、消えているのは月に隠された状態、オレンジは減光した状態です。一番下の観測は出現が動画上で分からなかったため、最初の潜入以降はロスト扱いとしました。

シビアな条件のため動画上で恒星を見失って不明なところや不確かさはありますが、それでもアマチュアのレベルでこれだけの結果を出せたことは素晴らしいですし、なにより楽しいですね。観測者のみなさんに惜しみない拍手を送りたいです。

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