美しい夜明けの月2020/08/14

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昨夕も前日と同様に雷雲が発生。雨は免れたものの夜は曇ってしまいました。仮眠後、夜半過ぎに起き出してみるとなんと快星。若干薄雲があったものの、一通りの観察はできそうです。ここ数日では一番明るいペルセウス座流星群の流れ星も見えました。

明け方に高くなった月はとてもキレイでした。少し大気が揺れていましたが、それも含めて楽しみます。左画像は彩度を上げたミネラルムーン色調仕上げ。アリスタルコスやケプラーのクレーター周りがとても複雑な色だと分かるでしょう。虹の入り江に夕闇が迫り、コペルニクス・クレーターはもう見えません。南部は湿りの海付近のシワが見事ですね。シラーやシッカルドがとても目立っています。

月は12日に下弦、金星は翌13日に西方最大離角となったので、この明け方は「同夜にほぼ同じ形(半月状・光ってる側も同じ)の月と金星」が見えたことでしょう。2018年8月19日記事の表に載せた通りです。次に同じタイミングで両天体の同じ形を見るには2033年1月8日まで待たなくてはなりません。今朝の月はもう細くなり始め、いっぽうの金星は丸くなり始めています。

月が高くなるまでの間に最近まで増光していたカシオペア座突発天体(カシオペア座の新星)も撮影しました(下A画像)。簡易光度測定では11.8等で、増光は止まり減光に転じているようです。

薄明が始まってしまったけれど、南中を迎えた火星にも望遠鏡を向けました(下B画像)。中央南側に明るい楕円状のヘラス盆地が見え、その上から欠け際にかけて薄暗い大シルチスが確認できます。左端まで伸びる黒いベルトの縁が子午線湾。南極冠は今日も不気味に明るいですね。撮影時点で位相角が40°オーバーなのでまだラグビーボールのようですが、今後急速に減ってゆくため、どんどん丸くなるでしょう(→2020年7月6日記事参照)。視直径は16″角を超えました。高度が高いためシーイングが安定し、見易さはすでに2年前の大接近時を遥かに凌いでいます。地球最接近のころ晴れるとは限りませんから、待たずにどんどん見てくださいね。

  • 20200814_TCP J00114297+6611190

    A.TCP J00114297+6611190
  • 20200814火星

    B.火星


久しぶりに夏の星空を堪能2020/08/12

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昨夕から今朝にかけ、いつもより透明度の良い夜空が広がりました。唯一の難は4m/sを越える強い風が時折吹いたこと。明け方にかけて弱くなったけれど、それでも思い出したように吹くので閉口しました。

気流はやや乱れていたものの、あまり霞んでない空は久しぶり。夜半に登った月(左画像)を眺めたり、ペルセウス座流星群を探したり、のんびり過ごせました。流星は散在含めて三つほどしか見えませんでしたが、良い空というものは見ているだけで心が落ち着きますね。

宵のうち、ネオワイズ彗星(C/2020 F3)とレモン彗星(C/2019 U6)にも望遠鏡を向けました(下画像)。風が強すぎて星像が肥大したり跳ね回ってしまいましたが、無理やりコンポジットして仕上げました。庭先に望遠鏡を出しただけですから、吹き曝しになって辛いですね…。

ネオワイズ彗星は相変わらず明るく、二種類の尾もまだはっきり見えます。いっぽうレモン彗星は7日の撮影よりは良く写ったものの、やはり勢いが感じられません。10等を下回っているでしょう。なお各像の中央右下に見えるぼんやりしたドーナツ像はフラットミスです。風が吹いてセンサーカバーかフィルター上のゴミが動いてしまったものと思われます。

惑星も見たかったけれど、強風が残ってたことと、望遠鏡をフォーメーションチェンジしなくてはならなかったので、体力的に諦めました。それでもしっかり夏の星空を堪能できた夜でした。

  • 20200811ネオワイズ彗星(C/2020 F3)

    A.ネオワイズ彗星(C/2020 F3)
  • 20200811レモン彗星(C/2019 U6)

    B.レモン彗星(C/2019 U6)


カシオペア座の新星が増光中2020/08/05

20200805_TCP J00114297+6611190
8月2日夜に撮影したカシオペア座の突発天体(カシオペア座の新星)について、星仲間の(の)さんから増光しているとの情報がありました。撮影時に焦点距離が短かった心残りもあたので、今朝未明に大きい機材で再度撮ってみることにしました。

満月過ぎの月が透明度の悪い空を照らす白っぽい夜でしたが、何とか撮影成功(左画像)。7月下旬の発見時は12.9等でしたが、今は10等台で輝いています。このクラスなら月夜でも難なく写るから嬉しい。今後どうなるでしょうか。

20200805_19252月
ひととおり撮影が終わった時点で月がまだ屋根に隠れてなかったので、望遠鏡を向けてみました。一晩前の満月時よりシーイングが悪かったけれど、ひとまず撮影(右画像)。撮影時の高度は30°を割り込んでいたため、かなり眠い画像になりました。

秤動で東側が見やすく、危難の海がかなり丸く感じます。フンボルト海は見えますがフンボルト・クレーターはほぼ影の中。ダブル・フンボルトにはなりませんでした。2日後あたりに月面Kが明暗縁に達しますが、今月は月の出前になってしまうようです。

久しぶりの満月、火星も堪能2020/08/04

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昨夕は雲が多かったので彗星たちは早々に諦めましたが、夜半になると快星になりました。前夜より気温が2度高く、透明度がやや悪いものの、シーイングはかなり安定しています。

楽しみにしていた8月の満月とご対面。左は満月時刻(4日1時前)頃を狙って撮ったものです。高度が30°しかなかったのに大気はとても安定していました。彩度をかなり上げてミネラルムーン色調にしても破綻が見られません。クレーターや海の色彩の違いまでよく分かります。

今回の満月は北側が欠けています。秤動によって月面が左下を向いているため、北側や東側の地形がよく見えますね。北極付近にあるヘルミットやピアリーなどのクレーターも容易に見つけられるでしょう。

20200804火星
少し時間をおいて、3時過ぎに高くなった火星にも望遠鏡を向けました。火星の地球最接近まで残り2ヶ月、もう小接近程度の視直径に達しています。高いおかげでとても見やすく、川底を見ているような像ではありません。これは嬉しい!

位相角が43°近くもあるため、本体が大きく欠けています。それでも地形らしき模様が判別できますね。中央の大きな影はオーロラ湾付近、欠け際にはアリンの爪の一部。南極冠が眩しい。火星はこれからどんどん大きくなりますよ。秋の長雨に見舞われる前にぜひ観察してください。