一風変わった半夏の花たち2020/07/01

ハンゲショウ
2020年の雑節のひとつ「半夏生」を迎えました。近年は7月2日が多いのですが、今年は1日。来年から3年間は7月2日、2024年と2025年は1日に戻り…という具合。天文学的には「太陽黄経が100°になった日」ですね。

この時期に湿地などで咲き始まる「ハンゲショウ」(左画像)の花は一風変わっています。花びらのように白い斑のある葉に包まれ、ひょろひょろと稲穂のような小さい花を伸ばします。ハンゲショウはドクダミの仲間ですが、本家のドクダミも白い花びらのように見えるところは苞と呼ばれる葉っぱの変形。本当の花は中央に集合している淡黄色(薄緑色)の部分ですね。クリスマスに飾るポインセチアなども同じ構造です。

カラスビシャク
根っこが「半夏」という漢方の材料で知られる「カラスビシャク」(右画像)も今の時期に変わった花を咲かせます。キングコブラが鎌首をもたげて、細長い舌をシュルリと出しているような形です。この鎌首部分が苞(仏炎苞)で、外からは見えない奥のほうに花があります。

私にはどうしても動物的に見えてしまって触るのが怖い植物なのですが、別に噛み付いたりしません。同様のタイプではミズバショウやウラシマソウなどがよく知られていますね。(※ミズバショウは仏炎苞から花が飛び出しています。)

こんな変わった小さい花でも虫が寄ってきて、じっくり観察していると様々な栄枯盛衰が見られます。植物たちも雨風にさらされながら必死に生きていますよ。

今年も静かに真夏日&熱中症の集計開始2020/07/01

2020年・真夏日と熱中症
今年もこの季節がやってきました。気象庁から発表される「真夏日・猛暑日」の日々地点数と、消防庁から発表される「熱中症救急搬送人数」の日々データを組み合わせたグラフを、概ね1ヶ月事に掲載してゆきます。熱中症対策などにご利用ください。左図はひとまず今日時点で値が出た分のグラフです。過去分は記事末の参考リンクをどうぞ。

今年は消防庁の方針によりコロナ禍の真っ最中であった5月の集計は中止になりました。6月1日より無事再開しています。熱中症シーズン中のマスク着用では意見が分かれるところですが、どう転んでもリスクはあります。そつなく健康に過ごしてくださいね。

参考:
アーカイブ:真夏日と熱中症

今日の太陽2020/07/02

20200702太陽
昨日は台風かと思うような暴風雨がほぼ一日続き、夜半過ぎには竜巻注意情報も出てしまいました。明け方前にいったん風雨が収まり朝から快晴に転じたものの、日が高くなるとまた強風が吹き出しました。昼過ぎ時点では9m/s近くの風が吹いています。

20200702太陽リム
左は13:40前の太陽。昨日から左下にごく小さな黒点が出現しており、左画像では明るいプラージュになって見えます。南半球・S極先行なので第25太陽周期の領域ですね。ただ、現時点では採番されておらず、このまま消えそうです。左上リムに見えていた大きなプロミネンスは光球内に入り、暗い影になって見えます。代わりに左下リムと右上リムにとても立派なプロミネンスが見えていました。見ごたえがあって格好いいですね。可視光では左リム近くのあちこちに白斑が見えています。

15時時点のアメダス速報値による夏日地点は541、真夏日地点は105、猛暑日地点は0でした。梅雨の中休みですが、湿度はそのまま残っているため蒸し暑いです。

やっと見えてきたレモン彗星や明るい超新星を観察2020/07/03

20200702レモン彗星(C/2019 U6)
昨日は梅雨の中休み。風が強かったものの夕方まで快晴でした。夜になったら雲が出てくる予報でしたが、宵空に見えているはずのレモン彗星(C/2019 U6)を何としても見たいと思い、アパートの南西側にある僅かなスペースへ機材を運びました。彗星は低空ですので、建物がじゃまになる東側からは全く見えないのです。

彗星撮影後に超新星撮影(後述)も行う予定だったため、1500mmオーバーの長焦点で正確にガイドできるよう機材を組む必要がありました。このため、「北極星が見えない状態で極軸を正確に合わせる」という作業を初めてやってみました。理屈や方法は頭に入っているものの、実際は地盤の弱さや設置位置の狭さなどが邪魔をして思うように捗りません。日没後早めに準備したものの、彗星撮影開始は航海薄暮終了頃になってしまいました。もっと練習しなくては…。

撮影開始時点で彗星高度は約15°。西側の隣家や電線が十数度角の高さなので、撮影可能な時間はほんの僅かです。日没ころから湧き出した雲の通過もあって、5分しか露出できませんでした。それでもボウッと緑色に広がるレモン彗星が見えたときは感動!南半球で見えていたような立派な尾は見えませんが、ようやく我が家からも観察可能な位置まで北上しました。これから急速に暗くなるけれど、そのぶん高くなるから見やすくなるでしょう。

レモン彗星は7月19-21日にかけて、あの有名なマルカリアンチェーンに大接近。特に20日はブラックホール撮影成功で知られるM87に離角10′角まで超接近、更に翌日はM89とM90の間を通過する前代未聞のショーを楽しめるでしょう。8月に入ると2-3日にかけてパンスターズ彗星(C/2017 T2)に約1°角まで大接近、7日前後にはネオワイズ彗星(C/2020 F3)も加えて10等前後の彗星が3つも10°円内に収まってしまうすごい光景になります。

さてレモン彗星撮影に引き続き、高度を下げつつあるおとめ座の一角に発見された超新星SN2020nvbの撮影に取り掛かりました。山形県の板垣公一さんが7月1日22時過ぎNGC4457に発見したばかりの天体で、発見光度はなんと13等。とても明るいのです。撮影してみたら更に増光しているようでした(下A画像)。既に分光され、タイプIaの超新星とのこと。

雲がだいぶ多くなって月がぼんやりするほどでしたが、続けてM85にあらわれている超新星SN2020nlbにも望遠鏡を向けました。歩留まりが悪かったものの、どうにか使えそうな画像をコンポジット(下B画像)。この天体はハワイ大学のATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム/Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)が6月25日に発見したもの。発見光度は17等中盤でしたが、6月末には14等台に、そして昨夜は12等台になっていました。どちらも「ザ・超新星!!」と言えるような見事な輝きですから、チャンスがあれば観察してください。ぐずぐずしてると暗くなってしまいますからお早めに。(註:なお板垣さんは6月21日にもM31アンドロメダ銀河内に新星候補天体を発見しています。こちらは梅雨空に阻まれてずっと撮影できていません。)

  • 20200702_SN2020nvb in NGC4457

    A.SN2020nvb in NGC4457
  • 20200702_SN2020nlb in M85

    B.SN2020nlb in M85