薄雲越しに月を観察2023/10/25

20231024クラヴィウス、ロンゴモンタヌス、ピタトゥス
昨夕は薄雲が全天を覆い、濃淡はあるものの今日明け方まで続きました。本日夜に荒れた天気が予報されているため、一時的な下り坂と言ったところでしょう。24日19時台にいくらか雲が薄いところで月を観察しました。いくつか撮った中から三つ掲載します。

左画像はクラヴィウスやロンゴモンタヌスを含む南部エリア。ちょうど「月面ス」の出現が日没ごろでしたので狙ってみました。既に月面における太陽高度が1°を越えており、「ス」ではなく「又」や「叉」に見えています。ノーヒントでどこにあるか探してみてください。そのほか右上には直線壁が明るく、左上にはヒッパルス谷も見え始まりました。キース西側(キースπ)やカプアヌス内側にある低いドームもはっきり確認できます。

ヘシオドスから延びるヘシオドス谷が印象的。ちなみにヘシオドスRayが一日前の23日日没前に見えたはずです。次のチャンスは12月21日18時台。月高度が高くて好条件なので、ぜひご覧ください。またヘシオドス側からピタトゥスへ光がさすピタトゥスRay(下弦過ぎ)も11月7日2時台に見えると思われます。

下A画像はコペルニクスから南にかけてのエリア。周囲にあるチェーン・クレーターや、ホルテンシウスのドームを代表とする多くのドーム地形がよく見える月相です。月面N地形はもうすっかり明るくなりました。フラ・マウロ、ボンプラン、パリー付近にはクレーター壁を貫く細い谷がたくさんありますね。

昨夜いちばん印象に残ったのが下B画像の虹の入り江。ちょうど朝を迎えるタイミングでしたが、入り江の西の湾曲が完全に途切れ、ヘラクリデス岬だけ光り始めていて斬新な光景でした。ラプラス岬側の影も長くて、釣り針の「かえし」のような形です。長く伸びるリッジやランバートRも良く見えますね。

この画像をなるべく破綻しないようにコントラスト強調させたものが下C画像。こうするとオレンジ点線円内にある雨の海の溶岩流が浮かび上がってきます。かなり広範囲のため全容をまとめて撮影するのは困難だけれど、陰影がはっきりする欠け際ギリギリなら高さがあまり無い溶岩流の痕跡も確認できる訳です。普段は平滑な印象がある虹の入り江も、びっくりするくらい起伏に富んでいるとが分かるでしょう。

  • 20231024コペルニクス、既知の海

    A.コペルニクス、既知の海
  • 20231024虹の入り江、ランバート

    B.虹の入り江、ランバート
  • 20231024雨の海の溶岩流

    C.雨の海の溶岩流


2023年の真夏日と熱中症まとめ2023/10/25

20231025内暈
朝晩が肌寒く感じるようになりました。今日の当地は朝のうち巻雲が広がる青空で、それなりに日差しがあったものの、太陽観察できるくらいの高度になったらもう雲が多くなってしまいました。左画像はそのころの空。内暈がはっきり見え、いかにも冷たそうな雲が広がっています。午後はもっと雲が厚くなってきました。県内の北のほうでは雨が降っているようです。

こんな日に暑い頃の話題もアレなんですが…先週末に消防庁から9月ぶんの熱中症搬送者数確定値が発表になったので、今年分の「真夏日と熱中症」のグラフ作画と集計を行いました。グラフは右下に掲載したほか、アーカイブ「真夏日と熱中症」にも集計データと共に追加してあります。グラフを単独で見ても異様さや特徴は分からないと思うので、ぜひ他の年と比較してみてください。アーカイブには2011年からのグラフと簡単な集計値があります。

2023年・真夏日と熱中症
真夏日地点数の5月から9月までの累計は52841(うち猛暑日地点7084)で、2011年以降では最高となりました。2022年の累計記録(41216/3789)を軽く突破しています。特に猛暑日地点7000越えって次元が違いますね。同様に暑かった2018年も39913/6483でした。月別に見ると7月までは例年とさほど変わらないのですが、8月・9月が異様に多い。初秋に暑さがずれ込んだということです。

対して、搬送者も多くなったかといえばそうではなかったようです。2018年の累計が95137人(うち死亡者160人)に対し、今年は91467/107。WBGTの啓蒙やアラートなどを通して警戒を呼びかけたことが奏功しているようで、一定レベルに押さえ込めているのかなと思います。グラフを見ても8月後半以降の真夏日増加に対して、搬送者はかなり少ないと感じます。それでも9万人も搬送されているのですから気を緩めるわけにはいきませんね。目指せ0人、です。