まもなく衝を迎える木星 ― 2023/11/01
木星の衝が目前に迫り、見頃を迎えました。今期は黄経の衝が11月3日14:02:26、赤経の衝は11月3日23:48:07で同一日です。
昨夜は宵から雲が残り、予報もあまり芳しくは無かったけれど、夜半前に外を見ると快星でしたので慌てて望遠鏡を組み立てました。1時間ほど外気に慣らしてすぐ木星を観るとびっくりするほどシーイングが良い。ちょうど大赤斑も見えたのでカメラを付けて撮影開始。ところが予定の半分も経たないうちに南からやって来た雲に全天が覆われてしまいました。撮影分だけでとりあえず仕上げたのが左画像です。
まぁこの時期にここまで詳細が写し取れれば申し分無しですね。両極域の淡い模様も見えています。衝の夜にこれくらい見えると良いのですが…。
更に1時間ほど待つと雲が去って、透明度の悪い星空が戻りました。少し木星から離れた月を見てみると先ほどの好シーイングはどこへやら、大気の大きな揺らぎが月面を波のように渡る様子がはっきり分かるくらい悪シーイングになってしまいました。でもせっかくの晴れ間です。ダメ元で主要な地域を撮影しておきました。
その中から見どころを一枚だけ右に掲載。豊かの海の様子です。欠け際に縁だけ光り残るラングレヌスからフェンデリヌスにかけての周囲がえぐいほどカッコいい。近くにある日本人名を冠したナオノブ・クレーターも、こんなに深かったっけ?と感じるくらい陰影が強調されていました。ラングレヌスからタルンティウスにかけてリッジやチェーンクレーター、数々のドームなど見飽きることの無い空間です。
左上にはコーシー断崖やコーシー谷も見えています。上辺ぎりぎりには危難の海のオニール橋が夕方を迎えつつあります。ちなみに画像撮影時のオニール橋における太陽高度は9.86°。今夜11月1日20時には1.0°になるので、月が高くなるころ橋にはもう光が当たっていないでしょう(→日照シミュレーションは2021年1月2日記事を参照)。次にこの橋が見えそうなのは12月1日明け方に見える月です。
昨夜は宵から雲が残り、予報もあまり芳しくは無かったけれど、夜半前に外を見ると快星でしたので慌てて望遠鏡を組み立てました。1時間ほど外気に慣らしてすぐ木星を観るとびっくりするほどシーイングが良い。ちょうど大赤斑も見えたのでカメラを付けて撮影開始。ところが予定の半分も経たないうちに南からやって来た雲に全天が覆われてしまいました。撮影分だけでとりあえず仕上げたのが左画像です。
まぁこの時期にここまで詳細が写し取れれば申し分無しですね。両極域の淡い模様も見えています。衝の夜にこれくらい見えると良いのですが…。
更に1時間ほど待つと雲が去って、透明度の悪い星空が戻りました。少し木星から離れた月を見てみると先ほどの好シーイングはどこへやら、大気の大きな揺らぎが月面を波のように渡る様子がはっきり分かるくらい悪シーイングになってしまいました。でもせっかくの晴れ間です。ダメ元で主要な地域を撮影しておきました。
その中から見どころを一枚だけ右に掲載。豊かの海の様子です。欠け際に縁だけ光り残るラングレヌスからフェンデリヌスにかけての周囲がえぐいほどカッコいい。近くにある日本人名を冠したナオノブ・クレーターも、こんなに深かったっけ?と感じるくらい陰影が強調されていました。ラングレヌスからタルンティウスにかけてリッジやチェーンクレーター、数々のドームなど見飽きることの無い空間です。
左上にはコーシー断崖やコーシー谷も見えています。上辺ぎりぎりには危難の海のオニール橋が夕方を迎えつつあります。ちなみに画像撮影時のオニール橋における太陽高度は9.86°。今夜11月1日20時には1.0°になるので、月が高くなるころ橋にはもう光が当たっていないでしょう(→日照シミュレーションは2021年1月2日記事を参照)。次にこの橋が見えそうなのは12月1日明け方に見える月です。
今日の太陽 ― 2023/11/01
11月になりました。朝から良く晴れています。ちょっと外出したのですが汗ばむほどでした。気象庁アメダス速報値の本日0時から15時までの集計による夏日地点数は90、真夏日地点数は0。さすがに真夏日はなかったものの、11月になって夏日(最高気温25度以上)を越えたところが90もあるのはどうかと…。ちなみに最高地点は石垣島ポイントの29.9度でした。さすが南国。
左は10:20ごろの太陽。左端やや下に黒点を伴った活動領域が現れ、13477と採番されました。大きく育つといいなあ。他は…昨日とあまり変わりませんね。ダークフィラメントも多いです。プロミネンスが少ないけれど、今後に期待。
なお夕方になって15:24をピークとするM1.18クラスフレアが13477(訂正)で発生した模様。太陽望遠鏡で確認したのですがよく分かりませんでした。だいぶ低空だったので撮影無しです。
左は10:20ごろの太陽。左端やや下に黒点を伴った活動領域が現れ、13477と採番されました。大きく育つといいなあ。他は…昨日とあまり変わりませんね。ダークフィラメントも多いです。プロミネンスが少ないけれど、今後に期待。
なお夕方になって15:24をピークとするM1.18クラスフレアが13477(訂正)で発生した模様。太陽望遠鏡で確認したのですがよく分かりませんでした。だいぶ低空だったので撮影無しです。
相次ぐ新天体発見 ― 2023/11/02
日本人による新天体発見が相次いでいます。ここ数日に撮影したものをまとめて発見順にご紹介します。
まず三重県の中村祐二さんが発見したTCP_J21101144+1740328。10月28日20:13(JST、以降全てJST表記)にペガスス座で14.2等での発見(左画像)。これはZTFがTNSに報告したAT2023vxsと同一天体(10月28日12:11発見、15.83等)と思われるとのこと。半日未満で明るさがかなり違うのが気になりますね。急増光でしょうか?
次は同じく中村さんによるTCP_J06333486-2305449。10月30日2:03におおいぬ座で12.6等での発見(下A画像)。矮新星ではないかとのことです。
更に山形県の板垣公一さんによるTCP_J21562632+3754335。10月30日21:15にはくちょう座で15.2等での発見です(下B画像)。これまた青白い色合いで矮新星?ここまでのTCPはいずれも天の川のほとりで発見されています。
更に更に、同じ板垣さんの発見で超新星SN2023wcr。11月1日4:04にりゅう座のしっぽ近くにあるNGC4363で16.0等での発見(下C画像)。すく分光され、Type2の超新星と判明しています。赤緯が+75°近くなので周極超新星ですね。 天気が安定してくるとこのように発見が相次ぐことがあります。満月期とか新月期とか関係ありません。お二人ともこれだけのバイタリティを長年に渡って持続させていらっしゃるなんて、いったいどこにエネルギー源があるんでしょうか。神懸かっていますね。
【おまけ1】
今日未明の木星です。前夜に比べて大気の揺らぎが大きくなってしまいましたが、なんとか模様を抽出してみました。通過しているのはイオ。なんと、イオとイオの影がくっついてしまいました。観察者の視線と、イオ→イオの影に向かう太陽光線の向きがほぼ同じということですね。つまり衝が間近に迫っている事を示している訳です。11月3日夜23時台にはガニメデによる同様の現象を観ることができますから、望遠鏡で確認してみてください。大赤斑も一緒に見えますよ。
【おまけ2】
未明の月も観察・撮影しました。こちらのシーイングはひと晩前より若干良いものの、それでも3/10点くらいです。夕方を迎えたジャンセンや月面Kなど見どころはたくさんありましたが一枚だけ掲載。静かの海の東部です。岩山から海へ至る境界付近には目を引きつけられる地形がたくさんあります。中央付近にはコーシーを挟むように平行に走る谷と断崖。その延長上、北西にはジョグダイヤルのようなヤンセン・クレーター。複合クレーターで有名なジャンセン(Janssen)ではなく、Jansen(sが少ない)です。すぐ北のゴーストクレーター、ヤンセンRとヤンセンDのペアも素晴らしい。その形からパンケーキと呼ばれるそうです。同じゴーストクレーターのラモントも左辺に半分写っていますよ。
画像中央やや左上にはガードナーのメガドームと呼ばれる大きなドーム地形。ここ以外にもたくさんのドーム地形が密集しているエリアです。広範囲の密集度は月面随一ではないでしょうか。試しに「GLR Catalog of Lunar Domes」に掲載されているドームを地図として描きオーバーレイしたのが下B画像。薄青丸マークが全てドームです。ひとつひとつを特定するのは明暗境界付近に来ないと分かりづらいので時間がかかりそうですね。
まず三重県の中村祐二さんが発見したTCP_J21101144+1740328。10月28日20:13(JST、以降全てJST表記)にペガスス座で14.2等での発見(左画像)。これはZTFがTNSに報告したAT2023vxsと同一天体(10月28日12:11発見、15.83等)と思われるとのこと。半日未満で明るさがかなり違うのが気になりますね。急増光でしょうか?
次は同じく中村さんによるTCP_J06333486-2305449。10月30日2:03におおいぬ座で12.6等での発見(下A画像)。矮新星ではないかとのことです。
更に山形県の板垣公一さんによるTCP_J21562632+3754335。10月30日21:15にはくちょう座で15.2等での発見です(下B画像)。これまた青白い色合いで矮新星?ここまでのTCPはいずれも天の川のほとりで発見されています。
更に更に、同じ板垣さんの発見で超新星SN2023wcr。11月1日4:04にりゅう座のしっぽ近くにあるNGC4363で16.0等での発見(下C画像)。すく分光され、Type2の超新星と判明しています。赤緯が+75°近くなので周極超新星ですね。 天気が安定してくるとこのように発見が相次ぐことがあります。満月期とか新月期とか関係ありません。お二人ともこれだけのバイタリティを長年に渡って持続させていらっしゃるなんて、いったいどこにエネルギー源があるんでしょうか。神懸かっていますね。
【おまけ1】
今日未明の木星です。前夜に比べて大気の揺らぎが大きくなってしまいましたが、なんとか模様を抽出してみました。通過しているのはイオ。なんと、イオとイオの影がくっついてしまいました。観察者の視線と、イオ→イオの影に向かう太陽光線の向きがほぼ同じということですね。つまり衝が間近に迫っている事を示している訳です。11月3日夜23時台にはガニメデによる同様の現象を観ることができますから、望遠鏡で確認してみてください。大赤斑も一緒に見えますよ。
【おまけ2】
未明の月も観察・撮影しました。こちらのシーイングはひと晩前より若干良いものの、それでも3/10点くらいです。夕方を迎えたジャンセンや月面Kなど見どころはたくさんありましたが一枚だけ掲載。静かの海の東部です。岩山から海へ至る境界付近には目を引きつけられる地形がたくさんあります。中央付近にはコーシーを挟むように平行に走る谷と断崖。その延長上、北西にはジョグダイヤルのようなヤンセン・クレーター。複合クレーターで有名なジャンセン(Janssen)ではなく、Jansen(sが少ない)です。すぐ北のゴーストクレーター、ヤンセンRとヤンセンDのペアも素晴らしい。その形からパンケーキと呼ばれるそうです。同じゴーストクレーターのラモントも左辺に半分写っていますよ。
画像中央やや左上にはガードナーのメガドームと呼ばれる大きなドーム地形。ここ以外にもたくさんのドーム地形が密集しているエリアです。広範囲の密集度は月面随一ではないでしょうか。試しに「GLR Catalog of Lunar Domes」に掲載されているドームを地図として描きオーバーレイしたのが下B画像。薄青丸マークが全てドームです。ひとつひとつを特定するのは明暗境界付近に来ないと分かりづらいので時間がかかりそうですね。