M108から離れつつあるアトラス彗星2020/02/27

20200227アトラス彗星(C/2019 Y4)
昨日は一日曇りや雨が続きましたが、今日明け方には少しずつ回復してきました。と言っても3時過ぎ頃まで雲が残ったため、夜明けまであまり時間がありません。

M97&M108のあるおおぐま座領域を北上していたアトラス彗星(C/2019 Y4)でしたが、今朝はM108からも離れつつあり、ようやくこの星域から脱します。ラストナイトにM108とのツーショットを撮れないか考え、薄明ギリギリまで使って写し撮ってみたのが左画像。透明度がとても悪く、ときおり薄雲が通過してガイドも乱れがちでしたが、こうして記念写真を撮れただけでもありがたいことです。M97とM108の星域通過では、今回を含め三夜に渡って観察することができました(→2月24日および2月25日)。

彗星はゆっくり明るさを増しつつ、今後は夕方の北西天へ移ってきます。Great Cometと呼ばれる1844年の大彗星(C/1844 Y1)と同じ軌道らしく、4月中旬に南下を始め、太陽至近で肉眼彗星になる予定です。見頃の時期に低空となってしまうためどこまで追えるか難しいところですが、見やすい位置にいる間に観察してくださいね。

参考:
アトラス彗星(C/2019 Y4)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽と花粉光環2020/02/27

20200227太陽
朝から良く晴れています。ときどき雲が湧きますが、大きく崩れる心配は無さそうです。

20200227太陽リム
左は10時頃の太陽。活動領域はありません。左上のプロミネンスが大きくて素晴らしいですね。数日前にも同じ位置に見えていましたが、日が経っているので連続性はなさそうです。右下リムにも小振りなものが確認できました。

昨日雨が降ったあと、今朝は晴れて大きく冷え込み、午前中に風が強まる…。この流れがまた盛大にスギ花粉を飛ばしたようで、花粉光環が鮮明に見えました(下A画像)。またしても四重目の赤リングまで見えます。花粉が濃くても、一般に春霞のような空ではせいぜい三重までしか見えないし、透明度が良い空でも花粉が薄ければやはり何重にも見えません。「雨の後の放射冷却、急激に乾燥して透明度の高い午前に風が強まる」…この気象条件の組み合わせが毒々しい光環を作るのです。

2月23日の記事で赤四重リングが見えない、というご意見があったので、今日の花粉光環画像をRGB分解し、赤チャンネルのみにしたもの(下B画像)、および青空を軽減したもの(下C画像)を掲載しました。こうすると分かりやすいでしょう。部分的に五重目が見える気がしますが、レンズゴーストや画像処理に伴う偽色の可能性もあります。太陽近傍が一重目。太陽に近いほど全ての波長が集合するので白くなります。回折の性質で赤色側(長波長)ほど太陽から離れたところまで広がるため、一重目の最外周は赤く見えます。(→各色がズレる様子は2015年3月5日記事をご覧ください。

  • 20200227花粉光環

    A.今日の花粉光環
  • 20200227花粉光環(Rch)

    B.今日の花粉光環(赤チャンネル)
  • 20200227花粉光環(青空減)

    C.今日の花粉光環(青空軽減)


(28日追記)
27日夕方の雲が特徴的だったので撮影しておきました。雲底が独特で、今にも漏斗雲が現れそうな雰囲気。尾流雲があちこちに見え、一部は地上へ到達しているように感じました。当地で雨などは確認してませんが、数十キロ先のかすてんさんのところでは雹が降ったそうです。

  • 20200227夕方の雲

    D.南西方向
  • 20200227夕方の雲

    E.北西方向