荒れた天気の後に彗星ふたつ観察2020/02/23

20200223アトラス彗星(C/2019 Y4)
昨日は終日荒れた天気でした。夜になっても雨と強風が残ったけれど、夜半前には雲が取れました。風は弱まったものの、ときおり吹く4m/s前後の風は辛いものがありました。

透明度が悪かったけれど貴重な晴れ間。少しでも風の影響を受けにくい建物の近くに望遠鏡を設置し、彗星をふたつ観察することにしました。

ひとつは二日前にも撮影した急増光中のアトラス彗星(C/2019 Y4)。今回は前回より長焦点の機材で大きく撮影し、広がりを見るのが目標です(左画像)。ところが彗星核はしっかり写るものの、緑のコマは淡すぎ!少なくとも5分角前後広がっているのは分かるけれど、空のコンディションが悪いのか、彗星自体が暗いのか…(両方でしょうね。)とにかくこの彗星は手ごわいという感触を持ちました。

お次は満月期以降ご無沙汰だった岩本彗星(C/2020 A2)。光度ピークを過ぎましたがまだまだ10等級を保って明るいはずです。だいぶ天の北極に寄ったので赤道儀にはきつい位置でしたが、どうにか撮影できました(下A画像)。こちらはアトラス彗星と正反対にコマがはっきりしているものの核が光っていません。見かけの移動速度はアトラス彗星の三倍強もあって、どちらの画像も1時間ほどの露出なのに岩本彗星はみるみる動くのがモニター越しでも分かりました。

時々雲が横切ってガイドエラーに悩まされ、強風で星像も所々太っています。気象庁の観測に引っかからなかったけれど、昨日から今朝にかけて本州以西を黄砂が通過しているようで、湿度が低いにもかかわらずシャープネスに欠ける星空でした。それでも新月期の夜空を堪能することができたのは幸いです。(下B画像は合間にリファレンス撮影したM51。)

  • 20200223岩本彗星(C/2020 A2)

    A.岩本彗星(C/2020 A2)
  • 20200223_M51

    B.子持ち星雲(M51)


参考:
アトラス彗星(C/2019 Y4)に関係する記事(ブログ内)

とうとうこの季節がやってきた!2020/02/23

20200223スギ花粉光環
数日前から急に鼻水やくしゃみが出るようになり、これは新型肺炎か…と心配になりました。でも誰かと濃厚接触した覚えは無いし、何だろ?何だろ?…と思っていたところ、今日の空を見てすぐ原因が分かりました。スギ花粉が大量に飛んでいたのです。

左画像は本日太陽観察をした後、続けて太陽周囲を撮影したもの。(※太陽光球は手製の黒塗り遮蔽球で隠しています。)見事なまでの花粉光環が現れていました。四重目の赤リングまで確認できる濃い光環は滅多に出ません。このところ「降雨のち快晴で気温上昇+乾燥した強風」が立て続けだったので、一気にスギ花粉が飛散したのでしょう。因みに光環は英語でコロナ(corona)です。例の肺炎ウイルス名と一緒です。太陽コロナも王冠もみんな同じ、「環状」「冠状」というニュアンスですね。花粉光環はpollen coronaですから海外サイトを検索するときに使ってください。スギ花粉以外にも様々な花粉の光環があり、花粉形状で光環形状も変化するので面白いですよ。

とてもバッドタイミングなことに、大陸からの黄砂とPM2.5の飛来がこの花粉飛散と重なっています。一種類の粒子群を浴びる状況と比較して、この三種の微粒子が重なることで呼吸器疾患や循環器疾患がいっそう重篤になるという研究が知られるようになりました。仮に症状が重くならなくても咳や鼻水が何日も続くだけで体力が奪われ、低年齢や高齢の方などは別の病気への抵抗力が弱まるでしょう。たかが花粉と侮らず、どうかお気を付けくださいね。

20200223太陽
さて本題。昨夜半から晴れが続き、今日は朝から気持ちよい天気。ただ強風はいまだにおさまりません。昼過ぎ時点で近くのアメダスポイントでは10m/s越えの最大風速を記録しています。

20200223太陽リム
左は10時過ぎの太陽。活動領域はありませんが、光球右下付近に小さなプラージュのようなものが見えました。プロミネンスは右上リムのものが派手に見えますね。右やや下リムにも活発なところがありました。左サイドは静まりかえっています。一昨日見えていた部分は吹き飛んでしまったようです。