西村さんがまた突発天体発見、明け方は火星とM22コラボ2020/02/28

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つい今週始めの23日に新星を発見したばかりの西村栄男さん(静岡県)が、昨日27日明け方、てんびん座に12.5等の突発天体を発見したそうです。立て続けの快挙、素晴らしいですね。昨夜から今朝にかけて快星に恵まれ、一日経った姿を撮影することができました(左画像)。

週始めの関東は暖かく、前回西村さんの新星を撮影したときは明け方なのに気温が7度近くありました。ところが昨夜は夜半前にもう氷点下。明け方はマイナス3.5度まで冷えてあちこち霜が付きました。風や雲はなく一晩中晴れたため、真夜中にはもう低空のてんびん座がよく見えていました。

左画像は1:40頃から1時間あまり露出したもの。前回の新星は天の川のなかで周囲に微光星が多かったですが、今回は天の川から離れており、星数もまばらです。青っぽく見えるので矮新星でしょうか?

20200228火星とM22の接近
このあと北天の岩本彗星(C/2020 A2)に望遠鏡を向けましたが、運悪く電線が写野を横切る位置。取りあえず写したものの、撮影コマのほぼ全てに電線の影が入ってしまい、仕上げは断念しました。ずいぶん天の北極に近くなってしまったのですね。

薄明が始まるころ、今度は南東の火星に望遠鏡を向けました。前々から楽しみにしていた球状星団M22との接近を観察するためです。今月19日にM8&M20との接近を果たした火星ですが、その後ずっと東進して明日29日明け方にM22と最接近します。でも明日の関東は晴れ間が期待できません。だから一日早い観察となりました。

前出のM8&M20接近記事にも書きましたが、火星とM天体との接近は2年ほどの間隔で起こります(下表参照)。火星が星団に埋もれてしまう様な回もありますが、毎回好条件で見える訳ではありません。むしろ観察可能なほうが稀な現象なのです。前回は2018年4月2日で、偶然にも今回とほぼ同条件。このときも天気が怪しかったものの、辛うじて観察することができました。次回2022年2月も見えますが、観察可能時間帯が最接近半日前か半日後になってしまうため、少し離れてしまうでしょう。火星は見た目の動きがとても速いのです。明日29日明け方は離角が右上画像の半分未満というすばらしい光景。晴れそうな地方のみなさんは、ぜひ望遠鏡を向けてください。

【火星とM22の接近・2000年-2040年調べ】
地心最接近日時(JST)最小離角(°)火星位置測心最接近日時(JST)最小離角(°)火星位置
2001年9月24日 11:082.3382001年9月24日 10:012.340
2003年3月18日 10:460.3952003年3月18日 10:440.394
2005年2月18日 23:350.2732005年2月18日 23:350.272
2007年1月28日 15:210.1212007年1月28日 15:220.120
2009年1月7日 21:120.0332009年1月7日 21:130.033
2010年12月19日 11:480.2022010年12月19日 11:470.203
2012年11月28日 15:370.4202012年11月28日 15:390.421
2014年11月7日 6:120.7642014年11月7日 6:060.765
2016年10月10日 12:281.5512016年10月10日 12:041.552
2018年4月2日 8:400.3582018年4月2日 8:380.356
2020年2月29日 8:040.3322020年2月29日 8:040.330
2022年2月5日 17:440.1812022年2月5日 17:440.181
2024年1月16日 13:130.0282024年1月16日 13:140.027
2025年12月27日 2:520.1332025年12月27日 2:510.134
2027年12月7日 13:480.3272027年12月7日 13:480.328
2029年11月15日 23:320.6052029年11月15日 23:360.606
2031年10月23日 5:161.1382031年10月23日 5:101.138
2033年5月1日 9:450.2692033年5月1日 10:360.271
2033年6月20日 22:543.4012033年6月20日 22:543.406
2033年9月9日 17:273.2492033年9月9日 14:103.252
2035年3月11日 19:480.3802035年3月11日 19:480.380
2037年2月14日 3:470.2432037年2月14日 3:470.242
2039年1月24日 8:400.0912039年1月24日 8:400.090
地心最接近日時(JST)最小離角(°)火星位置測心最接近日時(JST)最小離角(°)火星位置

  • 自作プログラムによる概算です。接近最小離角が5°以内のケースのみピックアップしました。
  • 測心計算の観測位置は当ブログ基点の茨城県つくば市です。
  • 火星位置の項は、M22に対して火星が北側を通過する場合は「北」、南側を通過する場合は「南」の表記です。


今日の太陽、昼間の金星、ハロ2020/02/28

20200228太陽
朝から晴れていますが、午後からは少しずつ雲が増えてきました。明日にかけて曇りの予報です。

20200228太陽リム
左は10:20前の太陽。活動領域はありません。プロミネンスも連日出ていた左上リムの残骸が淡く確認できたのみです。また静穏な太陽面に戻りました。今日は花粉光環も見えませんでした。




ところで、昨夕は細い月と金星が揃って夕空を飾るはずでしたが、夕方は雲が湧いて見ることができませんでした。アーカイブ「昼間に月と金星が近い日」を見ると分かりますが、昨日と今日は金星と月が近い位置関係なので、青空の中の白い月を見つけることができれば、近くの金星も見つかるはず。…ということで、午後に曇ってくる直前の14時頃に探してみました。

20200228昼間の金星と月
月も金星もすぐ目にとまりました。想像より高い位置にあり、とても見やすいです。右画像のように簡単に撮影できましたが、明るい青空が背景だと「何の微生物の写真だよ!」ってくらいセンサー上のゴミが目立ち、これを取り去るのにとても苦労しました。普段ちゃんと掃除しないから要らん苦労をする…。。。

その後淡い雲が出始めると、太陽回りにアークが見えてきました。驚いたことに、外接ハロ(内暈に外側から接するように出現する楕円のアーク)がほぼ直線状もしくは弱いM型に見えたこと(下A・B画像)。これはこのハロが上部タンジェントアークへ遷移する過程で取り得る形状で、なかなか良いタイミングに出逢えないものです。月や金星を見てなければ見逃すところでした。このほか、ごく弱い幻日、幻日環も確認できました。

1.5時間ほど間を空けてもう一度観察すると、今度は内暈がとてもはっきりしました(下C画像)。内暈上部が明るいので上部タンジェントアークが付加しているようです。また、内暈の外側に弱い上部ラテラルアークが出ていました(下D画像)。画像下の明るいアークは内暈+タンジェントアーク、そのかなり外側にラテラルアークがあります。

  • 20200228外接ハロ

    A.外接ハロ
  • 20200228外接ハロ

    B.外接ハロ(強調処理)


  • 20200228内暈

    C.内暈(強調処理)
  • 20200228上部ラテラルアーク

    D.上部ラテラルアーク(強調処理)