2020年内にうるう秒挿入はあるか、ないか?2019/07/13

LOD差分の変化
うっかりしていましたが、7月初めの「うるう秒挿入」はありませんでしたね。そして日本標準時グループのサイトによると、「2020年1月1日のうるう秒はありません」というところまで決まっています。これは意外でした。

近年のうるう秒挿入を詳しく見てみましょう。おさらいしておくと、原子時計で管理されている正確な1日24時間(=86400秒)に対し、地球が1回転する時間は「自然ならではの揺らぎ」として微妙に変化します。私たちは地球の昼夜で生活するので、それと関係なく刻まれる原子時計がどんなに正確でも、時刻の乖離が進めば問題が生じるでしょう。そこで地球依存の時計が1秒以上ズレないよう秒の加減算を行うことが「うるう秒調整」ですね。

左上図は2010年初め以降、今日時点で公開されている今年6月11日までのLOD(Length of Day)をもとに24時間とのずれを日々グラフにしたもの。年ごとの周期と、それよりも長期の緩やかな増減の波が見て取れます。2010年夏以降はほとんどプラスの値であり、地球由来の1日は平均して0.95ミリ秒/日(=0.00095秒/日)程度増え続けていることになります。とても小さい値だけれど、3年も積もれば1秒に達する量ですよ。

前回のうるう秒調整は2017年1日1日0:00UT(=9:00JST)に行われました。その前は2015年7月1日0:00UT。2015年の挿入直後から2017年の挿入直前まで日々のずれを加算したグラフが下A図。同じく2017年の挿入直後から2019年6月11日(今日の最新)までが下B図。A図とB図は一見不連続ですが、緑線は1秒(=1000ミリ秒)追加されたので「-408.7023+1000=591.2977」となり、ジャンプしてるけどつながっています。

このペースなら2020年始にはUT1-UTCの差が-350ミリ秒に達する気配。前回末期と同程度なのですが、でもうるう秒挿入は行われないと決まったので、次の候補である2020年7月には-500ミリ秒を下回りそうです。オリンピックの時期なので微妙ですが、オリンピック程度の理由で意図的な操作はあり得ないでしょうから、もしそれも更に見送るとすれば-700ミリ秒くらいの差で2021年1月に…という可能性もあるでしょうか。はたして…?(3月31日にも同様の記事を書きましたが、来年1月の調整がないと決まって驚き、改めて記事にしました。)

  • 2015-2017年LOD累積

    A.2015-2017年LOD累積
  • 2017-2019年LOD累積

    B.2017-2019年LOD累積


【追記】

最終的に、2020年内の閏秒調整は行わなくなりました。→2020年1月7日記事参照

★ブログ内で「日の出・日の入り」や「暦」をテーマに取り上げた関連記事・アーカイブは別ページにリストアップしています。日出没時刻やその最早最遅日は年や場所で変化しますから、記事日付をよく確認の上ご覧ください。


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